2017年のアニソンを振り返る・Part.1/5【アニソン+編】 | A Flood of Music

2017年のアニソンを振り返る・Part.1/5【アニソン+編】

 注意:『YouTube』動画の埋め込みが多いため、読み込みに少し時間がかかると思います。また、本記事の趣旨とは直接関係ありませんが、2017年内ラストの記事となる目算なので、最後に読者に向けた謝辞を載せておきました。


● はじめに(趣旨説明)

 更新遅延のお知らせ記事を挟みましたが、メッセージボード(更新予定欄)に掲載した通り、「2017年版・レビューし損ねたアニソンを紹介する記事」を書き始めます。これは仮題だったので、正題は「2017年のアニソンを振り返る」にしました。一度レビューした作品にも再度ふれるので、こちらのほうが正確かなと。

 記事の趣旨に関しては仮題および正題がそのまま説明となっており、基本的には「2017年に発売になったアニソン(ゲーム含む)のうち、当ブログで紹介し損ねているものをレビューする内容」だと思っていただいて差し支えありません。去年(2016年版)の記事をリンクしておくので、参考までにどうぞ。

 ただ、去年の記事は書き方に難があると自分で不満に思ったので、今年はもう少し読みやすくしようと考えました。具体的な改善点は次の通りです。第一に、1つの記事に全てをまとめるのではなく、クール毎に記事を分割することにした。第二に、部門・ランキング形式はやめた。第三に、必要であればアニメの内容にも深くふれることにした。細かい変更点は他にもありますが、この三点に特に留意していただければ幸い。


● 「アニソン+」の説明

 改善点その1の「クール毎に記事を分割」については補足があるので追記します。記事タイトルを「Part.1/5」としていることからわかると思いますが、本企画は連載モノです。都合5記事になる予定という意味ですが、クールは冬春夏秋の4つなのでここには1つの例外があることになります。

 その例外が他ならぬ本記事(Part.1)です。記事タイトルの【アニソン+編】は、クールに依存していないことを表しています。「アニソン+」というのは当ブログに於けるブログテーマのひとつで、それの意味するところはプロフィール欄のフリースペース(嗜好・遍歴紹介)に記載してありますが、見辛いため該当箇所だけを以下に引用しますね。

 また、アニメ作品の中には「音楽自体に力を入れていて、関連楽曲を長期に亘ってリリースする」という売り方をしているものがあり、音楽好きとしては当然食指が動いてしまうわけですが、中でもとりわけ楽曲のクオリティが高く「音楽だけを取り立てても好き」というレベルにまで達している作品に関しては以下にその名前を書き連ねておきます(リストC)。

 ちなみにブログでリストCに関する作品をレビューする際には、「アニソン」ではなく「アニソン+」という独立したテーマに振り分けています。「特に気に入っている」という意味で「+」です。


 引用ここまで。要するに本記事は、『「アニソン+」(リストC)に分類される作品の関連楽曲のうち、2017年にリリースされたものの未だレビューを行っていない曲について言及する記事』ということです。趣旨的に例外のものがPart.1というややこしさですが、これは「特に気にっている」を優先させた結果なのでご了承ください。


● 対象作品

 「アニソン+」(リストC)に分類している作品、つまり本記事で対象とする作品は以下の6作です。ここに掲載した順にレビューしていくので、参考にしてください。

 【Tokyo 7th シスターズ, マクロスシリーズ, SHOW BY ROCK!!, ラブライブ!シリーズ, 戦姫絶唱シンフォギア, プリキュアシリーズ】

 2017年にアニメの新作が放送されたものも、そうでないもの(そもそもアニメではないものも含む)も一緒くたのラインナップですが、楽曲のリリースに関しては全作品ともに今年も引き続き行われているためレビューの対象とします。

 また、プリキュアシリーズを除く5作品には関連楽曲を利用したスマホゲームが存在しており、それらゲーム内で今年新たに実装された楽曲(未CD化音源や過去曲)についても便宜上2017年の楽曲と見なし、全てではありませんが言及することにします。


☆ Tokyo 7th シスターズ

 当ブログに於ける2017年の『Tokyo 7th シスターズ』(以降『ナナシス』)関連のレビュー記事は、新譜としては『The Present "4U"』の一本だけです。従って、当該の盤についてはリンク先を参照していただければと思います。

