あさが来た　ネタバレ・あらすじ　16週　96話

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あさが来た　ネタバレ・あらすじ　16週　96話「道を照らす人」

[ナレーション]
五代の遺言により、五代の葬儀は大阪で行われました。
葬儀には、4,300人以上の人々が参列しました。

美和は、五代の事を、手広く商売をしていたようでも、根っ子の部分は、お侍さんのようであったと、
あさに語りました。
亡くなった後、残された五代の書簡を調べたら、ほとんどが、借金の返済はできないという弁明書であったとも。

あさには、あのように大きな会社をいくつも経営して働きづめであった五代が、
借金まみれであったというような話は俄には信じ難い事でした。

美和＞「会社はようけ育てはったけど、ご自分は若いお人の面倒ばっかり見て、
薩摩出身のお役人さんにも、えらい、気前ようお金貸してはったみたいで、残ったのは、負債だけやったそうだす。」

あさ＞「そんな…。」

美和＞「大久保様かてそうだす。自分の蓄え増やすような事いっこも考えんと、
身ぃ削って、お国のために働いて…何や、みんな、死に場所探してはるみたいに思われてなぁ。
けど、今頃、２人でようやっとホッとして、今の日本に文句でも言いながら、お酒飲んだはるんやないやろか。」

切ない話にあさは頷いて「ほんま…そうかも分からしまへんなぁ。」と言いました。

[主題歌　AKB48の「365日の紙飛行機」挿入]

あさが縁側で洗濯物を畳んでいると、新次郎が来て話し掛けました。
「今日の空も、製藍工場の煙と、造幣局の煙が並んで上がって、そらええ眺めやったで。」
新次郎の手には三味線。
あさ＞「そうだすか。」

新次郎は「大阪の空も、五代様の事、名残り惜しい思てますのやろなぁ。」と言うと、
あさの隣に正座して三味線の手入れを始めます。

あさ＞「ずっと前な、まだ、千代がお腹にいてる頃、五代様が言うてはったんだす。
『どないに働いても、人はみんないずれ死んでしまうし、お金は墓場には持っていかれへん。
それよりも問題は、後世に何を残せるかだけや』て。うちらも、考えなあきまへんなぁ。
加野屋のためだけやのうて、大阪のため、未来の日本のために、何を残せるかて。」

新次郎＞「せやなぁ。」

…と、そこへ雁助が来て「奥さん、よろしおますか？」と、新次郎とは反対側のあさの横へ正座すると相談しに来ました。

あさ＞「へぇ。どないしましたんや？」
雁助＞「実は、また来たんだすわ。月曜日のへえさんが。」
あさ＞「へぇ…え？まただすか？」
新次郎＞「月曜日のへえさんて…。ああ、いつも月曜日に来ては『へえ』しか話ししはれへんいう、あの男の人かいな？」
雁助＞「そうだす。そのへえさんだす。」

雁助＞「何か話したそうにしてはるくせに、今日も何にも話しはりまへんさかい。
わて、こっちから根堀り葉掘り用件聞いてみましたんや。そしたら…。」

あさ＞「そしたら？」

雁助＞「どうもこの加野屋で働きたいて、そない思てはるみたいなんだすわ。」
新次郎＞「どない見ても丁稚いうには無理のあるおっさんだすがな。」

そこで、あさが直接、話を聞く事に。

あさ＞「こんにちは。」
頷く山崎。
あさ＞「うちで働きたいいうのはほんまだすやろか？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「何でだす？何でうちなんだす？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「何で両替屋で働きたい思いはったんだすか？あ…それとも炭坑だすやろか？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「今までどないなとこで働いてきはったんだす？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「ご出身は？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「ご家族は？」
山崎＞「へぇ。」

あさ＞「お年は？」
山崎＞「へぇ。」

この調子で何を聞いても「へぇ」という言葉しか返って来ないので、あさは切れてしまい
「あかん！何で『へぇ』しか言わはれへんのだす？！
失礼だすけど、うちは、白黒はっきりせぇへんお方が一番苦手なんだす！」
とわめきだしましたので、隠れて様子を窺っていた新次郎と雁助が出て来て、
興奮して立ち上がるあさを押さえて、座らせます。

新次郎＞「まあまあ…落ち着きなはれ。」

座ったものの、まだ苛立ちは冷めやらず
「それに両替屋は、いつの世かて信用第一だす。身元もはっきり分かれへんようなお方、雇える訳もございまへん！」
と、強い口調でピシャリと言ってのけました。

