THE STRAIGHT LIGHT / Tokyo 7th シスターズ | A Flood of Music

THE STRAIGHT LIGHT / Tokyo 7th シスターズ

 Tokyo 7th シスターズの3rdアルバム『THE STRAIGHT LIGHT』のレビュー・感想です。2ndから2年の時を経て、待望のリリースと相成りました。いくつかの形態で発売されていますが、本記事では初回限定盤(3CD+DVD)を扱います。


 通常盤と共通内容のDISC 1と2が本作のメインディスクとなり、2nd以降にリリースされたシングルおよびEPの楽曲が、ドラマトラックと『シトラスは片想い』(2018)の収録曲を除いて、全て収められています。各曲の「-OFF VOCAL-」に関しては、プレミアムボックスにのみ付属するDISC 4「Off Vocal Tracks」にまとめられた形です。

 加えて、DISC 1には新曲が8曲(ボーカル6+インスト2)、DISC 2には既出曲のボーカル違いが2曲新録されているので、本作に至るまでに世に出たCDを全て購入しているファンであってもマストバイの内容となっています。また、DISC 3は「t7s OST 1.5 -FORGET ME NOT-」と題されたサントラ盤で、これも本作の初回盤かPBでしか聴くことが出来ないため、プロダクト全体の既出と新出のバランスは大体同じぐらいになっているという印象です。




 このように最大4枚組の大ボリュームなわけですが、当ブログでは今年の2月にナナシス音楽の大全本である『Tokyo 7th シスターズ COMPLETE MUSIC FILE』(2018)の発売を記念した特集記事を書いていて、本作収録曲のいくつかについては既にその中で詳細な言及を行っているので、本記事に於けるレビューの中心は基本的に「新出の楽曲に対してのみ」ということになります。

 更には「今日の一曲!」で取り上げたナンバーもいくつか存在するのですが、いずれにせよ過去のレビュー記事があるものに関しては「そちらを参照してほしい」との旨を書いて、少しでも記事の簡略化に努めた次第です。ただし例外として、過去記事でもふれていない或いは言及に乏しかったものに関しては、既出曲であっても新曲と同等に扱って文章を多く割きました。その際に大全本の内容を再び引用する必要があると感じた場合には、本タイトルの頭文字を取った『CMF』という略語で表示しています。

 また、ナナシス記事では幾度か書いていることですが、CDのナンバリングおよびリリース年月日に関しては、特に断りがない限りは「現実でのフィジカルリリースに基いている」ことに留意してください。ゲーム内実装もしくは劇中の時間軸を基準にはしていないという意味です。



 商品概要説明と注釈で前置きが長くなってしまい恐縮ですが、ここからは順番通りにDISC 1から内容を見ていくとしましょう。


DISC 1


01. The Straight Light

 表題曲で幕開け。といっても本曲はピアノとストリングスが主体のインストナンバーで、次曲の「スタートライン」を思わせるフレーズも確認出来るため、壮大なイントロダクション兼本作のプロローグになっていると理解するのがよろしいかと思います。


02. スタートライン

 777☆SISTERSの4thシングル(両A面)のうちの一曲で、2017年の楽曲です。この曲は立ち位置が少し複雑なので、『CMF』から茂木伸太郎総監督の言葉を引用しつつ説明を加えます。ひとつ前のシングル曲「ハルカゼ~You were here~」(2017)が「劇中では未来の話」であったことに起因して、その「区切り」を越えた先の777☆SISTERSの楽曲とはどういうものか?という問い掛けが生まれ、それに対するアンサーとして提示されたのがこの「スタートライン」だった…と、このような背景が存在するようです。ゆえに内容も「再出発」を歌ったものとなっているわけですね。

 バックグラウンドについてもう一点付け加えると、ジャケットイラストとトレーラームービー内のキャプションを見るに、セブンスシスターズの「WORLD'S END」(2017)とは対を成している楽曲だと考えるのが自然ではないでしょうか。「Before dawn/There were six lonely souls.../at "WORLD'S END"」から、「After dawn/There are 12 souls/at the "START LINE"...again」への変遷が見て取れるため、この観点でも非常に重要なナンバーだと言えるかと思います。




 このように楽曲に込められた想いには大変大きなものがあるのだろうということはわかるのですが、本音を言えば…というか音楽的な見地に立つと、個人的に本曲のことは未だにあまりピンと来ていません。決して悪い曲だとは言いませんが、歌詞もメロディもアレンジもひたすらに真面目というか、もう少し何処かをひねってもよかったのではないかなという思いが拭えないからです。同じ「スタートの曲」という意味では「僕らは青空になる」(2015)も同系統のナンバーであるとの認識ですが、こちらは全ての要素に細かいこだわりが感じられて気に入っているので、素直さの裏にこのくらいの複雑さは匂わせてほしかったというのが僕の正直な感想です。

