頻尿の内臓整体治療
膀胱神経叢・他への内臓整体で改善した症例の解説です。
患者Yさん=39才-男性-会社員の症例
① Yさんの病歴・・・
Yさんは以前から頻尿気味で、特にコーヒーを飲むと1時間に5~6回はトイレに行くそうです。ただ、それ程大量には出ないそうです。ただ接客業であるYさんはお客さんの前で度々トイレに行くことはままならず、出来れば減らしたいそうです。Yさんは胃もたれを主訴として他にも色々な愁訴(性欲減退と陰嚢痛(射精痛)、全身のかゆみ・湿疹(蕁麻疹?))があり、それらの治療を希望されていましたが、上記理由でこの頻尿も早めに治したい愁訴だそうです。
② Yさんの診察
【頻尿に関する所見】
・排尿痛や遷延性または苒延性排尿は無いそうです。
・数年前に精液の検査を受けられたそうですが、その時の結果では精子数が健常の半分くらいだったそうです。その時、左鼠径部の手術を受けられたそうですが、精子数はあまり増えていなかったそうです。その原因はよく分かっていないそうです。性感染症の検査では異常は無いそうです。
・勃起不全は無いそうですが、射精を我慢した時などに陰嚢の後面が痛くなるそうです。
・腹部触診上、臍の左右の縦のライン上に緊張と圧痛があり、それは左右の恥骨結節~浅鼠径部輪付近にまで続いていました。また、左右の腸骨筋の停止部にも著明な緊張と圧痛がありました。さらに心窩部にも緊張と圧痛がありました。腫瘤感・抵抗感はありませんでした。
【その他の愁訴の所見】
・胃もたれの部位はみぞおちから臍にかけてで、チクチクと痛くなることもあるそうです。
・排便は毎日あり、硬めの便が出るそうです。ただ1日に5~6回はトイレに行き、少量ずつしか出ないそうです。
・食欲は普通くらいだそうです。
・下血の経験は無く、眼瞼結膜はピンク色でした。
・腹部聴診上、グル音はやや弱めでしたが血管雑音はありませんでした。
・問診上、やや不眠症気味で熟睡感が無く、昼間の仕事中に睡魔が出てだるくなるそうです。夢はあまり見ないそうです。また手足の末端の冷え性があるそうです。さらに頭痛や肩こり、背中のこりなどもあり、アレルギー性鼻炎による鼻水と鼻づまりがひどいそうです。
・気管は正中にあり甲状腺の肥大や萎縮はありませんでした。脈は80回/1分でした。Yさんは「自分は低血圧で、自宅で測ると上が85mmHgで下が60mmHgくらいです」と仰っていました。ただ、脈診所見では100mmHg前後ある感触だったので、改めて確認すると「病院での検査では(上が)100mmHgくらいです」と仰っていました。
・全身の色々な部位に湿疹ができていて、それが非常に痒いそうです。
③ 治療目標と整体治療
⑴ 膀胱神経叢、陰部神経叢に予想される刺激源を解放する
⑵ 膀胱平滑筋の緊張を緩和する
・膀胱神経叢、陰部神経叢解放テクニック
・膀胱平滑筋テクニック
④ 経過と結果・・・
・2診治療まで変化はありませんでした。しかし3診目来院時に「何となく(排尿回数が)減っている感じがします」と仰っていました。
・ところが4診目には、「(排尿回数が)増えたり減ったりしている感じがします」と仰っていました。
・しかし5診目から最終診の7診目まで、「(排尿回数が)大分減って、今では2~3時間に1度くらいに落ち着いています」と仰っていました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・Yさんの主訴である胃もたれについては「胃下垂(?)による胃もたれ(機能性胃腸症-?)と整体治療」で簡単にその全体像について触れ、Yさんの自律神経失調的な、あるいは心身症的な全身的要因についての治療をする事が難しい旨について説明しました。
・やはりこの頻尿についても心理面-自律神経面への全体的なアプローチは難しいと思われましたので、頻尿=泌尿器系=に部分的に絞った形で治療計画を立てました。
ですから全身的な自律神経失調あるいは心身症的な体質改善までのアプローチは出来ていませんので、今後この良好な状態がいつまで持続するか分かりません。ただ、治療前は1時間に5~6回もトイレに行かれていたのが、5診目以降はずっと2~3時間に一度ほどの排尿回数ですから、局所的な整体治療でもかなり上出来な結果であったと思います。
・逆に言えば、Yさんの場合、頻尿といった泌尿器的な愁訴だけでなく陰嚢痛といった生殖器系の問題も同時に有していたので、「泌尿器~生殖器=下腹部(骨盤臓器)」といった局所に病態が集中していたため、その局所の治療でも相当の効果が上がったのでは、と思われます。
・一般的に下腹部の骨盤臓器の問題は構造的に圧倒的に女子に多いので、骨盤に対する整体治療はほとんど女性に対してでした。しかし、これは別の男性患者さんの症例ですが「インポテンツ(ED=勃起不全)の整体治療」でも記したように、軽症例も併せるとED患者数は1000万人も存在すると言われているので、骨盤臓器を支配する膀胱神経叢や陰部神経叢、あるいは勃起に関係する骨盤神経叢(陰茎海綿体神経叢)の解放テクニックが適応する男性患者数は、潜在的には非常に多いのでは、と考えられます。これらの愁訴でお困りの男性患者さんに対して、もっともっと普及させていきたいと思います。
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