首、背中、腕、肘の鈍痛…  変形性頚椎症の可能性と整体治療および自己治療法 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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首、背中、腕、肘の鈍痛…
変形性頚椎症の可能性と整体治療および自己治療法

患者Sさん=64才-男性の症例

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①    Sさんの病歴・・・
患者Sさんは、2週間ほど前から、突然首の右後面に痛みが生じるようになったそうです。Sさんは「そのうち治るだろう」と思って放置していたそうですが、逆に悪化し、首の後面だけでなく、右の肩甲骨上面から右上腕の後面と、右肘の外側面まで痛みが出るようになり、それが次第に強くなってきているそうです。Sさんは別件(歯茎の退縮と痛み)で来院されていましたが、本件も併せて診る事になりました。


②    Sさんの診察
・痛む部位は、首の右後面から右肩甲骨上面と、右上肢の後面および右肘の外側面で、現在ではかなり重度の鈍痛がするそうです。痺れ感は無いそうです。
・上記の痛みは、最近ではどの様な姿勢でも痛みが生じるそうですが、特に自転車の運転時や仰臥位での就寝時、あるいは椅子で頸を背もたれにもたれかけた時に増強するそうです。
・2週間前の発症の状況は、特に誘因は無く、気づいたら痛みがしていたそうです。
・2~3か月ほど前から、飲水時などで首を後屈する時、痛みは無かったそうですが、頸部でポキッと音がする様になっていたそうです。
・Sさんは15年ほど前と10年ほど前に二度、追突事故(むち打ち症=外傷性頸部症候群)を経験されていて、特に二度目はかなり重症だったそうです。
・痛みは常時あるので、痛みで力を入れにくいそうですが、筋力そのものに減弱は無いそうです。
・Sさんは趣味でピアノを弾かれるそうですが、ピアノを弾く事に支障はなく、またパソコン作業などにも支障はないそうです。
・頸椎の可動域検査では、後屈がかなり制限されていて、疼痛が増強するそうです(☚飲水時の後屈が出来ない)。側屈はすこしだけ制限がありましたが、回旋では左右とも20~30度ほど回旋が制限されていました。
・上肢の神経学検査で異常は無く、また上肢の腱反射もほぼ正常でした。
・ホフマンテスト、ワーテンベルグ反射および10秒テストは陰性でした。
・瞳孔は正中にあり、左右対称で、眼球運動に異常はありませんでした。眼瞼下垂などもありませんでした。眼瞼結膜はやや濃いめのピンク色でした。
・難聴や耳鳴りも無いそうです。
・季節性(春)の花粉症はあるそうですが、それ以外に鼻閉や鼻水、後鼻漏などは無く、副鼻腔炎の既往も無いそうです。
・歯周病や口内炎の既往は無いそうですが、虫歯は子供時代に度々あったそうです。
・顔面の表情筋に異常は無く、構語や嚥下障害もありませんでした。
・胸頸部聴診上、血管雑音や心音、呼吸音の異常所見はありませんでした。
・頸椎の棘突起叩打痛テストで、C5,6,7の巧打で、軽度の違和感が生じたそうです。
・頸部触診上、それぞれの頸椎棘突起間の間隔が近接していました。またC5,6,7の棘突起押圧で、グラグラとした不安定感があり(☚ハイパーモビリティ)、同部に違和感が生じるそうです。
・排尿-排便に支障はないそうです。




➂ 治療目標と整体治療
⑴    頸椎椎間板の体液循環を促進し、椎間板を厚くして、頸椎椎体間および椎間関節間の間隔を広げる
⑵    上記⑴でもって、ルシュカ関節などの接触を抑制し、頸椎痛を改善する
⑶    上記⑴でもって、頸椎を支持する椎間板や靱帯などの機能回復を期待し、また予測される頸椎の変形を少しでも解消する事を期待する
⑷    Sさんに頸椎牽引の方法を指導する
⑸    整形外科での検査を推奨する
    ・頸椎牽引テクニック
    ・頸椎の自己牽引法指導
    ・念のために、整形外科での画像検査を勧める

