「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」★★★★☆~宇宙レベルの人生賛歌 | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2023』の掲載にあたって

 
宇宙レベルの人生賛歌
★★★★☆
(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 

(2022年/アメリカ/139分/Everything Everywhere All at Once
 
【 製作 】
ジョー・ルッソ
アンソニー・ルッソ
 
【 脚本・監督 】
ダニエルズ
 
【 出演 】
ミシェル・ヨー

ステファニー・スー

キー・ホイ・クァン

ジェームズ・ホン

ジェイミー・リー・カーティス

 

 

【あらすじ】

 

 アメリカで破産寸前のコインランドリーを経営する中国人のエヴリンは、頼りにならない夫のウェイモンドと反抗期の娘ジョイ、ボケている父親ゴンゴンに頭を悩ませていた。

 国税庁で税金の審査を受けている最中、ウェイモンドが豹変、マルチバースから来たとエヴリンに告げる。そして、全宇宙にカオスをもたらす強大な悪ジョブ・トゥパキを倒せるのはエヴリンであることを告げる。

 訳が分からないまま争いに巻き込まれたエヴリンは、マルチバースの自分の意識を取り込み、驚異的な身体能力で悪と対峙する。

 しかし、ジョブ・トゥパキの正体は、エヴリンの娘であるジョイだった―

 

 

【コメント】

 

 この時期になると、劇場公開される作品は軒並み米アカデミー賞最有力候補!の看板を掲げた作品群。世界が注目する作品がここで怒涛のように公開されるわけですが、同時に映画ファンとしては、何が賞に値するところなのかと集中して観る必要があり、ちょいと気合が必要となる時期でもあります。

 そんな中で、CMでも大々的に宣伝しており、僕自身もちょいと楽しみにしていたのが本作、通称“エブエブ”。米アカデミー賞最多10部門にノミネートされた話題作です。

 なんてったって僕の大好きなカンフーと、昨今大流行りのマルチバースが融合したアクションファンタジーですからね。しかしながら、こんな見る限りもろエンタメな作品が果たしてどこに10部門もノミネートされるポイントがあるのか、そういったことを考えると一筋縄ではいかない作品なのかもという感じもあり、ちょっとした気合いとともに「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 

 まずですね、本作を理解でき、かつ鳥肌が立つくらい感動し涙できた自分自身に感謝したいです。こんなしっちゃかめっちゃかでブッ飛んでいて意味不明な映画、もし10代20代の自分が鑑賞していたらツマンネと吐き捨てていたに違いない。そんな映画が、なぜか驚くくらい自分の中にスッと入ってきて納得できた。

 あなたは間違ってなんかいませんよ、むしろ間違いなんて存在しませんよ、とまるで神からの啓示を受けたような気すらして、久しぶりに映画で涙することができました。最高です!ありがとうエブエブ!

 ということで、精神的にも確実に成長したと実感している僕自身が感じた本作のポイントは以下の3つです。

 

1.宇宙レベルの人生賛歌

2.人生の可能性は無限、選ぶのは自分自身

3.善も悪もすべてを包み込む愛、それが宇宙

 

 そうなんです、本作の根底にあるのは“悟り”であり、現在の科学に基づいた世界観を宇宙レベルにまで広げた壮大なる人生賛歌なんです。

 本作が僕のようにスッと体に入ってきた観客は、常日頃から自分の生きる目的は何なんだろう、自分はなぜ生きているんだろう、なぜ人類は争いを繰り返すんだろう、なぜ宇宙は存在するんだろう、そもそも宇宙って何なんだろう、と登るところまで登っりきった俯瞰した考えを持ち、ある種の“悟り”に触れている人たちだと思います。逆に言ってしまうと、本作を理解できなかった観客は目先の事象にいっぱいいっぱいで、悟りどころか自分自身のことすら理解できていない人たちだと感じます。

 

 昨今のMCU映画なのでもメジャーになったSF設定であるマルチバース(並行宇宙とか多次元宇宙)、本作でも非常にユニークかつ科学的な設定でもって展開するのが実に面白い。突拍子のない行動をとることで、現実の自分とはかけ離れた自分の意識を取り込むという設定は、なるほど考えたなと感心しますね。

 マルチバースはSFでも何でもなく実際に存在する、と数々の世界の学者が提唱しているのは事実です。つまり、自分自身は無限に存在し、様々な可能性のもとで今も生きているんです。

 そう、人生って可能性なんです。自分自身に様々な選択肢がある限り、可能性は無限に存在するんです。誰が決めたわけでも誰のせいでもない、今の自分があるのはその道を選んできた自分自身なんです。自分がこうなったのはお前のせいだ!なんて考えは本末転倒、道は生まれてから死ぬまで無限に存在するし、道を間違ったら修正すれば良い。意味が無いと言われても、自分がいちばん歩きたい道、より良い道を選ぶのが最高に素晴らしい人生なんです。

 

 善悪なんてのは所詮個々の人間が自分勝手な解釈で決めつけていることに過ぎない。本当に悪があるのならば、宇宙がそれを許さないでしょう。だけど、人間が思う善悪なんてこの広大な宇宙に何の影響も及ぼさない。ひとりひとりの人間なんてそれほどちっぽけな存在でしかないんです。そんなちっぽけな人間がどう生きようと宇宙は許容している。好きなように生きなさいと。善も悪も関係なく、どんなものもすべて包み込む宇宙こそが壮大なる愛の象徴。だったら、争わず愛し合ったほうが最高に素晴らしいじゃないか、これこそが本作の壮大なるテーマに他ならないと僕は感じましたね。

 なんか本作、仏教や釈迦の教えに通ずる部分が多々あるので、そういったところも心に深く突き刺さった部分だと思います。脚本を考えた監督ダニエルズは絶対に意識していると思います。

 

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 

 僕は何も宗教じみたことを言っているわけじゃありません。僕は基本的に神は信じていないし、ヘンな宗教にも染まっていない無信仰者です。

 だけど、自分の考えやエゴを一切捨て、ひたすら客観的に物事を見つめ、少しずつ少しずつ上空に浮き上がり物事を見下ろすと、何かが見えてくるんです。それがいわゆる悟りであり、世の中の真理なんです。

 僕にはその悟りや宇宙の真理が一体何なのかまだ分からないし、残りの人生かけてもまだまだ辿り着くには至らない思います。だけど、目の前の欲望や小競り合いに右往左往して一生を追えず、そういった世の真理について思いを馳せ、過ぎ去ったことに後悔することなくポジティブな精神でいることができるようになった自分自身の心の成長にひたすら感謝したいですね。

 これからも自分の可能性を常に信じて、前向きに生きていこう!宇宙は全てを包み込む壮大なる母!そう感じさせる素晴らしい作品でした。

 

 

【2023年度 Myランキング】(3/5時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中1位(暫定)にランクイン。

 急に唾液腺が大腫れで痛い! 

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

  2位:アントマン&ワスプ クアントマニア ★★★☆

  3位:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ★★★☆

  4位:非常宣言 ★★★☆

  5位:BLUE GIANT ★★★☆

  6位:バイオレント・ナイト ★★★☆

  7位:#マンホール ★★★☆

  8位:

  9位:

 10位:

 次点:

     

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:

  2位:

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

映画 イチケイのカラスカンフースタントマン 龍虎武師キラーカブトガニルパン三世VSキャッツ・アイ(未)スランバー・パーティー大虐殺FALL フォールシャイロックの子供たち湯道別れる決心

 


 
 
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