夢路らびりんす / らびりんず | A Flood of Music

夢路らびりんす / らびりんず

 現在放送中のTVアニメ『うらら迷路帖』のOP曲収録シングル『夢路らびりんす』のレビュー・感想です。ここのところアニソンレビューが連続していますがこの記事で一旦その流れは落ち着く予定。

夢路らびりんす [通常盤] TVアニメ「うらら迷路帖」OPテーマ/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

¥1,296
Amazon.co.jp

 意外というべきかやはりというべきか…初回限定盤より通常盤を欲す人が多かったようで、発売日の夜にアニメショップ4店舗を巡ったところ通常盤は全て売り切れでした。初回盤はたくさんあったのに。

 仕方がないので帰ってすぐAmazonでポチりましたが、今見ても初回盤の在庫ありに対して通常盤は残り1点(一昨日までは1~2か月以内発送)なので早く行動に移して正解でした。アニメジャケ強しということかな。

 昨日アップしたアニソンレビュー記事の中でも「今期は良曲が多い」と書きましたが、2017年冬アニメが一通り出揃った段階でいちばんガツンと響いていたのはこの「夢路らびりんす」だったのでリリースが待ち遠しかった。


 アニメも観続けていますが、キャラは可愛いと思うけど面白いかといったら普通という感想です。良くも悪くもきらら枠な印象。個人的にモヤモヤするのは舞台設定がよくわからないところ。

 迷路町は明治~大正の日本をモチーフにした架空の町だと思いますが、日本そのものではありませんよね?完全に架空の世界ならそれでいいのですが、ちょいちょい国名としてフランスが出てくるのでやっぱり現実準拠なの?と気になってしまう。"西洋文化"程度で濁すならわかるんだけど…

 それともこの町自体が『千と千尋の神隠し』的な異界?"迷路町の神様"とか"神様を占ってはいけない"とかはそれっぽい伏線な気がするけども。

 追々説明があるのかもしれませんが、きらら系らしからぬ世界観構築が吉凶どちらに転ぶかわからないあたりがモヤモヤの原因かな。でもこの感覚は占いをテーマにした作品としてはまさに"大正解!"かもね。笑


 若干ディスり気味になってしまいましたが切ってはいないので嫌いではないんですよ。ということでアニメについてはこのへんにして曲のレビューにいきます。

 例の如く先に書いておきますが、らびりんずは作中主要キャラ4人組によるユニットで、千矢(原田彩楓)&紺(本渡 楓)&小梅(久保ユリカ)&ノノ(佳村はるか)により歌われています。


01. 夢路らびりんす



 安定のサビ始まり。キャッチーで綺麗なメロディなのでつかみはばっちりという感じ。歌詞も占いがテーマであるとすぐにわかるし前向きなので作品にぴったり。

 最初の"(あっち!)"でもう分かると思いますが、合いの手のボリュームが大きめに設定されていますよね。ボーカルがか細い感じだから余計にそう思いますが、OP映像でもキャラがカットインしてくる演出があるので意図的でしょう。

 以降もずっと合いの手の絶妙な音量が地味に癖になります。位置がかなりL/Rの端っこ近くまでパンしているのも目立つ要因かな。むしろこのせいで大きく聴こえているだけかも。


 続くカウントアップのパートがめちゃくちゃツボです。昨日アップしたこの記事でも同様のことを書いて予告をしておきましたが、複数人で好き勝手に歌って若干不協和音気味になるのが今期の個人的トレンドみたい。

 これも二行同時進行なのでアニメでは聴き取りにくかったのですが、"ひー ふー みー"じゃない方は"うらうら りゃりゃりゃりゃ とてちてとてとて"に聴こえるなぁと思っていたらまさかのその通りでした。混ざって聴こえていたせいかもう少し意味のある言葉かと思ったのに。笑


 Aメロは千矢&ノノと紺&小梅の2組に分けられ一行ずつ仲良く歌われます。以降でも歌い手が二人のときはこの組み合わせですね。あまりカップリングのイメージがない組み合わせなので声質で決めたのかな。

 ここも綺麗なメロディですが少し切ない響きが加わっているのでストリングスアレンジがよく映えています。あと意外にビートが細かいということは音源で聴いて初めて気付きました。


 Bメロにきて初めてソロの歌声が聴けますがすぐに合いの手が入るのでこの時点ではおあずけを食らった感がある。その合いの手ですが、紺のが"(うむ)"だとは思いませんでした。"(ゔぅ゙…)"に聴こえていたのでてっきり「道を間違えたかも…」的なニュアンスかと。笑

 ここは歌詞に合わせてメインボーカル自体がL/Rにパンしているので合いの手はCにきていますね。いずれにせよ隙間を効果的に使っているので印象に残るのでしょう。


 そしてサビ、ここはOP映像込みで各人の"(るんるんっ)"が可愛いに尽きる。千矢は元気に、紺は真面目に明るく、小梅は悪戯っぽく、ノノは控えめにと個性がきちんと出ています。個人的には小梅の歌い方がいちばん好き。

