聖数3の二乗 / いとうかなこ | A Flood of Music

聖数3の二乗 / いとうかなこ

 いとうかなこの29thシングル『聖数3の二乗』のレビュー・感想です。TVアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』の主題歌(OP曲)およびTVアニメ『侍霊演武:将星乱』のイメージソングが収録されています。

聖数3の二乗/アニプレックス

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 今期は割と面白いアニメが多く嬉しい限りなのですが、中でも『Occultic;Nine』は上位に入る作品のひとつで、そのOP曲である「聖数3の二乗」を目当てに購入しました。配信で買おうかとも思ったのですが、何か関連商品を手元に置きたいと思ったのでCDで入手。アニメイトで買ったらジャケ絵(pako)のポスターがもらえたので結果良かったです。

 いとうかなこの楽曲は11thシングル『スカイクラッドの観測者』と15thシングル『Hacking to the Gate』しか持っていないので今作が3枚目。このラインナップだと『STEINS;GATE』のファンだと思われるでしょうが、残念ながらシュタゲについてはよく知りません。歌だけ知っていて格好良いと思ったから所持していました。

 『Occultic;Nine』もシュタゲと同じく志倉千代丸が手掛けた作品で、楽曲の作詞作曲も氏によります。編曲もお馴染みの礒江俊道なので手堅い制作布陣ですね。ということでさっそくレビューに入ります。





01. 聖数3の二乗

 概要は上で説明した通りですが、TVアニメ『Occultic;Nine』の主題歌(OP曲)です。そのOP映像がとても素晴らしいので埋め込みたかったのですが、生憎公式にはアップされていないようです。

 Aメロのダーティな雰囲気からBメロの流麗な旋律への流れがとても好みなのですが、それに比べてサビがややポップすぎるきらいがあるなというのがアニメで初聴したときの印象でした。しかし何度か聴いているうちにサビのキャッチーさも悪くないかもと思い始めました。

 A→Bの流れから入ると物足りない気がしても、間奏→落ちサビ→ラスサビの流れで聴くとサビのメロディもいいなって思えるんですよね。…と、若干サビをディスるような表現になってしまいましたが、そう感じるほどA・Bメロが素晴らしいということをここでは伝えたい。

 特にBメロがめちゃくちゃツボで、この曲を欲しいと思った理由でもあります。今回レビューするにあたり志倉千代丸のwikipediaを見て知ったのですが、Bメロメイキングに特筆性があるというかこだわりがある方なんですね。納得の旋律。



 Bメロは英語詞のはまり具合もさることながら、いとうかなこの独特な癖の残る歌声が、螺旋を描き墜落していくような旋律によく馴染んでいると感じます。ここは歌詞も含めオカルト要素が前面に出ているパートだと思う。人智を超えた力が及んでいるというか舞台装置が動いているというか、人間が翻弄されている様が描かれている気がします。

 Bを"オカルト(要素)"と表現しましたが、そういう見方でいくと、Aが"群像劇"でサビが"サスペンス"だと感じました。『Occultic;Nine』の三要素。

 Aの歌詞はいくつかの単語が"「 」"で括られていて、構成要素を列挙しているように読み取れるのですが、それが特定の主人公のものというよりは多くの人間の共通意識のように思え、そういうところが群像劇っぽいなと。陳ねた感じのする歌詞にダーティなメロディというのも、舞台である吉祥寺ひいては東京を感じさせて好きです。

 サビについては、ここまでポップすぎるだのキャッチーさがどうだの言いましたが、サスペンス感を醸していると捉えれば理解しやすいと思いました。怯えつつも状況を打破し真実へ近づこうとするプレイヤー心が落とし込まれているならば、突き進むようなわかりやすさこそがアニメのサビとしてはぴったりですもんね。


02. 侍霊演武

 "ソウルバスター"と読むらしいです。TVアニメ『侍霊演武:将星乱』のイメージソング。これも今期アニメですが未視聴なので作品に絡めたレビューはできません。

 いとうかなこと礒江俊道の共作で、電子音とビートの主張が大きいダンサブルなつくりになっています。Aメロはあまり起伏がなく大人しめですが、Bから俄にメロディアスになり、サビで疾走感を纏って流れていくような曲です。バスター感があると表現してもいいかも。

 歌詞は中国原作を意識したのかパッと見漢字が多め。少し厨二っぽい感じもしますが、バトル漫画らしい歌詞でいいと思います。


03. G.O.S.

 タイトルは"Graviry of Steel"のことだそうです(歌詞カードに書いてありました)。c/wはタイアップありのキャッチーな前2曲とは異なり大人っぽいムーディな曲。作曲は神保伸太郎(編曲は+伊東ヒロム)。

 助詞は少な目で単語をつなげて世界観を表現する作詞スタイルがとられています。"テールライト"や"ルームミラー"など車にまつわる語が登場するので、雨夜の高速道路で滲んだウィンドウから乱反射する光を眺めているような情景が目に浮かびます。

 全て日本語詞ですが、メロディとコーラスアレンジの妙で独特な耳馴染みです。


 04.~06.は、01.~03.の(Off Vocal)です。気付いちゃったんで書きますが、歌詞カードでは"Voval"になっていますね…帯のはあってるけど。


 以上3曲でした。レビューする際はもちろん何度も聴きながら書き進めているのですが、3曲とも聴けば聴くほど味が出ますね。アレンジの細かさに気付くというよりは、メロディ自体の良さが際立ってくる感じ。


 アニメ自体にも少しふれて締めとします。改めて言いますが『Occultic;Nine』は毎週かなり楽しみにしています。群像劇、時系列シャッフル、オカルト、東京が舞台など個人的に好みの要素が詰まっているのでまんまとはまってしまった。日本語題に英語副題が付くのもツボ。

 群像劇というだけあってメインキャラも多く、皆それぞれ魅力的なのですが、特に刑事の森塚みたいなキャラ好きです。何の作品でも刑事・探偵的な立ち位置のキャラ好きなんですよね昔から。あとは亞里亞と日下部のコンビも一気にオカルト度が増すので出てくると嬉しい。

 CMで我聞に「アニメだけ見て理解した気になってるとかワロス」みたいなことを言われた気がするんですが、原作にも手を出そうか悩んでいます。ラノベは久しく買っていないけど、幸いまだ2巻だし話が整理しやすくなるかなと思って。あまり手を出すことはないけどコミカライズもあるみたいですね。

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 ここでこんなことを書くと嘘くさいと思われるかもしれませんが、そろそろこの記事を書き終えるという頃になって、いきなりPCが固まりディスプレイの電源が勝手に落ちて、その後何度オンにしてもすぐに切れるという初めての症状に出会しました…

 強制終了するしかないのでメイン電源を落としたら直ったのですが、こんないかにもなタイミングでそんなエラーが起こるなんてオカルトじみている。ディスプレイの電源だけが執拗に落ちるということは"見るな"というメッセージか。ちょうど日下部のことを書いているあたりで固まったので悪魔からの警告?

 別タブで『Occultic;Nine』の公式HPを開いていたのでそれも影響したのかも。…なんにせよ、こんないかにもなことって現実にあるんですね。認識を改めます。