 加えて、「今日の一曲!」では「Behind Moon」「Fire and Rose」を今年取り上げていますが、共に去年のナンバーなので当然ですがここでは除外します。リンクだけはしておくので併せてお楽しみください。

 これらのディスクを除いて2017年の『ナナシス』楽曲を振り返ると、777☆シスターズの3rd&4thシングルやライブ盤のリリースもありましたが、本項ではセブンスシスターズの2ndシングル『WORLD'S END』に注目します。表題曲・c/w共に名曲でした。




 公式サイトの楽曲ページにも書いてありますが、両曲共にセブンスシスターズのデビュー前(A.D.2030)の音源という設定です。どちらもロックナンバーとなっていて、このことに関する軽い考察を本項冒頭にリンクした4Uの記事の中で行っているので引用します。

 これを音楽性の観点からメタ的に見ると、「前時代(アイドル文化全盛期)のレジェンドであるセブンスシスターズが持っていた要素が3つに分離した」とも考えられると思います。セブンスシスターズのシングル曲は、(ゲーム内実装のナンバリングで言うと)1st/2ndでは「アイドル」、3rd/4thでは「アーティスト」、5th/6thでは「バンド」らしさがそれぞれ押し出されていると感じるからです。

 引用終わり(最初の「これ」に関してはリンク先をご覧ください)。ここで言う「5th/6th」が現実では「2nd」に相当している;つまり「バンド」らしさが押し出された楽曲のパッケージとなりますが、表題曲(5th)については公式に『「QOP」にも深く影響を与えている。』と書かれているので、この考察はそう的を外してはいないと我ながら思っています。


WORLD’S END(CD)(通常盤)/セブンスシスターズ

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 「WORLD'S END」で特に好きなポイントはAメロの美しさです。冷たいピアノに寄り添うようなフラジャイルな旋律が涙腺にくる。そこから俄かに勢い付くBで着実にエネルギーを溜め、サビで一気に放出されるという、この冷熱の行き来が新たな時代を予感させますよね。切り拓くための変化球ロックだと受け取りました。

 一方c/wの「PUNCH'D RANKER」は直球で、まるで爆発のような曲だと表現したい。パワフルな演奏に疾走感を纏ったメロディに力強い歌詞と、一点突破の勢いに滾らずにはいられません。

 この曲は特に歌詞が素敵だと思うのですが、個人的なお気に入りは「何もしないことのリスク」に関するフレーズです。スタンザを跨ぎますが、"今そう僕の足元に潜んだリスクに火がついた/欲しいもんがあるなら手を出しな/どうにかなっても知らないぜ?"には、とても共感を覚えることが出来ました。

 メロディでは、2ndAの"ほらアドレナリン/ダイナモにメタガソリン!"(1番)と、"今その願い/叩きつけろ床に"(2番)の部分がツボです。表現上矛盾しますが、優しくぶん殴られたような感覚になる。加えてこれは疑問なんですが、1番の"メタ"とは「メタ燃料」のことでしょうか?"メタガソリン"で一語ではないですよね?「ダイナモにメタとガソリン(を充填)」という理解でいいのかな?

 あとは細かいツボですが、2番Aの"エレジー"の発声が妙に癖になります。メモルのパート…だよね?多分。777☆シスターズのモモカもそうですが、ユニットの中に一人こういう癖のあるボーカルがいると、変な声(誉め言葉)フェチの僕は歓喜します。笑


☆ マクロスシリーズ

 当ブログに於ける2017年の『マクロスシリーズ』(以降『マクロス』)関連のレビュー記事は、新譜としては『ワルキューレがとまらない』の一本のみです。従って、当該の盤についてはリンク先を参照していただければと思います。

 これは『マクロスΔ』に関するディスクですが、ワルキューレメンバーの個人名義の作品については、Part.2以降でふれるのでここでは除外します。当然ですがそれらは『マクロス』楽曲ではないので、わざわざ注釈を書く必要もないかもしれませんが一応。

 加えて、「今日の一曲!」では「「超時空飯店 娘々」CMソング (Ranka Version)」「ねこ日記」を今年取り上げていますが、共に『マクロスF』に関する2008年のナンバーなので、当たり前ですがそれらも除外します。リンクだけはしておくので併せてお楽しみください。


