まぁ、最近の研究によると、登場人物の縄文人に関する認識は少々間違っているようだけど
そろそろ初読み作家さんをと思っていたところ、手頃な厚さのこの一冊に目がとまり、、で、試しに冒頭の一文に目をやると、、お?
コンビニエンスストアは、音で満ちている。
奇遇だなぁちょうど同じ 芥川賞作家 の音に材をなした一遍を読んだところだった
客が入ってくるチャイムの音に、
店内を流れる有線放送で新商品を宣伝するアイドルの声。
店員の掛け声に、バーコードをスキャンする音。
かごに物を入れる音、パンの袋が握られる音に、
店内を歩き回るヒールの音。全てが混ざり合い、
「コンビニの音」になって、私の鼓膜にずっと触れている。
コンビニ人間 / 村田沙耶香
で、
うーむ、、少し人工的に過ぎるというか、ほぼ骨格だけで出来ているというか、、ラストの展開もきっとこうなると思っていたらその通りの予定調和 (?)
はたまた、
冒頭すぐの主人公のエピソードは笑うべきところなのか? 否、ただそういう人だと理解すればよいのだろうか?? まぁ後者だとは思うけれど、でもこれが M.トウェン なら、なんの迷いもなく笑うような一文になっていたには違いない
が、これはそういう小説ではないのだ
ちょうど並行して トムソーヤ を読んでいたこともあり、そんな思いも頭をよぎり、、
と、
作家さんが意識的にしているところなのだろうけれど (一人称だもんね) 、小洒落た一文に出会うこともなく読了◎
読むときは小洒落た一文に出会いたい人間としてはちと当てが外れて寂しいかな...
ただ、、
題名のコンビニ人間はうまいなと、特化したところがいい✨ より範囲を広げすぎてしまうと会社人間になってぼやけちゃうし、、
そこでふと、G.オーウェル を
でももう大丈夫だ。万事これでいいのだ。
闘いは終わった。彼は自分に対して勝利を収めたのだ。
一九八四[新訳]/ G.オーウェル
コンビニの声が Big Brother のそれと重なってゆく、、
「『いらっしゃいませー!』」
「いらっしゃいませー!」
「『かしこまりましたー!』」
「かしこまりましたー!」
「『ありがとうございますー!』」
「ありがとうございますー!」
主人公にとって音とは、声を構成する一部、少々薄気味悪くもなるが、この「コンビニの音」は「コンビニの声」だったのだと認識してこの小説は終わる
ちなみに、、
初出は、「文學界」二〇一六年六月号、ほぉ ボウイが亡くなったあの年か...
芥川賞作家
あれ? 意外と読んでる??
■関連ブログ■
読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
・そして死ぬまでに、XXX を読み終えたい、、
・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
・2019年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2019年のまとめ) ) 2020-01-18
・2020年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2020年のまとめ) ) 2021-01-06
・** あなたにとって読書とはなんですか? **
死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
読み終えたかったという願いは叶わない。
二都物語 / C.ディケンズ
※2021年に読んだ文庫本など
・斜陽 / 太宰治
・砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
・鳥居の密室 / 島田荘司
・ウィチャリー家の女 / R.マクドナルド
・髑髏検校 / 横溝正史 再読
・宇宙の戦士 [新訳] / R.A.ハインライン
・斜め屋敷の犯罪 改訂完全版 / 島田荘司 再読
・ガリレオの苦悩 / 東野圭吾
・獣眼 / 大沢在昌
・予告殺人 / A.クリスティ
・エクソシスト / W.P.ブラッティ 再読
・象は忘れない / A.クリスティ
・アンチノイズ / 辻仁成
・コンビニ人間 / 村田沙耶香
・白骨街道 (ハヤカワミステリマガジン連載) / 月村了衛
・バスカヴィル家の犬 / A.C.ドイル 再読
・トム・ソーヤーの冒険 / M.トウェン 再読
・とるとだす / 畠中恵
・君たちは絶滅危惧種なのか? / 森博嗣
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、
ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