今日の一曲!【テーマ:雨】のまとめ+補遺 | A Flood of Music

今日の一曲!【テーマ:雨】のまとめ+補遺

0. はじめに

 本記事は今年の6月中に【テーマ:雨】で書いていた「今日の一曲!」のまとめです。複数の新譜レビューを優先していたために今更感のある更新になってしまいましたが、いきなり次のテーマに移行するのも気持ち悪いので、自己満ですが総括をさせてください。

 前回の時にも同趣旨の記事をアップしているため、今回も基本的にはこのフォーマットをなぞりたいと思います。過去記事へのリンク集を披露した後に、紹介し損ねた曲を簡単にレビューするという流れです。最後におまけとしてこぼれ話を載せたので、そのセクションのみ例外となります。


1. 「今日の一曲!」で取り上げた楽曲

■ スピッツ「あじさい通り」(1995)
■ APOGEE「Rain Rain Rain」(2008)
■ 平沢進「アディオス Adios」(2015)
■ 坂本真綾「another grey day in the big blue world」(2001)
■ 椎名林檎「闇に降る雨」(2000)
■ Ceui「mellow melody」(2007)
■ サカナクション「雨は気まぐれ」(2008)
■ 稲葉浩志「静かな雨」(2003)
■ 山崎まさよし「全部、君だった。」(2003)
■ 詩月カオリ「Do you know the magic?」(2004)
■ パスピエ「気象予報士の憂鬱」(2012)
■ ねごと「シグナル」(2017)
■ フジファブリック「雨のマーチ」(2005)
■ OGRE YOU ASSHOLE「フラッグ」(2007)
■ avengers in sci-fi「Riders In The Rain」(2014)
■ capsule「In The Rain」(2012)
■ Perfume「不自然なガール」(2010)
■ 三戸なつめ「ハナビラ」(2017)
■ フレデリック「ナイトステップ」(2016)
■ Mr.Children「雨のち晴れ」(1994)
■ BUMP OF CHICKEN「ホリデイ」(2002)
■ riya「ディアノイア」(2004)


2. 間接的に言及した楽曲

 上掲の二十二記事に於いて、同一アーティスト内で候補曲が複数あるために「今日の一曲!」には選ばなかった旨を記した、或いは参考情報として挙げるにとどめた楽曲の一覧です。過去にレビューを行ったことのある曲については、当該記事へのリンクを貼っておきます。

■ 坂本真綾「雨が降る」(2008)
■ サカナクション「Ame(A)」(2008)/「Ame(B)」(2009)
■ OGRE YOU ASSHOLE「レインコート」(2009)/「タンカティーラ」(2010)「同じ考えの4人」(2011)
■ Perfume「Take me Take me」(2008)/「宝石の雨」(2017)
■ MEG「KITTENISH」(2008)
 ※ 三戸なつめの記事にて言及。
■ フレデリック「スローリーダンス」「RAINY CHINA GIRL」(共に2017)
■ Mr.Children「innocent world」(1994)/「Surrender」「Simple」(共に1999)/「通り雨」(2007)
■ BUMP OF CHICKEN「ウェザーリポート」(2010)/「虹を待つ人」(2013)


3. 過去にレビューを行った楽曲

 既に当ブログ上にレビュー記事が存在していたために「今日の一曲!」で紹介するのを見送った楽曲の一覧です(2.と重複するものは省略)。ブログ内を「雨」や「rain」等で検索して、テーマと関連性の強い曲をリリース年月日の古い順に載せることを基本としましたが、変則的な理由でピックアップしたものも存在します。記載漏れもあると思われるので、気付き次第追記する予定です。

■ chihiro「Honey」(1999)
■ monobright「雨にうたえば」「2010年のKOZOO」(共に2010)
  ※ MVのレビューがこの記事にあります。
■ Base Ball Bear「kimino-me」(2010)
■ サカナクション「なんてったって春」(2013)
■ APOGEE「RAINDROPS」(2016)
■ 宇多田ヒカル「真夏の通り雨」(2016)
  ※ MVのレビューがこの記事にあります。
■ RADWINPS「アメノヒニキク」(2016)
■ 松田彬人「そこに兆しは存在する」(2017)
■ 電気グルーヴ「柿の木坂 / Kakinokizaka」(2017)
■ Base Ball Bear「Darling」(2017)
■ 高海千歌(CV:伊波杏樹)、松浦果南(CV:諏訪ななか)「夏の終わりの雨音が」(2017)
■ BUD VIRGIN LOGIC「Monologue」(2017)
■ チト(CV:水瀬いのり)、ユーリ(CV:久保ユリカ)「雨だれの歌」(2017)
 

