出光美術館で「染付 世界に花咲く青のうつわ」を観てきました。出光に行くのは、長年の習慣となっています。が、毎回図録は買いますが、どれだけ頭に入っているのか、はなはだ疑問です。もったいない話です。
さて、今回は「染付」、「白い肌の上に、あるときは優しく煙る淡い青で、花や鳥、風景から幾何学的なパターンまで、さまざまな文様を描くやきもの」と、まあ、図録の「ごあいさつ」にあります。
展覧会の構成は、以下の通りです。
Ⅰ 青の揺籠(ゆりかご)―オリエントの青色世界
Ⅱ 中国青花磁器の壮麗―景徳鎮官窯と民窯
Ⅲ 温雅なる青―朝鮮とベトナムの青花
Ⅳ 伊万里と京焼―日本を愛した暮らしの青
Ⅴ 青に響く色彩―豆彩と鍋島
Ⅵ 旅する染付―青のうつわの世界性
Ⅰ 青の揺籠(ゆりかご)―オリエントの青色世界
Ⅱ 中国青花磁器の壮麗―景徳鎮官窯と民窯
Ⅲ 温雅なる青―朝鮮とベトナムの青花
Ⅳ 伊万里と京焼―日本を愛した暮らしの青
Ⅴ 青に響く色彩―豆彩と鍋島
Ⅵ 旅する染付―青のうつわの世界性
「染付―世界に花咲く青のうつわ」
白い肌の上に、あるときは鮮麗な青、あるときは優しく煙る淡い青で、花や鳥、風景から幾何学的なパターンまで、さまざまな文様を描くやきもの、「染付(そめつけ)」。染付は、14世紀に元時代の中国で完成した「青花(せいか)」、すなわち白磁にコバルト絵具で絵付をする装飾技術が、17世紀初頭の日本に伝わり、浸透していったものです。そして今なお染付は、美術品としてだけではなく、日常的な暮らしのうつわとしても日本中で親しまれています。驚くべき、息の長い魅力といえるでしょう。
染付の広がりは、時間軸に沿うだけではありません。中国・朝鮮・日本といった東アジア、ベトナムなどの東南アジア、トルコ・イランなどイスラム文化圏の西アジア、さらには欧州にまで、青のうつわへの憧れと声望、その生産は、地理的にも空前の伝播力で広まってゆきました。
近年、中国における青花の完成に、西アジアの文化と人々が大きな役割を果たしたことが指摘されています。その背後には、紀元前後からシリアや東地中海地域で作られた青色ガラス器や、イスラム教寺院を飾る壮麗な青色タイルなど、この地域で育まれた「青」の伝統が垣間見えます。
この展覧会では、染付・藍彩(らんさい)など複数の技法におよぶ青いやきものを視野に入れ、深甚な影響力をもつ「染付」を、ひとつの世界言語としてとらえてみます。現代の国際社会では、思想や宗教の対立が広がる諸地域において、かつて人々は、共に青のうつわを求め、快晴の空や海を想わせる青のかがやきに、ひとしく心を酔わせていたのです。やきものという世界規模の文化が語りかけてくる言葉、多様性を示しながら、人々をひとつに結びつけた、懐深い美の物語をご堪能いただければ幸いです。
「出光美術館」ホームページ
「染付―世界に花咲く青のうつわ」
図録
平成31年1月12日発行
編集・発行:
公益財団法人出光美術館
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