2017年のアニソンを振り返る・Part.2/5【冬アニメ編】 | A Flood of Music

2017年のアニソンを振り返る・Part.2/5【冬アニメ編】

 注意:『YouTube』動画の埋め込みが多いため、読み込みに少し時間がかかると思います。


● はじめに

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。年を跨いでしまいましたが、「2017年のアニソンを振り返る」シリーズのPart.2です。企画の趣旨はPart.1にて説明済みですが、「2017年にレビューし損ねたアニソンを紹介する記事」という理解で相違ありません。

 Part.1はクールに依存しない特殊な内容でしたが、Part.2からは2017年をクール毎に分けて振り返っていくので、まとまりとしては理解しやすいかと思います。ということで、本記事では「2017年の冬アニメ(1月~3月)に関する楽曲」がレビューの対象です。


● 注意事項 (Part.2~5で共通*)

 まず当然ですが、レビューの対象となるアニメは「2017年に新しく放送が始まったもの」に限ります(厳密に言えば「地上波初放送作品」)。再放送作品はたとえ初見であっても対象外です。
 
 次に対象となるアニソンについて、これは基本的に「最終話まで鑑賞したアニメの楽曲のみ」とします。未鑑賞あるいは途中で切った作品には言及しないので悪しからず。

 最後に特殊例として、2クール以上継続するアニメ(の楽曲)への扱いを述べます。ルールは一点、「開始クールの記事の中で、後続クールの楽曲にもふれる」です。

 例えば2017年1月開始6月終了(冬~春)アニメの場合、新OP曲など後続(春)クールからの楽曲のレビューも、冬アニメの記事にて行うことになります。これは同一作品に関する楽曲への言及が、複数記事に分散するのを防ぐための配慮です。

 *以降は本記事(Part.2)のみに適用される例外処理(=レビューの対象外とする作品の例示)です。①2016年から引き続いている作品。②『プリキュアシリーズ』:Part.1にて言及済みであることに加え、扱い的に通年アニメ>冬アニメゆえ。③『昭和元禄落語心中―助六再び篇―』:OP曲のレビューは行ったものの、アニメは未視聴ゆえ。


● レビュー済みの作品一覧

 先述の通り「レビューし損ねた」が題目に含まれるので、当ブログにて既にレビューを行ったものについては、以下に当該記事へのリンクをしておくことで振り返りの一環とします。要するに以下のラインナップは、個人的なヒットチャートですね。

■ ようこそジャパリパークへ / どうぶつビスケッツ×PPP
    『けものフレンズ』OP曲
■ 青空のラプソディ / fhána | イシュカン・コミュニケーション / ちょろゴンず
    『小林さんちのメイドラゴン』OP曲|ED曲
■ ハレルヤ☆エッサイム / ガヴリール、ヴィーネ、サターニャ、ラフィエル
    『ガヴリールドロップアウト』ED曲
■ 夢路らびりんす / らびりんず
    『うらら迷路帖』OP曲


● 対象作品とクールの総評

 ここからがようやく本題です。上掲のアニメ4本も含めると、2017年冬クールは都合15作品を観ていました。2017年の中ではいちばん視聴本数が少なかったクールですが、残りの11作品を英かな混在のあいうえお順で書くと…

 【『エルドライブ【ēlDLIVE】』、『CHAOS;CHILD』、『クズの本懐』、『セイレン』、『亜人ちゃんは語りたい』、『にゃんこデイズ』、『BanG Dream!』、『風夏』、『南鎌倉高校女子自転車部』、『幼女戦記』、『リトルウィッチアカデミア』(2クール)】

 …となります。何を差し置いても『けもフレ』の衝撃抜きには語れないクールでした。それも含めて何処かの記事で書きましたが、「人外アニメが熱い」クールだったとも思います。*ここで言う「人外」は、最狭義の意味(参考:『ピクシブ百科事典』)での使用です。

 あとはバンドモノが2本あったのは音楽好きとしては注目点でしたが、残念ながら両作とも僕の趣味には合いませんでした。片方は単なる好みの問題ですが、もう片方はいくつかの具体的な不満点のせいなので、それらが改善されれば今後好きになることもあるかもしれません。…ディスり気味ですが、最後まで切らずに観たことはそこまで嫌いでないことの証左ゆえご容赦を。

 簡単に総評を終えたところで、上掲のアニメラインナップ(15本)に関する楽曲から、気に入っているけれどレビューし損ねたものについて、順不同で言及していきます。とは言いつつ雑多にふれるのもなんなので、ある程度のまとまりを持たせたカジュアルな見出しに沿って書き進めていきます。


☆ 主題歌は揃って良曲だと嬉しい!…の件

 最初は「レビュー済みの作品一覧」の中から、言及していない方の主題歌を見ていきます。OP曲に対してED曲(あるいはその逆)を紹介するという意味です。見出しの通り、どちらか一方が良曲だと他方の質も高いというのはままあることだと思っていて、2017年冬クールの作品もその例に漏れずという感想を持っています。




