本日は開成入試の結果が出ましたね。
合格された皆様、合格本当におめでとうございます!
残念ながら不合格だった方はこの記事はご覧頂いていないと思いますが、もしいらっしゃった場合、よろしければ以下の記事をご覧下さい。試験は水物です。仮に不合格だったとしても、これまでの努力が無駄になるわけではありません。
さて、公式の結果データも出ていましたので、それを元にちょっと分析(というほどのものではないですが)してみます。
1 出願者・受験者・合格者・実質倍率
出願者:1289
受験者:1193
合格者:419
倍率:2.8
出願者数は昨年比+83名です。この2年間コロナの影響か減少傾向でしたが、2020年並みに戻りました。
受験者数は昨年比+143名ですが、2020年比で+5名です。これもコロナ前に戻った感じですね。
合格者数は昨年比+3名で、2020年比+22名です。実質倍率は昨年の2.5倍よりは上昇しましたが、2020年からは微減です。
コロナ禍の影響が薄れ、今年はコロナ前に戻った感じですね。おそらく関西からの遠征受験も増加しているのでしょう。合格者を2020年よりも出しているのは、関西受験組の数を考慮してのことかも知れません。
2 合格者平均点と全体平均点
今年の科目毎の合格者平均と全体平均は以下のとおりです。
2023
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 55.6 | 76.4 | 61.5 | 57.9 | 251.5 |
全体平均 | 49 | 61.7 | 56.9 | 53.9 | 221.5 |
差 | 6.6 | 14.7 | 4.6 | 4 | 30 |
満点 | 85 | 85 | 70 | 70 | 310 |
2018から2022までのデータは以下です。
2022 | |||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 45.6 | 60.7 | 54 | 54.6 | 214.9 |
全体平均 | 38.8 | 50.7 | 48.6 | 51 | 189.1 |
差 | 6.8 | 10 | 5.4 | 3.6 | 25.8 |
2021 | |||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 58 | 55.8 | 54.1 | 49.9 | 217.9 |
全体平均 | 49.1 | 45.8 | 49.7 | 45.9 | 190.5 |
差 | 8.9 | 10 | 4.4 | 4 | 27.4 |
2020 | |||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 51.5 | 49.5 | 56 | 54.3 | 211.3 |
全体平均 | 42.3 | 38.6 | 48.1 | 50 | 179 |
差 | 9.2 | 10.9 | 7.9 | 4.3 | 32.3 |
2019 | |||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 50.1 | 64.6 | 65.2 | 52.1 | 232.1 |
全体平均 | 43.6 | 51 | 61.7 | 48.3 | 204.6 |
差 | 6.5 | 13.6 | 3.5 | 3.8 | 27.5 |
2018 | |||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 55.2 | 73.9 | 58.2 | 53.8 | 241.2 |
全体平均 | 47.2 | 62 | 53.5 | 48.6 | 211.2 |
差 | 8 | 11.9 | 4.7 | 5.2 | 30 |
2018-2022 平均 |
|||||
科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 | 合計 |
合格者平均 | 52.1 | 60.9 | 57.5 | 52.9 | 223.5 |
全体平均 | 44.2 | 49.6 | 52.3 | 48.8 | 194.9 |
差 | 7.9 | 11.3 | 5.2 | 4.2 | 28.6 |
分析
総論
・全体として昨年比で易化しています。国語、算数、理科では大幅易化、社会はやや易化という感じです。
・全体の4科平均点は221.5点、合格者平均点は251.5点と、過去5年どころか過去10年で最も高い年でした。
・2022年までの過去5年平均と比べても、どの科目も易しめの年だったということが言えそうです。
・他方、合格者平均と受験者平均の差は30点で、過去5年平均の28.6と比べても微増というところでした。問題は易化したものの、受験生間のばらつきは例年とそれほど変わらなかったようです。結局、(開成レベルでの)基礎・標準問題をきちんと取れるかが合格のためには非常に大事だということが言えそうです。
国語
・国語は昨年大問が1問となり、大幅に難度が上がったことが話題になりましたが、今年は大問数や解答欄も2020年以前に戻り、やや取り組み易かったようです。過去5年平均と比べても、やや易しめの年といえます。
・合格者平均と受験者平均の差は6.6点で、過去5年平均より小さいです。そこまで大きな差がつかない問題だったと言えそうです。
算数
・算数は昨年比で大幅易化です。昨年も一昨年と比べて易化しましたが、今年はその昨年よりも受験者平均点で+11点です。あの伝説の2018年算数並の平均点でした。問題も確認しましたが、確かにどう解けばいいのか思い付かないような問題はなく、かなり取り組みやすかった印象でした。
・注目は、受験者平均点と合格者平均点との差です。14.7は過去5年で最大です。過去5年で最も難度が高かった2020年の算数(受験者平均と合格者平均の差は10.9点)よりもかなり広がっています。算数の難度が易しいからといって、受験生間で差がつかないとは必ずしも言えないことが明らかになっています。すなわち、算数についてしっかりと準備ができていた受験生と、そうでない受験生との差がくっきりと分かれる問題だったということが言えそうです。
・その意味では、算数が易化したから算数男子に不利、とは一概には言えません。最大でも満点までしか取れないので、算数のみで圧倒的差を付けるごく一部のタイプには不利に働く可能性はありますが、今年も算数ができる子にとっては差を付けられる問題でした。むしろ、2020年算数の最後の大問(窓から差し込む光の問題)や、2021年算数の最後の大問(2進法に気づくかが勝負の問題)などの極端な難問は、算数の実力があってもその場の運にも左右されますので、今年の問題の方が、算数が得意な子がそのまま差を付けられる問題、と言えるようにも思います。
理科
・理科も昨年比大幅易化で、過去5年平均と比べてもやや易しめの年だったようです。
・開成の理科は例年比較的取り組みやすい問題が多いのですが、今年は特にその傾向が強かったです。受験生間でも、それほど大きな差がつかない問題となっていました。
社会
・社会は昨年比やや易化で、過去5年平均と比べても易しめの年でした。
・過去数年出題されていなかった「東京問題」が復活しましたが、これは平均点に与える影響は大きくなさそうです。
・昔からそうだったのですが、開成の社会の先生はおそらく鉄道好きですね。高輪ゲートウェイ駅を答えさせる東京問題もそうですし、リニアのルートを書かせる問題なども、鉄道好きの受験生には有利だったと思います。
来年への展望
今年は大幅易化しましたが、この傾向が来年以降も続くかはわかりません。普通に考えれば、来年は揺り戻しで難化することが予想されます。
ただ、算数は比較的平易な問題(あくまで開成レベルですが)でも、きちんと差がつく問題を出題できることがわかりました。昨年からそのような傾向がありましたので、もしかするとこの程度の難度が続くかも知れません。開成受験生でも一部しか解けないような難問は出題頻度が低くなるかも知れないですね(それはそれで寂しいですが)。
いずれにせよ、開成であっても基礎・標準問題を完璧にすることが最も大事であることが確認できた入試といえそうです。
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中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
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