彼の語った言葉に次のようなものがあるようだ
Art produces ugly things which frequently become more beautiful with time. Fashion, on the other hand, produces beautiful things which always become ugly with time.
さてさて
作者ガストン.ルルーの名前を聞いてもピンとこないミステリィ小説ファンの方がもう大半なのかな (゚-゚)? 僕などは「黄色い部屋の謎」が真っ先に頭に浮かぶけど、昨今は「オペラ座の怪人」の作者としての方が有名なのかもしれない
黄色い部屋の謎 / ガストン・ルルー 1907年刊行
「なんといってもトリックが秀逸」と、森博嗣さんをしてその独創性を激賞されているそのミステリィの古典を、超〜〜久しぶりに再読 w/ ジャン・コクトーの序文付き新訳版にて
題名の通り、最大の見せ場はその 黄色い部屋 がいかにして 謎 になったのかにあり、また、髪型にこだわるやり取り (暗にホームズを意識している?) なども面白い
訳者覚書に「テンポのよい訳文を心がけた」とあるように、以前の記憶よりもずいぶんと読みやすくなっている印象あり
また、
作中にはA.C.ドイルの創出した探偵としてS.ホームズの名前が出てくるが、本書初版の1907年といえば、ホームズ譜でいえば、後に「最後の挨拶」に収録される作品が発表される時期にあたり、つまりはまだその全60編が揃っておらずドイルの円熟期と言ってよい
そう 現実にまだ発表され続けている時期に本作は書かれたわけだから、ホームズ云々にみられる作者ルルーの記述は、ドイルへの対抗心、あるいは、挑戦状、
また加えて本作は、M.ルブランの創出したA.ルパン物(本作はその初出の翌年か翌々年に出版)へのオマージュ?的なニュアンスも読みとれて非常に興味深い
ここのところは本作の内容に絡めて考えれば、個人的には、M.ルブランを多少なりとも意識はしていたことは確かだと思わせてもくれて、もう少し調べてみたいな と
_φ(..)
そういう意味では、ミステリィ史を紐解く格好のテキストとも言えるなぁ
ちなみに、、
本書序文をそのジャン・コクトーが書いてるってのがまた面白い、以前にも、J.D.サリンジャーの小説の中にヴァン・ダインの「カブトムシ殺人事件」が脈絡なく出てきてびっくりしたことがあるけれど、当時の文学界の状況 (*1) 、幅の広さとでも言おうか、そんなことを想起させられるなぁ✨
*1:
ずいぶんと前になる、マーケティングの仕事をしていた頃のことだ、雑誌「東洋経済」だったか、50人か100人か忘れたが要は社長連中をある程度の頭数になるように集めて、その年読んだ書籍で何が面白かったかを答えてもらうという趣旨のアンケート結果が載っていた、たったひとりだけだったなぁ、、非ビジネス本(*2)をあげていた人は、あとはみーんなビジネス本だったよ、、今はどういう感じなんだろね (゚-゚)?
*2:
推理小説、正確には探偵小説だった
→ 哲学者の密室 / 笠井潔
かなり分厚く、かつ、哲学的な議論 (今回はハイデッカー) がなされる重量感たっぷりなミステリィ巨編だね
芸術は醜いものを生み出すが、しばしばそれは時とともに美しくなる。流行は、それに対し、美しいものを生み出しはするが、常に時とともに醜くなってゆく。
ジャン・コクトー
積読更新
■関連ブログ■
読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
・そして死ぬまでに、XXX を読み終えたい、、
・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
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・2020年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2020年のまとめ) ) 2021-01-06
・** あなたにとって読書とはなんですか? **
死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
読み終えたかったという願いは叶わない。
二都物語 / C.ディケンズ
※2021年に読んだ文庫本など
・黄色い部屋の謎[新訳] / ガストン・ルルー 再読
・黒猫の三角 / 森博嗣 再読
・フォックス家の殺人[新訳] / エラリイ・クイーン 再読
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