 これらのディスクを除いて2017年の『マクロス』楽曲を振り返ると、ワルキューレのライブ映像集のリリースはありましたが、新譜音源として他にレビュー対象となるものはない(はず)です。来年には『Δ』の劇場版公開も決まり、その主題歌シングルも発売になるので、新譜レビューは来年までおあずけとなりますね。




 これだと改めてここに書くべき内容がなくなってしまうので、今年リリースされた『マクロス』のリズムゲーム:『歌マクロス スマホDeカルチャー』(以降『歌マク』)について言及することにしました。過去曲にふれるので旧譜レビュー扱いです。

 以前にこの記事の中で『マクロス』との出会いについて書きましたが、『F』と『Δ』にしか言及していないことからお察しの通り、『初代』や『7』等の古いシリーズについては恥ずかしながら観たことがありません。

 従って、関連楽曲についても殆ど知識がなかったわけですが、『歌マク』をプレイすることでリン・ミンメイおよびFire Bomberの楽曲の良さを知ることが出来たので、その中からいくつかお気に入りを取り上げようという企画意図です。


超時空要塞マクロス マクロス・ザ・コンプリート/ビクターエンタテインメント

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 まずリン・ミンメイの楽曲に関して、『愛・おぼえていますか』(1984)や「私の彼はパイロット」(レコードの初出年探せず―以降無表記は同様;CD『マクロス・ザ・コンプリート』は1992年)などの有名曲は、後続作品でのカバーという形ではありますが音源を持っているため敢えて省き、ここでは『歌マク』で僕が新たに知った特定の三曲に着目します。

 一曲目は中華風の曲調とストリングスの絢爛さがいい具合に調和してポップな中毒性を誇っている「小白竜」。圧倒的なキャッチーさでつい口遊みたくなりますよね。

 二曲目はお洒落なリズム隊と風に舞うような木管が美しい「シルバームーン・レッドムーン」。CVと歌唱を務める飯島真理さんの美声と、メロディ自体の美しさに酔いしれます。

 三曲目は時代を感じさせるアレンジが印象的な「天使の絵の具」(1984)。80年代の楽曲は、主張は控えめだけれどよく聴くと凝っているのがわかる編曲なのがにくいよなと思います。


ULTRA FIRE!!Fire Bomber Best Album/ビクターエンタテインメント

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 続いてはFire Bomberの楽曲(同様に『歌マク』で僕が新たに知った特定の曲)に言及しますが、FBのナンバーは個々についてあれこれ書くよりも、「どの曲もダイレクトに熱くて素晴らしい!」と表現したくなる趣なので、全体評的にレビューします。

 個人的な音楽嗜好に沿えば、FBのようなストレートなだけのロックナンバーはそこまで好きにならない傾向があるのですが、「突撃ラブハート [Duet Version]」「POWER TO THE DREAM」「TRY AGAIN」(全て1995)のどれも、聴けば聴くほど昂る想いが抑えきれなくなってくる感じで、バサラのボーカルのエネルギーは凄まじいと評すほかありません。

 一転、落ち着いたテイストの「MY SOUL FOR YOU」(1994)も深く沁みるので、表現の幅が広いですよね。

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☆ SHOW BY ROCK!!

 当ブログに於ける2017年の『SHOW BY ROCK!!』(以降『SB69』)関連のレビュー記事は、新譜としては『Monologue』の一本だけです。他作品とのコラボ楽曲という意味では『MONSTER HUNTER XX MIRACLE☆MIL&CATY』も対象としていいかもしれませんが、何れにせよ当該の盤についてはリンク先を参照していただければと思います。

 加えて、「今日の一曲!」では「断罪のソリテュード」「青春はNon-Stop!」を今年取り上げていますが、前者は去年/後者は一昨年のナンバーゆえ当然ですがここでは除外します。リンクだけはしておくので併せてお楽しみください。

 これらのディスクを除いて2017年の『SB69』楽曲を振り返ると、アニメ二期のサントラが年始めにリリースされましたし、音ゲーアプリ内での実装曲まで含めるとかなりの数がある気がしますが、それらは今の段階では詳細なレビューが出来ないため、ここでは現実に於けるリリースでレビューし損ねてしまっていた、ARCAREAFACTのミニアルバム『エンブレム』を紹介します。




