「大名倒産」★★★～王道で痛快だけどライトすぎ

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

王道で痛快だけどライトすぎ ★★★

神木隆之介

杉咲花

松山ケンイチ

小日向文世

小手伸也

桜田通

宮崎あおい

キムラ緑子

梶原善

勝村政信

石橋蓮司

高田延彦

浅田忠信

佐藤浩市

【あらすじ】

　江戸時代後期の越後・丹生山藩。

　サケ漁を営む父のもと平穏に暮らしていた間垣小四郎。しかし、ある時役人が訪れ、小四郎が徳川家康の血を引く丹生山藩主の跡継ぎだと知らされる。

　実の父である一狐斎は小四郎に国を任せて隠居、いち庶民から瞬く間に藩主となるが、実は丹生山藩が25万両、今でいうと約100億円もの借金を抱えていることが判明、しかも返済できなければ切腹という事態となってしまう。

　頭を抱える小四郎に、一狐斎は“大名倒産”によって借金を踏み倒すよう命じるが、実は一狐斎は私腹を肥やすため小四郎に全ての責任を押しつけようと目論んでいたのだった。

　一方で、小四郎はなんとか借金を返済すべく、藩の節約に奮闘する―

【コメント】

　今週はあんまり目ぼしい映画が公開されないな～でもなんか観たいな～、と物色していたところ目にとまったのが本作。

　時代劇ではありながら、あまり固い内容ではないコメディっぽいノリのようだし、キャストも豪華。ここは久しぶりに時代劇でも観るかと「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　うむ、王道だけどユーモラスで人情に溢れ、最後は痛快に決めてくれる時代劇コメディ、楽しめました。時代劇だからと言って堅苦しくなく、むしろ言葉遣いとか現代にかなり寄せて観やすくしている辺りは気軽に楽しめる時代劇でしたね。

　しかしながら、大名倒産という奇抜な内容と豪華絢爛なキャスト陣でありながら、作りがかなりライトなため、どうにも映画館で観るにはスペシャル感がなさすぎるなーという気はしましたかね。大名倒産なんていったいどういうことなんだ！？というタイトルだけで引き込まれる作品でありながら、結果的には人情や絆といった部分に終息してしまうのはありきたり過ぎましたかね。

　そんな僕の本作の感想は以下の3つです。

１．王道で痛快な時代劇コメディ

２．だけど映画館で観るにはライトすぎ

３．豪華キャストだけにもったいない

　とりあえずつまらなくはないです、というのは言っておきます。話のテンポも良いし神木隆之介君をはじめとした愉快な仲間たちが、藩の借金を返済すべくあれやこれやと節約に奮闘するところや、そこから次第に家来たちが一致団結していく姿、そして私腹を肥やす悪党どもに引導を突きつけるクライマックスまで、おおよその展開は読めるものの安心して鑑賞することができます。

　キャストも非常に豪華。主演の神木隆之介や杉咲花のフレッシュな存在から、かなりブッとんだキャラを演じた松山ケンイチ、小日向文世、小手伸也、梶原善というお馴染みのバイプレーヤー陣、佐藤浩市や石橋蓮司といった重鎮まで、演技派ががっちり揃っているし、ナレーションに宮崎あおいまでそろえるという豪華さ。かなりお金はかかっていると思われ。

　だけど、ちょっとライトすぎた内容なだけに、この豪華キャストはちょいともったいなかったかなーと感じます。大名倒産なんて興味をそそるタイトルなだけに、僕的にはもうちょっと小難しく作ってもらってもついていけますが、やっぱり万人受けを狙ったんでしょうかね。