3年前から続く
耳管開放症(自声強聴と耳の閉塞感)の整体治療
耳管開放症は耳管軟骨から起始する筋肉の過緊張が原因する?!
患者Mさん=41才-男性・会社員の症例
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① Mさんの病歴・・・
患者Mさんは、3年前に新型コロナに感染し、咳、痰、発熱などで一週間ほど寝込んでいたそうです。2週間後にはほぼ完治状態になりそうだったのですが、ところが急に両耳に強い閉塞感ないしは圧迫感が生じたそうです。それだけでなく、その後さらにめまい、羞明(眼のまぶしさ)、食欲減退、体重減少といった症状も加わり(悪心はなし)、それが数か月間も続いていたそうです(☚この期間内に1か月間休職されていた)。これらの体調不良がようやく治癒しかけたころ、今度は両耳の自声強聴と閉塞感(圧迫感)が生じたので、耳鼻科を受診すると「耳管開放症」と診断され、投薬治療などを受けられていましたが、あまり芳しくなかったそうです。その後耳鼻科を数件変えたり、あるいは鍼灸治療や漢方なども試された結果、少しは改善したのですが、完全に治りきらないそうです。仕事が営業職なので、クライアントさんへのプレゼン時などで自声強聴が生じると非常に話しづらく、また集中力も落ちるので、かなり仕事にも支障が出ているそうです。何をやってもなかなか改善しないので、メンタル的にもかなり落ち込み、それだけでなく全身的な体調も不調になり、元気がなくなってきているそうです。
② Mさんの診察
・現在の耳管開放症の症状(自声強聴・耳の閉塞感)は両耳ですが、左耳のほうがかなり強いそうです。「ピー」といった高音の耳鳴りが両耳(左>右)にあるそうです(以前はブーンといった比較的低音の耳鳴りもあったそうですが、それはいつのまにか消失していたそうです)。難聴は無いそうです。めまいは少しあるそうですが、動的なめまいではないそうです。現在、羞明や食欲不振、悪心、難聴は無いそうです。
・上記の耳管開放症の発症形態にはある程度の規則性があるそうです。それは、起床時はほとんど耳管開放症の症状は無く、出社後から少しずつ各症状が出てきて、次第に増悪してくるそうです。また食後にも自声強聴が出やすくなるそうです。そして耳管開放症の症状が出だしてくると声が出にくくなり、意識的に力強く発声しないと声が小さくなっていくそうです。また嚥下時に両耳孔の奥のほうで「コリコリorカリカリ」といった音(振動)がするそうです。さらに嚥下や発声などの動作をしなくても、時折両耳孔の奥のほうで「パチ、パチ」といった、弾けるような音もするそうです。これらの症状は土日などの休日も発症するそうですが、しかしウイークデーに比べるとやや軽めだそうです。また飲酒でもこれらの症状が軽減するので、自声強聴などが辛い時には意識的に深酒をすることもあるそうです。
・3年前の新型コロナ感染時だけでなく、それ以前にも中耳炎になったことは無いそうです。
・頭痛は無いそうですが、今まで無かった首の凝りや肩凝りが、新型コロナ感染時から急に強くなったそうです。睡眠は充分とれていて、いびきはかかないそうです。
・特段の眼の症状は無いそうですが、以前に眼科医より眼の眼圧が高めだと指摘されたことがあるそうです。
・20代のころから2年前まで鼻水がよく出ていたそうですが、今は出なくなったそうです。花粉症などのアレルギーは無く、後鼻漏なども出ないそうです。
・若いころから2年前まではよく虫歯になって、歯科治療を度々受けていたそうです。また歯の食いしばり(就寝時の歯ぎしり)が強いそうで(左>右)、歯科医から「歯の亀裂・すり減り」を常に指摘されていたそうです。またそのせいで、左上奥歯を一本抜いたこともあるそうです。歯肉炎、歯周病は無いそうです。
・咳や痰などは無く、嚥下もスムーズにできるそうです。
・喫煙習慣はあったそうですが、3年前からの体調不良をきっかけに喫煙をやめたそうです(それまでは 日に10~20本喫煙していた)。飲酒は平均ビール中瓶1本だそうです。
・現在は食欲も出てきて、体重も元に戻っているそうです。お通じも快便だそうです。
・血液検査で今までに異常を指摘されたことはなく、血圧も正常範囲だそうです。この3年間に脳のMRや耳周辺のCT検査をしたそうですが、いずれも異常なしだったそうです。
・頸部聴診上、血管雑音は聴取されませんでした。
