あさが来た　ネタバレあらすじ　10週　58話

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あさが来た　ネタバレあらすじ　10週　58話

[ナレーション]
大阪最後の日。
はつが、藍之助を連れて、加野屋に泊まりにやって来ました。

あさに先導されて加野屋の奥に通されるはつは廊下の向こうから歩いて来た新次郎と言葉を交わしました。

はつ＞「新次郎様。この度はご厚意に甘えてしもて…。」

新次郎は「そない固い事言わんといてえな。自分の家や思て、のんびりしとくれやす。」
と言うと、藍之助の傍へ行き、肩に手を掛けて膝を折り身を屈めて藍之助の目線となり
「藍之助も。な。」と話しかけました。

新次郎は、その後、藍之助と廊下でコマ回しをして遊び相手になっていましたが
「お前に会われへんようになんのは寂しいなぁ。」と別れを惜しみ
「最後に、もういっぺんだけ、お父ちゃんと、言うてみてくれへんか？」とせがんでみるものの、
もう惣兵衛と暮らし始めて長い藍之助はキョトンとするだけで、
それもそうかと新次郎「嘘や。言わんかてええ。」と前言撤回するのでした。
新次郎＞「お前はもうすぐお兄ちゃんや。男たるもの、しっかりお母ちゃん守って、ええ男になりや。」
藍之助＞「うん。」
新次郎＞「まあ、そない言うたかて、わて男でも、いっこもしっかりしてへんけどな。」
藍之助＞「うん。」
素直過ぎる藍之助に、新次郎、形無しで「『うん』やあれへんがな。」とツッコンでみたりしています。

その新次郎と藍之助の様子を、中庭を挟んだ向かい側の部屋から見ていたあさとはつは…。
あさ＞「男同士、何の話してますのやろ？」
はつ＞「なぁ。」と、話しておりました。

ところが、その時、亀助が新次郎の元へ走って来て
「新次郎さん、えらい事だす！例の、お三味線の…。」と言いかけたので、
新次郎は思わず、亀助に「シーッ！」と言って、口元で指を立てます。
あさの耳に入る事を気にする新次郎です。
しかし時、既に遅く、その言葉をしっかり聞き届けたあさは、もう怪訝な顔をしています。

新次郎はなぜか慌てふためいて「よっしゃ分かった。すぐ行こ。」と藍之助を抱いて
あさとはつの元へ連れてくると
「堪忍な。大事な用ができてしもて…ちょっと、遅なるかも分からへんさかい、
どうぞ、ごゆっくり。」と告げると、バタバタと出て行ってしまいました。

[主題歌　AKB48の「365日の紙飛行機」挿入]

あさは、はつに、新次郎のあの慌て方はきっと、三味線のお師匠さんが関係しているのに違いない
と話します。
「お三味線のお師匠さんが、えらい艶っぽいおなごはんだしてなぁ…。
いいや、そないな事はちょっとも気にしてへん！気にしてへんのやけど…。
はぁ…ほんまにもう！いつまでもふらふらして、八代目の後見人やいう自覚あれへんのやろか！？」
と、このように感情の波を見せて嘆くあさに、
はつは、焼きもちならそう正直に言うようにと言って
本音を突かれたあさは、胸の内のモヤモヤを姉の前で吐露します。
「やきもちだす…。あのおなごはんが、旦那様のそばにいてる思ただけで、何やこう…胸が痛い言うか、
自分が、おなごとして劣ってるみたいに思えて…。」

はつは、襲名披露の時のあさが綺麗であったと褒め、大丈夫だからと励ましますが、
あさは「綺麗とか、旦那様いっぺんも言うてくれた事あれへん。」と更に嘆くのでした。
はつは、ここで、あさを思い「そんなん、うちとこかてそうだす。」と小さな嘘をつきました。

[ナレーション]
実はその頃、当のお師匠さんの、美和は…。

寄合所です。
「どうぞ、こちらでございます。」
男性に案内されて寄合所の廊下を通されてゆく美和。

行きついた先は五代の部屋で、ドアの前まで来ると「お見えになりました。」と案内の男性が中に声を掛け、
美和が「ごめんやす。失礼致します。」と中へ消えると、
その前にある長椅子に座って談笑していた神田屋と山屋がそれを目撃していました。