4. いずれ紹介したであろう楽曲

 「はじめに」に書いた通り、複数の新譜レビューを優先していたために【テーマ:雨】の「今日の一曲!」は第二十二弾という中途半端なところで終わってしまいました。元々「多くの地域が梅雨明けした」もしくは「災害レベルの豪雨が発生した」タイミングでこのテーマは切り上げようと思っていたので、現状は結果的に意図した通りになっているのですが、続けようと思えばまだまだ続けられるテーマであったため、以降には「いずれ紹介したであろう楽曲」を順不同で載せ、簡単な感想も記していきます。暇を見つけては追記していく予定です。


■ RADWIMPS「雨音子」(2009)

 情景描写の細やかな歌詞が秀逸で、「雨男」と掛けているのであろうタイトルも併せて、切ない内容にそれだけでも涙ぐんでしまうほどのナンバーです。そこに全編英語詞であることにも大いに納得出来るオーバーシーズな旋律(シラブル言語向きのメロディ)と、優しさと激しさを自在に往来する表情豊かなギターも加わることで、雨のサウンドスケープが一層味わい深く感じられます。

 放談:今年の6月は例の問題でラッドの話題自体がセンシティブになっていたので、紹介を見送っていた次第です。ちなみに例の曲の内容について僕自身の見解を述べますと、思想や立場以前に「野田洋次郎が書く歌詞」として独創性に欠けると感じるのであまり評価していません。この観点ならばバンドの変名である味噌汁'sの「にっぽんぽん」(2013)のほうがよほど面白く、そして日本人らしいと思います。災害がテーマとなっていることや古語の使用という見地に立っても、野田さんのソロ名義であるillionの「GASSHOW」(2013)こそが上位互換であるとの認識です。しかしこれらは変名及びソロの楽曲なので、未だラッドでは表現していなかった日本観を示しただけであろうとフォローはしておきます。


■ Base Ball Bear「レインメーカー」(2015)

 "なぜ 雨 透明の雨/透明の傘差し しのぐけど/なぜ なぜ 透明の声/透明の答えが 濡れそぼる"という何処か一人遊びじみた、しかし誰しもが抱えている闇を鮮やかに切り取ったような意味深長なフレーズが印象的な曲です。歌詞の大部分が家族への問い掛けに割かれていることも考慮すると、「レインメーカー」という言葉に潜む自虐性や劣等感に息苦しくなります。バッキングギターの心地好さや浮遊感のあるメロディも、癒しというよりは放蕩の向きがあって憂鬱に響いている印象です。


■ 東京事変「雨天決行」(2010)

 "あめのちときどきくもり/忙しなく色々あるけれど"、"幸せはいつも片目を瞑って/雲間に現れては消えていく"、"さあ、一緒に吹き曝されて/晴間がのぞく瞬間見付けて"などの歌詞を見るに、雨がテーマというよりは「その後の明るい展望」にフォーカスされていると感じたので、紹介は見送っていました。しかしその変化をよりリアルに感じるためには雨の中に飛び込んでいく必要がある;つまり「雨天決行」の精神が肝要だと歌われていると受け取れば、前向きな雨の曲として『雨に唄えば』(1952)的な趣を宿していると言えます。アレンジとメロディの可愛らしさも込みで聴けば、多少は意識されているのかなという気もしますしね。


■ 山根麻衣「THE REAL FOLK BLUES」(1998)

 TVアニメ『カウボーイビバップ』のED曲で、楽曲自体というよりはアニメのED映像に於いて雨が印象的であったために選曲の対象としていました(第六弾と同じケース)。第十五弾の中でビバップの名前を出したのも実は後々本曲を紹介するつもりだったからで、その布石を兼ねていたというわけですね。あれこれと言葉を弄するよりも、"泥の河に浸かった人生も悪くはない/一度きりで 終わるなら"というこのワンフレーズだけで、本曲の魅力と雨の意味合いは十二分に伝わるだろうと短く評します。

