「法廷遊戯」★★★～ティーン向けと思いきや意外と重い

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

ティーン向けと思いきや意外と重い ★★★

黒沢あすか

柄本明

生瀬勝久

筒井道隆

大森南朋

【あらすじ】

　弁護士を目指す生徒たちが集まる法都大学。そこでは、法の天才・結城馨のもと生徒たちが夜な夜な“無辜(むこ)ゲーム”という疑似裁判を開廷し、行内で起こった小さな事件を裁いていた。

　大学に通う“セイギ”こと久我清義と幼なじみの織本美鈴は、ある時、行内で二人の過去を暴くビラがばらまかれ、同時に美鈴の身も危険にさらされるが、結局犯人は分からずじまいだった。

　二年後、弁護士となった清義のもとに、馨から無辜ゲームをやろうという誘いがくるが、呼び出された場所にはナイフを刺され絶命した馨と、大量の返り血を浴びた美鈴が立っていた。

　美鈴は容疑者として捕らえられ、清義は彼女の弁護士となるが、調査を進めるうち3人の過去が浮き彫りとなっていく―

【コメント】

　さて、今回劇場で鑑賞したのは、事務所はいろいろあるものの今だ人気は健在、キンプリ永瀬廉君主演のミステリー映画である本作。小説原作の映画化ですな。

　相変わらずの原作未読で鑑賞に至っておりますが、前々から予告編を劇場で観てて、ティーン向けなんだろうなーと思いながらもちょっと面白そうだと気になっていたので、週末のレイトショー「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　おっと、これはちょっとナめてました。所詮若手の俳優を集めて作られたティーン向けのライトミステリーだろうという先入観があったのが功を奏したのか、意外にウェットで重めのミステリー映画に仕上がってましたね。中々に面白かったです。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．ティーン向けと思いきや意外と重い

２．とはいえちょっと出来過ぎかも

３．ラストの杉咲花が怖い

　本作は、いわゆる犯人は誰だ的な要素もありつつも、事の真相・背景を調べていくうちに意外な事実が分かってくるという面白さのミステリー。大学在学時に発生した脅迫めいた事件で主人公の過去の触れられない事件を匂わせつつ謎を残し、時を経たその2年後に発生した殺人事件によって過去を紐解くことになる。犯人はおおよそ見当がつきそうなものですが、むしろその過去の真相ですべてが氷解していくところが見どころですね。この主人公の三人（永瀬君・花ちゃん・北村君）にかかわってくる入り組んだ過去が紐解かれていくところが面白いです。

　もっとも、個人的にはちょっと展開的には出来過ぎかなーという気もしないでもないですが、決してライトなミステリーには仕上がっておらず、あくまで淡々と静寂の中でストーリーが展開していくので、それが全体的な冷たさや陰湿さを感じさせる演出になっていて、雰囲気作りは良かったと思います。