そろそろ繰り上げ合格の動きも落ち着く頃で、各塾の今年度の合格実績も固まってきました。
そこで、各塾の合格実績比較をしたいと思います。
世の中、単純に難関校の合格数を比較する記事が多いですが、塾の在籍数が異なるため、やはり全体に対する割合も出した方がいいのではないかと思います。
対象校ですが、合格者が被らない2月1日に入試を1回だけ行う最難関校として、開成・麻布・桜蔭・JGの合格実績で考えてみたいと思います。
4つの大手塾を対象としようとおもったのですが、日能研と四谷大塚は在籍数が明らかではないので、結局サピックスと早稲アカだけになりました。
今年の結果に併せ、過去5年間の結果も表にしてみました。
サピックス | |||||||
生徒数 | 開成 | 桜蔭 | 開桜率 | 麻布 | JG | 4校率 | |
2023 | 6730 | 274 | 197 | 7.0% | 197 | 149 | 12.1% |
2022 | 6435 | 282 | 187 | 7.3% | 192 | 128 | 12.3% |
2021 | 6179 | 269 | 160 | 6.9% | 207 | 145 | 12.6% |
2020 | 6013 | 271 | 172 | 7.4% | 183 | 148 | 12.9% |
2019 | 5516 | 273 | 175 | 8.1% | 183 | 125 | 13.7% |
早稲アカ | |||||||
生徒数 | 開成 | 桜蔭 | 開桜率 | 麻布 | JG | 4校率 | |
2023 | 6600 | 124 | 65 | 2.9% | 87 | 74 | 5.3% |
2022 | 6200 | 114 | 66 | 2.9% | 86 | 83 | 5.6% |
2021 | 5900 | 127 | 68 | 3.3% | 73 | 70 | 5.7% |
2020 | 5600 | 111 | 69 | 3.2% | 67 | 60 | 5.5% |
2019 | 5300 | 103 | 73 | 3.3% | 65 | 60 | 5.7% |
分析
サピックス
・サピックスはこの5年でかなり在籍者数を増加させていますが、一方で難関4校の実績は頭打ちです。
・開桜率は、昨年は当たり年だったのか2020年の水準に盛り返しましたが、5年間で見るとやはり低下傾向。
・麻布JGを加えた4校率は在籍数の増加に反比例して低下。
・個人的には、開成の合格者数約400名、桜蔭の合格者数約300名のうちのサピックス生の占有率はそれぞれ7割近くに上り、このあたりで上限に達しているように思います。だとすると、在籍数が増加すればするほど開桜率は低下するだろうと思われます。
・他方、麻布・JGはおよそ5割強の占有率です。実績を拡大しようと思えば、サピックスはここに力を入れることも考えられます。ただ、明言はされていないものの、サピックスは基本的に開成・桜蔭を目指す塾ですので、成績が上がると麻布・JGよりも開成・桜蔭志望となる受験生が多いと思います。例えば男子は(麻布の80偏差値である)偏差値62を超えてくると開成チャレンジ組が増加しますし、女子も60を超えるとJGよりも桜蔭を目指しがちになるように思います。そうすると、この2校に関しても、これ以上占有率を増やすのは難しいのかも知れません。
早稲アカ
・早稲アカの在籍数は、合格実績のチラシに記載されている数に基づいています。やはり在籍数はこの5年で順調に伸びているようです。
・合格実績は、5年前の2019との比較では伸びているものの、ここ3年くらいは足踏みしている感じです。従って、ここ2年の開桜率、4校率も低下傾向となります。
・個人的には、無料灘中ツアーや特待制度により優秀な他塾生を集める戦略は、おそらくこのあたりで限界がきているものと思います(つまり、この戦略だけではこれ以上増えない)。今後は早稲アカプロパーの優秀な生徒をさらに増加させるにはどうしたらいいかが問われてくると考えます(もちろん現時点でもプロパーの優秀な生徒は多数いると思いますが、サピックスを開成・桜蔭の合格実績で抜くことを目標とするなら、これをさらに増加させなければならないということです)。
サピックスと早稲アカ比較
・開桜率、4校率からもわかるように早稲アカは必ずしも難関校だけを目指す塾ではなく、サピックスに比べれば在籍生の裾野が広いものと思われます。これは塾としての方針の相異で、単純に開桜率や4校率を比較して優劣は論じられません。
・両者とも順調に生徒数を増加させていますが、難関校合格者は足踏みです。そこが両者共通する悩みどころだと思います。
・サピックスの今後の方針が現状維持なのかさらに伸ばそうとしているのかはわかりませんが、早稲アカは難関校合格実績No.1を目指すと明言しています。ただ、現状付けられている差と、この5年の動向を見ますと、おそらくこのままではサピックスを抜くのは難しいと思いますので、大胆な方針転換が必要だと思います。
・おそらく早稲アカに必要なのは、6年次のNNだけではなく、難関校合格を見据えて4年生から緻密に組んだ独自カリキュラムの導入です。四谷大塚準拠では限界があるものと思います。
・この点、私が一つ考えるのはスピカの規模拡大と、スピカプロパーの優秀な生徒育成の拡充です。スピカは現在一定のブランドを持つに至っていると思いますが、自由が丘にしか校舎がないですので、多摩地域や東京の北側、東側から通うには遠すぎます。このあたりの生徒はNNでカバーするという方針なのかも知れませんが、あと2、3校都内に開設してもいいように思います。
次回は比較的小規模な塾を取り上げようと思います。グノーブル、エルカミノ、希首都圏あたりを考えています。
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