 個人の好みの問題と言えばそれまでですが、僕はこの受け取り方にも一応の客観性があると主張します。『CMF』での茂木さん曰く「777☆SISTERSのため、あるいは777☆SISTERSを含めた僕のための歌な気がします。」だそうなので、元々リスナーへの意識が希薄な曲なのだと解釈すれば、あまり刺さらない人が出てきても仕方がないのではないかという論拠です。逆説的に書けば、777☆SISTERSに近い立場に自分を置いている人ほど、本曲の魅力をストレートに受け取りやすいのかもしれません。

 『CMF』には本曲の作曲者である岡ナオキさんのインタビューも載っていて、それを読むに【茂木さんのオーダー → 岡さんの提案 → 編曲者のKUMAROBOさんの解釈】の順で、どんどん派手な要素が削ぎ落されていったようなので、アウトプットがとてもナチュラルなものになった経緯はよく理解出来ます。このことを考慮するなら、僕は茂木さんが最初に思い描いていたビジョンのままの「スタートライン」を聴いてみたかったのでしょうね。


03. 星屑☆シーカー

 WITCH NUMBER 4による新曲です。「デジタルウィッチ」のコンセプトにストレートに寄り添ったキュートでダンサブルなフューチャーポップチューンで、WNo4のトラックはどれも名曲だと思っている僕の認識が更に強化される、まさに"会心の一撃"たるトラックでした。

 何が良いって間奏のシンセリフのグルーヴィーさですよ。ダンスミュージック好きとして、この切なさを振り切って夜を踊り明かすような多幸感は、その本質に深く切り込んだものであると大いに絶賛します。前置き部に埋め込んだ試聴動画ではこのパートを聴くことが出来ないため、勿体無い切り取り方をしているなと思いました。


 メロディアスなラインとラップ調のセクションとのギャップも楽しく、複数のアプローチでノリの良さを畳み掛けてくるところには、スターリーな楽曲だけに全天球型の妙を見出せた気がします。旋律のツボについて細かく言及すると、"夢見てるシーカー/大袈裟かしら"のフロウの良さ、"飛び方を忘れてしまって/大人のフリしてるなら"の美メロ具合、"明日もワクワクってしたい/これがつまるとこ愛かもね"の伸びの良い立ち上がりからバウンシーなメロへと展開していく音運び、"抱きしめたい/気持ち感じたら"の心地好い突き抜け感が、それぞれ好みでした。

 歌詞は「変わり映えのない"毎日"の中にも"ワクワク"や"ドキドキ";換言して"愛"と"未来"を探求し続ける"シーカー"たれ」という王道路線ですね。とりわけ心に響いたのは、"飛び方を忘れてしまって/大人のフリしてるなら/見つかんないよ/流れ星など夜空に"という気付きのフレーズと、"誰かと約束がしたい/ひとり忘れてしまわぬように"という孤独のバックボーンを匂わせる祈りにも似た一節で、これらの不安があるからこそキラキラも一層強く発せられるのだなと感じました。この意味では「星屑」のワードチョイスも巧く、「凸凹でも構わないから煌めくものを集めたい」といったニュアンスを感じ取れる点が好きです。


04. プレシャス・セトラ

 SiSHによる新曲で、シスとしては新機軸のトラックだと思いました。従来の楽曲もそれぞれタイプは異なっていたとはいえ、公的に謳われているような「通勤バスの中で見かけた清楚なカノジョ」のイメージを連想させる、言わば「日常に根差したピュアさ」を宿していたと理解しています。

 しかし本曲はどちらかと言えば「非日常」にフォーカスされているように感じられ、上に出したイメージに沿えば「清楚なカノジョが見せるいつもと違う一面」を見たような気になりました。だってサビの歌詞が"Jumping horizon/声をあげて 重なる僕らの/鳴らす音がアンセム"ですよ?このアドベンチャー&ライブ感満載の一節は、清楚なだけじゃ醸せない快活さに基くものだと言えるのではないでしょうか。


 こう思うのはメロディのキャッチーさによるところも大きくて、特にサビ前半のメロにはTRFっぽい90年代感がありますよね。これをシスの楽曲に持ってきたというのが意外だったのですが、ユニット名の本義である「She is So High」の意味が初めてよくわかった気がしたので、ナイスな試みであると高く評価しています。編曲に関しても、フック部分("コノユビトマレ"~)の電子的な音遣いやサビのハッピーなクラップなんかは、WNo4か777☆SISTERSの楽曲に適しているような気がするくらいなんですよね。

 一方でこれまでの清楚さが全くないかといえばそうでもなくて、Aメロ("高望みをした"~)の主旋律の隙間にバックトラックが切なく響くところや、Bメロ("的なことを"~)に見られるアイドルソングらしい短いスパンでの歌い手の交代、サビ後半("二度と戻らない"~)の可愛さ全振りのガーリーなメロディ、そこから再びキャッチーなフックへと戻る展開美、これらはシスの3人にこそ相応しいファクターだと認識しています。この辺のバランス感覚の良さが、きちんとシスの楽曲として成立している理由かもしれません。


