患者Rさん=48才-女性-主婦の症例
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患者Rさんは、20年ほど前にお子さんを産んでから気管支喘息になったそうです。その後一旦は改善したそうですが40才の頃に再発したそうです。この2回目の時も数か月で改善していましたが、最近になってまた呼吸がしにくくなり、かかりつけの病院で診察したところ「気管支喘息になりかけていますね」と言われ、抗アレルギー薬と去痰剤を処方されたそうです。しかし、それを服用してもほとんど息苦しさは改善しなかったそうです。
・咳や痰あるいは喘鳴・喘息発作は起こっていないそうです。しかし、胸の奥の方で何かが詰まっている感じがして、そのせいで息を吸うのがしんどいそうです。
・Rさんは食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎に罹患していて、当院に通院中でした。
・お腹のつっかえ感があり、その位置はみぞおち(鶏卵大)と左季肋部のR6~7付近(5-6cm横に細長い)だそうです。
・Rさんの身長は147cm、体重は62kgです。
・血液検査ではコレステロール値がやや高めだそうですが、その他の検査で異常はなく、アレルギーの検査もされていません。血圧は120/80mmHgだそうです。
・皮膚の血色はやや悪いですが、発疹や黄染などの皮膚所見はありませんでした。
・ゲップはよく出るそうですが、呑酸はあまりないそうです。
・食欲はどちらかというと普通だそうです。食後に背中が(T10の高さ)横一文字的に1時間前後ほど痛くなるそうです。
・便秘傾向で、数日に一度のペースの排便だそうです。
・頭顔面や下腿の浮腫はありませんでした。眼球結膜の黄染はありませんでした。
・甲状腺の腫脹や萎縮はありませんでした。
・胸部や腹部の血管雑音、あるいは心音・呼吸音に異常はありませんでした。グル音はやや小さめに聴取出来ました。
・腹部触診上、全般的に膨隆-緊満傾向でした。心窩部は緊張していて圧痛が強くありました。それ以外にも所々に緊張と圧痛がありました。左右の鼠径靭帯内側に著明な緊張と圧痛がありました。
・月経周期は28日周期で月経期間は平均5日だそうです。生理痛や排卵痛はほとんど無いそうです。
⑴ 縦郭の圧迫状態を解放し気道の通気を改善する
⑵ 頸部または縦郭内を走行する迷走神経の緊張(?)を解放する
・縦隔解放テクニック
・迷走神経解放テクニック
・初診治療後、「胸の奥深くが軽くなった感じで、息がしやすくなっています」と仰っていました
・2診目来院時、「大分ましでした。ただ、胸の下の方が少し息を吸いにくい感じがありました」と、仰っていました。
・3診目治療後、「すごく息が吸いやすいです。もう、問題はありません」と、仰っていました。
・その約2か月後に別件で来院された際に、今回の息苦しさについてお聞きしたところ、「その後全く再発はありません、スムーズに息が出来ます」と、仰っていました。
・まず、今回の気管支喘息と考えられている「息苦しさ」という症状ですが、しかしそれは以下の理由から気管支喘息の可能性は低いのでは、と考えられます。
❶…抗アレルギー剤や去痰剤の効果が現れない
❷…そもそも、喘鳴・喘息発作や咳などが生じていない。痰も排出されていない
➌…心不全を想起させる所見が見当たらない
・では、今回の息苦しいという愁訴ですが、それは以下の❹,❺の理由から
❹…食道裂孔ヘルニアに罹患している
❺…肥満傾向である
仮説A-縦隔容積の圧力の軽度上昇による「気道の圧迫」
か、
仮説B-縦隔容積の圧力の軽度上昇、あるいは食道裂孔ヘルニアによる「迷走神経の刺激過多」
が原因しているのでは、と考えます。
・先述した様に痰の排出は無いので、迷走神経刺激による杯細胞や気管支腺からの粘液分泌、つまり上記Bの可能性は低そうです。従って、以上の考察から今回のRさんの息苦しさは上記Aの「縦隔容積の圧力の軽度上昇による気道の圧迫」が主因ではないか、と考え、その圧迫を解放する整体テクニック
⑴ 縦郭の圧迫状態を解放し気道の通気を改善する
・縦隔解放テクニック
を、施術しました。
⑵ 頸部または縦郭内を走行する迷走神経の緊張(?)を解放する
・迷走神経解放テクニック
も、施術しました。
・ただ、診察の項でも記した様にRさんはやや肥満傾向ですので、これらの整体テクニックや食道裂孔ヘルニアの治療だけでは不充分かもしれません。つまり、肥満による過剰な脂肪組織が狭い縦郭内内で増えると縦郭内の圧力が上がっていると、それが気道の圧迫に影響する可能性が考えられるからです。ですから、ダイエットをする事で縦郭内にも浸潤して縦郭内の圧力上昇に一役買っている可能性のある「過量な脂肪組織」を燃焼-消失させる必要があるのでは、と思いました。Rさんにはこの点も説明し、いずれダイエットに挑戦して頂くようにお話ししておきました。
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