大拙博士の次の一文を思い出した、書楼弔堂の主人は元臨済宗の僧侶という設定でもあり
老師は何物をも説明しはしない、
彼はその講義に於て聴衆の知性に訴える事を拒む、
彼の為さんとする所は、
寧ろ問題の禅的相見の移り行きを導いた古禅師の心理を、
参学の僧達の心中に再現せしめんとするにある。
禅堂生活 / 鈴木大拙
百鬼夜行シリーズ の「檻」は禅の歴史 (六祖慧能や碧巌録) を知っているとさらに面白く読めるけれど、この書楼シリーズはそれに加え幕末明治期ゆかりの人物を知っているとそれにも増して驚かされる
((((゜д゜;)))) ((((;゚Д゚))))))
そういった歴史上の人物の名前あるいはその本人を作中に登場させるのは「檻」や「瑕」、「後巷説百物語」、最近では「今昔百鬼拾遺 鬼」あたりか
いわゆる 百鬼夜行シリーズ を祖としてのこの拡がりが好きなんだなぁ...
事実を事実として書くには、
事実に見せ掛ける小細工をするのではなく、
読む者の内面に事実を生成させるような工夫を
しなければならないのではありませんでしょうか。
書楼弔堂 炎昼 / 京極夏彦
そして、
このシリーズ、映像化も観てみたい✨
そう申し上げますと、ご主人は、
「書物に一切の貴賎はございませんよ」
と、仰せになったのです。
探偵小説好き、特に、S.ホームズに親しんだ者の性として、ではいったいその日は何年の何月何日なのであろうか?と常々気にしてしまうけれど、否々、ついつい知ろうとしてしまうのか
連作の最後をかざる「常世」の一編などは、その冒頭の日付は、明治32年1月20日 (1899年) だとわかる
そして、、
いつでも逢えるではありませんかとご主人は仰いました。
涙腺が、、(/ _ ;) 、、
どの一編も面白く、また、その根底には百鬼夜行シリーズにみる憑き物落としよろしく思考または認識の変換(仏教的といってもいいかな)が書楼の主人により、、
いやぁすごいな京極さんは...と、あらためて
「破暁」、「炎昼」ときたので少なくともあと1作 (夕月?) 、あるいは、2作 (+黎明??) は続くんだろうねぇ???
楽しみに待とう◎
姑獲鳥の夏 [ノベルス版] / 京極夏彦 再読
鉄鼠の檻 / 京極夏彦 再読
絡新婦の理 / 京極夏彦 再読
今昔百鬼拾遺 鬼 / 京極夏彦
今昔百鬼拾遺 河童 / 京極夏彦
今昔百鬼拾遺 天狗 / 京極夏彦
■関連ブログ■
読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
・そして死ぬまでに、XXX を読み終えたい、、
・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
・2019年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2019年のまとめ) ) 2020-01-18
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・** あなたにとって読書とはなんですか? **
死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
読み終えたかったという願いは叶わない。
二都物語 / C.ディケンズ
※2021年に読んだ文庫本など
・斜陽 / 太宰治
・砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
・鳥居の密室 / 島田荘司
・書楼弔堂 炎昼 / 京極夏彦
・ウィチャリー家の女 / R.マクドナルド
・髑髏検校 / 横溝正史 再読
・宇宙の戦士 [新訳] / R.A.ハインライン
・斜め屋敷の犯罪 改訂完全版 / 島田荘司 再読
・ガリレオの苦悩 / 東野圭吾
・獣眼 / 大沢在昌
・予告殺人 / A.クリスティ
・エクソシスト / W.P.ブラッティ 再読
・象は忘れない / A.クリスティ
・アンチノイズ / 辻仁成
・コンビニ人間 / 村田沙耶香
・白骨街道 (ハヤカワミステリマガジン連載) / 月村了衛
・バスカヴィル家の犬 / A.C.ドイル 再読
・トム・ソーヤーの冒険 / M.トウェン 再読
・とるとだす / 畠中恵
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、
ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