すると、ここへ来て、相手の口から初めて「へえ」以外の言葉が出てきます。
山崎＞「へぇ！失礼しました！」

あさ＞「ん？」

山崎＞「私、元は大蔵省、会計検査院におりました。山崎平十郎と申します。」

新次郎＞「こらびっくりや。」
雁助＞「ほんまだすわ。今、大蔵省言わはりましたなぁ！」
新次郎＞「いいや。わてがびっくりしたんは、お名前だす。
平十郎て…。あはははは！ほんまにへえさんだしたがな！はははっ！」

あさは肝心なところで、笑いのツボにハマってしまった新次郎に「何言うてはりますのや！」
と、呆れて、ツッコミ代わりに袖を振ると
「会計検査院いうたら、国のお金の使い方監視するとこだすわなぁ。何でそないなお方が…？」
と疑問をぶつけます。

すると山崎は、これまでとは一転して熱弁を振るい始めました。
「へぇ。私、長年政府で働いてきて常々、この国の経済を立て直すためには、
民間の銀行がしっかりせなあかん、そう思てまいりました。それで、この２年間、いろんな店を回ってきましたが、
ろくな銀行はおまへんでした。」

横に座って、ずっと、山崎が喋るのを眺めていた雁助が「何やへぇさんようしゃべらはりますがな。」とツッコムと
山崎は、律儀に「へぇ。」と一言返して続けます。
「そやけど、この店だけは、他の店にはないもんを感じまして。」

あさ＞「他の店にはないもん？」

山崎＞「頼みます。私を雇うて下さい！ドイツに留学し、銀行の勉強もしてまいりました。
きっと、この店が銀行になるために、力を貸せるはずです。よろしゅう頼みます。」

あさ＞「分かりました。」

あまりにもあっさりと了承するあさに驚いて聞き直す新次郎です。
「えっ？よろしいのか？あさ。」

あさは再び立ち上がり山崎の手を取って申しました。
「へぇ。榮三郎さんもうちも、ほんまの銀行を知ってはるお方の知識を…喉から手が出るほど求めてましたんや！」
山崎＞「おおっ。」

あさ＞「こちらこそ、よろしゅうお願い致します！」
山崎＞「へぇ。」
あさと山崎は手を取り合い、顔を見合わせてニコニコしています。

[ナレーション]
こうして、平十郎が雇われる事となりました。

小声で二人してボソボソと言い合う新次郎と雁助なのですが。
新次郎＞「ほんまにええのやろか？」
雁助＞「何や怪しおますなぁ。」

[ナレーション]
そして、年が明け…。
千代は、数えで10歳の、立派な娘に育ちました。
一見、あさによく似ているように見えますが…。

洋装で正装した男女が洋館の広間で踊っているイラストを手に千代が笑顔で、さちに言います。
「へえ～これええなぁ。」

そこへ、うめを連れてやって来たあさ。
「あれ？２人で何見たはるんだすか？」

さち＞「へぇ。これ、鹿鳴館いうのの絵だす。旦那様が神田屋さんに、
東京行きはった時のお土産や言うてもらいはったそうで。」

あさ＞「へえ～これが鹿鳴館だすか。政府が日本も立派になったいうのを、異国に示すために作りはったてなぁ。」

千代＞「これ、みんな何してはるの？」

さち＞「こらな、踊ってはるのやて。何や、華族やええとこのおなごはんが集まって、毎日舞踏会いうの開いてはるそうで。」

あさ＞「ブドウの会？そらおいしそうだすなぁ。食べて踊って、お寺の盆踊りみたいなもんだすやろか？」

うめ＞「どうだすやろなぁ。」

千代は「それにしても、ほんま綺麗なお着物やわ。」と、うっとりして絵を眺めています。
さち＞「へぇ。おなごの洋装で、ドレスていうのやて。」
「へえ～ドレスなぁ。ええなぁ！」とニコニコする千代。

「そうか？！どこがええのや。こない裾ヒラヒラさして。まるで金魚みたいだすがな。」
このあさの言葉に、ムッとする千代でしたが、気付かずにあさは続けます。
「しかも毎日勉強も働きもせんと踊ってはるやてなぁ。うちには考えられへん世界だす。」

うめが、空気を読めとばかりに「おあさ様！」と窘めた時には、もう後の祭りです。
千代は正面から、あさに食って掛かります。
「そらそうだすやろな。年中化粧もせんと、炭坑で引っ詰め髪して働いてはるお母ちゃんに、
こないな世界分かるはずありまへんさかい！」

あさ＞「ほぉ。嫌や、千代。まだあの事怒ってますのか？」

さち＞「あの事て何だす？」
あさ＞「まあ、そない大した話やあれへんのやけどなぁ。」

千代は「大した話だす！」と言い返すと立ち上がって飛び出して行ってしまいました。

うめ＞「あああ…。」
あさは溜息をつき「ほんまに、この年頃の子ぉて扱いにくいなぁ。」と漏らします。
うめ＞「ほんまだすな。そやけど、あの頃のおあさ様の扱いづらさとはまた違て、おなごらしい扱いにくさだすけどなぁ。」