 本項冒頭にリンクしたBUD VIRGIN LOGICの記事の中でも少しだけ言及したのですが、作品のオリジナルバンド(現実にモデルが存在するタイアップバンドではなくという意味)の中で、ボーイズに限ればアルカレアファクトのサウンドが最も好みです。

 ボーカルがピアノを兼任していることとバイオリン担当がいることが大きいと分析しますが、既存のバンドサウンドの枠に囚われないラグジュアリーな編曲を見せているところが魅力的に思います。バンド外のアレンジャーが音を足しているという体ではなく、メンバーが演奏しているというスタンスを評価したい。超金持ちという設定にもマッチしていますしね。


「SHOW BY ROCK! ! 」ARCAREAFACT 1st Mini album「エン.../ARCAREAFACT

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 本作の中で特にお気に入りなのは01.「マイラスファイ」と04.「ステイリアル」なので、この二曲をレビューしていきます。実は両曲ともデジタルリリースでは去年のナンバーですが、そこは大目に見てください。笑

 「マイラスファイ」は、基本的にはバンドの持つスタイリッシュなイメージでアウトプットされたクールな楽曲でありながら、サビの雄々しいコーラスが醸しているアンセム感のギャップが堪らないです。

 歌詞も格好良くて、"伝えたい鳴りやまない/ビットレートのハイウェイ"は現代らしい捻った表現で好きですし、"Sing A 殴り書きの Song/エイトビートに乗せて"のところはアレンジが歌詞にあわせて明瞭になる遊び心があって凝っていますよね。Cメロバックのドラムとバイオリンの掛け合いによるサウンドスケープもただ美しい。


 「ステイリアル」は何をおいても疾走感が素晴らしいです。ライミングとフローの良さでスピーディーなAメロ、メリハリのある演奏でアクセルを踏み込むB、同一フレーズのリピートで畳みかけるサビ、思考の奔流が独白となって出たようなCと、何処をとってもハイスピードで気持ち好い。

 まさに「リアル志向(思考でも可)」を体現していると言える、"高尚に見える物も/くだらなく見える物も/笑顔に繋がればいい"という歌詞にも共感出来ます。


☆ ラブライブ!シリーズ

 当ブログに於ける2017年の『ラブライブ!シリーズ』(以降『ラブライブ』)関連のレビュー記事は、新譜としては一本もありません。今年は『ラブライブ!サンシャイン!!』の二期が放送されたので関連楽曲のリリースも多かったのですが、何となくレビューの機会を逸していました。

 「今日の一曲!」では「Angelic Angel」を今年取り上げていますが、これは先代(『無印』)による2015年の楽曲なので当然ですがここでは除外します。ただ、当該の記事には『ラブライブ』との出会いが簡単に書いてあるので、レビュアー(僕)のスタンスを知る一助にはなるかと思います。

 リリースが多い且つ気に入った曲も多いためここで何を取り上げるか迷いましたが、アニメ関連シングルおよびナンバリングシングルからではなく、ユニットシングルから「GALAXY HidE and SeeK」を、デュオトリオコレクションCDから『SUMMER VACATION』収録曲を、それぞれ見ていくことにします。前者は曲単体で非常に気に入ったから、後者はシングルとしての完成度が高いと感じたからのチョイスです。




 ミニユニット・AZALEAの2ndシングル曲「GALAXY HidE and SeeK」、まずは歌詞の切ない世界観にやられました。"もしかして本当のわたしは/地球じゃないところで生まれたかも"という常識から外れた疑いの立ち上がりから、"ココだよって誰かの声が聞こえる/優しいその声で 導いてください/それだけで わたしはこの星のことが/とっても好きになれるみたい"という寄り添い方には、流石畑亜貴さんと称賛を送ります。

 メロディとアレンジもこの切なさを一層駆り立てていて、流星の尾のような真っ直ぐさと儚さを持ったサビメロと、星々の煌めきを思わせるクリスタルなサウンド;特にサビ終わり"I'm calling calling you"に続くメロディアスなシークエンス(イントロと同じもの)には、ボーカルラインから伴奏へのバトンタッチが鮮やかで涙腺にくるものがある。