 歌詞に関しては、接続の仕方が独特である点が面白いと感じました。"高望みをした 約束忘れた/曖昧に答えた YES/NOを/本気にとられた"、これだけでも文章のまとまりとしては充分なのですが、ここに更に繋げる形で"的なことを並べて"と続くところを指して「独特」です。"二度と戻らない特別な今を/プレシャスにしてね"の後の、"からの終わらない/明日を探して邁進中です"も同様で、メロ的には一回目だけで終わっても構わない切れ目で、ラスサビかの如くにもう一度同じ旋律が来るので意表を突かれました。

 修辞的なことは抜きにして今度は内容に注目すると、"エトセトラ"に注目したユニークな発想が披露されているとわかります。タイトルの「セトラ」もここから来ているのだと思いますが、"触れてきた「その他」のくだりは/ちっぽけじゃない そうでしょ?"と、つい記憶から零れ落ちてしまったような数々に対しても「プレシャス」を思い出そうとする姿勢は、03.「星屑☆シーカー」にも通ずるものがあるのではないでしょうか。03.は未来方向、04.は過去方向から"今"を見つめている気がします。

 "(テトエトセトラト)"は「手とエトセトラと」ですかね?歌詞とアレンジの両方で「クラップ」が重要な機能を果たしている曲なので、宛らシス版の「Sparkle☆Time!!」(2015)だなと類似性を覚えました。こう捉えると"アンセム"という言葉選びにも納得で、ダンスミュージックとして聴いた場合にもしっかりとコンセプチュアルなものになっていると言えます。


05. CHECK'MATE

 NI+CORAによる新曲で、ゲーム内ではいち早くお披露目されていました。ニコラの格好良さを前面に押し出したナンバーで、ギターロックサウンドを軸に良い塩梅でシンセのギラギラ感が付与されているため、完全バンド志向のThe QUEEN of PURPLEや4Uの音とはまた違った個性が出ていると感じました。

 全編を通して一部の隙も見せないエッジィなメロディもひたすらにクールです。好きな箇所を雑多に挙げると、Aメロでは"遠くなって"や"上げられてきた"のつんのめるような譜割りと、"未来"の予定調和を外してくる音運びが、Bメロでは"Don't be を叫んだり"の上昇と"Born free を奏でたいなら"の下降の対比が、サビではハイポテンシャル&エネルギッシュな旋律それ自体が、Cメロでは"変わりたい 変われない"のキャッチーな立ち上がりから、それを受ける"人はみな壊れかけの/不器用なアイデンティティー"で凝ったメロに発展していくという意外性が、それぞれツボであったと絶賛します。


 歌詞は新曲の中ではいちばん考えさせられる内容でした。僕の理解が間違っているかもしれませんが、「"empathy"否定、"sympathy"肯定の歌」ですよね?厳密に言えばシンパシーも別に肯定しているわけではないのでしょうが、エンパシーの重要性が説かれている時代に、敢えて"Beat it empathy"と歌うのはなかなかに攻めているなと思います。以下暫く僕の「エンパシー論」が続きますが、本曲に於いては結局最後にそれを否定することとなるため、鬱陶しければ斜め読みでも子細ありません。

 そもそもの話で「シンパシーとエンパシーの違い」は、英語圏以外の話者にとっては理解しにくい問題ですよね。僕自身もきちんと区別出来ているかと言ったら怪しいのですが、違いを解説しているサイトの記述をいくつか見てみても、どちらを選ぶべきか曖昧なケースが存在しているように見受けられます。たとえば相手が直面している当座の問題と似たような経験を自分が過去にしていたとして、それを基にして相手の心情を慮ることを、「近い立場から理解出来る」という意味でエンパシーとするのか、「あくまでもそれは自分の経験に過ぎない」からシンパシーとするのか、微妙じゃありませんか?

 「エンパシーのほうがシンパシーよりも相手方に寄り添っている」というベースは変わらないにしても、その尺度は正直個人の匙加減に拠ると解釈していて、極論を言えば自分以外の人間の心情を完全に理解することなどは到底不可能であるため、エンパシーの使用にはある種の「驕り」が必要であるとさえ思います。こう書くと意地悪ですが、驕ってでも相手の心情をわかろうとすること自体には意義を感じるので、上辺だけの理解でシンパシーを表明するぐらいなら、エンパサイズしろという姿勢が評価されるのも一理あるとは思うんですよね。

 もっとシンプルに「共感に行動が伴うかどうか」で両者を区別する説明もあり、それがいちばんわかりやすい気がするのですが、僕はここで漫画『僕のヒーローアカデミア』に出てくる「余計なお世話はヒーローの本質」という台詞を思い出しました。「私はあなたを救えるんだ」という一種の驕りがなければ、そもそも人助けなど出来るはずがないと考えるので、これはエンパシーに基いた行動理念ではないでしょうか。この驕りを許容出来かねる人は、悪く言えば捻くれた性格かもしれませんが、見方を変えれば強い自我を持っているとも言え、共感される側の捉え方も考慮せねばならない点では、やはりエンパシーを実際に行使するのはハードルが高い気がします。だからこそヒーローなのだという帰結になるんですけどね。