・頚頬部触診上、下顎切痕部や頬骨弓下部(側頭下窩)、あるいは頸部の前後左右の筋肉群に著明な緊張と圧痛がありました(☚特に下咽頭の左端)。
耳管・・・
中耳(鼓室)と咽頭を結ぶトンネル状の構造で中耳の内圧を調節し、音の伝導効率を改善する
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 耳管軟骨に起始する筋肉群の緊張を解放し、耳管軟骨の過伸長を緩和して耳管径を狭める
(耳管軟骨に起始する筋肉群=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋)
耳管軟骨に起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 、耳管咽頭筋(☚口蓋咽頭筋の一部)
これら筋肉の収縮により耳管が開放する
(施術した整体テクニック)
・耳管咽頭筋解放テクニック
・口蓋帆張筋解放テクニック
・口蓋帆挙筋解放テクニック
・咽頭神経叢解放テクニック
・翼口蓋神経節解放テクニック
・耳神経節解放テクニック
・顎動静脈解放テクニック
・上行咽頭動静脈解放テクニック
口蓋帆張筋解放テクニック
④ 経過と結果・・・
Mさんの転勤で途中で整体治療終了も、以前の2~3/10程度にまで改善!!
・2診目来院時、
「自声強聴や耳の閉塞感は変わりませんでした」と仰っていました。施術後、「今はスッキリしていますね。」と仰っていました。
・3診目来院時、
「自声強聴と耳の閉塞感はましになってきています。以前の6/10くらいです。ただ耳鳴りは続いています」と仰っていました。また「以前は(自声強聴のせいで)かなりメンタルもやられていましたが、治る見込みが出てきたことで、メンタルだけでなく、体調全体が良くなってきた気がします」とも仰っていました。
・4診目来院時、
「今週は調子悪かったです。前回6/10程度にまで改善していた自声強聴が8~9/10程度にまで戻っています。耳の閉塞感も同じ感じで、耳鳴りも続いています」と仰っていました。施術中、Mさんは何度もウトウトと寝つかれましたが、その際に顎関節が何度も痙攣的に開閉していました(100回以上)。施術後は、「今は自声強聴や耳の閉塞感はほとんどありません」と仰っていました。
・5診目来院時、
「自声強聴が出ない調子のよい日は(週に)二日くらいありますが、その他の日は昼過ぎくらいから自声強聴が出てきます。今もさっきから出てきました。耳鳴りもありますが、耳の閉塞感はかなりましになっています」と仰っていました。施術後、「自声強聴が少しマシです。閉塞感も全くありません」とも仰っていました。
・6診目来院時、
「やはり調子がいいのは(施術後)二日くらいで、それ以降は自声強聴が出ますね。ただ以前に比べると出る時間は減っている気がします。今日もさっきまでは調子が良かったですが、2時間ほど前から自声強聴が出ています。」と仰っていました。施術後は「今は(自声強聴は)無くなっています。耳の閉塞感もありません」と仰っていました。
・7診目来院時、
少しマシな感じがします。時世強調が出る時間が以前の6~7/10くらいの感じです。強さも弱まっている感じがします。でもやはり食後に出たり、あるいは昼から夕方にかけては自声強聴がでますね。耳の閉塞感はここのところありませんね。」と仰っていました。
・9診目来院時、
「前回とほぼ同じような感じですが、今週は三日間だけですが、一日中一度も自声強聴が出なかったことがありました。こんな事は耳管開放症になってから初めてでした。」と仰っていました。
・10診目来院時、
「先日、久しぶりに新幹線に乗ったのですけど、いつもはトンネルに入ると左耳の奥が「バコバコバコバコ」と大きな音で揺れるのですが、今回はそれがかなり小さかったです。こんな事は久しぶりです。先週は一度も自声強聴が出なかった日が三日ありましたが、今週はそれが一日だけでした」と仰っていました。
・12診目来院時、
「今週も先週とそれほど変わりなかったんですが、しかし2~3日前から少し変わってきました。耳声強聴が出ても今までなら何時間も続いていたのが、数分で治まるようになりました。また食後に耳声強聴が出やすかったですが、それも減ってきました」と仰っていました。またMさんは、この日「実は来年の三月に転勤する事が決まりました。ですから整体治療はあと数回しかできないと思うので、できればそれまでには少しでも良くしたいです」とも仰っていました。
