まえがき
渋幕に続いて、今日から『本気で考える聖光対策』と題して私の思う効果的な聖光対策をまとめていきたいと思います。
最初に聖光学院の受験者層についてですが、開成との併願が非常に多いです。
サピックスのデータによると、サピ生のおける2月2日の聖光学院①受験者の中での2月1日の受験校の割合は以下のとおりです。
開成:45%
駒東:20%
サレジオ:6%
慶応普通部:5%
早稲田①:4%
実に聖光①受験生の半分弱は開成を受験しています。
次に2022年の聖光①の受験概況を見てみましょう。
受験者数:620
合格者数:218
実質倍率:2.84
3倍弱の狭き門です。これが何を意味しているかというと、開成受験生の多くに打ち勝たなければ聖光①は合格できないということになります。
さて、交通の便が良くなったことや、サピックスが開成受験生の2日の併願校として勧めることが多いためか、開成・聖光併願者はかつてより増加していると思います。しかし、聖光学院の所在地よりも南や西に在住の方は、開成は通いにくく、やはり聖光を第一志望とする方も相当数いらっしゃると思います。
しかしながら、サピックスでは聖光を単独で冠としたSSはないかと思います(もしご存じでしたら教えて下さい)。一般的には、名前を冠するとしても開成とセットでしょう。
そうすると、聖光が第一志望だけど、サピでは開成対策ばかりやっていて大丈夫なのか、と思う方も一定数いらっしゃると思います。
本記事は、主にそのような方向けに書いていきたいと思っています。
以下科目別に論じていきます。まずは算数です。
1 聖光の算数
・頻出分野
算数の出題傾向ですが、非常にバランスよく出題されています。特にここは出ない、という分野はなく、全分野をきちんと仕上げる必要があります。
毎年のように出題される分野としては以下の分野になります。
・平面図形
・立体図形
・場合の数
・速さ
聖光で特徴的なのは、速さの問題ですね。聖光の速さは毎年のように出題されますし、差がつく問題である場合が多いです。
今年は点の移動が2問出題され、また場合の数も2問出題されましたので、例年とはやや傾向が異なったようにも見えました。
確かに、点の移動は聖光ではこれまであまり出題はありませんでしたが、実は速さの問題の一種です。今年の問題も、聖光の例年の速さの問題と同様ダイヤグラムを利用して解答できるような問題でした。聖光の出題傾向としては今年もそこまで変わっていないという見方もできます。
ただ、後でも述べますが、仮に今後も点の移動や場合の数が頻出してくると、開成・筑駒受験生に有利に働く可能性があると思います。
・難易度
例年受験者平均は5割~6割で、合格者平均点は約7割前後です。筑駒・開成ほどの難度はありません。
分野別に見ると、平面図形・立体図形・場合の数は捨ててもいいレベルの難問が出題されることもあります(毎年ではないです)。
他方で、速さの問題は、中程度の難易度の問題が例年出題され、勝負を分ける問題になることが多いと考えています。
ただ、本校の問題は、奇をてらったような問題や、ガチガチの思考力問題はあまり見ません。受験生が塾でしっかりと算数の勉強をしたら、それがきちんと点数に反映される、そういった問題セットになっていると思います。
基本的な問題を落とさず取れば半分は取れます。それに加えて、応用問題を半分取れれば合格者平均は行きます。
・目標
合格者平均を目標とするなら、大問1の小問集合をまずは落とさないことです。ここは四則計算と典型的な問題となることが一般的です。
その後の大問4つは、2つ完答できることが望ましいです。これで90点になるので、あとは残りの大問から少しずつ稼ぐと合格者平均です。
ただ、各大問の最後の問題は概ねやや難の問題となっていることが多いので、大問1完答+その後の各大問の最終問題を除いて全て解答、でも十分合格者平均に届きます。
・開成・筑駒受験生との比較
開成・筑駒の算数に比べると、いわゆる「思考力」はあまり要求されません。この「思考力」というのも定義が曖昧ですが、例えば2021年の開成の算数の最後の大問だとか、今年の筑駒の最後の大問だとか、現場での閃きのようなものが必要になるような問題はほとんど出題されないと思います。
このような「思考力」というのはなかなか鍛えるのが難しいものではあるので、開成や筑駒の算数の一つの壁になっており、努力の量=点数とならない部分になっていると感じるところです。その点、聖光の算数は地道な努力が報われる問題セットだと感じます。
ただ、今年の問題セットからは少し懸念材料があります。上述のとおり、今年は場合の数2問、点の移動2問という出題がありました。これらはいずれも開成・筑駒受験生はかなり力を入れてやる分野です。
息子も今年の聖光①の算数は自信満々だったのですが、今年は息子のように開成・筑駒向けの対策をしてきた受験生に有利な出題だったように感じます。