 これを踏まえて話を「CHECK'MATE」の歌詞に戻しますが、上掲の持論に対応させる形で表現するならば、「驕りを抱くな」と同時に「驕りを抱かれるな」のダブルでエンパシーが否定されているのだと受け取りました。それは決して相手に共感を抱く勿れの冷徹な意味ではなく、況してや自分をわかろうとするなと吠える排他的な意味でもなく、「そうせずとも相手と自分は深い部分で理解しあえる」という、非常にハイレベルな関係に於いてのみ成立するコミュニケーション術であるとの解釈です。

 "Beat it empathy/優しいだけ透明な色じゃ/染まれないわ egoism/ゆずれない想いがここにあるから/望むなら覚悟して/Checkmate"。どちらか一方が相手に寄り添うのではなく、双方が我を出してぶつかりあうという構図を美とするのであれば、エンパシーは余計な概念ですよね。「シンパシーは上から目線・他人事」「エンパシーは同じ目線・感情移入」という理解もあるようですが、一見平等に見える後者も「どちらかが相手のレベルにあわせた」と深読みすればそこに上下関係が発生すると思うので、本曲の歌詞ではそういう関係性ではないもの;つまりは何処までも「対等の関係」が突き詰められていて、それは強い個性同士の衝突且つ調和でもあるニコラにぴったりのロジックであると主張します。

 一方シンパシーは"壊したい 守りたい/その二律背反の先に sympathy/届けたいとひとり願った/忘れないよ enemy"と、これまた解釈のし甲斐がある一節に登場しますが、これは「同じ土俵に立つもの同士の友情」的な意味だと理解しました。タイトルに絡めるならば、チェスボードを挟んで対峙している相手にリスペクトを示す類の心情ですかね。勝負事にエンパシーを持ち込むのは却って礼を失することにもなりかねないため、ここは素直に自分の立場を維持したままのシンパシーで良いのだと思いました。"変わらない想いがそこにあるなら十分/でも Beat it empathy"、これが本曲で言わんとしていることを端的に表しているのではないでしょうか。

 最後に僕なりのシンパシーとエンパシーの区別方法を参考までに載せますと、語の成り立ちに注目するのがわかりやすくておすすめです。まず'-pathy'が「感情」を表す接尾辞であることを理解した上で、'sym/syn-'は「共に」を、'em/en-'は「~の中に」をそれぞれ意味する接頭辞であるため、'sympathy'は「感情を共にする」ことが、'empathy'は「感情の中に入る」ことが原義となり、共感のレベルに差があることが明白になりますよね。「共感を覚えている自分の目線が何処にあるのか」をきちんと意識すれば、TPOを弁えたシンパシー/エンパシーの行使が可能となるはずです。


06. 14歳のサマーソーダ

 サンボンリボンによる新曲です。インゲームジャケットのイラスト的にも年齢的にも、カジカにスポットライトをあてたナンバーだとするのが据りがいいでしょう。メロディーのポップさやアレンジの可愛さで言えば「Clover×Clover」(2015)を彷彿させる仕上がりで、サンボンの中では陽方向の成分が強い楽曲だと感じますが、その裏に切なさを含ませているところは相も変わらず健在で、明るいイメージが浮かぶ曲名からすると良い外し方だと思いました。

 表題も歌詞では"ロンリー・フォーティーン・ソーダ"ですからね。敢えて"ロンリー"が隠されているところがニクくて、14歳の少女にもその年齢なりに抱え得る別れがあるのだということが伝わってきます。特に"別に難しく考えた末じゃなくて/胸騒ぎとか向日葵とか/いつのまにかもう消えていたんだ"は、あれこれ考えてしまう大人にはわからないモノの感じ方がある、もしくはあったことがよく表れているのでお気に入りのフレーズです。結びの"忘れないよ 君だけが夏だった"も鮮やかで、この同一視は長い夏休みが有する膨大な時間を持て余してしまった若者の、ジュブナイルな感性があればこそ一層際立つものだと感じました。


 メロディではとりわけサビが好みです。実にアイドルソングらしいと言いましょうか、キャッチーな旋律で表題を強く印象付けた後に、"空き缶の表面/伝う夏雫が映してたヘブン"と山なりの感があるラインに繋がるという流れには、イタズラっぽく距離感を詰めたり離したりするような、ピュアなコケティッシュさを幻視した感覚です。ともすれば矛盾を含む二語でもって形容しましたが、これはサンボンには14歳のカジカだけでなく19歳のサワラと10歳のシンジュもいるということの証明だと捉えていて、年齢にバラつきがあるからこそ魅力の幅も大きくなるといった、この三姉妹にしか出せない強みであると高く評価します。

 その他の細かいツボを挙げると、心地好い気怠さのあるAメロでは掠れ気味に発声される"フラシュバック"と、"あの街みたいだ"の[だ]のフェード感が、変則A+落ちサビ("微かに"~)では裏で響くギターの得も言われぬ儚さが、ラスサビ前のAでは"君になりたくて/マネした肌のサンバーン"の歌詞とボーカルが一体となって醸すセクシーさが、各人の声質を上手に活かしていて大好きです。