・14診目来院時、
「今週の前半までは前回と似たり寄ったりでしたが、後半は自声強聴が少しマシな気がしました。」と仰っていました。ところが14診目は年末でしたので、次の15診目までの間に正月休みがあり、かなり治療間隔が開いたので、15診目来院時には自声強聴が少し悪化していました。
・15診目から19診目までは耳管開放症の症状が一進一退状態でした。しかし施術時の触診的には、耳管軟骨に起始する耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の緊張度(硬度)がようやく軽減していく感触がありましたので、「もう少しで峠は越すかな?!」的な予想をしていました。そしてMさんにもこの旨を告げ、できるだけ転勤までには少しでも改善するよう頑張るようにも告げました。
・20診目来院時、
「今週は二日だけですが、一日も自声強聴が無かった日がありました。こんな事は久しぶりです。自声強聴があった日も、いつもよりはかなり小さかったです」と仰っていました。また「転換までに来られるのは、あと2回くらいです」とも仰っていました。
・22診目来院時(最終診)、
「今週は自声強聴がありましたが、でも以前よりは2~3/10レベルまでに小さくなっていました。もう少し続けたかったですが、、、でも大阪に出張があれば、出来るだけ都合をつけて来ますから、その時はまた診てほしいです」と仰っていました。当院としてもその際は出来るだけの事をする旨を告げ、また当院の力不足をお詫び申し上げて、今回の集中治療を終了する事にしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
耳管開放症とは、、、
・耳管開放症とは読んで字のごとく、通常閉鎖されている耳管(下記注1参照)という管状器官が逆に常時開いてしまい、その結果自分の声がその開放された耳管を通じて内耳に伝わるので強く聞こえる、といった状態になったり(☚自声強聴)、あるいは耳の閉塞感やめまい、難聴などが生じる事もある疾患です。
注1) 耳管と耳管軟骨
耳管とは中耳(鼓室)と上咽頭をつなぐトンネル様の管状器官です。そして耳管の上部1/3くらいは耳管軟骨とよばれる、断面が「J 」状の軟骨に挟まるような形で覆われているので、同部は常時閉塞した状態に維持されていて、中耳(鼓室)と上咽頭は完全に遮断された状態にあります。
この際、鼓膜の内側と外側で圧力差が生じた時に鼓膜の緊張度が変化して音刺激の伝導効率が低下するので、我々は外界の音が小さく聞こえるなどの弊害が生じます(☚山に登った時や電車や車がトンネルに進入した時など)。
しかし、嚥下や鼻をかむ動作、あるいはあくびなどによって耳管が広がると(☚耳管軟骨に起始する筋肉群の収縮による…詳細は後述)、それまで遮断されていた耳管の下端臓器(上咽頭=大気圧)と耳管の上端臓器(中耳=鼓室内圧)が通じるので、鼓膜内外の圧力差が解消されて鼓膜の伝導効率が正常に復し、それまで小さく聞こえていた音が正常に聞こえるようになります。
つまり耳管は、鼓膜の内外で圧力差が生じた時に中耳と咽頭との圧力差を解消して、外界の音を正常に聞こえるようにするためにある器官です。
中耳(鼓室)から耳管咽頭口に伸びている耳管
あくびなどで耳管が開き、中耳(鼓室)と咽頭が通じる
耳管開放症の原因とは、、、
・この耳管開放症の原因はいくつか言われています。
1. 急激な体重(脂肪)減少による耳管周囲の脂肪減少によって耳管への圧力が減り開放状態になる
2. 中耳炎の後遺障害
3. 不適切なあるいは過度の吹奏楽練習の影響
4. 性ホルモン(薬)の影響
5. 先天的原因
6. 原因不明
(一般的には1の耳管周囲の脂肪減少が最も有力な原因と言われています)
果たして「体重減少による耳管周囲の脂肪の減少」が耳管開放症の有力原因なのか、、、
・ところで当院では、耳管開放症の患者さんは近年増加傾向にある、、、と感じているのですが、ただその原因として、上記1~6の中で最も有力原因と言われている1の「体重減少による耳管周囲の脂肪減少」による患者さんは、意外と少ないのでは 、とも感じています。
言い方を変えれば、当院の耳管開放症患者の中で、痩せている方は”ほぼほぼいない“のです。
耳管周囲の脂肪が関係していない…と推測される根拠について、、、
そもそも耳管の閉鎖に脂肪は関与していない?!
