あさが来たネタバレあらすじ 22週 132話千代の初恋　当時流行ったツルゲーネフの「はつ恋」

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あさが来たネタバレあらすじ 22週 132話

[ナレーション]
翌年の春になりました。
1896年（明治29年）春。
千代は、無事に女学校を卒業しました。

朝っぱらから大きな風呂敷包みの荷物を背中にしょって、宜が白岡家の朝食の場にやって来ます。
「おはようございます！」

宜は、あさから両親に口添えしてもらい、卒業してすぐ嫁に行く事なく、暫くはあさの下で、
秘書見習いとして、働く事となりました。

「ほんなら行ってきます！」
宜から渡された郵便物に目を通すと、そそくさと出て行くあさです。
「行ってまいります！」と宜が、元気よく、あさの後を追います。

[ナレーション]
そして千代は…当初の希望どおり、家で花嫁修業を始めました。

よのに活け花を教わったり、さえと一緒に縫い物をする千代です。

さえと千代が縫い物をしている傍で、
うめは栄三郎の二人目の娘のマサ（126話から登場）を膝に抱いて見守っていました。
マサの小さい手の中には風車がありました。
そこへ籠に入れた林檎（りんご）を持って、やって来たあさは、微笑みながら暫く廊下に立ったままで、
その様子を見守っておりました。
それから、中へ入ると、林檎のカゴを差し出し
「これなぁ、工藤様からお林檎、頂きましたんや。みんなで剥いて食べてな。」と言います。

「わ～林檎やあ～！」と無邪気に歓声を上げるさえの手の中の真っ赤な林檎を見て、たちまち、また千代の回想が始まります。

あの時…あさが入院していた病院の給湯室で、千代が林檎を剥いていると啓介が
千代の顔を真っ直ぐに見つめて「実に、べっぴんだな。」と言った時のあの声が幾度でも胸の奥で蘇る千代なのでした。
その千代の物思いに耽る表情が、あさの目に留まります…。

美和の店を借りて行われた会議では、女子大学をどこに建てるのかをテーマに
あさと設立委員会のメンバーが協議していました。
メンバーはみんな、大阪以外の場所に建設する事に反対していました。

禿げているメンバー＞「そうです。言いだしたんかてみんなこっちいてますのに。」
「やっぱりそうだすわなぁ。こっちの支援者かて、そっぽ向いてしまいはるかも分かりまへんしなぁ。」と、
あさは腕組みして申します。

会議の席の傍に立って宜はメモをとっています。
その横には亀助も控えておりました。

宜＞「なるほど。」
「あんまり張り切られても困りますがなぁ。家にはうめさんいてるし、
外でもあんたにいてられたら、秘書のわてがすることのうなってしまいますよってなぁ。」
宜の耳元で、苦情口調で零す亀助です。
宜＞「『わてのすることが…』」とメモを取り続ける宜。
「のうなって、しまいますて…。」と繰り返して教える亀助。
宜＞「のうなって…」
「これ、書かんかてよろし！」と手でメモを制して、見事なノリツッコミを決める亀助でした。

さて、この日、鼻歌を歌いながら遅れて店に入って来た成澤は、大切そうに胸に抱えていた鞄から、
刷り上がったばかりの本を取り出して、あさ達に見せます。
あさ＞「これは！」

[主題歌　AKB48の「365日の紙飛行機」挿入]

ようやく印刷が完成して本になった成澤の処女作『女子ノ教育ニ就テ』を披露した成澤。
（史実では『婦女子の職務』）

あさ＞「やぁ、ようよう刷り本になりましたのやなぁ！」
亀助＞「立派なご本だすなぁ。」
本を囲んで一同は盛り上がります。

成澤＞「はい。これからこの本を大々的に売りに出して、新聞や何かに宣伝してもらって、もっともっと理解を得ようと思っとります！」
大きなリアクションで意気の上がる成澤です。

威勢よく帽子を脱ぐと「皆さんどうぞ、よろしゅうお願い致します！」と成澤は深々と一同に低頭しました。
一同も「よろしゅうお願い致します。」と成澤にお辞儀を返します。

新聞を広げて読む新次郎は
『この女子大学校の設立運動を推し進める著者、成澤泉は、少しも意気消沈していないようだ』と文面を読み上げ
「…て書いてありますなぁ。」と、あさに申します。
新次郎の傍に寄りあさ「へぇ。嫌みっぽおますけど、褒めてもいるんだす。あ…ほら、ここ。」と、
紙面を指さします。
新次郎＞「ほう『米国留学で研究した成果を纏めたる本書は、女子教育の方針、徳育、体育、知育、実業教育などを…』」
途中からあさの声が新次郎の声に重なり…。
「『実業教育などを項目に分けて、欧米の実例を挙げて、子細に女子教育の方法を論じ尽くしている。』」と諳んじます。
新聞記事を暗唱するほど、成澤のこの本に期待を寄せるあさは
「この本を読んでくれるお人が増えたら、きっと世間一般のおなごの教育についての理解も、もっと広まる思いますのや。いよいよ好機だす！」
と新次郎に目を輝かせて話します。
そんなあさに、新次郎は「はぁ。楽しそうやことな。」と笑顔で頷きました。

