今日の一曲!MEG「KITTENISH」 | A Flood of Music

今日の一曲!MEG「KITTENISH」

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 2.0の第五弾です。【追記ここまで】

 本日の出目は【4, 2, 8, 9】だったので【1stの296番】の楽曲、MEGの「KITTENISH」を紹介します。

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 「KITTENISH」(2008)は5thアルバム『STEP』の収録曲です。中田ヤスタカプロデュースのアルバムとしては2枚目にあたりますね。MEGについては今までに散々ふれているのでこの曲もちょっとぐらいはレビューしたことがあるのではないかと思っていましたが、検索したら曲名を出したことぐらいしかないとわかったのできちんと向き合ってみます。


 タイトルは'kitten'の形容詞形で「子猫のような」の意。それを題に冠しているだけはあり、歌詞は猫目線で切ない気持ちが描かれたものとなっています。作詞はMEG自身によるものですが、愛猫家らしい歌詞だと言えますね。

 "きみはどこ?"を受けて探す場所として提示されるのが"引きだし"と"ウォークイン"だというのも健気に思えて好きな部分ですが、最も好きなフレーズは1番Bの"香水は きらいなんだ/出かけてく香りがする"というところです。人間対人間に当て嵌めても「そうだよなぁ」と思えるので。

 この曲の歌詞はそのまま受け取れば猫が飼い主へ向けたものと解釈出来ますが(或いは子供から親へ向けてとしてもいいかも)、男女間での話と捉えることも十分に可能となっていますね。まあ人間だとすると先述の"引きだし"とか"ドアしめる隙間"とかのスケール感が狂ってきちゃいますが、物の例えとすれば可でしょう。

 しかし仮に男女の歌だとしたらちょっと事情が複雑かな。どちらが男でどちらが女でも構いませんが、"留守番"をしている方と"出かけてく"方は一つ屋根の下で暮らしているのに、後者は"あいつ"に会いに行くために"出かけてく"わけですからね。"留守番"サイドはそれにジェラシーを感じていると。このようにワケありな想像が出来て楽しいです。


 次はサウンド面を見ていきましょう。全編通して切な系のメロディで展開していく曲ですが、それにあわせてか使用されている音にもセンチメンタルな趣があると思います。

 Aメロ(2回目)の左chで鳴るチャイムっぽい音→何らかの弦楽器らしさのある音の流れや、サビのバック~間奏にかけてリードとして機能しているシンセの音にも同じく宿っているチャイム或いはベルっぽさ…これらが憂いを帯びた質感を生み出している気がします。時間を区切るような音って切ないじゃないですか。

 あとは全体的にピコピコしているのも特徴的ですね。主に右chの隙間を埋めるために鳴っているように聴こえますが、この音のコード進行が予想通りで安心出来る且つダンサブルな疾走感を付与していると思うので、良いアクセントとして機能しています。



 ちなみに『STEP』には通常盤のみに収録されているトラックがあり、そのうちの一曲が「KITTENISH <ynnk mix>」です。やや不協和音気味のフレーズが空間を支配し、妙な浮遊感が醸されているので面白いですよ。

 繰り返される"disco"のサンプリングも癖になりますが、最も好きなのはオリジナルでコーラスとして使われていた"Ah"だか"Ha"だかのセクシーな声(イントロ部で使われているやつ)が、短くカットされてリズムを刻みだす4:10~4:21のところです。