・ですから当院では、耳管開放症の有力原因は「体重減少…」ではなく、別の有力原因があるのでは、と考えています。そしてこの事は次の考察からも言えるのでは、と思います。
それは、通常閉じている耳管を開放する機序 は、その耳管を挟んで閉鎖している「J 」状の耳管軟骨が「I 」状に引き伸ばされて、それまで挟まれて閉じていた耳管への圧力が減少することで耳管が開放される 、という解剖学的事実があるからです(次項 注2参照)。
・つまりそこには、耳管周囲の脂肪による圧力は示されていない のです。
もっと言えば、耳管の閉塞には耳管周囲の脂肪による圧力はそれほど寄与していないのでは 、と考えられるのです。
「 J 」状の耳管軟骨と、同軟骨から起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋(☚口蓋咽頭筋の一部)
・「全く、耳管周囲の脂肪減少が耳管開放症に影響していない」とは言いません。しかし上記考察の様に、耳管の常時閉鎖に耳管周囲の脂肪がそれほど関係していないのであれば、今さら脂肪が減少したとしても、「それが耳管開放症の有力原因」とは、大見得を切って言いにくいのでは、と思います。
ただ上記耳管開放症原因1~6のなかで、2の中耳炎の後遺障害は少なくないのでは、と思っています(Mさんもその可能性あり-後述)。
耳管咽頭口と口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋
別の耳管開放症の原因(仮説)・・・を説明する前に、
嚥下動作によって耳管が開放する機序について、、、
・では「耳管周囲の脂肪減少」以外の、当院の考える耳管開放症の有力原因とは、、、についてですが、それを述べる前に「なぜ、あくびや嚥下などによってJ状の耳管軟骨がI上に引き延ばされるのか…(下記注2参照)」について説明しておきたいと思います。
注2) 嚥下で耳管軟骨が開放される機序…耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の役割について
概略
耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 の三つの筋肉は、嚥下の第1相(口腔期)の際に軟口蓋を挙上して口腔と鼻腔の間を閉鎖し、食物の鼻腔への逆流を阻止する筋肉です。この際、上記で説明した耳管軟骨も同時に牽引されるので耳管が開放します。
嚥下の三相
嚥下は三つの層(口腔期⇒咽頭期⇒食道期)に分けられる
詳細
口腔内の天井に当たる部分を口蓋と呼びますが、その前方2/3は骨口蓋と呼ばれ、骨(一対の上顎骨)からなります。
そして後方1/3は軟口蓋 と呼ばれ、三種類の平たな筋肉で出来ています。 この三種の筋肉とは一対の口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋および口蓋垂筋(のどちんこ) です。
このうち前二者(口蓋帆張筋・口蓋帆挙筋)の起始部の一部は耳管軟骨に付着 しています。またこれら三種の筋肉は鼻腔閉鎖筋 とも呼ばれますが、それは嚥下時にこれらの筋肉が収縮-挙上して鼻腔と咽頭~口腔の間を遮断し、口腔から鼻腔への食餌の逆流を防ぐ役割があるからです(☚嚥下反射の第一相 )。 逆に言うと、嚥下時以外ではこれらの筋肉は収縮-挙上していずに弛緩して斜め下方に垂れ下がっているので鼻腔と咽頭(さらには喉頭~気管~肺)は通じていて、鼻呼吸が可能 となっています。
ところでこれらの筋肉とは別に、もう一つ耳管軟骨から起始して咽頭に停止する筋肉があります。それは耳管咽頭筋 (☚口蓋咽頭筋の一部)と呼ばれる細長い筋肉です。この耳管咽頭筋も嚥下時に働く筋肉です。その機能は嚥下時に咽頭を口側に引き上げ、食餌を口腔内から咽頭(さらには食道-胃方向)へ導く機能です(☚嚥下反射の第二相 ) 。
ここで重要な事は、嚥下時に収縮する三つの筋肉=口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋の起始部が耳管軟骨にある 、という点です。
