「逆転のトライアングル」★★★~今の世の中を皮肉ったブラックコメディ | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2023』の掲載にあたって

 
今の世の中を皮肉ったブラックコメディ
★★★
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion
 
(2022年/スウェーデン/147分/Triangle of Sadness
 
【 脚本・監督 】
リューベン・オストルンド
 
【 出演 】
ハリス・ディキンソン

チャールビ・ディーン

ウッディ・ハレルソン

ビッキ・ベルリン

ヘンリック・ドーシン

ズラッコ・ブリッチ

ジャン=クリストフ・フォリー

イリス・ベルベン

ドリー・デ・レオン

 

 

【あらすじ】

 

 モデルでSNSのインフルエンサーでもあるヤヤと、恋人である落ち目のモデルのカールは、豪華客船クルーズの招待を受け船に乗る。

 船客たちはどれもリッチな金持ちばかり、そして、客室乗務員も高額チップのためならどんな無理難題にも笑顔で応じていた。

 しかし、ある夜に船が嵐で難破し、海賊にも襲われ、何人かはかろうじて生き残り無人島に流れ着く。

 食べ物も水もない状況のなかでリーダーとなったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係、そこからヒエラルキーか逆転する―

 

 

【コメント】

 

 さて、今回は動画配信サービス「U-NEXT」で独占配信が開始された本作を鑑賞。

 本作は今年の2月に劇場公開されており、2022年度のカンヌ映画祭で見事パルムドールを獲得し、今年の米アカデミー賞でも作品賞にノミネートされた作品です。

 僕は本作の劇場公開時、内容がとても面白そうだったので劇場で鑑賞しようと思っていたんですが、ネットでは「下品」「汚い」「ゲロと糞尿まみれ」という感想が相次ぎ、汚物系が苦手な僕としては劇場で観るのをためらったまま結果的にスルーしてしまいました。

 今般、U-NEXTで独占配信が始まったということで、ここはひとつ気合を入れて観てみるかと鑑賞した次第です。

 

Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion

 

 ふむ、なるほどね。カンヌのパルムドールだから小難しい映画化と思いきや、シンプルで分かりやすく、それでいて今の世の中を痛烈に皮肉ったブラックコメディでしたね。147分と長尺でしたが楽しんで観られましたね、面白かったです。

 お金の多少、SNSのフォロワー数、とかく数字の大きさで優劣が判断され格差社会が生まれてしまう昨今において、それらがすべて無意味な環境に陥ってしまった状況の中、人間は一体どういう行動をとるのか、持つ者と持たざる者が逆転し支配するという、どうしてもヒエラルキーを生んでしまう哀しい人間の性が面白く描かれていましたね。

 そんな僕の本作の感想は以下の3つです。

 

1.今の世の中を痛烈に皮肉ったブラックコメディ

2.環境で人間の立場は簡単に逆転する

3.人間は人間を支配したがる

 

 前半は主人公であるヤヤとカールのカップルを中心に、豪華客船で繰り広げられる“持つ者”の優雅なのかワガママなのか分からない金持ちの振る舞いや、それにあやかろうとハイエナのごとき群がる“持たざる者”の客室乗務員の過剰サービスや清掃員の様子が面白おかしく描かれる。

 ところが、嵐で船が大揺れに揺れ、ディナーを楽しんでいる金持ちたちは船酔いでゲロ、ゲロ、ゲロのオンパレード。加えてトイレも逆流して船はもうゲロと糞尿だらけになり、挙句の果ては海賊に襲われ、気が付けば無人島に難破してしまう。

 水も食料も失ってしまった無人島で金持ちたちを支配し始めたのは、漁ができる火を起こせる等のサバイバル能力を備えた一介の清掃員のおばちゃん。そのおばちゃんがこれまた食料を独り占めしたりカールを自分のメンズにしたりとやりたい放題始める。

 

 面白いのは、どんな金持ちでも所詮は人間であり、ゲロも吐くし糞尿もするし、自然の力には無力。それですべてを失うことで一気に“持たざる者”に転落してしまうということ。そして、そんな状況の中で一気に力を発揮するものが現れ、支配する側がされる側になってしまう。世の中はそれくらい不安定なバランスでできているんですね。そして、人間は自分が優位に立つとここぞとばかりにやりたい放題支配したがる。金持ちも貧民も所詮は人間、根っこは同じということです。

 

Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion

 

 ラストシーン、あれは何かしらの比喩なのか?とも思ったのでいろいろと考察スレを読んでみましたが、あれはあれでそのまま事実として観て良いようです。ブランドを担いだ行商や岩に作られたエレベーター。なんかそれはそれで不思議な感じもするんですが、そのまま観たほうが三日天下の明智光秀になってしまった清掃員のあの行動も納得です。

 

 

【2023年度 Myランキング】(8/5時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 待望の夏休み間近なので仕事増えませんように。

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

  2位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 ★★★★☆

  3位:ザ・フラッシュ ★★★★☆

  4位:ロストケア ★★★★

  5位:ヴィレッジ ★★★★

  6位:キングダム 運命の炎 ★★★★

  7位:インディ・ジョーンズと運命のダイヤル ★★★★

  8位:シン・仮面ライダー ★★★★

  9位:アントマン&ワスプ クアントマニア ★★★☆

 10位:ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE ★★★☆

  次点:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ★★★☆

     非常宣言 ★★★☆

     最後まで行く ★★★☆

     

     

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック 聖闘士星矢 The Beginning ★★

  2位:ノック 終末の訪問者 ★★☆

  3位:65 シックスティ・ファイブ ★★☆

 

<その他ランク外一覧>

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