「劇場版ほんとにあった！呪いのビデオ１００」★★★☆～これぞ“ほん呪”という仕上がり

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

これぞ“ほん呪”という仕上がり ★★★☆

【あらすじ】

　2022年4月、とあるスタジオで「ほんとにあった！呪いのビデオ96」のナレーションを行っていた映画監督の中村義洋は、その中の投稿映像を24年前にも見たことがあったことから、その映像の真相を探るためスタッフたちと調査を始める。

　調査を進めていくうち、スタッフにも奇怪な現象が起き始める―

【コメント】

　2023年も12月に突入し、今年中に観ておきたい映画を総ざらいしている今日この頃ですが、その中でもこれは絶対観ておきたいと思っていたのが、「お分かりいただけただろうか」「とでも、言うのだろうか」で有名？な心霊ドキュメント動画シリーズの100本を記念した通称“ほん呪”の劇場版。

　まだレンタルビデオがVHSだった1999年からはじまったほん呪シリーズ、よもや四半世紀近くも続くシリーズになるとは思ってもみませんでしたが、発売当初から1本も欠かさず鑑賞していた“ほん呪”ファンの僕としてはこの記念すべき100本目をぜひとも劇場で鑑賞したかったところ。しかしながら、劇場館数が少なかったこととタイミングが合わずやむなくスルー、今般、やっとこさレンタル・動画配信が開始されたということで、さっそく「U-NEXT」にて鑑賞した次第です。

　いやもうね、ファンとしては何も言うことはありません。レンタルされるたび欠かさず手に取り鑑賞し続けてきたファンとして、劇場版である本作は「これぞ“ほん呪”の王道だ！」と感じさせる満足のいく仕上がりだったと思います。劇場版だからと言って変に構えず、あくまでオリジナルシリーズのテンポと雰囲気を維持しつつも、心霊フェイクドキュメンタリーの面白さやストーリーテリングが上手く出ていて非常に良かったと思います。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．これぞ“ほん呪”という仕上がり

２．世相を踏まえた中村義洋監督の手腕が冴える

３．ファンとしてこれからも応援します

　ぶっちゃけて言ってしまうと、本作のネタはオリジナルシリーズに比べると若干弱かったかなーと。毎年夏の時期になるとオリジナルシリーズが3ヶ月連続でリリースされ、その中で跨ぎになる長編ネタがあるんですが、そっちのほうが面白いものがたくさんあるので、これらを比較すると若干弱かった感は否めません。

　とはいえ、本作は数々の名作を生み出している中村義洋監督の演出だけに構成は見事。ひとつの心霊現象をスタッフたちが深掘りして真相を究明していく展開や、ほん呪スタッフの内情、新型コロナという情勢をうまく絡めた構成は面白かったですね。

　これまでナレーションだけだった中村監督も今回はほぼほぼ出ずっぱりで調査に参加するあたりも新鮮だし、廃屋でちょっとビビっている姿も面白い。これまでのほん呪と違って、ラストちょっとほっこりさせるような終わり方も新鮮で良かったです。