合格実績の自主規制基準は緩すぎる | 2022中学受験(息子)と2027中学受験(姪) -A stitch in time saves nine-

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2022中学受験を終了した男子を持つ父のブログ
淡々と息子の学習(主にテスト)の記録をつけていたブログです。
息子は開成・筑駒をはじめ受験校全てに合格しました。
現在は2027年組の姪っこの中学受験アドバイザーです。

合格実績の自主規制基準

 

中学受験に限らず、塾業界では合格実績について『水増し』とも取られかねないような行為が行われていることがあります。いや水増しは言い過ぎかもしれません。曲がりなりにも塾業界内の自主規制基準を満たしているのであれば、その合格実績は一応正当なものではあります。

 

しかし、この自主規制基準、保護者の立場からすると、極めてユルユルな基準です。以下抜粋します。

 

A.受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍していること。

B.通常の学習指導を受けた者であること。

C.受講時間数が 30 時間を超えていること。 

これらのいずれの条件も満たす必要があります。

 

これだけです。例えば、6年10月に始まる週1回3時間の講座を10回受講しただけでこの基準は充足し、合格実績にカウントできます。

 

このような緩い基準でいいのでしょうか?

個人的には、この基準は消費者である中学受験保護者・受験生のことをあまり考えていない基準になっていると思います。

 

合格実績は塾選択の重要な要素

 

子供の塾を選んだ理由の一つとして、志望校に多数の合格者を出しているから、という方は多いはずです。御三家志望にもかかわらず、御三家への合格実績がほとんどないような塾には入れませんよね。

 

保護者にとって、塾の合格実績は塾選択において非常に大きな要素です。従って、この数字が信頼性に足るものであるか否かが重要になってきます。

 

自主規制基準で十分なのか?

 

上記の自主規制基準で、その信頼性は担保されるのでしょうか?私は難しいと思います。

 

例えば、他塾受験生に対して、灘中無料ツアーの招待や特待生認定をすることによって、自塾の講座に誘因し、合格実績の自主規制基準を充足するだけの30時間の講座を受講してもらい、合格実績にカウントするという方法が広く行われています。

 

自主規制基準を充足しているのであれば、現状表だって問題があるわけではありません。もちろん、その無料灘ツアーや特待生で参加した講座のお陰で合格した、とお考えになる受験生や保護者も大勢いると思いますので、合格実績にカウントすることも、受験が終わった保護者や受験生の立場からは大きな問題があるわけではないのかも知れません。

 

ただ、合格実績という数字を一番に気にするのは、これから塾を選ぶ保護者、すなわち、これから中学受験を開始しようという保護者です。受験が終わった保護者・受験生は、自分の結果こそが全てであり、通っていた塾の合格実績に強い関心があるわけではありません。

 

これから中学受験塾を選ぼうとする保護者の立場からすると、上記のような実態を知らずに、合格実績の数を鵜呑みにしてその塾を選んでしまうことは十分あります。上の子がいて、1回中学受験を経験していれば、そのような実態も把握できますが、初めて中学受験をさせようという保護者では、塾が発表している合格実績の数字をそこまで疑ってかかるのは難しいでしょう。情報の非対称性が発生しています。

 

これから塾を選ぼうとする保護者の立場からすると、「この塾でずっとがんばったことでこの数の御三家への合格者がいるんだ」と思うのが素直な解釈でしょう。それが、3年2月からずっと他塾に在籍していて、最後半年だけ特待生として30時間程度の授業を他塾の片手間に受講しただけ、という受験生の合格実績までカウントされていると思う保護者は少ないのではないでしょうか。

 

この自主規制基準は、そのような保護者=消費者のことを全く考えていない緩い基準になっていると思います。言ってみれば、保護者が通常抱く塾の合格実績への信頼を裏切っているということです。

 

自主規制基準改善案

 

この合格実績については、開示の方法の基準を設けるべきです。端的に言えば、もっと透明性を高めるべきです。

 

例えば、合格実績のうち、特待生の数は○名、4年生から在籍していた数○名、5年生から在籍していた数○名、学校別対策講座のみの受講者○名など、細かな情報を開示させるべきです。

 

また、直前6ヶ月で30時間以上というのも基準が緩すぎます。根拠はあまりないですが、倍の60時間以上は必要だと思います。

 

結局、自主規制基準が緩すぎるから、上記のような他塾生を誘因してでも数字を伸ばそうという行為が横行するのです。基準を厳しく、開示の透明性を高めれば、そうするメリットは失われますので、やはり自塾の受講生をきちんと育てようという方向性となるはずです。そして、それこそが本来塾のあるべき姿なのではないでしょうか。

 

現状では保護者の側での調査が不可欠
 

以上のとおり、現状では保護者の側で塾選びの際に合格実績を重視するのであれば、よくよくその実態を調査する必要があります。

 

幸い、現在は多くの情報をブログやSNSで見つけることができます。もちろんそのリソースの信用性も別途検討する必要はありますが、昔に比べれば情報を得ることは容易になっています。

 

私のブログの信用性が高いかどうかのご判断がお任せいたしますが、塾選びの際の一助になればと思います。

 

 

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中学受験総括②-開始時期と塾・校舎選び

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中学受験総括⑤-6年開始から夏休み前まで(国理社)

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5年生で取り組んだ問題集 算数編

東京出版 算数「ステップアップ演習」

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【レビュー】「中学受験国語 選択肢問題の徹底攻略」

5年生で取り組んだ問題集 理科・社会編

低学年時に使った問題集 算数編

5才頃からのパズル本

 

↓社会科を得意とする子向けに、さらに一歩先に行くためオススメの本の紹介です。

社会科でさらに一歩先行く資料集・読み物 歴史編

社会科でさらに一歩先行く資料集・読み物 公民編

 

↓以下は主に6年生向けのオススメ問題集に関する記事です。

英俊社『合格トレイン 理科計算問題』はオススメ

東京出版『図形の必勝手筋』はオススメ

東京出版『必ず解きたい算数の100問』

『記述問題の徹底攻略』シリーズの使い方

 

↓以下は幼少時のオススメ知育玩具などに関する記事です。

幼少時の知育玩具や教材(就学前①)

幼少時の知育玩具や教材(就学前②)

幼少時の知育玩具や教材(就学前③)

 

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本気で考える渋幕対策①-算数編-

本気で考える渋幕対策②-国語編前編-

本気で考える渋幕対策③-国語編後編-

本気で考える渋幕対策④-理科編前編-

本気で考える渋幕対策⑤-理科編後編-

本気で考える渋幕対策⑥-社会編前編-

本気で考える渋幕対策⑦-社会編中編-

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本気で考える渋幕対策⑨-ギリギリ合格を狙う場合-

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