この傾向が来年以降も継続するかはわかりませんが、特に開成筑駒を併願しない聖光受験生は要注意ですね。
・具体的な対策
サピックスでは算数は聖光プリントがあり、SS開成や土特などでは取り扱う場合もあると思います。もし秋に配布されないようなら、先生に聞いてみてください。
上述したとおり、聖光の算数では奇をてらった問題はあまりでませんし、分野的な偏りもあまりありません。従って、サピックスの算数を完璧にすることが、実は最善策だと思います。
以下はサピックスに加えて何かやる場合のオススメです。
速さの問題
聖光学院の算数の特徴としてはやはり速さの問題です。特にダイヤグラムを利用する解法はどんな問題でも素早く正確に対応できるように準備が必要です。
また、今年の問題に見られるように、図形や点の移動の問題も結局は速さの問題です。「点の移動→やばいあまり得意じゃないどうしよう」、ではなく、「点の移動→結局さんざんやってきた速さの問題だよね」、と入試本番で冷静に取り組めるよう準備しましょう。
速さの問題については、月刊『中学への算数』の9月号がオススメです。例年7月に出版予定ですが、今年版はまだ(7月20日頃発売)なので下記では昨年版をご紹介しておきます。夏休みに速さを強化したいなら、これがいいと思いますよ。
【追記:2022年9月号の予約もはじまりました↓】
また、図形・点の移動の基本については、もう何度もご紹介していますが下記はやはりお勧めです。
開成・筑駒の過去問
もともと開成・筑駒を併願するよ、という受験生は当然過去問をやりますのでいいのですが、聖光第一志望で開成・筑駒は併願しない、という方の場合は、今年の出題を見るとちょっと不安になります。
そこで、これはあくまで余裕がある場合に限った提案ですが、開成・筑駒の算数過去問のうち、重点を絞って特定の単元のみ取り組むというのはアリだと思います。
その際にお勧めの教材は以下です。
上記は算数の過去問集なのですが、年度ごとの編集ではなく、単元ごとの編集となっています。従って、例えば開成や筑駒の場合の数の過去問だけやっておきたい、という場合に重宝するわけです。また、この問題集は解説が非常にわかりやすいです。個人的には声の教育社の過去問より全然いいと思います。
両校について受験もしないのに上記に全部取り組む必要は全くないと思います。ただ、両校の算数で頻出する分野で、聖光受験生がそこまで重点的に取り組んでいない分野についてのみ一通りやっておく、というのは意味があると思います。
ご参考までに、私が来年の聖光受験生の家庭教師をするとすれば、上記のうち以下の優先順位で取り組ませると思います。
①『図形・点の移動』(上記の問題集の単元としては、「平面図形」「立体図形」に含まれています)
②『場合の数』
③『数の性質』
③の『数の性質』は聖光ではそこまで頻出ではありません。他方で、開成・筑駒では頻出分野です。今年の『点の移動』のように、もし出題されると開成・筑駒受験生に差をつけられる分野になりやすいと思います。余裕があれば、そこを予め埋めておきたいところです。
なお、上記の問題集の欠点は、2015年くらいまでの問題しか収録されていないところです。それ以降の問題は別途入手するしかないのです。ここは悩ましいですが、新しい過去問を購入するか、四谷大塚のデータベースを利用するかですね(四谷大塚のデータベースは解説がないので、保護者が教えられないと厳しいですが)。
一応再度申し上げておきますが、聖光の算数はサピックスの算数を完璧にしておけば十分に合格点は狙えます。上記はあくまでさらにプラスアルファするとしたら何をするか、という観点からのものです。もし算数以外に苦手科目があるのであれば、そちらを優先してください。
次回は聖光の国語について述べたいと思います。
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我が家の中学受験総括記事はこちらです↓
中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
中学受験総括⑫-6年9月から12月(必須の模試と他塾模試の必要性)
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↓これまでに書いた低学年~5年生くらいまでに使用した家庭学習用問題集に関する記事です。
↓社会科を得意とする子向けに、さらに一歩先に行くためオススメの本の紹介です。
↓以下は主に6年生向けのオススメ問題集に関する記事です。
↓以下は幼少時のオススメ知育玩具などに関する記事です。
↓『本気で考える渋幕対策』シリーズです。
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