 ヴィブラスラップを挟んでまたカウントアップが始まりますが、続けて"(かうんとだうん↓↓)"があったとフルで判明。"むー いつ よー"って聴き慣れないからか違和感がある。笑


 2番のあとにCメロがきますが入り方がめっちゃ良いですね。ここまででもストリングスは効果的に使われていましたが、ここで満を持してメインを張ってリズムを刻み出すのが堪らない。メロディもこの曲の中でいちばん美麗だと思うし別の曲のよう。

 Cメロと続く落ちサビはソロで歌われるのでBメロで食らったおあずけが解かれた気がします。ソロの感想としては、ノノの掠れてか細い歌声が"行き止まり 心細い"という歌詞とよくマッチしていていちばん世界観に沿った歌唱だと思いました。

 ラスサビはビートがズッタズッタ走り出したので意表を突かれましたが、祭囃子のようでもあるのでラストの盛り上がりとしては十分ですね。



02. うららか日和の四重奏(カルテット)

 c/wですがとても良い曲です。ここまで存分に01.「夢路らびりんす」の魅力を語ったところで言うのもなんなんですが、もしかしたらこちらのほうが好きかもしれません。目まぐるしく展開の変わる01.も楽しくて良いけど、こちらは一本筋が通っているところが良い。

 歌詞は占いや明治~大正といった作品の特徴によりフォーカスされていて素敵だし、和風ポップ全開のアレンジも作中の世界観にぴったり。これがそのままED曲でも良かったんじゃないかとも思います。「go to Romance>>>>>」も悪くないけどね。


 Aメロはガーリーな旋律とオノマトペの相性が抜群。アレンジも自然と身体が動いてしまうダンサブルな作りになっていてグルーヴ感がある。"桃占郷"という表現も面白くて好きです。

 Bメロには"あんしゃんて♪"が登場しここでもフランス要素かと思いましたが、最新話で明かされた小梅のバックグラウンドを見るにやはり重要な国なんだと思うし、それが読み取れるフレーズと言えますね。ちなみにタイトルの"カルテット"はイタリア語。

 サビはc/wにしておくには勿体無いぐらいのキャッチーさがあります。特にアニソンならばA面にしても大丈夫なぐらいのポップなメロディだと思う。覚えやすい"謎が 謎を 呼びますか?"~のメロと、舞うような"不可思議の迷路も"~の美メロが交互に出てくるのが良いよね。


 2番Aメロはご機嫌なギターにクラップも入ってくるしで、やっぱりダンスミュージック的なのが素晴らしい。三味線?かどうか確信は持てませんがRで和の弦楽器が鳴っているのもいいアクセントですね。

 ここで歌詞に"浪漫"が出てきますが、1番の"乙女"とか"進ぜましょうか"とか或いは以降に出てくる"言の葉"や"吉兆禍福"のように、作品に期待しているようなファクターを思わせる単語が鏤められているのも個人的には高ポイント。


 この曲のCメロもまた作り込まれています。数え歌のような遊び心を含んだ歌詞から始まりますが、"一片"→"二葉"→"三光"ときて"四重奏"に繋げたのには普通に感心してしまった。

 それに続くのが"ぱん・ぽん・ぱ・ぱ・ぽーん"という落差も芸術的だと思う。この曲ずっと堤太鼓がぱんぽん鳴っているしね。今気付いたけどこれってお腹要素か。笑

 ラスサビの"迷うなかれ 矢の先へ"は千矢の名前と関係がある一節かな。存在というか出生が謎だし意味深に思える。



03. 夢路らびりんす~千矢Ver.~
04. 夢路らびりんす~紺Ver.~
05. 夢路らびりんす~小梅Ver.~
06. 夢路らびりんす~ノノVer.~

 03.~06.は「夢路らびりんす」のソロVer.です。メインメロディだけでなく合いの手も全てソロで、そこに個性がよく出ています。

 「千矢Ver.」はより元気になって野生児らしさ増し増し。「紺Ver.」は"ひー ふー みー"をやけにはっきり発音しているのが実に真面目な紺っぽい。

 「小梅Ver.」はいちばん"(うむ)"をしっかり言っているのが好き。ラスサビの"(あっち?)", "(そっち?)", "(こっち!)"をワンテンポ遅らせているのも小梅らしいと思う。全体的に舌足らずでコミカルな印象です。

 しかしいちばん遊んでいるのは「ノノVer.」かな。"(かうんとだうん↓↓)"と"(もうすぐゴール!)"がマツコさんだし。笑



07.~08.は「夢路らびりんす」と「うららか日和の四重奏」の(Instrumental)です。



 以上、カラオケ除いて全6曲でそこそこのボリュームでした。「夢路らびりんす」はフルならではの良さがありましたし都合5パターンも収録されていて満足です。そしてなによりc/wの「うららか日和の四重奏」が予想外の良曲だったのが収穫でした。

 最初は配信で「夢路らびりんす」だけ買おうかと思っていたのですがCDで買って良かったです。冒頭で発売日に通常盤が店舗になかったことについて書きましたが、実はこのことで希少性を意識させられてCD購入に至ったという節はあります。笑