柳ジョージが好きだった / 大学の頃の思い出

大学生の頃だった。柳ジョージというシンガーを知り、テープにダビングして最初に買ったシビックRSのカーステレオでもよく聞いていた。

氏の場合のアメリカは、きっと横須賀だと思うんですが、私の場合は横田基地でした。

八王子から国道16号を行き、拝島駅の武蔵野陸橋を過ぎると右手には突然広大な敷地を持つ横田基地が見えてくる。

広い芝生を挟んで機能的に作られた建築物。そのころの自分たちの街には、せいぜい木造モルタルの3階建てばかりで、ビルディングなどと呼べるのはデパートか銀行のビルくらい。

そう、まさにフェンスの向こうはアメリカだったんです。

中学の頃何度かベース（基地）の中に入る事がありました。

中学になれば授業で英語を習うわけですが、ミーハーの私は「英語、カッコいい！」と思い自転車で16号をひたすら福生まで。

天を衝くような大男に見えた外人さん（制服を着てた）に恐る恐る話しかけるわけです（笑）

「自分は中学で英語を習いはじめて、英語が喋りたくてここに来た」

みたいなことをひどい発音で訥々と話すと、その将校さん（後でわかったのですが）こんなことを言ったように聞こえました。

「おぉ、それは素晴らしい。ところで坊やはピザは好きかい？」って

ピザなんて田舎者の中学生が食べたことがあるはずがありません。でもどんなものかは知っていました。

食べたいというと、近くにあったニコラスへ連れて行ってくれました。

ニコラスは16号が拡幅される前の、現在の明るい開放的なニコラではなく、木造で昼間でも薄暗い照明だったニコラスです。

話せば長くなりますのでこれくらいでやめておきましょう。

ともかく八王子の左官屋の次男坊だった、自転車の遠乗りと山歩きと川遊びぐらいしか知らなかった私にはアメリカというものを身近に感じた初めての経験でした。

そして高校を卒業する頃、柳ジョージとレイニーウッドというグループを知って、その頃の思い出がフラッシュバックしました。

大学に入り鎌倉の八幡宮様でバイトを始めた頃、私は高校時代の同級生が油壺のシーボニアマンションで仲間とともに住んでいて、彼らがジャズバンドをするために横須賀のキャバレーで生演奏をしていることを知ったのです。

生演奏とは言っても酔客のリクエストに応えて伴奏曲を演奏する、まぁ言わば生バンドのカラオケって言うことですね。

2時過ぎにそのキャバレーはハネるので、彼らはその後朝までそこを自由に使って練習していいという許可を得ていました。

私は何度か彼らのキャバレーを訪ね、柳ジョージの曲をリクエストしたりもしたものです。

シーボニアはご存じの方も多いでしょうが、リゾートマンションで住居としての使用は許されなかったはずですが、きっとギターを担当していたスズキ氏の友人からの転貸借だったのではないかと思います。

八幡宮のアルバイトで知り合った、ほぼ同じ年代の巫女さん、宮司さんなども呼んで朝まで盛り上がったり、仲間が誕生日だというと、彼らのへやでパーティをやって、彼らの生演奏でハッピーバースディを大合唱したり。

高校の友人、平林はオンボロのハイエースを持っていて時々実家の日野市までウッドベースを乗せて帰ることもあった。そんなときは一緒に乗せてもらって電車賃を浮かす代わりに寿司屋で夕飯ごちそうしたり。

大学の頃の思い出。彼らとのバカ騒ぎはそう長くは続かず、彼らがシーボニアを引き払うまでの半年弱で終焉を迎えることになった。

それでも、こうやって柳ジョージの曲を聞くと、今でもあの夕暮れのシーボニアマンションとガラスの灰皿に山盛りになった吸い殻、駐車場に植えてある背の高いヤシの木が揺れるさまを思い出します。

柳ジョージ氏も今はもうこの世を離れ、流れたときの長さを感じさせます。

それじゃぁまたね(^O^)／~~~

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