 

 



④    経過と結果・・・
・初診治療後、頸椎の可動域は大幅に改善され、首の後屈もかなり改善されていました。首や右の肩甲骨、右肘の痛みも、半分くらいにまでなっていたそうです。


・2診目来院時、「(1週間前に先生に教えられた自己牽引法を)あれから毎日数回はしていますが、最初の4~5日は、効き目が1時間くらいしか持たず、自転車の運転時などではかなりきつかったです。でも最近では、牽引治療を忘れるくらい、首や肩甲骨の痛みが軽くなっています。ただ朝起きた時は、少し首が重たいですね。」と仰っていました。


・5診目来院時、「自転車に乗っていても、首や肩、肘の痛みも出ず、快調に運転出来るようになっています。朝起きた時も、ほとんど首の重たさは無くなっています。」と仰っていました。Sさん本来の主訴である「歯茎の退縮と痛み」の整体治療はまだ継続する必要がありましたが、ご自身で「自己牽引法」を続けて頂くという条件で、本件については一応の治療終了としました。またこの段階で、整形外科で精査は受けていなかったので、念の為、精査を受けて頂く事も付け加えておきました。

 

 



⑤     今回の症例の概説、、、
◆ 頸椎の変形(変形性頚椎症)の可能性…

・Sさんは、今回の件で整形外科などを受診されていないので、確定的な診断はありませんでしたが、Sさんの所見から変形性頚椎症の可能性が高いのでは、と思われました。変形性頚椎症は加齢や退行変性で頸椎の椎間板をはじめ、椎間関節の軟骨やルシュカ関節(下記注1参照)、あるいは靱帯や関節包などが損耗-変形する病態ですが、Sさんはそのリスクファクターである「加齢=64才」と「退行変性=二度のむち打ち症歴」の両原因を揃えていたからです。

 

 

 

◆ 首の運動で「ポキッ」…変形の黄信号 ?!
・また「2~3か月ほど前から、飲水時などで首を後屈する時、痛みは無かったそうですが、頸部でポキッと音がする」といった所見がある事から、おそらく頸部の椎骨(おそらくC5,6,7)がハイパーモビリティの状態になっていたのでは、と推測されます。ハイパーモビリティとはカイロプラクティックの用語ですが、これを簡単に説明すると、頸椎などの椎骨の安定性が減退し、グラグラとしている状態を指します。整形外科的には変形性脊椎症に近い概念だと思います。


・つまり、椎骨を支える靱帯や関節包、あるいは関節軟骨や椎間板などの支持組織に、前述の要因(加齢&退行変性)によって脆弱性が生じる事で、椎骨を安定的に支持することが出来ずに椎骨が不安定化したり(☚ハイパーモビリティの状態=ポキッと音がする原因)、あるいは椎間板が薄くなる事で上下の椎骨の間隔が接近-接触し(☚特にルシュカ関節)、首の後面から肩甲骨~上肢裏側と肘の外側への放散痛を含めた頸椎痛や、首の可動域制限の原因となっている事が考えられました。さらには骨棘などが生じて、それが当たる事で頸椎痛の原因になっている可能性もあります。

 

 

 

◆ 頸椎の変形を阻止or遅延させる整体治療法とは…
・ところでSさんの主訴は、首の後面から肩甲骨~上肢裏側と肘の外側に疼痛がありますから、椎間板ヘルニアなどの神経根症の可能性もありますが、神経根症に典型な痺れ感や筋力低下、知覚障害などが無かったので、将来的な発症の可能性はありましたが、現段階では神経根症の可能性は低いのでは、と思われました。


・もし上記仮説の通りだとすると、頸椎の変形を元の正常な状態に回復させる事はかなり難しいですが、それを少しでも期待するには、まず椎間板の菲薄化を改善して厚くし、各椎骨間の間隔を安定的に広げて、靱帯や関節軟骨等への機械的負荷を軽減する事が肝要です。それは同時に、上下の椎骨同士(特にルシュカ関節)の接近-接触を回避して頸椎痛を解消できる可能性もありました。そこで上記③「治療目標と整体治療」に掲げる整体治療を施術する事にしたわけです。