さちが、この後、あさに、上下に分かれているからと、洋装の着やすい利点を話して、
なので体が動かしやすく踊りやすいらしいと説明しますと、
あさは「それなら炭坑の岡出し姿とも、ちょっと似てるのかもしれない」と言って、良い点は認めようとします。
その言葉を、いつの間にか戻って来た千代が、廊下で立ったまま聞いていました。

この頃、あさが、商工会議所へ行くと、
あさの炭坑事業の羽振りの良さを聞きつけた人達が、話を聞きたいと言って寄って来ました。

あさは話を聞かせる事については、誰にも出し惜しみしませんでしたが、
必ず「そやけど、甘い気持ちでできる商いではございまへんよってに。」と付け加えます。

この日、あさが榮三郎と商工会議所へ顔を出すと、先に来ていた山屋が、手に持って眺めていたのは
イギリスから、仕入れを打診されている「安全型自転車」という物でした。

榮三郎＞「自転車？」
山屋＞「そや。二輪で走るってなぁ。」
榮三郎と山屋は、
榮三郎＞「二輪やなんて、どないして走るんだす？
こんなん支えられへんよって。すぐにこう、こけてしまいますやろ？」
山屋＞「せやがなぁ。せやよってわて『こんなん要らんわ！』言いましたのや。」と笑い合っていました。
その時、昔、五代の手紙の中にあったベロシペードと同じ物だと気付いたあさは、
首を振り「いいや。いつかうちが、きっと乗りこなしてみせましょ！」と微笑んで断言しますので、
二人は驚いて同時に「へっ？」という声を上げました。

この日もイヤイヤ店の机の前で帳簿を見ていた新次郎でしたが、
すぐに嫌気が差して「はぁ～しんど！」と伸びをします。

そこへ千代が可愛らしい声で「お父ちゃん、頑張って。」と言うものですから
新次郎は思わず「へぇへえ」と笑顔で答えると、襟を正して、また励もうとします。

その娘には逆らえない様子を見て、雁助と榮三郎は苦笑し、
かのとよのは、シメシメといった感じで「全部奥様の思惑どおりだすな。」とかのが言って、
よのも嬉しそうに笑みが零れます。

「遊びたい。遊びたい。遊びたい。遊びたい。遊びたい…。」と言いながら
そろばんを弾く新次郎の所へあさが小走りにやってきて
「旦那様！心で思てる事が口から出てしもてます！」と注意しているところへ、
「こんにちは！」と、よく通る声が響いて、誰かがやって来ました。

弥七＞「へぇ。おいでやす。」

それは、まだ年若い少年でしたが店を見回して新次郎を見つけると「あっ、いてた！」と叫んで、
下駄を脱いで上り込み、新次郎の前に正座します。

あさ＞「ん？」
新次郎＞「誰だす？あんた。」
少年＞「お父ちゃん！」

「へっ！？」と目を剥く新次郎。

千代＞「お父ちゃん？！」

あさ＞「今、お父ちゃんて言わはりました？」

店中の者の視線が一斉に新次郎に集まります。

新次郎＞「い…いやいやいや！わわわ…わて、何も！」

すると、少年、笑いながら「冗談や！僕です。あさおばさん。藍之助です。」と頭を下げます。

驚きと共に、久しぶりの再会を喜ぶあさと新次郎でした。
で、次の瞬間、あさが、藍之助が来ているとなると、はつも来ているのではないか？と思うのと、ほぼ同時に
はつが菊と「こんにちは。ご無沙汰しております。」と暖簾をくぐり入って来ました。

奥から嬉しそうによのが出てきて「山王寺屋さん！」と声を掛けます。
菊は笑顔で会釈すると「相変わらず、にぎやかなお店だすなぁ。」と言います。

あさは「お姉ちゃん！」と熱狂して飛び出して行きます。
はつ＞「あさ！」

[ナレーション]
あさと、はつ。10年ぶりの再会でした。

96話先読みネタバレより≫この頃、和歌山の藍之助が、加野屋にやって来る。

あさが来た　ネタバレ・あらすじ　17週　97話へ続く。

【出演】波瑠，玉木宏，升毅，柄本佑，三宅弘城，山内圭哉，友近，清原果耶，興津正太郎，吉田八起，林与一，風吹ジュン，近藤正臣，宮崎あおい，楠見薫,柳生みゆ，辻本茂雄