つまり嚥下時には上記三つの筋肉が収縮することで「J 」状の耳管軟骨引き延ばされて「I 」状になるので、それまでJ状の耳管軟骨で挟まれていた耳管への圧力が解除されて耳管が開き、咽頭(大気圧)と中耳(鼓室圧)が調整されて音が聞こえやすくなる 、という事です。逆にこれらの筋肉が弛緩すれば「I」状になっていた耳管軟骨がその弾性力により元の「J」上に戻り耳管を挟んで圧迫するので、耳管が再び閉鎖されることになります。
耳管軟骨に起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 、耳管咽頭筋(☚口蓋咽頭筋の一部で、耳管から起始する部位をいう)
軟口蓋は口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、口蓋垂筋の三つの筋肉より成り、嚥下時に挙上して口腔と鼻腔を閉鎖する
当院の考える耳管開放症の原因とは、、、
耳管軟骨から起始する筋肉群の慢性的な過緊張が原因する?!
・上記注2)が、嚥下によって耳管が開かれる解剖学的機序ですが、この解剖学的特徴から耳管開放症の原因を考えるとその可能性はいくつかありますが、その中でも簡単なロジックは次の二つの仮説になると思います。
仮説1.
耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の慢性的な過緊張により「J」状の耳管軟骨が常時引っ張られて「I」状化され、耳管が圧迫されずに開放状態になる
仮説2.
耳管軟骨の弾性力低下によって耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋が弛緩しても耳管軟骨が「J」状に戻らず、耳管が圧迫されずに開放状態となる
左図…閉じている耳管
右図… 耳管軟骨に起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 、耳管咽頭筋の収縮により開いている耳管
耳管軟骨に起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 、耳管咽頭筋(☚口蓋咽頭筋の一部)
耳管軟骨から起始する筋肉群の整体治療、および同筋に関係する神経系・血管系の整体治療が必要!!
・仮にこれら二つの仮説にある程度の妥当性があるとしても、その治療には相当な困難が伴うと思います。
まず仮説1 についてですが、これら三つの筋肉は頭顔部および頸部の最深部に位置する筋肉ですから、その直接的な施術は非常に難しい、という事です。
しかし、介達力でもって間接的に施術する事はそこそこ可能なので、当院ではその整体治療テクニックを汎用しています 。
顔面頭蓋の最深部に位置する口蓋帆張筋と口蓋帆挙筋および耳管咽頭筋(☚口蓋咽頭筋の一部)
顔面深部への「介達力」を利用した整体テクニック
・それだけでなく、これら三つの筋肉を支配している神経系に閾値の低下などの問題があって、これら三種の筋肉の過緊張を起こしている可能性もあります(口蓋帆張筋=三叉神経第三枝、口蓋帆挙筋および耳管咽頭筋=咽頭神経叢 )。
・またこれら筋肉を支配している血管系の問題(例:血流障害による筋緊張)も考慮に入れる必要があります(口蓋帆張筋および口蓋帆挙筋=顎動脈流域、耳管咽頭筋=上行咽頭動脈、顎動脈流域 )。
従って、これら神経系や血管系の整体治療も必要かもしれません。
三又神経
顎動脈流域
耳管軟骨自体の弾性力回復の整体治療について、、、
・次に仮説2 の耳管軟骨の弾力性低下についてですが、現段階ではこれを元の正常な弾力性に復する事は非常に難しいと思います。正直言うと、有効な手段を現段階では思いつきません。
ただ一つ期待する事は、仮説1で説明しました耳管軟骨から起始する三つの筋肉=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の過緊張を解放する整体治療で耳管軟骨に対するストレスを減じ、もって耳管軟骨のテンション(張力)またはストレイン(物体が外力によって変形する度合い-ひずみ)を解除し、少しでも耳管軟骨の弾性力が回復する事を期待するしかないのでは 、と思っています。
耳管軟骨に起始する口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋 、耳管咽頭筋の収縮により開いている耳管
