「ヴィレッジ」★★★★~村社会という閉塞的なコミュニティの痛烈な風刺 | そんなことより恋をしろ

そんなことより恋をしろ

『映画を観るよりもお前は恋をしろ恋を』
…そんな感じのブログです。

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2023』の掲載にあたって

 
村社会という閉塞的なコミュニティの痛烈な風刺
★★★★
(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会
 
(2023年/日本/120分
 
【 監督 】
藤井道人
 
【 出演 】

横浜流星

黒木華

一ノ瀬ワタル

奥平大兼

杉本哲太

西田尚美

中村獅童

古田新太

 


 

【あらすじ】

 

 伝統的な能が伝えられる集落・霞門村(かもんむら)。自然豊かなその村にはゴミの最終処分場が建てられていた。

 母親が抱えた借金の返済のためその処分場で働いている片山優は、仲間内からいじめの標的となり、孤独に耐えながら希望のない毎日を送っていた。

 そんなある時、幼なじみの美咲が東京から戻ってくる。優の身を案じる美咲は、次第に惹かれあい恋人同士に。孤独だった優は元気を取り戻していく。

 しかし、それをよく思わないいじめの首謀者である透は美咲を奪い取ろうと接近、優と美咲の運命が変化していくー

 

 

【コメント】

 

 さて、今回劇場で鑑賞したのは、横浜流星君主演、藤井道人監督の社会派サスペンスである本作。

 前々から劇場の予告編で本作を知っていて、イケメン俳優のイメージから一変した流星君やダークな空気感に目を惹かれ、こいつは面白そうだと目をつけていた作品です。

 前情報から見てもつかみどころのない物語なので、一体どんなお話なんだろうとがぜん興味が沸き、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です、

 

(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会

 

 僕は今東京に住んでいますが、生まれも育ちも田舎です。いちおう県庁所在地ですが田舎であることに違いはありません。ぶっちゃけて言うと、僕は生まれ育ったその田舎があまり好きではありません。

 田舎はのどかで人々が優しいというイメージを持ってるかもしれませんが、僕にとってはどこか生き辛い部分があり、孤独感を感じていました。その気持ちは物心ついた小学生の時からあって、そんな小さい時からこんな田舎から出たい、東京に行きたいと常日頃から感じていました。

 

 社会人となり、東京で暮らし始めてもう数十年経ちますが、未だに飽きることはありません。僕にとって東京こそ生きていくにふさわしい地であり、田舎を出て本当に良かったと思っています。

 本作は、そんな僕が田舎を捨てた要因となる部分が表現されており、いわゆる“村社会”といわれる閉塞的なコミュニティを痛烈に風刺した作品だと思います。僕にとって、主人公の心情が痛いほど伝わってきて、とても興味深く鑑賞させてもらいました。

 そんな僕の本作の感想は以下の3つです。

 

1.村社会という閉塞的なコミュニティの痛烈な風刺

2.横浜流星の一皮むけた熱演が光る

3.田舎で生きていける者と生きていけない者

 

 田舎で生きていくうえで最重要なことは、いかにコミュニティに属しているか、そのコミュニティに確固たる立ち位置を確保しているか、これに尽きます。町内やマンション住民との付き合い、同級生の付き合い、飲み友達など、コミュニティというのは多岐にわたりますが、それに属さず自分の好き勝手に暮らすということは、いばらの道を歩むことを意味します。コミュニティを重視する住民にとってしてみると、コミュニティに属さない人間は、得体の知れない存在として忌み嫌われる傾向にあります。

 かつ、このコミュニティの中でどの立ち位置にいるか、これも重要になります。いわゆるヒエラルキーというやつで、発言力の強い者、コミュ力が高い者が上位に立ち、とっぽい者は格好のいじられキャラとなる。

 

 怖いのは、この構図が生まれてから死ぬまで続くということ、田舎で生きるということはそういうことなんです。親の代で立ち位置が決まってしまうと、次世代の子供、孫にまで引き継がれてしまう。閉塞的であればあるほど、この構造は代々続いていくんです。

 こういった閉塞的な地域は世間の善悪では動いていない。小さなコミュニティの中の善悪で動いているんです。

 

 親が犯罪を犯してしまったがゆえに、犯罪者の子供として敬遠される主人公、ヒエラルキーの上位に位置して傍若無人に振る舞う村長の息子。閉塞的であるがゆえに、村が地球のすべてと思いこの村から出ようという選択肢すら思い浮かばない人たち。

 僕は本作の主人公を観て、まるで若かった頃の自分を見ているかのように感じましたね。誰も味方や親友がいなく孤独だった若かりし青春時代。たった一人の親友ができたことで世の中が晴れ渡ったあの頃。こういう経験がない人、田舎住みに何の辛さも感じない人にとっては、本作に共感はできないかなとも感じますが、似た経験をした僕にとっては、かなり胸にグッと来た作品でしたね。

 

(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会

 

 それにしても、横浜流星君は本作で一皮むけた感じがしますね。自分は何もしていないのに犯罪者呼ばわりされ十字架を背負わされ、誰も味方がいないがゆえに抵抗する気力も奪われ一人咽び泣く孤独な若者。そんな心情を見事に演じ切りましたね。単なるイケメン俳優から、本作をきっかけに演技派への道を歩んでいってもらいたいですね。

 

 

【2023年度 Myランキング】(4/23時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中3位(暫定)にランクイン。

 できる限り仕事片付けたぜ。 

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

  2位:ロストケア ★★★★

  3位:ヴィレッジ ★★★★

  4位:シン・仮面ライダー ★★★★

  5位:アントマン&ワスプ クアントマニア ★★★☆

  6位:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ★★★☆

  7位:非常宣言 ★★★☆

  8位:BLUE GIANT ★★★☆

  9位:バイオレント・ナイト ★★★☆

 10位:#マンホール ★★★☆

  次点:search#サーチ2 ★★★☆

     AIR エア ★★★☆

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:ノック 終末の訪問者 ★★☆

  2位:

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

映画 イチケイのカラスカンフースタントマン 龍虎武師キラーカブトガニルパン三世VSキャッツ・アイ(未)スランバー・パーティー大虐殺FALL フォールシャイロックの子供たち湯道別れる決心ミッドナイト・マーダー・ライブフェイブルマンズシャザム!神々の怒りマッシブ・タレントエスター ファースト・キル生きる LIVINGスマホを落としただけなのに(未)東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-

 


 
 
『ヴィレッジ』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 
映画 ブログランキングへ