07. SHAKE!! ~フリフリしちゃえ~

 はる☆ジカ(ちいさな)の新曲で、「ハネ☆る!!」(2016)以来満を持しての2曲目となります。05.と同じく本作の発売前にゲーム内には実装されていたので、既に耳馴染みの良い曲となっていました。

 前置きにリンクした「シトラスは片想い」のレビュー本文の中で、奇しくも「ハネ☆る!!」を引き合いに出して「直球アイドルソング」と近い分類を披露したのですが、本曲のほうがより近いエッセンスを備えているというか、初めて聴いた時は「シトラスは片想い」のアナザーバージョンかな?という感想を抱いたくらいです。クレジットを見ればそれにも納得で、両曲とも本田正樹さんによるナンバーであるためある意味当然だと言えます。ネガティブに捉えるなら「似たような曲が増えただけ」と言う人もいるかもしれませんが、「シトラスは片想い」が非常にツボだった僕としては、本曲のことも気に入らない道理がありませんでした。


 メロディとアレンジの楽しさは本作随一で、何処を切り取ってもポジティブネスしか感じられないハッピーなサウンドとなっています。Aメロで徐々にテンションを上げ、BメロのわかりやすいPPPHパートで溜めて、サビ前半で底抜けの明るさを一度解放し、後半("雨のち"~)で再びチャージの旋律に入って、表題の"フルッフルっと SHAKE!!"に収束させた後に、弾ける間奏へバトンタッチするというこのシークエンスは、ライブ映え必至のメリハリのあるアッパーさです。

 歌詞も面白く、特にプロレスモチーフのセクションには笑ってしまいました。"リスペクトです! I・NO・CHI!!"はどう聴いても「猪木」と発音していますし、"「元気ですかー!?」"はモロですが、その前の"ごめんねもアリだから"はおそらくモハメド・アリに掛かっていて、芸の細かさに感心した次第です。それ以外では、"雨のち晴れのち/輝いちゃう命"がどういうわけか凄く好きで、良い意味でアホっぽい前向きさが琴線にふれたのだろうと自問します。笑


08. タンポポ

 Le☆S☆Caの2ndシングル(両A面)のうちの一曲で、2016年の楽曲です。特集記事のPart.2にて詳細にレビューしてあるので、そちらを参照してください。


09. トワイライト



 レスカ2ndシングルのもう一曲です。08.が白レスカによる清純さが薫るナンバーであったのに対して、こちらは黒レスカの魅力が遺憾なく発揮された艶っぽいナンバーとなっています。この曲はナナシスひいては二次元要素の素性を隠して世に出したとしても、普通に格好良いR&Bとして一般に受け入れられるだけのポテンシャルを秘めているとの認識です。


 魅惑の低音ボーカルと、サビに入る前にCメロまで進むという焦らしがあるからこそ、サビメロの切なさが一層加速するような楽想になっていて、触れられない恋心を描いた言葉のひとつひとつも、鋭利さを伴って真に迫って来ます。

 "かすれた声が遠のいた/受話器の向こうに"、"伸ばした両手が見えない壁に壁に/触れてしまう度にまた"、"壊れた radio 周波数を/変えても鳴らない"、"いつもより近く響いた/こんなに離れてるのに"、"雲が行けば/輝く月のような/あなたに会えるのに"、"本当は知ってたの/それぞれ違う未来/向こう岸に渡る舟を見つめる/岸辺の番"など、とにかく"ふたり"を隔てているものの大きさにフォーカスした表現が多いのが特徴で、"いつまでも臆病なふたりは/夜空を見上げた"と結ばれることを考えると、"トワイライト"すら過ぎていずれは消え行くであろうふたりの未来が想像出来、ただただ哀しい気持ちになります。


10. ひまわりのストーリー

 レスカの新曲です。これまでに「今日の一曲!」では「Behind Moon」(2016)を、特集記事1では「YELLOW」(2015)を、特集記事2では上掲の通り「タンポポ」を取り上げ、「レスカ楽曲の神懸り的良さ」を重ね重ね主張してきましたが、本曲もまたその系譜に堂々と名が刻まれるべき名曲であると大絶賛します。系統としては白レスカ曲となるでしょう。

 ちょうど曲名を全て提示出来たのでついでに言及しますが、レスカの楽曲は全て「黄色」がモチーフになっていると漸く気付きました。「YELLOW」はそのまま黄色で、「Behind Moon」は月の色、「タンポポ」は花の色で、「トワイライト」は少し悩みましたが漢字表記の黄昏時に、そして「ひまわりのストーリー」でまた花の色と、今までも何となく黄色だよなとは思っていましたが(レモンスカッシュですしね)、完全に共通性があるとわかったのは収穫です。え?遅いって?…すみません。


 気を取り直して「ひまわりのストーリー」の良さに迫っていくとしましょう。僕がナナシス楽曲を高く評価する大きな理由として、まず「歌詞の良さ」があることは先にリンクした「Behind Moon」の記事の中でも存分に語っているのですが、本曲の歌詞にも「Behind Moon」の"ミントティー"のくだりに匹敵するほどのお気に入りフレーズがあるため、ぜひとも紹介させてください。