この三つの筋肉が弛緩しても、耳管軟骨の弾力性が消失していれば、耳管は開いたままとなる
仮説1、2とMさんの症例の整合性とは、、、
・そこで上記1、2の仮説をMさんの症例に当てはめるといくつかの整合性があるのでは、と思います。
まず「自声強聴時に声が出にくくなり、意識的に力強く発声しないと声が小さくなっていく 」といった所見です。これは耳管咽頭筋を含む口蓋咽頭筋の過緊張が関係しているのかもしれません。何となれば、耳管咽頭筋の起始部は先述の様に耳管軟骨ですが、その停止部(最下端)は下咽頭から声帯のある喉頭付近にあるからです。
従って耳管咽頭筋(口蓋咽頭筋)の過緊張は喉頭(声帯)の緊張を高め、その機能を阻害して発声に影響を及ぼす可能性 が考えられます。つまりこの所見は仮説1の整合性を高めるものと考えられます。
・次に「頚頬部触診上、下顎切痕部や頬骨弓下部(側頭下窩)、あるいは頸部の前後左右の筋肉群に著明な緊張と圧痛がありました(☚特に下咽頭の左端) 」という所見についてです。
これらの緊張-圧痛部位は、先述の三つの筋肉=口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の位置にほぼ相当する からです。従って上記仮説1の整合性がかなり強まるのでは、と思います。
下顎切痕部の圧痛部・・・口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の位置に相当
Mさんの耳管開放症の悪化要因と仮説1の関係性について、、、
・またMさんによると、耳管開放症の症状は起床時が一番軽く(ほぼ生じていない)、その後次第に悪化し、昼過ぎから自声強聴や耳の閉塞感が増強してくるそうです。また食後にも悪化するそうです。これらの所見は、時間経過とともに発声や嚥下動作が増える事により、耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋などが過使用され、その緊張度が増していることが予想される所見 です。つまりこの所見は、上記仮説1を裏付ける根拠になるのでは、ともと思います。
Mさんの耳管開放症の軽減要因と仮説1の関係性について、、、
・さらに上記とは逆に、自声強聴が飲酒で軽減したり、あるいは休日の方が軽減される、といった所見も仮説1を裏付ける可能性があります。つまりこれらの所見はリラックス状態を示す所見ですが、そのリラックスによって先述の三つの筋肉=口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋が弛緩し、耳管軟骨の圧迫に寄与している かもしれません。
Mさんの体重減少について、、、
・確かにMさんは3年前の新型コロナ感染後の体重減少もあり、一般的な耳管開放症の有力原因である上記1の「耳管周囲の脂肪減少」も影響していたのかもしれません。しかしその体重減少はその後回復し、現在では元の体重に戻っているのですから、どの程度影響があったのかは疑問の残るところです。
Mさんの新型コロナ感染の影響と仮説1の関係性について、、、
・新型コロナ感染時に、Mさんとしては「中耳炎にはなっていない」との認識でした。しかし当時の所見の一つに「新型コロナ感染の二週間後(この頃には新型コロナの症状は完治していた)、”急に両耳に強い閉塞感ないしは圧迫感が生じた” 」との事ですから、典型的な中耳炎はともかく、少なくとも急性中耳炎の一歩手前の状態、あるいは急性の耳管炎(耳管狭窄症)の様な状態になっていた可能性があります。
・つまり、ひょっとしたらですが、新型コロナ感染時に、中耳(鼓室)や咽頭から耳管周囲への炎症波及によって、周辺の筋肉群(☚耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋)、あるいは関係する神経系や血管系に膿が浸潤し、それが仮説1(場合によっては仮説2)の原因になっていたのかもしれません 。その意味では、上記2の「中耳炎の後遺障害」も、今回のMさんの耳管解放症の遠因になっていたのかもしれません。
Mさんの整体治療目標・・・
・以上の考察から、上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療目標、
⑴ 耳管軟骨に起始する筋肉群の緊張を解放し、耳管軟骨の過伸長を緩和して耳管径を狭める