 続いてAqoursの非ナンバリングシングル『SUMMER VACATION』をご紹介。「デュオトリオコレクションCD」という位置付けの通り、1組のトリオと3組のデュオによる楽曲が収録されています(アクアとしてのナンバーは入っていません)。何れも「夏」をテーマにしたナンバーが収められているのですが、それぞれ異なるアプローチで変化に富んでいるところを高く評価しています。

 音楽への理解が深いトリオによる、ポップでハッピーでまばゆいサマーチューン「夏への扉 Never end ver.」/黒澤姉妹のツインボーカルが艶やかで、情熱的に歌謡テイストな02.「真夏は誰のモノ?」/スティールパンとウクレレが心地良い、地元愛コンビによるゆったり南国ソング03.「地元愛♡満タン☆サマーライフ」/ひと夏の思い出を熱量そのままにEDMと共にパッケージして切なくも格好良い、幼馴染同士による04.「夏の終わりの雨音が」。どれも魅力的に夏を切り取っていて、盤としての完成度が申し分ない。

 最初は僕の懐古的な音楽趣味にドンピシャだった「真夏は誰のモノ?」がヘビロテ対象だったのですが、繰り返し聴いていくうちにEDM全開の「夏の終わりの雨音が」に中毒性を見出してきて、やたらと多いセリフ部も含めてエモくて良いなと思うようになりました。

 特に2番後間奏のセリフパートは、静かなアレンジから軸となっているブチアゲフレーズへの移行に動静の妙がありツボで、その特徴的なフレーズも冒頭・1番サビ後・アウトロのものとは異なり微妙に変化が加えられているので、「単純過ぎて好かないタイプのEDM」の枠を越えてきている点に好感が持てますね。

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☆ 戦姫絶唱シンフォギア

 『戦姫絶唱シンフォギア』(以降『シンフォギア』)については、直接的には関係のない記事にて度々作品名を出すことはしていましたが、単独記事は作ったことがないので作品語りから始めます。なるべく手短に済ませますが、自己満パートなので読み飛ばしても子細無しです。

 まず出会いとしては、1期の再放送から観始めたので後追い組になります。僕のアニヲタとしての遍歴は現在第二次にあたり、第一次の終わりからカウントすると8年のブランク(2007~2015年)があるのですが、ブランク期に放送されていた作品の中では特に観たいという思いが強かったので、TVでの再放送は有難かった。音楽+アニメ好きという立場から食指が動いたわけですが、実際に観たら想定以上にツボでドハマリしてしまいました。

 音楽自体の良さについては後程たっぷりふれるので今は扨措くとしても、作中に於ける音楽の意味合いや重要性、「細けぇことはいいんだよ!」と聞こえてきそうな勢いのある展開と派手な画作り、次々に飛び出す心震わす名言に、時代考証を敢えて無視したような独特の言葉遣い(語彙選択)の面白さ、神話やオカルトに明るいと一層味わい深いネーミングセンスと、どれも僕の琴線を鷲掴みして離さないのです。

 より個人的な好みに走ると、キャラクターがとにかく全員可愛いところもグッときます。笑 内面的なキャラメイキングは勿論ですが、ここでは作画やキャラデザの域にまで嗜好が及んでいるという点を以下に解説。昔から、いかにも「二次元の美少女です」といった風の、線が細くてパステルな色彩の描き方(一昔前のギャルゲーっぽい感じ?)があまり好みではありませんでした。むしろ太い線でむっちりとした輪郭を保ち、テカテカしたビビッドな着色が施されている(強いアニメ塗り?)ほうが好きだったので、その観点では『シンフォギア』のビジュアルは神懸っていると思っています。

 こうしてあらゆる方面から僕の心を奪っていった『シンフォギア』ですが、人気シリーズゆえ今年は四期にあたる『AXZ』の本放送がありました。時を同じくして二期&三期の再放送も2話/1週で始まり、アプリゲームの『XD UNLIMITED』でストーリーも追えたので、同時並行でなんとか五期(制作決定済)待機組に追いつくことが出来た状態です。





 ぼちぼち話を音楽に戻しますが、四期まで全て鑑賞した結果、主題歌およびキャラソンも名曲揃いだということがわかったので、BD付属の特典曲以外にはとりあえず全て手を出しました。アルバムがないので地味に大変でしたが、参考までにとりわけ気に入っている10曲をリリース順に挙げると…

