「Pearl パール」★★★☆～とにかく見どころはミア・ゴス

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

とにかく見どころはミア・ゴス ★★★☆

ミア・ゴス

デビッド・コレンスウェット

タンディ・ライト

マシュー・サンダーランド

エマ・ジェンキンス＝プーロ

【あらすじ】

　戦争真っ只中の1918年、アメリカのテキサス。

　厳格な母親と病気の父親とともに農場で暮らしているパール。若くして結婚したが、夫ハワードは戦争へ出征中、父親の世話と家畜たちの餌やりの毎日に鬱屈とした気持ちを抱えながら、映画館でスクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れていた。

　ある日、パールは映写技師と知り合い恋に落ちる。加えて、義理の妹美ミッフィーから、教会で映画のオーディションがあることを知り、母親から抑圧され続けてきた不満が爆発する。

　そしてパールが秘めていた狂気が目覚め始める―

【コメント】

　昨年レンタルにて鑑賞した2022年『X エックス』というホラー映画。そのグラインドハウス系のスラッシャーホラーを意識した作りがなかなかに面白く、しかも前作を軸にした3部作ということで、今般めでたく劇場公開。今回は、その『X エックス』の前日譚である本作を劇場で鑑賞しました。

　前作は単館でひっそりと公開されたものの、本作はなかなかに前評判がよろしいらしく劇場も多め。前作を気に入った僕としては劇場で観ようと、久しぶりに吉祥寺に降り立ち「アップリンク吉祥寺」にて鑑賞した次第です。

　何気にアップリンク吉祥寺は初利用、ちょっと迷路のようになっていて戸惑ってしまいましたね。

いや～面白かった！なかなかにインパクト大なスラッシャーホラーでしたね。前作の色ボケサイコ婆パールが如何にして形成されていったのか、今回は往年のハリウッドミュージカルなテイストを持ちこんで、その狂気が目覚めていくまでの過程が描かれています。その昔懐かしのゴージャスな雰囲気と相待った不穏な空気感とスラッシャーな展開はとにかくワクワクしましたね。今回も存分に楽しめました。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．とにかく見どころはミア・ゴス

２．クライマックスのちょいグロ注意

３．3作目の『MAXXXINE マキシーン』に期待大

　本作は前作でポ●ノ女優を演じたミア・ゴスがそのサイコ婆パールの若かりし頃を演じているんですが、とにかくミア・ゴスが凄い！とにかく主人公だから全編出ずっぱりなのはもちろんなんですが、純粋無垢な雰囲気を醸し出しつつ、時折見せる狂気じみた行動が恐ろしい。家畜を何のためらいもなく殺して池のワニの餌にするシーンや、オーディションのダンスで思いのタケを発散するシーン、クライマックスで義理の妹に告白する超長回しシーン、そして何と言ってもラスト、帰還した夫ハワードに見せる涙を流しながら作り笑いする長回しシーン。このシーンはほんと鳥肌が立つくらい不気味で、本作屈指の名シーンと言えるでしょう。

　母親に抑圧され続け、もともとあった小さな狂気が次第に増大し、ハリウッドスターになる夢が破れたことでその矛先が母親やイケメン映像技師、そして義理の妹に向けられる。

　スラッシャーホラーと言いながらも、本編ではあまりゴアゴアなシーンはなく、あくまで主人公パールが狂気に目覚めていく展開を描いたもの。ただし、パールが暴走したクライマックスはなかなかにゴアゴア、グロ注意です。