8月6日と聞いて広島への核爆弾投下と即答できる人はどれくらい減ったんだろう。
この人類史上初の核攻撃は、未来永劫に亘ってアメリカ合衆国の永遠に許されざる行為として記録されなければならない。
それはもちろん9日の長崎への核爆弾投下も同様である。
「日本には非戦闘員は存在しない。よって一般市民も全て兵隊と同列に扱うべきである。つまり市井の民を殺戮することは戦争犯罪には当たらない」
おおよそこんな理屈で当時のアメリカは原爆のみならず、日本の各都市へ絨毯爆撃を敢行したわけである。
敗戦後に行われた東京裁判は裁く側が勝者であり、裁判というものの原則論からすればあれは裁判と呼ぶべきではないことは明らかなのです。
無論、当時の日本国が全てに渡って国際的に正しい行為を行っていたとは断言できないことも多かったでしょう。ABCDラインで経済的な封鎖を受けて止むに止まれぬ、もしくは日本から先に手を出させる画策が見事に成功したとも言えるのです。
戦争経験があった父親は、時々ふと戦争体験を話してくれることがあった。その中でいくつか印象的な言葉があった。
『戦争に勝者も敗者もない。あるのはただ破壊され尽くした都市と数え切れない焼け焦げた死体だけだった』
東京大空襲のまさにその真っ只中、私の父親はB29が投下する焼夷弾と250kg爆弾の真下にいた。
幸か不幸か、父親の任務は計算手。B29を迎え撃つ高射砲の仰角(砲身の角度)と砲弾を炸裂させる高度を算出するべく東京湾の波打ち際、湿地帯の地下深くに設置された無窓室の中で数人の仲間と手計算で数秒後の飛翔体の位置を計算し、送信する。
数秒先にまさに自分たちがいる真上に250kg爆弾が投下されることを父親は知ってしまう。
逃げ出すことなど不可能で、来るぞー!という掛け声をするだけの時間適余裕しかなかったと。
泥濘地に近い一面葦原のような場所が幸いして、厚さ一尺(33センチ)の栗の木の一枚板で作られた四角い箱状の部屋は、爆発した圧力で地下10mほども深い場所から地上へと押し上げられたのだった。
ボーカロイドが歌う『原爆許すまじ』をどう捉えるかはお任せします。
でもこの無機質な歌声こそが生命を感じさせることのない歌声に聞こえて、私には一層の恐怖を感じてしまうのです。
数え切れない多くの戦争犠牲者の皆様に合掌。
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