 「絶刀・天羽々斬」「魔弓・イチイバル」(共に2012)、「烈槍・ガングニール」「Next Destination」「Bye-Bye Lullaby」「獄鎌・イガリマ」「歪鏡・シェンショウジン」(全て2013)、「殲琴・ダウルダブラ」(2015)、「TESTAMENT」「はっぴー すまいる ばけーしょん」(共に2017)

 …というラインナップになります。このうち2017年の楽曲について、ここに挙げた2曲に「Futurism」を加えた3曲を、特に好きなトラックとしてレビューしていきます。


TESTAMENT TVアニメ「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」オープニングテーマ/水樹奈々

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 まずは『AXZ』OP曲の「TESTAMENT」から。ご存知水樹奈々によるナンバーで、『シンフォギア』のOP主題歌は全て奈々様によって歌われており、その全てがハイボルテージな名曲です。上に埋め込んだ作品PVで1コーラスまで聴くことが出来るので参照してください。余談ですが、シリーズを通して奈々様のOP主題歌が良曲揃いな点は『魔法少女リリカルなのは』を彷彿させますね。

 炎のようにゆらっとしているAメロも素敵ですが、そこから鼓笛隊然とした(元々の軍制的な趣があるという意味)律されたBへのシフトが鮮やかで素晴らしい。安定の奈々語(独特の読み方)を含む、"暗闇―沈黙―を切り裂いていく/稲妻のように高らかに"という歌詞にも鼓舞されます。

 奈々様は風鳴翼のCVとしてもメインキャストで参加なさっていますが、個人的には最もハマリ役だと思っています。歌手としてのキャリアも長いので、やはり歌唱するキャラが板に付くと感じるんですよね。防人という形で日本的なアイデンティティが付与されているのも良くて、元々演歌歌手を志していた奈々様にぴったりではないでしょうか。「恋の桶狭間」(2013)を初めて聴いた時は、「中の人の趣味やんけ!」とにやけたぐらいでしたし。笑


Futurism(期間生産限定アニメ盤)/高垣 彩陽

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 続いて『AXZ』ED曲の「Futurism」を紹介。雪音クリスのCVとしてもメインで参加なさっている高垣彩陽さんのナンバーです。OP主題歌は奈々様、ED主題歌は高垣さんというのが『シンフォギア』の定番で、ED曲も全て良曲と言えます。最も好きなのは上掲のラインナップで名前を出した「Next Destination」(二期ED曲)ですが、「Futurism」もそれに迫るぐらいお気に入り。

 最も心に響いたパートはBメロで、特に2番のロングBが芸術的だと高く評しています。日本語詞のメインメロディに対して英語詞のコーラスがレスポンスしていくスタイルですが、短い1番Bにはなかった"ナミダの跡は消えないけれど"という新規メロを挟み、"モドリタイ"からワンステージ上昇するところが素敵過ぎる。高垣さんは声楽出身らしいですが、専門的に音楽を修めた人の技術と凄みが宿っている気がしました。あとは2番Aで響く木管の切なさも地味に好きです。

 またもキャラ語りで締めますが、『シンフォギア』キャラの中ではクリスが最も好きです。口調は荒くて行動もアグレッシブだけれど、育ちや根に令嬢が見えるキャラにはどうにも弱い。加えて、技名を洋楽バンドから取っているところも音楽好きとしては愛さずにいられない。クリスに限らず固有技のネーミングに一定の法則性があるところと、カットイン演出があるところも『シンフォギア』の燃えポイントだと思っています。


戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング5/暁切歌(茅野愛衣)

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 最後に『AXZ』キャラソンシングルから一曲レビュー。キャラソンも名曲が揃い踏み状態ですが、『AXZ』では暁切歌の『デンジャラス・サンシャイン』のc/w「はっぴー すまいる ばけーしょん」が最も気に入りました。表題曲も好きですけどね。

 いきなり"ハッピーにゃっぴー/デス Desu デデース!"からの"(デス☆×7 デデース♪)"で脳がやられる。笑 語尾「デス」キャラは数多くいれど、切歌の「デス」は表情が豊かで癖になります。「おきてがみ」(2015)やアプリゲーム内実装カバー曲の「サンタが街にやってくる」(2017)も、「デス」の使い方が鮮やかで好みの楽曲群です。

