そもそもが中編の依頼で書き始めたそうで、確かに事件としては中編、あるいは、短編に属するものかもしれないけれど、
ただ、
巷にある奇怪な「都市伝説」というのは、その"時代" と相まって、その真相とは案外こういうものかもしれないなぁと、、"時代" そのものがトリック(奇想)の一要素というか
実に、島田先生らしいなあ✨
あれは、私のメモによれば、「SIVAD SELIM 」の一件があって間もなくの、
一九九一年の新年が明けた一月のことであったと思う。
まだ御手洗が馬車道にいた頃で、読者の間にはまだたぶん知られていないが、
私の記憶の中では怪談めいた奇怪な事件で、規模は及ばなくとも、
暗闇坂とから龍臥亭にも劣らないほどに印象深い事件であった。
屋上/ 島田荘司
一九九一年とあり、なるほど、バブル期の世相喧騒に加え、日本人論の一環として か... そして、"時代" という舞台装置、、
いわゆる社会派と呼ばれるミステリー群がある、とある事件をきっかけに社会背景や時代背景を描写したりしているようだ、俗に人が書けていると称されもするミステリーの分野を指すのだろうか
が、
この「屋上」、その背景たる"時代" そのものをトリック (奇想) の一要素に意図して取り込んでいるようにも思え、
本編を読み終えたあと、島田先生の解説? を読んで、さらになるほどなとうなずいた
本格物を対象に、今までそういう視点で読み解いて来なかったから、この読後感 (印象) も相まって妙に腑に落ちたんだなぁ
ふりかえみれば、
ホームズ譜からしても、たしかに、当時の "ロンドン" という"時代" を描きこんでいるという読み方も出来るわけで、... なるほどなるほどと
そう考え至れば、
元々の「屋上の道化たち」を、その舞台装置たる「屋上」と改題されたのも、なるほど本来の趣旨に沿うという意味において、十二分にうなずける、まただからこそ、"時代" に対し超然とする御手洗ではなくともに事件を追ってきた記者に、こう語らせたのでは? と
「いや、そうじゃない。あの大看板の生涯というなら、
これは記事になりますね。あの看板があそこからはずされれば、
日本の一時代も終わる。その象徴が消えるんですから、
働き中毒が美談だった時代もまた終わるんです」
そして、
「そうですとも」
御手洗は言った。
「どうぞいい記事を書いてください」
言って、御手洗は笑った。
と、いつものように妄想して終わる◎
追記
読書中のBGMは、Miles Davis からこの演奏をチョイス
Red China Blues / Miles Davis
ブルースだなぁ、、ここのところ聴くのはもっぱらジャズばかり
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二都物語 / C.ディケンズ
※2021年に読んだ文庫本など
・フォックス家の殺人[新訳] / エラリイ・クイーン 再読
・モロー博士の島 / H.G.ウェルズ
・斜陽 / 太宰治
・砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
・鳥居の密室 / 島田荘司
・屋上 / 島田荘司
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