「レジェンド＆バタフライ」★★～とにかく長いトレンディ戦国時代劇

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

とにかく長いトレンディ戦国時代劇 ★★

和田正人

高橋努

斎藤工

北王子欣也

本田博太郎

高橋努

池内万作

橋本じゅん

音尾琢真

伊藤英明

中谷美紀

【あらすじ】

　武将たちが群雄割拠する戦国時代。

　大うつけと呼ばれる尾張の織田信長は、敵対する隣国・美濃の濃姫と政略結婚することになる。

　恰好ばかりで傲慢な信長に対し、勝気な濃姫は信長を締め上げ、一触即発の状態になってしまう。

　尾張に今川義元の大軍が攻め込み頭を抱える信長だったが、濃姫とともに戦術を練ることで奇跡的な勝利を収める。

　いつしか強い絆で結ばれるようになった信長と濃姫だったが、信長は次第に“魔王”として恐れられるようになり、身重の濃姫をないがしろにしてしまうー

【コメント】

　実家・盛岡にて絶賛夏休み堪能中の今日この頃。とはいえ、お墓参りが終わってしまえばあとはフリーダムな毎日。基本ヒマな時間が続くので、こうなったらこれを機会に今年見逃した映画を動画配信で一気に観てやるぜ！ということで、数ある作品から今回チョイスしたのが本作。

　本作は東映70周年として1月に大々的に宣伝・公開されたご存じキムタク＆綾瀬はるかのW主演による戦国時代劇超大作。しかしふたを開けてみれば、キムタク主演だけに見込んだ興行収入には遠く及ばず、なんとか製作費は回収できたものの結果的には“大コケ”と言われる事態に。早々にアマプラで配信されるという何ともみじめな結果に終わってしまっています。

　僕自身も劇場公開時、東映70周年と謳われた映画であるものの、内容的にも役者的に見ても、どうしても劇場で観るには食指が伸びず、さらには上映時間168分の長尺というダルさもあり、結果的にスルー。今回、夏休みの暇つぶしという意味で鑑賞してみた次第です。

　長い！長ぇよやっぱり。こんなん2時間程度でいいわ、いやマジで。終始間延び、中弛み、見どころなしのシーンが続く、ただただ長いだけのあくびが出る3時間でしたね。

　舞台は戦国時代でありながら、主軸となるのは織田信長と帰蝶のロマンス展開なので、もともとラブストーリーものが苦手な僕としては退屈極まりない映画。まあ視点としては斬新なのかもしれませんが、ベースとなるフォーマットがひと昔もふた昔も前のフジテレビのトレンディドラマと一緒。互いに反目しあう出会いから徐々に心を開いたかと思えば、昔の信長じゃなくなったわと心にスレ違いが生じ別れるも、いなくなって初めて大事な存在であるかに気付く。舞台を現代から戦国時代に移しただけのトレンディ戦国時代劇と言ってしまったほうが良いかもしれません。こんなん月9でやっとけよ。

　そんな僕の本作の感想は以下の３つです。

１．とにかく長いトレンディ戦国時代劇

２．東映はなぜこれで勝負できると思ったのか

３．キムタク御年50歳、役者として正念場

　いやほんとにさ、よくこれで勝負できると思ったな東映。長けりゃ超大作ってわけじゃねーぞ。信長の恋愛という視点で新たな一面を描いた点については悪くない。歴史的背景を端折って恋愛展開に振り切ったところもまあアリでしょう。

　ただ舞台は数々の名だたる武将たちが群雄割拠している戦国時代、合戦のシーンもなければ“魔王”足りえる信長の狂気に踏み込んだシーンもない。ただただあるのは、あんたなんか嫌い！俺だって嫌い！⇒もう国はダメだ・・・何言ってんのよ頑張りなさい！⇒お前が好きだ！私も好き！⇒この勢いで国取ったるわワハハ！あなた変ったわ別れましょう⇒あいつがいない空しい・・・信長に会いたい・・・⇒やっぱり好き！俺も好きだ！！！という擦りに擦られまくった王道のトレンディドラマそのもの。挙句の果ては『タイタニック』を彷彿とさせるようなクライマックスシーン。四半世紀遅いです、こんな物語。キムタク全盛期である四半世紀前に公開されていたら大ヒットしていたに違いない。今はただただ古臭いトレンディドラマの時代劇版と言わざるを得ないです。

　トレンディドラマの代名詞だったキムタクも御年50歳。ステキステキと黄色い声援を受けていたのもはや四半世紀前ですが、キムタク＝高視聴率男というある種の呪縛から未だ逃れられないのは、キムタク自身もプレッシャーではないんでしょうかね。近年はドラマ「教場」などでもいろんな役どころに挑戦して方向性を模索しているのが観てとれますが、本作しかり良くも悪くも“キムタク節”一辺倒では役者の幅が広がらず苦労することでしょう。遅いかもしれませんが正念場と思います。

　今は役者単体よりも作品の中身で評価が出てしまう時代、観客の目は肥えに肥えまくってます。映画の失敗を役者のせいにせず、脚本などの中身をしっかり精査しなくては成功につながらないですよ、東映さん。

【2023年度 Myランキング】（8/13時点）

　本作は、本年度のワースト3中2位（暫定）にランクイン。

　エアコンのありがたさが身に染みる。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

　　２位：ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 ★★★★☆

　　３位：ザ・フラッシュ ★★★★☆

　　４位：ロストケア ★★★★

　　５位：ヴィレッジ ★★★★

　　６位：キングダム運命の炎 ★★★★

　　７位：インディ・ジョーンズと運命のダイヤル ★★★★