 タイトル通り"夏休み"の歌ですが、夏祭りをイメージしてか和風のメロディとアレンジで構築されています。といっても安易に和楽器サウンドにはせず、ピコピコさせているのが技巧的に感じる。旋律としては、サビ中盤の"いま、今日を笑うのデース"のところが切なく綺麗で少しうるっときてしまいますね。


☆ プリキュアシリーズ

 『プリキュアシリーズ』(以降『プリキュア』)も当ブログ上での扱いは『シンフォギア』と同じで、直接的には関係のない記事にて度々作品名を出すことはしていたものの、単独記事は作ったことがないというタイプの作品です。従って、またも作品語りからスタートさせることになります(読み飛ばし支障無しも据え置き)。

 僕のアニヲタ遍歴に第一次と二次およびブランクがあることは先述しましたが、第一次は2004~2007年なので出会いは初代『ふたりはプリキュア』でした。同名を冠している3作目までは続けて観たので、一応古参っちゃ古参なのかなと思っています。

 しかしここから8年のブランクに入るのでこのアドバンテージ(?)は意味をなさなくなる。アニヲタに出戻ったのは2015年夏ですが、『プリキュア』は2月に作品が切り替わるため当時のは既に追えず、改めて『プリキュア』に復帰したのは2016年(13作目)の『魔法つかいプリキュア』でした。

 再びハマったので過去作も観たいと思っていたところ、南関東(1都3県)のU局に大いに助けられることに。常に何かしら『プリキュア』の再放送が行われているので、全局駆使して【7, 8, 10, 11, 12】作目は通して観ることが出来、現在は【4, 9, 14(当代:本放送)】作目を観ています。これで残すは【5, 6】作目と劇場版のみです。映画はCSに頼るしかなさそう。



プリキュア オープニングテーマコレクション2004~2016(期間生産限定盤)(DVD付)/アニメソング

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 内容を語ると長くなるので省きますが、複数作品を観てわかったことは「主題歌の素晴らしさ」です。『プリキュア』の幅広い人気の要因のひとつに「音楽に力を入れている」ことがあるのは、知識としてはブランク期にも認識していたのですが、それを身を以て実感することが出来ました。参考までにお気に入りのナンバー10曲をリリース順に挙げると…

 「ハートキャッチ☆パラダイス!」(2010)、「#キボウレインボウ#」(2011)、「イェイ!イェイ!イェイ!」(2012)、「Happy Go Lucky!ドキドキ!プリキュア」「この空の向こう」「ラブリンク」(全て2013)、「プリキュア・メモリ」「パーティ ハズカム」(共に2014)、「Miracle Go!プリンセスプリキュア」(2015)、「レッツ・ラ・クッキン☆ショータイム」(2017)

 …というラインナップになりました。10年代以降に集中していますね。ここではTVシリーズの主題歌に絞りましたが、キャラソンが非常に充実しているのも『プリキュア』の特徴です。しかしそれらについてはまだ全てを網羅しきれていないので、下手に語るのはよしておきます。

 ということで、ここでは2017年の作品;つまり14作目にあたる『キラキラ☆プリキュアアラモード』の主題歌に絞って紹介することにします。




 まずはOP曲「SHINE!! キラキラ☆プリキュアアラモード」から。この曲は二つのサビで層になっているようなところが好きです。作品コンセプトに沿えば、ケーキやミルフィーユのようなとでも表現しましょうか。

 "ボンボン セシボン"のところを第一サビ、"Let's Go! Let's la 前進!"のところを第二サビと便宜上定義しますが、甘い匂いが漂ってきそうな程にひたすらにスイーツでポップな第一サビと、ニチアサらしい勇敢さを兼ね備えた美メロの第二サビが、"ホイップステップジャンプ&SHINE!!"というキャッチ―なフックで繋がるというシークエンスに、子供心を掴む素直さとクリエイターを唸らせる作曲術が共存していると感じるので、流石『プリキュア』楽曲だと評するほかないですよね。




 続いて前期ED曲「レッツ・ラ・クッキン☆ショータイム」。ご機嫌なブラスによる跳ねたアレンジが聴き処のひとつだと思いますが、その豪華な質感を活かしたサビの旋律が非常に好みです。前半("生クリーム"~"(バイバイ)"のメロは、それだけを取り立てたら少し地味だと感じるぐらいなのですが、伴奏と混然一体で聴くととても味わい深くなるところが素敵。