 


・結果的に初診治療から著効を示したので(5診目でほぼ寛解)、上記仮説で概ね妥当であったのでは、と思いました。ただ問題が二つありました。その一つは、一度の施術では、その治療効果が長続きしない事です。頸椎の牽引治療は椎間板を減圧する事になるので、菲薄化した椎間板内に周辺組織(主に椎体の上・下面にある軟骨終板)からの体液が拡散しやすくなって、椎間板の肥厚が期待できますが、しかしその効果は短く、次第に菲薄化するからです。
(血管支配の無い椎間板は、その栄養・O2補給を、上下の椎体面=軟骨終板から拡散する体液に依存している)


 

◆ 自分で治療できる整体法の指導…

・もう一つの問題は、Sさんは整形外科などを受診していないので、画像検査などによる確定診断が無い事です。Sさんの幾つかの所見から、現段階での脊髄症の可能性は低いと考えられ、上記仮説である変形性頚椎症の可能性が高いと考えられるのですが、しかしその変形-損耗度合いによっては、脊髄症(ミエロパシー/下記注2参照)に悪化する危険性もあるからです。


・まず前者の問題については、椎間板の肥厚を持続し安定化する為には、頻繁に頸椎の牽引治療をしなければなりません。そこでSさんに、自分で頸椎の牽引治療ができる方法を指導することにしました。後者の問題については、出来るだけ早急に、整形外科などで精査を受けて頂く事を推奨しました。


・元々Sさんの主訴は「歯茎の退縮と痛み」で、相当程度の通院が必要でしたが、本件については自分で出来る「頸椎の自己牽引法」の指導により、比較的早期(5診目)で「首、背中、腕、肘の鈍痛」がほぼ解消したので、5診目で治療を終了することが出来ました。この事から、今回の「首、背中、腕、肘の鈍痛」については、上記仮説で概ね妥当であったのでは、そしてこの手の病態については「頸椎の自己牽引法の指導」が著効を示すのでは、と改めて思いました。


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注1)    ルシュカ関節 (鈎状関節/鉤状突起)
頸椎の椎体側面の上部は、他の脊椎と異なって上方に突出している部分があり、それを鉤状突起と呼んでいます。この鉤状突起と一つ上の椎体の下面との接触面をルシュカ関節(鈎状関節)と呼んでいます。この際、上下の椎体の間隔が椎間板の厚みによって広げられている状態では、その接触は少ないので臨床症状は発現しませんが、加齢-退行変性などで椎間板が薄くってルシュカ関節が接近-接触強度となると、頸椎痛などの臨床症状が発現する事があります(☚変形性頚椎症の主因の一つ)。
また加齢や退行変性などで、鉤状突起などに骨棘(☚骨の突出部分)が生じる事がありますが、これもまた頸椎痛の原因となり、変形性頚椎症の主因となります。

 




注2)    脊髄症(ミエロパシー)
中枢神経の一部である脊髄が、何らかの理由で圧迫され、様々な神経系の症状が発症する病態です。具体的には
   ・頸椎(項部)や胸椎(背中)、腰椎(腰)の疼痛
   ・手足の痺れ感あるいは疼痛
   ・手足の筋力低下
   ・手指の巧緻運動障害(箸で食べ物をはさめない、字を書きにくい、、、など)
   ・歩行時の足のつまずきや階段下行の不能
   ・膀胱直腸傷害(尿漏れや排便のコントロール不能など)

但し、(事故などを除いて)これらの症状が同時に現れる、というものは少なく、一般的には一つの症状が単独で、あるいは幾つかの症状が組み合わされて、極めて緩慢に発症してくるので、なかなか早期に発見できない事があります。
脊髄症の原因は幾つかありますが、その代表例は以下の通りです。
 ・正中ヘルニア
 ・変形性脊椎症
 ・後縦靭帯骨化症
 ・脊柱管狭窄症
 ・外傷
 ・腫瘍

 

 

 

 

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