「おまえの罪を自白しろ」★★☆～思ったよりライトな社会派サスペンス

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

思ったよりライトな社会派サスペンス ★★☆

（2023年／日本／101分） 【　監督　】 水田伸生 【　原作　】 真保裕一 【　出演　】 中島健人 堤真一 池田エライザ 山崎育三郎 中島歩 美波 浅利陽介 山崎一 尾美としのり 尾野真千子 金田明夫 角野卓造

【あらすじ】

　国会議員である父・宇田清治郎の秘書として働いている次男・晄司。清治郎は現在、橋の建設を巡ってスキャンダルの渦中にいた。

　そんなある日、宇田家の長女・麻由美の幼い娘が誘拐されてしまう。ほどなくして犯人から、翌日の午後5時までに記者会見を開き、清治郎が犯した罪を告白しろという声明が届く。

　野心の強い清治郎は口を開こうとせず、晄司は麻由美の娘を救うべく奔走するが、この誘拐事件をきっかけに政治家たちの思惑が交錯し始める―

【コメント】

　あークソ忙しいー。片付けても片付けてもあれやれこれやれ、あれどうなったこれどうすんだと、相も変わらず目まぐるしい日々を過ごしている今日この頃。サラリーマンの性ですなー。

　とまあ、そんなときはもうね、頑張って仕事をこなすよりもとっとと帰って映画を観るのが一番です。ということで、今回劇場で鑑賞したのが本作で、なにやら社会派な重厚サスペンスとお見受けし、ちょっと面白そうだなと金曜日の仕事帰り、「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　うーん、なんかビミョー。色んな部分について言いたいことはあるんですが、総合的に見ても、思っていたよりも非常にライトな内容。悪く言ってしまうと奥深さのない薄っぺらな社会派サスペンスでしたかねー。仕事帰りのレイトショーだったので、重くもなくライトな内容で分かりやすかったのは良かったのかもしれませんが、とはいえなかなかに良い内容でありながら国政の暗部を鋭くえぐった社会派！とまではいかなかったのはもったいないところです。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．思ったよりライトな社会派サスペンス

２．役者の演技が大げさ過ぎ

３．社会派サスペンスはもっと重厚なものを求む

　これねー、たぶん演出とか編集とか作り手側の問題だと思いますよ。それぞれの役者はしっかりと熱演していたし、主演の中島健人君はまあ置いとくとしても、堤真一や尾野真千子、角野卓造といったベテランの演技派がしっかりと脇を固めていたので、なんとか映画のテイは保たれていましたけど、そのほかの若手たちの演技がどうにも大げさ過ぎてわざとらしい。なーんかセリフ回しとかにダサさを感じたんですよねー。

　内容的には原作があるのでしっかりとしてるのは分かりますが、どうにもそれを上手く引き出せていない。ひとつの誘拐事件を引き金に、各々の政治家の思惑で自分が有利な展開に持ち込もうとする。蓋を開けてみればなんのことはない単純なことが真実なのに、それを利用してことを複雑化してしまうのが社会派サスペンスの面白さだと思うんですけどね、そもそも政治的なストーリー展開がよく見えてこないのは映画としては致命的ですよ。

　社会派サスペンスといえば、やっぱり黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』。重厚で政治の闇をしっかりと描いていて、しかも救いがない。まあこんな傑作と比較するのは酷というものですが、だとしてもやっぱり社会派サスペンスものはもっと重厚で政治的な闇をしっかりと演出してほしかった。ストーリーは悪くなかっただけに、演出が非常にもったいなかったと僕は感じます。

【2023年度 Myランキング】（10/20時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　仕事が前に進まない。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

　　２位：ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 ★★★★☆

　　３位：ザ・フラッシュ ★★★★☆

　　４位：ロストケア ★★★★

　　５位：ヴィレッジ ★★★★

　　６位：キングダム運命の炎 ★★★★

　　７位：リバー、流れないでよ ★★★★

　　８位：イコライザー THE FINAL　★★★★