 そこから続く後半部("「大好きが」"~)では、今度はアレンジが控えめになってメロ自体の綺麗さが際立つので、この三次元的な編曲に称賛を送ります。

 あとは歌唱を担当している宮本佳那子さんの通る声も良いですね。細かいツボを指摘すると、Bメロの"プレート"の発音がやけに耳に残って好きです。[プ]と[レ]の連続というのは日本語というか大和言葉および漢語にはない気がするので、ミュージカル出身らしいはっきりとした発声(モーラを目立たせる感覚)がギャップを生んでいるのかも。

 彼女は『Yes!プリキュア5』の主題歌も担当していましたが、当時から特徴的なボーカルを見せているので持ち味なのでしょうね。まこぴーのCVも好きだったし。笑




 最後に後期ED曲「シュビドゥビ☆スイーツタイム」をご紹介。歌っているのは前期と同じく宮本さん。最初はそこまで好きではなかったのですが、何回も聴いているうちに虜になってしまいました。通年アニメのメリットと言えるかも。

 ビートのパターンだけを見ればわかりやすいダンスチューンなのですが、側の装飾(サウンド)はジャジーあるいはファンキーと形容したくなる趣を持っているので、単純なノリと複雑なノリが混在しているところが格好良いのだと分析します。

 そして2番以降の展開のプログレッシブさも特筆すべき点です。女児向けアニメの主題歌らしからぬメロの多さにR・O・Nさんのチャレンジ精神を見た気がしますが、作品コンセプトがこの複雑性を許しているのだと分析します。他の『プリキュア』でここまでごった煮の展開にしていたら、おそらくピンとこなかったでしょうから。

 歌詞では"バリバリです(おっおー)/シャルウィーダンスですよ(れっつごー)"のパートがアホっぽくて好みです。笑


● おわりに

 以上、「2017年のアニソンを振り返る・Part.1/5【アニソン+編】」でした。冒頭の説明パートでも断っておきましたが、Part.1から特殊なまとめ方の記事になってしまいすみません。

 「音楽自体も好きな作品」を軸に6作品を取り上げ2017年を振り返ったので、音楽レビューとしての質は5記事の中で本記事が最も高い気がします。残りはこれから執筆するので何とも言えませんが…


 Part.2は【2017年冬アニメ編】で、以降【春/夏/秋編】とクール毎に記事を分けて続けていきます。作品数が増えるのでより雑多な内容になる予感がしますが、その分一曲あたりの言及量をセーブしていくつもりなので、文章量としては本記事より短くなるはずです。

 おそらく年内の記事アップはこれ以上望めないので、Part.2~5は来年に持ち越しとなります。2018年冬アニメが始まる前に2017年を気持ち良く総括したかったのですが、思わぬトラブル(前記事参照)が憎いですね。


● 謝辞

 結果的に本記事が2017年のラストとなるのでこの場を借りて書いてしまいますが、今年も一年当ブログをご愛顧いただきありがとうございました。

 長文且つ込み入った内容の記事ばかりなのでコメントもしにくいと自覚していますが、そんな中でもコメントをくださったり、メッセージでリアクションを返してくれたりする方がいらっしゃるので、非常に励みとなっています。

 また、某SNSサイトにて記事を紹介してくださる方も時々いらっしゃるようで、短縮URLからの流入が異常に多い時には恥ずかしながらエゴサをして密かにニヤニヤしています。笑 リブログ(Amebaの機能)やSNS共有ボタンは非表示にしていますが、別に共有自体を否定しているわけではないので、悪意がないものであれば歓迎です。

 誰というかどの記事とは言いませんが、中には楽曲製作者本人から間接的にリアクションをいただけたこともあり、レビューのし甲斐がある良い時代になったなと実感しているぐらいですから。めちゃくちゃ驚きましたけどね。笑

 加えて、サーチコンソールの膨大な検索クエリも定期的に確認しているので、当ブログに流れ着いた多くの音楽好き達のことも心強く感じています。音楽的な知的欲求を少しでも満たせていたら幸いです。


 長々と書きましたが、以上をもって謝辞とさせていただきます。良いお年をお迎えください。