 まずは『けものフレンズ』ED曲、みゆはんの「ぼくのフレンド」から。彼女は同作品に声優としても参加していたので、キャラソンアルバム『Japari Café』収録曲についてはレビュー済みですが、OP曲と共に2017年のヒットソングと言っても過言ではない同曲にふれないわけにはいかないでしょう。

 彼女自身が作詞作曲歌唱を全て熟しているという、所謂シンガーソングライターによるナンバーであることを第一に評価します。女性ソロ歌手によるアニメ主題歌はごまんとありますが、歌い手が自ら手掛けた楽曲がヒットすることはそう多くない印象なので貴重ではないでしょうか。声優としての出演もあるおかげで、無関係なタイアップになっていないところも好感触です。

 メロディの切なさも味わい深いですが、歌詞の素敵さこそ特筆すべき点だと思っています。アニメの内容に寄り添った優しい内容でありつつ、フルで聴くと「卒業(別離)ソング」として等身大の思いの丈が込められているとわかるという、二度おいしい内容。"つまりはこれからもどうかよろしくね"という一節は、シンプルながら多層的な感情を内包していて心動かされます。




 続いて『ガヴリールドロップアウト』OP曲、「ガヴリールドロップキック」をご紹介。歌っているのはED曲と同じく、メインキャラ(声優)の4名です。前山田健一(ヒャダイン)による楽曲ですが、個人的に彼のナンバーに関しては好き嫌いが激しいので、僕の中では未だに評価が定らないという珍しい御仁。笑

 こうして紹介しようと思えた以上、同曲は好きの部類に入ります。氏お得意のはちゃめちゃ展開と僕が好むプログレッシブさとのカウンターバランスに加え、どこまでメロディアスか(台詞然としたパートが過剰でないか)というのが彼の楽曲に対する評価の肝なのですが、加点と減点を繰り返して最終的には好きに傾きました。作品自体がギャグだから、その懐の深さがアシストした面もあるかな。




 最後に『うらら迷路帖』ED曲、Luce Twinkle Wink☆の「go to Romance>>>>>」にふれます。アイドルグループによるナンバーですね。CMを見る度に覚えにくいネーミングだと思っていましたが、案の定覚えておらず再検索となりました。笑 最初が「ルーチェット」だったらリズムとして気持ち好いのにと思います。

 それはさておき、楽曲自体はキャッチーでなかなか好みです。作曲者は大隈知宇さんで、彼の楽曲については2016年の振り返り記事の中(「Eyecatch! Too much!」)でも「メロディがいい」と褒めているので、好みの作曲センスの持ち主なのだと思います。作詞者のくまのきよみさんも、僕の第一次アニヲタ期(2004~2007年)ではよくお名前を見かけた方なので、安心の布陣ですね。


☆ 格好良い系が不足しているのを補おう!…の件

 ここまでに紹介してきた「レビュー済みの作品一覧」に関する楽曲は、どちらかと言えば可愛い系に類するトラックが多かったため、格好良い曲も紹介しておこうというコーナーです。




 まずは『CHAOS;CHILD』OP曲、いとうかなこの「Uncontrollable」から。ひとつ前のシングル『聖数3の二乗』は一昨年にレビューしているので、参考までにリンクしておきます。前作に引き続き、ダークでスピーディーなトラックメイキングに痺れました。イントロを含め、所々で和風のサウンドが顔を覗かせるというギャップも面白いです。

 アニメは最終話まで真面目に観たつもりなのですが、正直意味がわかりませんでした。胸糞の悪いシーンだけが頭に残っている。原作ゲームは面白いようなので、見せ方の問題なのでしょうか。1話が前作のダイジェストというのは別に構わない…というか1話にエピソードゼロ的な突飛な話が来るのは嫌いじゃないんですけどね。




 続いて『幼女戦記』OP曲、MYTH & ROIDの『JINGO JUNGLE』をご紹介。『けもフレ』を除けば、2017年冬クールでいちばん面白く観ていた気がします。異世界転生モノには違いないのですが、珍しく嫌いではありませんでした。

 無双出来る知識や有能さが仇となって、主人公が望む悠々自適の生活からどんどんかけ離れていくという、しっぺ返し的な要素があるから観ることが出来たのだと分析します。笑 存在Xという更なる上位存在が居るのも、ブレーキ(或いは外部のアクセル)になっていて良い仕組みだったと思う。

 話を曲に戻して…厳しい作風そのままのハードなサウンドに血が滾るナンバーです。ボーカルに施された過剰なまでの荒々しい処理、乱高下の激しい独特なメロディに、血風荒ぶ冷たく鋭利な空気に切り刻まれたかのような剥き出しのアレンジと、作品のためのアニソンとしてはこの上なく適切だと評します。古い用語だとは思いますが、デジロック的な音遣いも個人的に高評価。

 'jingo'(好戦的愛国主義者)という単語はこの曲で初めて知ったのですが、苛烈な意味合いでありながら、「JINGO JUNGLE」という曲名は字面と音韻が鮮やかで巧いと思いました。