(耳管軟骨に起始する筋肉群=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋)
を設定し、その対応テクニックである
・耳管咽頭筋解放テクニック
・口蓋帆張筋解放テクニック
・口蓋帆挙筋解放テクニック
・咽頭神経叢解放テクニック
・翼口蓋神経節解放テクニック
・耳神経節解放テクニック
・顎動静脈解放テクニック
・上行咽頭動静脈解放テクニック
を、施術する事にしました。
・その治療経過はかなりきついものがありました。しかし15診目くらいからはようやく耳管軟骨に起始する筋肉群=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の緊張度(硬度)が軽減傾向を示し始め、最終診の22診目には、自声強聴が今までの2~3/10程度にまでかなり改善し、Mさんもそれなりに喜んでおられたので、中途半端で残念ではありますが、まずまずの妥当性があったのでは、と思います。
Ps…耳管開放症患者全般に関する整体治療の可能性について、、、
・本文「⑤ 今回の症例の概説、、、」でも記しましたが、一般的な耳管開放症の最有力原因とされる「急激な体重(脂肪)減少による耳管周囲の脂肪減少によって耳管への圧力が減り開放状態になる」については、当院としては疑問に感じています。
・当院としては、やはり「耳管軟骨に起始する筋肉群=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋の慢性的な過緊張による耳管軟骨の解放 」がより有力なのでは、と考えます。
その意味では、今回のMさんの症例の様に、
⑴ 耳管軟骨に起始する筋肉群の緊張を解放し、耳管軟骨の過伸長を緩和して、耳管径を狭める
といった治療方針、とその整体テクニックである、
・耳管咽頭筋解放テクニック
・口蓋帆張筋解放テクニック
・口蓋帆挙筋解放テクニック
・咽頭神経叢解放テクニック
・翼口蓋神経節解放テクニック
・耳神経節解放テクニック
・顎動静脈解放テクニック
・上行咽頭動静脈解放テクニック
が、他の多くの耳管開放症患者さんに適応するのでは、と考えます。
・下記の症例は、本症例のMさんと同様の治療、すなわち耳管軟骨に起始する筋肉群=耳管咽頭筋、口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋に対する整体治療などで改善した症例です。ご参照いただければ幸いです。
【参考資料 : 当院の耳管開放症治療例】
◆ 耳管開放症(自声強聴)と顎関節症の整体治療 14診目で両方とも改善した症例の解説です
患者Yさん=33才-男性・会社員の症例
◆ 新型コロナ感染による急性耳管炎?!・・・難聴、嗅覚障害、味覚障害、自声強聴の整体治療
患者Tさん=43才-女性-会社員/主婦の症例
◆ 10年前から続く耳管開放症の整体治療 14診目で改善した症例の解説です。
患者Mさん=58才-女性-主婦/パートの症例
◆ 自声強聴、耳のつまる感じ…小学生の頃からの耳管開放症=と後鼻漏(副鼻腔炎?)の整体治療と心理分析
口腔の免疫治療から胃腸の機能改善・他で解消した症例の解説です。
患者Mさん=39才-女性-主婦/公務員の症例
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大阪市、淀川区、東淀川区、西淀川区、大淀区、福島区、中央区、北区、旭区、都島区、此花区、大正区、東成区、城東区、住吉区、住之江区、平野区、守口市、門真市、寝屋川市、交野市、枚方市、東大阪市、大東市、八尾市、四条畷市、藤井寺市、柏原市、吹田市、豊中市、摂津市、茨木市、高槻市、箕面市、池田市、川西市、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市、堺市、岸和田市、和泉市、泉佐野市、奈良市、生駒市、京都市、 亀岡市,向日市、長岡京市、松山市、 岐阜市、広島市、横浜市、東京都、和歌山市、和歌県、紀の川市、名古屋市、北海道-札幌市、 鹿児島市、島根県、三田市、八王子市、福島市、津市、さいたま市、藤沢市、加古川市、豊田市、桜井市、各務原市、福井市、近江八幡市、群馬県、栃木県、宇都宮市