今日の一曲!APOGEE「Rain Rain Rain」 | A Flood of Music

今日の一曲!APOGEE「Rain Rain Rain」

 【追記:2021.1.5】 本記事は「今日の一曲!」【テーマ:雨】の第二弾です。【追記ここまで】

 「今日の一曲!」はAPOGEEの「Rain Rain Rain」(2008)です。2ndアルバム『Tough in Light』収録曲。なお、ジャケ写表示のために埋め込んでいる商品リンクが本記事に限って楽天のものになっているのは、Amazonのそれは新品且つプレミアを考慮しているのか高価格のものを表示するしかなくなっていて、定価以上の数字を表示させたくないので回避した次第です。


 作詞も作曲も鍵盤の大城さんがメインで手掛けているというだけあって、シンセの存在感によって顕となったニューウェイヴらしさや、中盤のボイスサンプリング挿入パートあたりに、彼の嗜好が見え隠れするようなナンバーだと思います。

 前回の記事でも似たようなことを書きましたが、役割としてはバッキング(リズム担当)になるであろう規則的に刻まれるギターが印象的で、降り続く雨を表現するのに一役買っているという共通点の存在が興味深いです。今後紹介するかもしれませんが、同様の手法が採られている楽曲は他にもいくつか思い付くので、ある程度普遍的な雨の表現方法なのだと考えます。歌謡曲的な発想でしょうかね。


 歌詞というか登場する言葉で好きなのは、"Metallic clouds"です。雨雲の質感をよく捉えていて、個人的には日本語よりしっくりきます(日本語にも「鉛色の空」のような表現はありますけどね)。フレーズ単位だと、"雨々降れ 夜の果てまで/雨もっと降れ 銃弾のように"の部分が好きで、童謡の「あめふり」(1925)を思わせる優しい立ち上がりから、"銃弾"に行き着くギャップが堪りません。

 メロディ面では、ラストの"向こうにほらSunrise"からの盛り上がりがやはりいちばん格好良いと思います。実にアルバム曲らしいというか、明確に何処がサビだと言いにくいタイプのナンバーだと認識していますが(個人的な区分に従えば、本曲はA~Dメロまであり、強いて言えばDがサビだと思っています)、この手の曲は裏を返せば全体でひとつの大きな山場を形成しているとも言えるので、下手にメロ単体としての役割を規定しないほうが吉ではないでしょうか。非常にダンスミュージック的なマナーで作られている楽曲だと換言してもOKです。

 他に細かいツボを挙げると、イントロから要所要所で出てくるカカカッカッカという音(とりわけ"雨々降れ"のバックに出てくるもの)、ボイスサンプル部バックのピコピコ感、"向こうには"からラストにかけてのシンセのメロディアスさ(特に"ああ 今日に"からの高揚感と、"雨よ降れ"以降のノイズが混じりながらピッチが上がっていくパート)、"We're on rain"(歌詞に書かれていないので聴き取りが間違っているかもしれません)の後に登場するシンセのダサ格好良さ、このあたりも好きなポイントです。


 ちなみに、この記事この記事が参考になるかと思いますが、本曲はライブではテンポが速くなって異様な盛り上がりを見せるナンバーへと変貌を遂げます。歌詞に倣えば、"Hard rain"ならぬ「Super hard rain ver.」とでも形容したくなる激しさで素晴らしいです。


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