 それは2番Aの歌詞で、"キミの笑顔と涙で/ポケットが溢れているから/真っ白な世界の片隅で/いつのまにかキスをしよう"には、思わず鳥肌が立ってしまうほどに感銘を受けました。

 野暮ですが詳しく解説すると、"キス"というひとつの大きなアクションを、"真っ白"と"世界の片隅"と"いつのまにか"の「さり気無いワード三連発」でもってさらっと済ませている、このロマンチックさこそが感銘の肝だと言えます。しかしこれだけでは、ともすれば軽薄或いは気障なイメージも思い浮かんでしまうことでしょう。それを防ぐのが"キミの笑顔と涙で/ポケットが溢れているから"という「キスをする理由の提示」で、これが直前にあることで「真摯で素直な愛おしさから来る優しいモーションなのだな」とわかり、余計なイメージが排除された完璧な表現になっていると高く評価しています。


 メロディは何処を取り立てても美し過ぎて、特定の箇所を紹介しようにも悩んでしまうくらいですが、とりわけ気に入っているのはBメロの"木漏れ日の中 猫みたいに"の部分です。これは2番の歌詞ですが、1番よりもフロウが良いと感じるので代表させました。その前のキャッチーなメロ("キミはいつも笑って/ジョークを言って")から予想される次の旋律(展開)がここで良い意味で裏切られるため、これはとても技巧的な音運びであると考えています。何度も聴いていると「元よりこの旋律以外ない!」という気持ちが大きくなってきて、段々と「何が予想外で技巧的だったんだ?」と記憶が薄れていくのですが、初聴時に抱いた新鮮さと感動を表現したくてこの部分に言及した次第です。

 この観点で言えばサビメロにも意外性を感じていて、地味に前半と後半に分かれているところが素晴らしいと思いました。漫然と聴いていると、後半頭の"心開いて/腕をのばして"の部分は、前半の"誰でもないキミ探して"と同じフレーズの繰り返しだと間違えそうですが、よく聴くとここから別のメロへと移行していることがわかり、"夢を追い越す子供みたいさ"まで来ると完全に違うことが明白になりますよね。ここで褒めたいポイントは2つあり、ひとつは同じフレーズ×2の水増しサビになっていないこと、もうひとつは露骨に違うフレーズ×2にせず、前半の面影を残した後半を提示することで、統一感と疾走感を維持しているところです。


11. STAY☆GOLD

 777☆SISTERSの4thシングル(両A面)のうちの一曲で、リリースは2017年です。02.「スタートライン」と共に提示されたナンバーですが、02.の項で書いた「未だにあまりピンと来ていません」という感想は、申し訳ありませんが本曲に対しても同様のものを抱いています。悪い曲ではない・真面目・もう少しだけひねってほしかったというのも同じで、ピアノロックの良さは充分わかるけれども、何か+αがあればなぁと物足りなく感じました。02.で行ったような『CMF』の記述を引用する形でのフォローもしにくいため、こちらは完全に僕個人の好みにあわなかっただけのことでしょう。

 これだけだとディス成分が多めで印象が悪いので、情緒的な観点からひとつだけ補足させてください。「スタートライン」と「STAY☆GOLD」の両曲に感じていることですが、どちらも「エンディング感」が凄まじくありませんか?コンテンツにお別れを告げなければならない時に流れていそうな気がして、まだまだナナシス世界を楽しんでいたい僕としては、いつか来る現実を勝手に想像して心理レベルで拒否反応を起こしているのかもしれないと自己分析しています。


 「ハルカゼ~You were here~」はいいんですよ。あれは物語上の時間軸に於いて未来にフォーカスしているだけですし、「卒業」という形でしっかりと終幕を描くのは寧ろ好意的に捉えていいて、ナナシスに限らずコンテンツの終わりは現実でもそうあってほしいので。しかし「スタートライン」や「STAY☆GOLD」のような煌めく楽曲をお別れのナンバーとして見てしまうと、より寂しい趣が強調されたような気になるので、喩えるならこれは映画のエンドロール直前の焦燥感(終わりが近いことを察する感覚)に近いかもしれません。

 あくまでも想像なので「勝手な意味付けをして避けているだけじゃん」と言われればそれまでですが、逆説的に考えれば僕はこの2曲に込められた想いの強さを恐れるほどに高く評価しているとも言えるため、真面目な楽曲に臨むだけの勇気をいざ本当にコンテンツが終わる瞬間にも持ち合わせていられたとしたら、この2曲以上に心に響くものはないのではないかとさえ思っていると補足しておきます。


12. Dear Straight Lights

 01.と同じくピアノとストリングスが主体のインストナンバーです。次がDISC 1の最後の曲「ハルカゼ~You were here~」となるわけですが、仮に本曲がなくて「STAY☆GOLD」と連続していたとしたら流れとして不自然だと思うので、時間の経過を示す意味でもここにインスト曲が挿入される意味はわかる気がします。12曲目でタイトルの「光」が「Lights」と複数形に変わっているというのも味わい深いですしね。

