出光美術館で「狩野派 画壇を制した眼と手」を観た! | とんとん・にっき

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出光美術館で「狩野派 画壇を制した眼と手」を観てきました。観に行ったのは、2月21日のことでした。根強いファンがいるようで、普段と変わらない、そこそこの入りでした。

 

開催期間:
2020年2月11日(火・祝)~3月1日(日)
※新型コロナウイルスの状況を鑑み、会期終了を3月22日から変更いたしました
月曜休館(ただし、2月24日は開館)

 

本棚を整理してみると、出光美術館の図録がいつの間にかこれだけありました。これが全部頭に入っていれば素晴らしいのですが…。

 

3月1日のNHKEテレ「日曜美術館・アートシーン」は、以下のように始まります。

「室町時代から江戸時代にわたり、画壇の中心にあった画家集団・狩野派。時の権力者たちの要求にたえる安定した技術。それは過去の絵画を模写して蓄積した技術のたまものです。眼と手、鑑定師と画家、二つの側面から狩野派を紐解きます」。

 

そのなかで、出光美術館学芸員の廣瀬伸彦は、以下のように言う。

「狩野派の絵には、あまり個性が感じられません。彼らの価値観というのは、過去の作品をより忠実に写すこと、に重きが置かれていたので、そっくりそのままに写すということに大きな価値観が置かれていました。これは現在の価値観からするととても違和感のあることでありますが、それこそが江戸時代を通じて大切にされた狩野派の価値観であり、ひいては江戸時代の絵画の価値観であることをあらためてご紹介したいなと・・・」。

 

本展のみどころ
01狩野派の「眼」に注目!

狩野家の絵師たちにとって、過去の様々な絵画に接し、画家や主題を判断することは、絵を描くことと並んで重要な仕事でした。本展では、狩野派の眼に触れた可能性の高い絵画が一堂に会します。流派の多彩な絵画制作とその繁栄を支えた膨大な絵画情報の一端を、彼らが残した「外題」や「添帖」(いわゆる鑑定書)とともにご覧いただけます!
02その絵は模倣か、魔法か?
狩野派の絵画制作は、模写に始まり模写に終わると言われます。本展では、狩野派の作品と彼らが接した原本を並べて展示し、徹底比較します。狩野派の模写技術のなんと高度で、精緻なことか! 彼らの作品は、それを模倣と軽んじることがいかに軽薄な態度であるのかを、強く私たちに訴えかけてきます。
03狩野派が紡いだ「もうひとつの美術史」とは?
和漢の絵画史上に燦然と輝く巨匠たち、夏珪、梁楷、牧谿、舜挙、顔輝、さらに雪舟、雪村──。狩野派の画家たちは、作品にこうした作者の名を与えました。これらのなかには、近代以降の美術史学の厳格主義が「真筆ではない」と排除してきたものも少なくありません。しかし本展では、絵画の知識に精通した当時の権威者による絵画史観が反映されたものととらえます。その社会的・文化的な意義とは…?
04初公開の作品をふんだんに!
本展では、じつに14件もの初公開作品がお目見えします。さらに、過去の公開から10年以上が経過している6件を加えれば、全体の半数近くが、多くの鑑賞者にとって未知の作品となるはずです。これは展覧会開催のために、所蔵作品の調査を重ね、従来見過ごされてきた作品たちに新たな価値を見出した結果です。本展は「コレクションに向き合い、その研究成果を展覧会活動に活かす」という当館の基本的な姿勢をあらためて強調するものとなるでしょう。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章 模写の先へ ―狩野探幽「臨画帖」と原図 

第2章 正統をめぐって ―江戸狩野と京狩野 

第3章 古画をみる ―期待される権威の眼 

第4章 万能への道 ―やまと絵のレパートリー 

第5章 鑑定の難題 ―現代へと続く問い

 

 

第1章 模写の先へ ―狩野探幽「臨画帖」と原図

 

狩野探幽狩野、重文「臨画帖」

 

伝夏珪「瀑布図」

 

狩野惟信「倣古名画巻」部分

 

第2章 正統をめぐって ―江戸狩野と京狩野

 

狩野探幽「叭々鳥・小禽図屏風」右隻

 

狩野探幽・尚信・安信「山水花鳥人物図巻」部分

 

第3章 古画をみる ―期待される権威の眼

 

伝銭選「鶏図」

 

伝貫休、重美「羅漢図」

 

第4章 万能への道 ―やまと絵のレパートリー

 

伝狩野長信「桜・桃・海棠図屏風」

 

狩野探幽「源氏物語賢木・澪標図屏風」右隻

 

第5章 鑑定の難題 ―現代へと続く問い

 

伝賢江祥啓「達磨・龍虎図」

 

伝雪村周継「倣玉澗瀟湘夜雨図」

 

「狩野派 画壇を制した眼と手」

室町時代から江戸時代まで、400年もの長きにわたって画壇の中心に君臨した画家集団・狩野派。彼らが手がける力強く端正な絵画は、その時々の有力者たちの要求を見事に満たし、ある種の規格として、絶えず安定した価値を保ち続けました。
さまざまな画題を、それにふさわしい手法で描くために、狩野派の画家たちが重視したのは、過去に生み出された中国・朝鮮・日本の絵画に広く臨み、それを模倣することで多彩な図様や技法を習得するという実践的な訓練でした。その作業の蓄積によって、狩野派は実作者としての画技を培ってゆくだけでなく、和漢の絵画史に精通した権威ある識者の顔を期待されるようにもなります。作品の評価を望む所有者たちによって、あらゆる古画が木挽町家を中心とする狩野派の当主たちのもとに持ち込まれ、真贋の判断や筆者の比定が重ねられました。みずからの眼に触れたおびただしい数の古画を写しとどめて手元に置き、その記録を活かして作画にあたること、さらにそれを手本にして後世の弟子たちを教育すること―これが、彼らの堅実な絵事を支え、また流派の血脈を確実に継いでゆくためのシステムでした。
この展覧会の主眼は、当館のコレクションを通じて、狩野派の豊かな絵画世界を紹介することに置かれます。そのための試みのひとつとして、狩野派が間近に接した可能性の高い古今の絵画を、彼らの実作品と同じ空間でとらえます。鑑定と模写による眼と手の記憶が、狩野派の活躍を支える大切な要素となったことを、展覧会場で実感していただければ幸いです。

 

「出光美術館」ホームページ

http://idemitsu-museum.or.jp/

 

「狩野派 画壇を制した眼と手」

令和2年2月11日発行

編集・発行:

公益財団法人出光美術館

 

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