案内の男性に、神田屋が声を掛けます。
「あ…ちょっと、すんまへん。」
男性＞「へぇ。」
神田屋＞「あら、お師匠さんと違いまんのか？」
男性＞「へぇ、そうだす。」
山屋＞「お師匠さんが、何でこないなとこに？」
男性＞「さあ…？」

五代の部屋へ入った美和。
「今日はお暇つくってもろておおきに、ありがとうございます。」
五代はティーカップを運びながら「加野屋の新次郎さんはご一緒やあれへんのですか？」
と尋ねます。
美和＞「へぇ。何や、大事な御用ができはったみたいなんで、一人でお訪ねさしてもらいました。」
五代は二つのティーカップをテーブルの上に置くと美しい所作で椅子を引き
「さあ。」と手で席を示します。
美和が塩梅よく着席するまで手伝うと、五代は「これ、イギリスのお茶です。どうぞ。」と言いました。

美和＞「おおきに。すんまへん、わざわざ。」とお礼を述べ、
少し部屋を見渡して「えらい西洋風なとこだすなぁ。」と感想を口にしてから、持ってきた手土産の
菓子の箱を渡しました。

この日、美和が五代を訪ねた用件は、先日の大久保との席で五代が話していた
「大阪商人が、気さくに集まって話し合える意見交換の場」というものを作るのに是非
自分が協力したいというものでした。

「うちも誰かさんみたいに、ファースト・ペンギンになってみたいんだす。」と微笑んでいう美和でした。

加野屋の奥では、その五代の書いたペンギンの絵を、あさが、はつに見せておりました。
ペンギンの絵を開いて見るはつ。
「あんたがこれに似てるて？」

はつと共に縁側に座って語らうあさが言います。
「どこが似てんのか、ちょっとも分からへんのやけど。
かいらしいさかい、大事に取ってあんのだす。」

はつ＞「あのお方、あんたとどないな間柄やの？」
あさ＞「どないて…。最初は、敵や思た事もありましたんやけどな。」
はつ＞「敵？！」
あさ＞「へえ。山王寺屋さんが潰れてしもたんは、あのお方が新政府で働いてたせえも、ちょっとはあんのやさかい。」
はつ＞「そうだすのか…。」

「そやけど…今は、憧れいうのやろか？」と、あさは考え考え小首を傾げながら申します。
はつ＞「憧れ？」
あさ＞「へえ。あない物知りで、広い了見で、どんどん大きい会社作りはって…。
うちもいつか、あないなふうに、加野屋を大きしたいんだす。」
はつは微笑んで「そういう憧れだすの。」と言うと、ペンギンの絵を、あさの顔の前に翳して
見比べます。

はつは笑い、話は五代の男前ぶりと若いおなごからの人気の事へ。
二人の話は尽きません。

やがて、おやつの時間となり…。
[ナレーション]
それからも、２人の話は、父や弟の断髪の話、蜜柑や大根の話など、途切れることなく、続いたのでした。

外では、息せき切って走る新次郎の後を追って亀助もまた走っています。
「夫婦揃って、人使いの荒い事だすわ～もう！」と亀助の口からは思わず愚痴が零れています。

加野屋の奥の部屋では、藍之助が、あさのそろばんで遊んでいます。
はつ＞「こら、藍之助！勝手に入って、勝手に人様のもんで遊んだらあきまへん。」
藍之助は「はい。」と返事はするものの、そろばんを弄る手は止まりません。
けれども計算をする時のように、ちゃんと玉を弾いています。
はつ＞「懐かしい。こら、あさのパチパチはんだすがなぁ。」
そこへ、あさもやって来て
「あっ、ほんまや。へえ～小さい手ぇやのに、上手やなぁ。」と藍之助が玉を弾く様子を感心して見ております。