 余談ですが、01.と12.のペアはMr.Childrenのアルバム『IT'S A WONDERFUL WORLD』(2002)収録の「Dear wonderful world」と「It's a wonderful world」のような関係を意識したのかなと妄想しました。茂木さんがミスチルを好きであることは『CMF』にも書いてあったので、双方のファンとして思わず連想してしまった次第です。


13. ハルカゼ~You were here~

 777☆SISTERSの3rdシングルです。この曲の特殊な位置付けについては02.および11.の項でもふれたので、基本的なことは割愛します。

 探しにくいところにあって恐縮ですが、「春|卒業/別離」をテーマに「今日の一曲!」を書いていた頃に、その締めとしてアップしたまとめ+補遺記事の中で実は本曲のことを取り上げています。そこには「聴き込むうちに普遍的な良さに気付けた」とだけ記して、あまり突っ込んだ言及はしていないのですが、本曲の感想として多くの言葉を弄することは得策でないと考えているため、このシンプルな理解で本曲の魅力は充分に伝えることが出来ているとの認識です。

 しかしせっかくなので歌詞内容についてふれますと、"行き場のないその悲しみや/繰り返した過ちこそが/どんな強い光よりも/輝いて道を照らす"というフレーズは、本作に収録されたことで意味がより鮮明になったというか、アルバムタイトルの布石になっていたと捉えることも可能なので、陰の表題曲だと言えるかもしれませんね。



 DISC 1は以上の13曲です。全体の感想は最後にまとめて書くので、続けてDISC 2の内容を見ていくことにしましょう。こちらは殆ど過去記事へのリンクで済ませているため、ここから更に同規模の長文が続くわけではないと安心材料を提示しておきます。


DISC 2


01. PUNCH'D RANKER

 セブンスシスターズの2ndシングル『WORLD'S END』(2017)のc/w曲です。これも探しにくくて申し訳ありませんが、2017年のアニソンを振り返る記事【アニソン+編】の中に本曲のレビューが存在するので、そちらを参照してください。


02. TRIGGER



 The QUEEN of PURPLEの1stシングル(両A面)のうちの一曲で、2016年のナンバーです。順番が前後してしまいますが、もう一方のA面曲「Fire and Rose」については「今日の一曲!」で詳しく取り上げていて、その中で僕はQOPの音楽性に関する説明も同時に行いました。両曲のテーマは当然異なりますが、「正統派のクールなロックナンバー」というサウンドのベクトルは同じだと言えるので、当該の記事に書いた感想は本曲にも当てはまる部分が多いはずです。従って、本曲に対する音楽的なレビューはこれをもって代えさせていただくとし、ここでは歌詞内容についてのみふれることにします。

 最も気に入っているフレーズは、冒頭の"作りかけの/ハイ・シュールな詩と人の群れ/いつのまにか陽炎になった君の夢"です。生みの苦しみを感じさせるというか、ロックを奏でるのに欠かせない渇望感が滲み出ている点が堪らなく格好良いと思います。この「渇き」が行くところまで行って、"ひとり泣いて 干涸びて"になるのでしょうが、これに続くのが"残ったカスを全部集めたら/この先に行ける/まだ歩いていける/Trigger にこの指をかける"という攻めの姿勢であることまで意識すると、QOPのひいてはファーブの根っからのロックスピリットに痺れずにはいられなくなりますよね。


03. Fire and Rose

 曲の概要及び過去記事へのリンクは、02.の項に記した通りです。


04. Lucky☆Lucky

 2016年にリリースされたNew EPのうち、4Uサイドの楽曲です。特集記事のPart.2にて詳細にレビューしてあるので、そちらを参照してください。また、4Uのミニアルバム『The Present "4U"』(2017)の記事にも本曲に対する言及があるため、こちらも参考になるかと思います。


05. Lucky☆Lucky (EMO edit)
06. Lucky☆Lucky (HINA edit)

 04.のボーカル違いです。タイトル通り05.はエモコがボーカルを、06.はヒナがボーカルを務めています。アナザーバージョンの存在は4Uのナンバーでは最早お馴染みとなっていますが、「Lucky☆Lucky」に関しては「ウメが歌うことで完璧さが増す曲」だと理解しているので、「EMO/HINA edit」はファンサービスとして楽しかったという感想です。


07. Winning Day

 2016年にリリースされたNew EPのうち、KARAKURIサイドの楽曲です。特集記事のPart.2にて詳細にレビューしてあるので、そちらを参照してください。


08. WORLD'S END

 セブンスの2ndシングル曲です。01.の項にもリンクした記事の中で簡単にですが端的にふれているので、そちらを参照してください。また、DISC 1の02.の項にも対比要素として本曲の名前を挙げていたことを再度記しておきます。

 当該記事では歌詞についての言及は行いませんでしたが、"誰にも見えないもの探したのは/誰も信じてないから"という一節に隠された強さと哀しさに関しては、楽想に対して僕が使った表現「この冷熱の行き来が新たな時代を予感させます」にも通ずるところがあるのではないでしょうか。



