「忌怪島／きかいじま」★★☆～アイデアは良いのに所詮はティーン向けホラー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

アイデアは良いのに所詮はティーン向けホラー ★★☆

水石亜飛夢

川添野愛

笹野高史

當真あみ

なだぎ武

伊藤歩

山本美月

【あらすじ】

　天才脳科学者の片岡友彦は、VR研究チーム“シンセカイ”に招かれ南の島を訪れる。

　シンセカイでは、島全体をスキャンしバーチャル空間を構築する研究をしていたが、そのバーチャル空間に赤い服を着た謎の女性が現れるようになる。

　次第に、シンセカイのメンバーたちは次々と不可解な死を遂げていき、島全体にも影響し始めていく。

　片岡は、父の死をきっかけに島にやって来た園田環らとともに真相を探るが、真実はこの島の忌まわしい過去に隠されていた―

【コメント】

　さて、今回は動画配信サービスにて映画鑑賞。他に劇場で観たい映画はあったんですけどね、時間が合わず動画配信にてお茶を濁した次第。

　今回鑑賞した作品は、Jホラーといえばこの監督、清水崇の6月に公開されたホラー映画。劇場でも予告編でよく観てたんですが、ぶっちゃけJホラーはティーン向けに振り切っているので、オッサンである僕としては劇場で観る気にならず。それでもなぜか観てみたくなるJホラー、今般「U-NEXT」にて鑑賞してみた次第です。

　うん、まあ大方の予想どおり。所詮はティーン向け、驚かせてナンボ、訳分からなくてナンボのJホラー、御多分に漏れず本作もその域を超えてくることはありませんでしたかね。大して怖くもないし、やっていることは「リング」シリーズと一緒。いったい何年前のフォーマット使い回してんねん、とツッコみたくなるホラーでしたね。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．アイデアは良いのに所詮はティーン向けホラー

２．流れは「村」シリーズと同じ

３．Jホラーは新たな段階に行くべき

　島全体をメタバース化し、VRゴーグルでもってあたかも島にいるかのようなバーチャル空間が舞台という設定はとても良いし、さもすれば新たなホラーの新機軸として成立していたかもしれない。

　でも結局は、バーチャルとリアルが交錯しながら島の忌まわしい過去が解き明かされていく過程は、これまでの「村」シリーズをほぼほぼそのまま踏襲、つまりは焼き回しでしかなく、そこに登場する幽霊も貞子や伽耶子のそれと存在としてはほぼほぼ一緒。舞台設定は良いのに、やってることはこれまでと何ら変わりない、非常にもったいないホラーだと思いました。

　研究所に急に水たまりができて引きずり込まれたり、長い髪の毛が絡まったり、なんでそうなるのかといった説明もなく、ただただ訳分からないホラー的演出をして怖がらそうとしても、ホラー百戦錬磨の僕は怖くもなんともなくただただ首をかしげるだけ。ティーン向けと言っても、こりゃティーンすらも怖がらないんじゃないでしょうか。昨今のティーンも百戦錬磨ですからね、「リング」のようなホラー演出にはもはや食いつかないんじゃないかと思います。