読みはじめてまず思ったのは、又吉さんが太宰治を好きだと公言していたこと、文体というか調子というか、読点(、)の使いかたというか、言葉のつなぎ方が独特で、なるほどねと
1947年出版
ちなみに、
「青鞜」創刊号は1911年の発行
「春琴抄」は1933年の出版
で、
支離滅裂?にも思えるかず子の言動はしかし一方では切実な真実でもあり、そのかず子の目線で語られるかず子を含めた四人の生き様を通して、人間の真に本来的なよりどころとするところは何なのか?を問う小説のようにも思え、
とくに面白いとは思わなかったけれど、文学の香りはたしかにするなぁ、後半部分は少し間をあけて読み返してみたい
私は、勝ったと思っています。
斜陽/ 太宰治
その読点は谷崎潤一郎の影響もある(゚-゚)?と思ったりはしたけれど、少し時期がずれ過ぎか、、また、かず子の意外な力強さには平塚らいてうを見るような感じを持ったけれど、こちらもまた時期が違うか、、まぁそもそも設定自体も違うのだけれど...
そういえば漱石は、
高等遊民はその主に添えても貴族を主にした小説は書かなかった
朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、
「あ」
と幽かな叫び声をお挙げになった。
「髪の毛?」
スウプに何か、イヤなものでも入っていたかしら、と思った。
「いいえ」
いまでは読みはじめて途中で挫折することはないけれど、読書しはじめのころは何度かあった、この方もそのくちで、以来手にしたことはなかった
でもなんだろう
再読ものが続き、短めの古典SFを読み終えて、さて、お次は (・ω・)? と、ふと目にとまり、、
お母さまは、何事も無かったように、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、そうしてお顔を横に向けたまま、またひらりと一さじ、スウプを小さなお唇のあいだに滑り込ませた。
冒頭をひらりと読んで、面白そうだなと、中学生のころ挫折した小説を何気に手にとってみたのだった
追記
五木:これは私の勝手な解釈ですが、宗教の始祖が世を去った年齢と、その宗教の本質には深い関係があると感じています。
太宰治は四十を待たずに鬼籍に入ってるんだね、四十にして惑わずというけれど
どこまで作品に関係があるかはわからないけれど、「斜陽」作中には二度、三度と聖書からの引用が見られる
もし仮に、彼がもっと生きていたら、なにかしらの変節はあったかもしれないなぁ
太宰治
1909.6.19/明治42 - 1948.6.13/昭和23
マイラーなので、太宰治のお墓参りも以前
五木:でも、これからは一般の人たちの多くが八十年以上の人生を生きなければならない時代ですよね。老いて全身がガタガタになっていく中でどう生きるかという時に、それを体験したブッダの教えが意味を持ってくるのではないか。ですから、いまがまさに仏教の時代というのがよくわかるんです。
命ある限り歩き続ける/ 五木寛之、横田南嶺
慧眼だ
■関連ブログ■
読書遍歴:ひとはなぜ 物語 を読むのか? 2018-11-28
・特に好きな日本の作家さん
・無人島に持っていく五冊
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・2018年は、こんな本を読んできた ( ひとはなぜ 物語 を読むのか? (2018年のまとめ) ) 2019-01-08
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死ねば大好きだったこの大切な本のページはめくれず、
読み終えたかったという願いは叶わない。
二都物語 / C.ディケンズ
※2021年に読んだ文庫本など
・斜陽 / 太宰治
・砂漠の惑星 / スタニスワフ・レム
・鳥居の密室 / 島田荘司
・イルカの島 / A.C.クラーク
・鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子
・人斬り彦斎 / 五味康祐
「アラユルモノノウチニ安ラギヲ求メタガ、ドコニモ見出セナカッタ。
タダ片隅デ書物ト共ニイルトキヲ除イテハ」
薔薇の名前 上 / U.エーコ