 DISC 2は以上の8曲です。DISC 1がストーリー性のあるオリジナルアルバムだとしたら、こちらは補足ディスクといった感じですが、セブンスの2曲を最初と最後に分けて収録していることには特別な意味があるように思えます。「WORLD'S END」だから最後に据えたのだろうといったシンプルな発想も勿論ありますが、"All I want is break it for you again"で締めることで、DISC 1とも循環的な繋がりを持たせたかったのだと僕は受け取りました。



 続いてはサントラ盤であるDISC 3(全10曲)を見ていきますが、既にここまでで相当記事が長くなっているため、代表として特に好きな一曲だけを紹介することにしますね。


DISC 3 t7s OST 1.5 -FORGET ME NOT-


06. ON THE EDGE (Performance Match OP)

 括弧内に書いてある通り、パフォーマッチ関連の楽曲です。ゲーム内で何気なく聴いていても格好良い曲だと思っていましたが、フルでというか音源として聴くとエレクトロチューンとしての魅力が一段と増しますね。

 音数が絞られるセクション(00:36~00:58)がとりわけクールで、グルーヴィーで何処かレイジーなシーケンスフレーズに思わず身体が動いてしまいます。中盤以降のグリッチなパートも過剰なほどに素敵で、バトルイベントらしい激しさが好みです。

 05.の「BRIGHTNESS」(Performance Match Battle)もそうですが、聴いた瞬間に「対戦しなきゃ」という気になるので、すっかりゲームに行動が支配されていると言えます。笑



 以上、かなり長くなりましたが、3CDで都合31曲の紹介(サントラ盤は割愛)でした。ちなみにDVDは「Trailer Movies」という題の通り、本作収録のシングルおよびEP曲のトレイラームービーが全て収録された内容となっています。

 半分オリジナルアルバム・半分シングルコレクション的な作品であるため、全体のストーリーに対するまとめの文章が書きにくいのですが、DISC 1の01.~02.および11.~13.とDISC 2の08.に記した内容には、『THE STRAIGHT LIGHT』というタイトルと、帯の「あの日誓った約束を、今もまだ信じている―/Tokyo 7th シスターズ 強く光を帯びた待望の3rdアルバム」というキャプションとの関連性を見出すことが出来ると思います。そのあたりを掻い摘んで再読していただければ、コンセプチュアルな理解の助けにもなるのではと考ているため、これをもってまとめの代わりとさせていただくことをお許しください。


 ここからはDISC 1収録の完全新作ボーカル曲6作について、純粋に楽曲自体の良さを総評していきます。最初に言いたいのは、誇張抜きにその全てが名曲であると高く評価しているということです。最も気に入った曲の座を04.「プレシャス・セトラ」と10.「ひまわりのストーリー」が争っていて、03.「星屑☆シーカー」がそれを追う展開、他の3曲も聴けば聴くほどに味が出てきているので、いずれも瞬間的にはNo.1を狙える位置に付けている…そう感じるぐらいに「好き」のレベルが拮抗しています。

 これだけ大絶賛をしていますが、実は発売前にアルバムトレーラーを聴いた段階では、「あれ?もしかして微妙かな…」と不安を抱いていたくらいなんですよね。先行ゲーム内お披露目の05.「CHECK'MATE」と07.「SHAKE!! ~フリフリしちゃえ~」も、どちらかと言えば好みの楽曲であったのに不思議です。実際に初めて通して聴いた段階でも、既にゲーム内で聴きまくっていた05.と07.を除くと、03.「星屑☆シーカー」の間奏ぐらいにしか惹かれなったのですが、きちんと歌詞に注目しながら繰り返し聴いて理解を深めていくうちに、いつのまにか「新曲全部めっちゃいいじゃん!」と心を奪われていました。


 この振れ幅がいちばん大きかったのが04.です。曲単体で見てもそうなのですが、シスというユニット自体への評価が大きく変わってしまうほどに、「プレシャス・セトラ」の世界観は魅力的だと思います。レビュー本文中ではふれ損ねましたが、"曖昧に答えた YES/NOを/本気にとられた"という一節がとても気に入っていて、日本人が持つ曖昧文化の美徳であると同時に、様々な諍いのきっかけとなる悪癖だとも言える二面性を、見事に切り取った素晴らしい表現に感心です。

 10.「ひまわりのストーリー」も最初は「良い曲だとは思うけど何か既聴感があるな…つーかまた花モチーフかよ」程度の感想だったのですが、実は凝っていたメロディ運びと歌詞の素晴らしさに気付いてからは、あまりの名曲っぷりに平伏したくなるぐらいの心持ちでいます。それにしても改めてレスカの楽曲は完成度が段違いだなと感じていて、歌詞・メロディ・アレンジ・歌声の全ての調和が最も高い次元で取れていると主張したいです。


 この調子で他の曲についてもどんどん書き足していけるのですが、同一記事内再レビューといった意味不明の領域に片足を突っ込んでいる気がするので、ここらへんで切り上げて記事を終えることにします。愛があふれてとんでもない長文になってしまいましたが、ナナシスに対しては最早それがデフォであるとご理解いただければ幸いです。


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