夜です。
千代の部屋に布団を敷いてもらって間借りしている宜は
「あ～っ、毎日楽しいわ！楽しいてしょうがあれへんわ！」と叫んで枕を抱いて転げまわっていました。
相変わらず女らしく鏡に向かって髪をとかしながら千代が「へえ～そうだすか。」と言うと
宜はムックリと起き上がり
「そっちはどない？子守、楽しい？」と尋ねます。
振り向いた千代の「そら楽しいわ。み～んな毎日ちょっとずつ成長してるの見てたら、嬉しなってしまいますさかい。」
との言い分に宜は「ふ～ん…そないな事が楽しいやろか？」と不思議がり、
やはり、二人の感性と意欲は、全く違うペクトルで伸びているようでした。

千代は「そっちの方こそ、何が楽しいのやら？」と言い返しましたが、
それでも、すぐに「しょうがあれへんわなぁ。うちらはおんなじレディーでも、目指してるとこが違てるのやもの。」
と付け加え、互いの違いを認め合っている仲良しの二人です。

それから…二人が、千代のベッドの上ではしゃいでいますと、ちょうど部屋の前を通りがかった新次郎が、
その笑い声を聞きつけて「はぁ、こっちも、楽しそうや事！」と言って、
巾着を振り回しながら通り過ぎようとしましたが、
「なぁ、宜ちゃん。相談やねんけどな。」という千代の声が聞こえたとたんに、部屋の前に戻って聞き耳を立てます。

千代は自分の事を友達の話に変えて、心から離れない啓介の事を相談しました。
「…名前も知らんお人の事が、頭から離れへんさかい困ってんのやて。」
この時、宜は、千代から、その人が、遠くに住む帝大生である事を聞かされます。

そして…「この気持ちは、どないな事なんやろ？」との千代の問いに
「そら、初恋に決まってるやないの。」と答えます。
千代＞「は…初恋？」
この初恋という言葉に、千代以上に慌てたのが部屋の前で盗み聞きをしていた新次郎です。
「初恋！…。こらあかん。」

「初恋…。」ともう一度繰り返して呟く千代でした。

この頃、初恋と言えば、明治時代によく読まれたツルゲーネフの「はつ恋」があります。
16歳のヴラジミールはモスクワの別荘で両親と暮らすうちに、隣に越してきた21歳の美しいジナイーダに恋をする。
自由奔放で、自らの崇拝者である複数人の男性を手玉に取るジナイーダであったが、そうと知ってもヴラジミールの恋心は
日々つのるばかり。
けれどいつしか、彼はジナイーダが誰かと本気の恋に落ちている事に気付き、その相手を探し始める。
そして、胸の痛みに苦しみながら突きとめたその相手は、なんと、自分の父親だった。
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[ナレーション]
あさは、寄付金集めや打ち合わせのため、頻繁に大阪と東京を行き来するようになりました。
この日のあさは、秘書見習いの宜と秘書の亀助と共に訪れた大隈邸で、
綾子にも手伝ってもらい成澤の処女作の封印作業に追われていました。

綾子＞「今日は成澤先生、伊藤総理に直訴しに行ったんですね。」
あさ＞「へえ、一気に話進めんのやったら、そのぐらい思い切った方がええ思いまして。
先生も肝心なとこは、やっぱり自分でお話せなあかん言わはりまして。」
綾子＞「そうね。じかに、教育論を聞いて頂きませんとね。」
あさ＞「へえ。」

噂をするうちに成澤が「皆さん！」と雄叫びにも近い大声を上げて駆け込んで来ました。
成澤＞「聞いて下さい！」
あさ＞「どないだした？」
成澤＞「朝８時。私が総理大臣邸に着いた時、玄関にはもう、馬車が用意されていました。」
あさ＞「それで！」
成澤＞「しかし、書生は私が何度、少しの時でいいから何としても面会をと言ったところで少しも取り合ってくれない！」
あさ＞「そらしんどおましたなぁ。それで？」
前髪をかき上げ、悩める演出の成澤はオーバーリアクションで
「ところが、私のその願う声が聞こえたのか、当の伊藤候…伊藤候があ！自ら玄関にやって来た。」
この時、成澤は部屋に飾ってあったほぼ等身大の真っ黒い仏像を伊藤に見立てて話していました。

