鼻閉・鼻水(通年性のアレルギー性鼻炎)と整体治療
4診目で完治した症例の解説です。
患者Cさん=26才-男性-会社員の症例
① Cさんの病歴・・・
患者Cさんは、別件(急性の耳鳴り)で来院されていましたが、幼少時から続く「ほぼ一日中続く鼻閉・鼻水」もありましたので、本件も併せて整体治療する事になりました。
② Cさんの診察
【鼻閉・鼻水に関する診察所見】
・幼少時(幼稚園or低学年時)に通年性のアレルギー性鼻炎の診断と加療を受けていた事があるそうですが、結局いつまで経っても改善しなかったので、その内に通院-加療を中断し、その後も現在に至るまで、特段の治療はしていないそうです。
・アレルゲンの種類はよく覚えていないそうですが、ダニとか埃とか、一般的なものだったそうです。
・鼻閉は通年性で、ほとんど一日中あり、特に左鼻で強いそうです。鼻水は時折出るそうですが、透明なタイプだそうです。
・下顎骨の前後方向の動き(☚アイーンの動さ)と左右方向の動きは、数ミリ程度しか動きませんでした。
【耳鳴りの診察所見】
・左の耳も2~3週間ほど前からごく小さな耳鳴りがあったそうですが、それはほぼ気にならない程度なので、放置していたそうです。
・「キーン」といった耳鳴りだけでなく、入浴中には「ホワンホワン」といった鼓膜が「パタパタ」と揺れる様な耳鳴りもするそうです。
・難聴や自声強調、耳閉塞感、耳痛などは無く、めまいなどの平衡感覚も無いそうです。
・トンネルなどで耳が詰まる感じはよくあるそうで、その際にツバをのむ動作をするとも耳がパチパチと鳴るそうです。
・頭痛は無いそうですが、読書すると5~10分で焦点が合わなくなり、字が読みづらくなるそうです。
・虫歯の治療は度々あり、現在も左右の下奥歯の治療をしているそうです。
・中耳炎は子供の頃に一度しているそうです。
・交通事故などの外傷は特に無いそうです。
・頚胸部聴診上、血管雑音はありませんでした。
・頸部触診上、リンパ節や甲状腺の腫脹はありませんでした。
・体幹と四肢は細めですが、頸部から頭顔部は大きめで、それを指摘すると「服はSですが、ヘルメットはLなんです」と仰っていました。
・頭顔部の触診時、頭部を持ち上げると非常に重く感じました。
・プレコックス感は感じませんでした。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 翼口蓋神経節の緊張を解放する
・翼口蓋神経節解放テクニック
・静脈還流促進テクニック
・翼突筋静脈叢解放テクニック
・顎動静脈解放テクニック
④ 経過と結果・・・
・初診治療中から、
少し鼻閉が解消し、鼻が通り出していたそうです。治療後は、ほぼ普通に鼻呼吸が出来ていたそうです。
・2診目来院時、
前回治療後に通っていた鼻は、帰宅する頃には元に戻っていたそうです。治療後は再度鼻閉が開通したそうです。
・3診目来院時、
「鼻閉はほとんど意識しませんでした。鼻水は出ませんでした。」と仰っていました。
・4診目来院時、
「鼻閉も鼻水も一日中無かったです。ここまで快適なのは、10年以上無かったと思います」と仰っていましたので、、Cさんの主訴である急性の耳鳴りの治療が終了する4診目で、本件も終了することにしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・幼少時に通年性のアレルギー性鼻炎との診断を受けていたCさんですが、どの様な治療-薬を使用したかは覚えていないそうですが、ほとんど効果は無かったそうです。ところで、Cさんと似た様な鼻閉/鼻水患者はよく耳にしますが、ここからは私見ですが、Cさんの様な通年性でアレルギー治療の無効例は、その多くはアレルギーでは無く「ナザールサイクルの失調」ではないか、と考えています。
・ナザールサイクルとは、左右の鼻腔粘膜が2~3時間おきに交互に勃起現象(☚粘膜浮腫)を繰り返し、左鼻腔と右鼻腔の口径が互いに変化する現象です。それが失調すると、どちらかのor両方の鼻腔粘膜が勃起(浮腫)したまま、つまり鼻の通りが悪くなる=鼻閉=といった、通年性のアレルギー性鼻炎とよく似た症状になるのでは、と考えています。
ナザールサイクルをコントロールする翼口蓋神経節 同神経節を治療します
・ですからCさんの様な通年性アレルギー性鼻炎と言われた患者には、アレルギー治療よりも、ナザールサイクルの失調を改善する整体治療を優先する事にし、そしてCさんにも同様に施術しました。それが鼻腔粘膜の勃起(浮腫)に関する神経である翼口蓋神経節(副交感神経節)の刺激を解放する様な整体手技で、それが「翼口蓋神経節解放テクニック」です。
・また、翼口蓋神経節の血流を改善する意味でも、
・静脈還流促進テクニック
・翼突筋静脈叢解放テクニック
・顎動静脈解放テクニック
を施術しておきました。
・Cさんの主訴である「急性の耳鳴り」でも詳述しましたが、Cさんはその頭顔部の重さから、頸部の筋肉群が相当緊張-肥厚していると予想され(☚事実、非常に緊張し肥厚していた)、それが翼口蓋神経節の血液循環の不良につながっていると想定されました(☚翼口蓋神経節の失調原因となる)。
・またCさんの別の愁訴である「読書時の眼の焦点のズレ」でも詳述していますが、Cさんの側頭下窩に位置する二種の筋肉「外側-内側翼突筋」が非常に緊張-肥大し、側頭下窩の内圧を上昇させる「コンパートメント症候群」の状態になっていると推定され、その側頭下窩の内圧上昇が、さらに側頭下窩の深部(翼口蓋窩)に位置する翼口蓋神経節の失調要因となり、それがナザールサイクルの失調につながり、Cさんの幼少期からの鼻閉-鼻水の原因になっているのでは、と考えました。
・以上のような考え(仮説)から、上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療目標と整体手技を施術した訳です。
結果的に初診治療からその効果が出始め、3診目-4診目には、長年月に渡り毎日の様に詰まっていた鼻が一日中快適に通じるようになり、鼻水も解消していた事から、上記仮説でおおむね妥当であったのでは、と思います。
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