はつは「ひょっとしてこの子、お商売好きなんやろか？」と言い
あさも「山王寺屋と今井の子やさかい、そうかも分からしまへんなぁ。」と言います。

そして「あっ…せや。」と思い出したあさは、立ち上がり、床の間に立て掛けてあったお琴を持ってくると
「お姉ちゃん。これ、弾いてくれはりまへん？」と申します。

しかし、はつは「これは…うちは、もうよう弾かん。これは、あんたのお琴や。
それに、見て、この手。もうすっかりお百姓の手だすやろ。こないな指でお琴やなんて…。」
とあかぎれだらけの手を見せて躊躇うのです。

その時、新次郎が息を切らせて、大きな包みを抱えて入って来ます。

あさ＞「旦那様！珍し、走ったりして。」
新次郎が「はぁ～なんとか、間に合うたみたいやな…。よいしょ。ふぅー。」と、その大きな風呂敷包みを開きますと、
中から、はつが手放したお琴が出てきました。
はつ＞「これは、うちの…。何で？」
新次郎＞「そら、惣兵衛はんだす。」

そう…昨夜、新次郎が惣兵衛と屋台で飲んだ時に、惣兵衛の言っていた心残りとは、
このはつのお琴を、山王寺屋が潰れた時に、不本意ながらも、手放してしまった事でした。

惣兵衛は、はつの弾く琴の音が大好きだったと、新次郎に打ち明けた後、
それが、たった一つの心残りである事も、話して、そのお琴を探して欲しいと、
新次郎に頼んでいたのでした。

それから、大阪中の三味線、琴屋を回って探していて、やっと、さっき、町外れの店から、
それらしいもんが売りに出たいう話が届き、急ぎ取に行っていたのです。
遅れて部屋に入ってきた亀助は、疲れ果てたのか「まあ、そないな事だすわ。」と言うと、
その場にへたりこんでしまいました。
あさ＞「はぁ、お三味線て。それで…。」

愛しそうに、お琴に触るはつの顔は、やがて花が咲いたように明るく綻びました。
「もういっぺん、このお琴に会えるやなんて…。新次郎様、おおきに。ほんま、おおきに！
番頭さんもおおきに。ありがとうございます。」
亀助は「いや、わてに礼やなんか…。」と、顔に手を当てて照れます。

「せや。礼なんかいりまへん。ただ、わても聴いてみたなっただけだすのや。あんたたち、２人の、お琴をな。」
はつと、あさ二人の顔を交互に見て微笑んで言う新次郎でした。

それから姉妹は久しぶりにお琴の二重奏を奏でます。
店の外では、惣兵衛もまた、その音色に耳を傾けておりました。

[ナレーション]
そしてとうとう…はつは、大阪最後の夜を、迎えようとしていました。

お琴を風呂敷に包む新次郎に、はつは、心からのお礼を述べます。
新次郎＞「このお琴は、和歌山に持っていっとくなはれな。」
はつ＞「いいや。こんなんもらわれしまへん！」
新次郎＞「いや、うちに２つあっても、困るだけだすさかいに。」

「もらわれしまへん！」琴を退けようとするはつの手を、そっと琴の上に置いて新次郎
「後生だす。持っていっとくなはれ。」と申します。
胸が思わずキュンとしたはつは、やっと「へぇ、おおきに。」と新次郎の厚意を受け入れます。

「藍之助が待ってますよって、ぼちぼち。」と部屋を出ようとした新次郎を、はつは引き止め
「一つだけ、お伺いしたい事があんのだす。前からずっと気になってた事で。」と申します。

「何だすやろか？」と微笑みを湛えて聞く新次郎に、はつは「何で新次郎様は、あさを選びはったんだすか？」
との胸にずっとつかえていた疑問をぶつけるのでした。

新次郎の顔から笑みは消え、少し曇った表情になったのは、
その事で、もしや、はつを傷つけていたのだろうかと、この時、初めて気付かされたからなのでした。

外では、あさと、うめが、藍之助とシャボン玉を吹いて無邪気に遊んでおりました。

【出演】波瑠，玉木宏，ディーン・フジオカ，升毅，柄本佑，三宅弘城，山内圭哉，友近，清原果耶，興津正太郎，吉田八起，林与一，風吹ジュン，近藤正臣，宮崎あおい，楠見薫,梶原善,山崎銀之丞,富田靖子,北原雅樹,中山義紘,平田理