 最後に『エルドライブ【ēlDLIVE】』OP曲、+α/あるふぁきゅん。の「Our sympathy」にふれます。歌い手出身歌手によるナンバーですね。パワフルな歌声にマッチした勢いのあるメロディが、実にアニソンらしくて格好良いという素直な評価です。特にサビの畳み掛けるような盛り上がりを見せる旋律が好き。

 アニメの内容自体は可もなく不可もなくというか、少年漫画原作らしいストレートな作りだったと記憶していますが、場面切替(トランジション)に人物や小物を使うのをあまりにも多用し過ぎていて、画面がうるさいと感じたことも覚えています。ほどほどにしてほしかったですね。


☆ セイレン

 ラストはそのまま作品名を見出しに。OP曲は真っ当に、ED曲(の一部)はネタ的に紹介します(=オチ担当)。笑

 先に一応断っておきますが、『アマガミ』や『キミキス』は全く知らない人の感想です。制作陣の…というか狙っているラインのフェチ描写の一部には、なかなかに攻めた内容のものもあったので、その精神や良しと思って細かいことは気にせずに観ていました。




 OPには奥華子によるナンバー「キミの花」が書き下ろしで提供されています。某不動産会社のCMソングで存在を認知している方も多いと思われますが、『時をかける少女』(アニメ映画)の主題歌「ガーネット」(2006)でも有名ですよね。この印象のせいか意外に思ったのですが、TVアニメの主題歌を担当するのは彼女にとって初のようです。

 僕の中でこの「キミの花」という楽曲は、リリース時に普通にレビューしなかったことを後悔しているほどに、後からじわじわと評価が上がっていくタイプのナンバーでした。最初はすっと聴き流してしまっていたのですが、繰り返し聴くうちにメロディの綺麗さ(それこそ清廉さ)に気付き、いつの間にやら涙腺が緩んでいるというプロセスを経て、大好きになったという次第。

 中でも特に好きなのは、曲を通して一度しか出てこない冒頭の旋律です("もう僕のこの胸は"~"何度でも")。「サビメロ(の一部)がトップに来てからAメロが始まる」のであれば別段珍しくない構成ですが、稀にこの曲のように「独立したメロを経てからAに入る曲」があり、この技巧的な楽想にはっとさせられました。

 補足:「サビメロではないけれど特徴的な旋律から始まってAに入る」というだけなら、他のアニソン(特に日常系作品の主題歌によくあるわちゃわちゃした楽曲)でも常道ですが、その場合大抵中盤かラストでもう一度か二度はその特徴的なパートが再度出てくることが多い気がします。その点、「キミの花」の冒頭メロは本当に一度しか出てこないので、その儚さを評価しているという意味です。




 「オチ担当」とあおってしまったED曲とは、桃乃今日子(CV:木村珠莉)による「恋のセオリー」のことでした。オムニバス形式のためED曲も複数あるのですが、今日子編のED曲として9話~11話で使われたナンバーです。ちなみにc/wで12話ED曲の「ふたりふわりら」の作曲者は、「go to Romance>>>>>」の項でお名前を出した大隈さんだということもせっかくなので書いておきます。

 さて、一体この曲の何が「ネタ的」という表現につながるのかと言えば、サビが桑田佳祐の「波乗りジョニー」(2001)によく似ているからです。笑 同様の指摘は多く見られ、比較動画という名のマッシュアップまで作られています。誤解しないでほしいのですが、僕はこれを「パ○リだ!」と糾弾するような意味合いで「似ている」と表現しているわけではありません。単なる印象を書いただけで、他意はないことに留意してください。

 有名ヒットソングに似ているということは、それだけキャッチーなポテンシャルを秘めているということでもあります。それが底抜けにガーリッシュな歌詞とキュートなボーカルで彩られているので、キュンとしてしまうのは必至です。

 "少女マンガみたいに 騒がしくなるオノマトペ"、"痛いくらいふくらんだ 育ちざかりの恋を どうしよう"、"急に照れたように うつむかないで 嬉し恥ずかしファンファーレ"。これらは歌詞中のお気に入りフレーズを一部抜粋しただけですが、どこを切り取っても甘い言葉の連なりになっているところに、作詞者である岩城由美さんの可憐なセンスを感じられますよね。

 前述の通りサビメロに耳目が集まっていますが、甘酸っぱいBメロの美しさこそがもっと評価されるべきだと思っています。アレンジ面では、Aメロバックで途中からインしてくるバンジョーのような音が好みです。奏で方がそれっぽいだけでそもそも弦楽器ではないような気もしますが、ともかくハッピーな音遣いが素敵だとまとめておきます。


● おわりに

 以上、「2017年のアニソンを振り返る・Part.2/5【冬アニメ編】」でした。以降も本記事のスタイルがテンプレートとなるので、このような感じで【春/夏/秋編】と続いていくとご理解ください。Part.3/5【春アニメ編】へのリンクはこちらです。