成澤＞「そして即座に時間を割いて、私の話を聞いて下さったのです。」
綾子＞「まあ！」
あさ＞「なんて事！」
仏像に土下座姿勢を取る成澤は話を続けます。
「私は玄関に両手をついて言いました。何とぞ閣下、日本国の女子教育のためにご賛同を！」
あさ＞「それで？」
成澤＞「総理は、頷きながら私の言葉を聞き、力を貸すと言って下さいました。」
あさ＞「あーーーっ！！やりはりましたなぁ！」
綾子＞「伊藤総理が味方につけば、どんどん集まりますわよ！」
あさ＞「へぇ！」

それから３人は大阪へと戻り…。
従業員用の休憩室でお茶を飲もうという時の事でした。

宜は、腰掛けながら、ウトウトと眠そうにしておりました。
「流石に宜ちゃんも、疲れはったんやあらしまへんのか。」と言いながら、うめは、宜の前に
お茶を置きました。
でも、宜はそのまま前に倒れ込んで、うめが今置いたばかりの湯呑にぶつかってから、気付きます。
亀助やうめは驚いていましたが、それでも宜は「いえいえ…まだまだ！」と無理をして言います。

亀助＞「しんどいくせに。下等車に乗るのはきついのやろ？」
うめ＞「はぁ、本当に汽車いうのはおいどに悪いさかいなぁ。」
宜＞「いいや。まだまだ、これぐらいの事で、きついなんて言うてる場合やありまへん。
寝る前には、本かて読まなあきませんし。恋の悩みかて抱えてますし。」

「恋の悩み？」面白そうな話題に亀助が、目の色を変えて食いつきます。

宜＞「はい。友達のですけど。あ…いや、友達の友達か。」
うめ＞「お友達のだすかいなぁ。」

「いやいや…うめさん。わての経験上、おなごが『自分の友達の話で』とか言うて話す話いうのは、
十中八九が自分の話なんだっせ。」と、亀助、いかにもな、お見通し風を吹かせて語ります。

宜＞「へ？」
うめ＞「そない言うたら、そうだすなぁ。自分の相談いうのは、ちょっと恥ずかしいてでけへん時でも、
友達の話言うたら、わりかし恥ずかしのうよう喋れますさかいなぁ。」
亀助「うえぇ～え」と嬉しそうに頷いています。
宜は、亀助とうめの話に「…という事は…。」と考え込み、結局これが、
千代の初恋話であった事に気付いて、そのまんま口に出してしまいます。

うめ＞「お千代様？」
亀助＞「え、えっ…千代ちゃんの！？」
廊下で物音がしたと思ったら、新次郎がよろめいて倒れていました。
その場に居合わせたかのが「奥様にお知らせせな！」と嬉しそうに言って飛んでゆき、
亀助が慌てふためいている所へ、千代がマサを抱っこしてやって来ました。
さえもついてきています。

「はぁ、お父ちゃん。どないしたの？みんな。」
明らかに様子がおかしいのに亀助やうめは素知らぬ顔をして宜は「いや…何も。」ととぼけておりました。

[ナレーション]
その頃、はつの家では、祝言の準備をしていました。

縫い物を手にキジバトの鳴き声に気付いたはつは、式の招待状を書く惣兵衛に
「うち、東京から戻ってきて、最初にこの声聞いた時、何や、ほっとしましたのや。」と話します。
惣兵衛＞「そうか。」

養之助が帰って来たところ惣兵衛は、筆を置いて
「はつ。いつ渡そう思てたんやけどなぁ…。」と立ち上がり、棚の上から平たく包まれた風呂敷包みを持ってくると、
はつの前に座り「ちょっと開けてみ？」と申します。

それは、惣兵衛が祝言の時に、はつに着てもらおうと思って子供達とお金を出し合って大阪で買った晴れ着でした。
娘時代や新婚当初に着ていた絹物には及ばないと惣兵衛は言いますが、
今のはつにとっては十分に高価なものでした。
「そやけどなぁ、そない晴れの日ぐらい、綺麗にしたお母ちゃん見たいやろ、養之助も。もちろん、わしもな。」
夫と息子達の気持ちが嬉しくて思わず笑みが零れるはつでした。
「はぁ…。お母様。お母はん。うちは…なんていう幸せ者なんだすやろか。…露芝や…。」
思い出深い露芝の着物の柄を摩るはつでした。

加野銀行では、新次郎が深い溜息をついて消沈しています。
亀助から今日の予定の発表があった時も生返事の新次郎。
あさは、あさで女子大設立が難航している事の愚痴を零しておりました。

と、そこへ急ぎ駆け込んできた榮三郎が、雁助の奥さんからの手紙があったと、
雁助が仕事中に、頭を大怪我して倒れた事を知らせて来ました。

[ナレーション]
それは、急な知らせでした。

あさが来た　ネタバレ・あらすじ 23週　134話へ続く。

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