 余談:ビバップに関しては出会いが少々複雑で、菅野よう子ファンとして以前から作品の音楽だけはよく聴き込んでいたものの、アニメ自体は今年の2月からの再放送(チバテレ)で初見として楽しんでいる身なので、控えめに言っても僕はにわかそのものです。想像以上に雰囲気アニメだったことは意外でしたが嫌いではありませんし、何より作画の凄さに常に驚かされっぱなしなので毎週ワクワクしています。「TRFB」に関しても、曲単体で聴いた時には特に何の感慨も抱いていなかったのですが、アニメの本編を経てからED映像も含めて聴くと掛値なしの名曲に思えたので、作品の偉大さに脱帽です。


■ SiSH「さよならレイニーレイディ」(2016)

 前回の【テーマ:春】のまとめ記事の中でも本曲の名前を出していて、そこには「歌詞に"春の雨"が出てくるので候補だったのですが、全容を見ていくと春から夏への移行にフォーカスしているとわかるため、除外した次第です。」と記しました。この時点では次のテーマが雨であることは未定でしたが、紹介するならばまさに今回が打って付けだったと言えます。この曲で「雨上がり」を提示して【テーマ:雨】を締め括ろうという構想もしていたくらいですから。しかし結果的に2テーマ連続で見送ることになったのは、冒頭にも書いた「複数の新譜レビューを優先」の中に『Tokyo 7th シスターズ』の新譜もあったからで、シスについてはそこでがっつり紹介すればいいかとの心理が働いてしまったからだと言えます。

 不遇の言い訳は以上として楽曲自体の魅力を語ると、シスの持つ純情可憐さにセンチメンタルな風が吹き込んだことで、ユニットのコアは維持したままで進化を遂げたことがわかる;歌詞内容に照らせば「春から夏への移行」が一層鮮明になった、即ち熱量の変化で捉えるとよりしっくりくるサウンドメイキングであるところがとても素敵です。回りくどい表現になってしまったので言い換えますが、暖かさと暑さの両方を感じさせるようなサウンドスケープが好きなのだということが伝われば良しとします。


5. こぼれ話

 今回の【テーマ:雨】でいちばん驚いたのは、第十五弾のavengers in sci-fi「Riders In The Rain」の記事が、どういうわけか音楽レビュージャンル内の人気記事ランキングで5位になったことです。これまでも散発的に記事が三桁/二桁台にランクインすることはありましたが、一桁は初だったので驚きました。以下はその証拠のスクリーンショットです。




 単純にアクセス数の多寡で順位付けをしているのであろう全体ランキングやジャンル総合ランキングとは異なり、ジャンル人気記事ランキングの挙動はどういう基準に基いているのか未だによくわかりません。ヘルプでも「詳細な仕組みについては非公開」ですしね。この順位を記録した日にいちばんアクセスの多かったのが当該の記事であったことは確かなのですが、それでも大した数字ではありませんし、その数字で5位ならば自ブログの他の記事だってもっと高い順位を付けていてもおかしくはないと思うのですが、それらはランクインしているわけではないという謎。この日のブログ全体のアクセス数が特別多かったわけでもないので余計に不思議です。

 推測に過ぎませんが、先述の全体及び総合のランキング、加えてワードにこだわれば割と簡単に上位に食い込めてしまう公式ハッシュタグランキングとはまた違って、記事ランキングには何か人の手が加わっているような気がします。本当に全てをチェックしているのかは疑問ですが、一応編集部による確認があるというのが公式ジャンルの特色のひとつでしたから、それが反映される場なのかなぁと。




 ちなみにここまで順位が上がると、公式ジャンル内の「みんなが見ている注目記事」のページにも記事が掲載されることがわかりました。上のSSは僕が加工を施したものなので僕の記事しか表示されていませんが、実際は白い部分に他の人のブログ記事が3つ掲載されています。ジャンルにもよるでしょうが、このページから各記事に飛ぶ人はそう多くないだろうと踏んでいたものの、ここに掲載されてから暫くは普段よりアクセス数の多い状態が続いていたので、多少なりとも恩恵はあったのでしょうね。

 たまにTwitterで当ブログの記事が紹介されているのをエゴサして確認しているのですが、中でもアヴェンズの記事に対しては複数の方からのリアクションを今までに把握しているため、SNSやネットとの親和性が高いアーティスト像がなせる業でもって高ランクを記録したのだと、ひとり納得することにします。笑