(宇良神社隣接の公園内の乙姫像)







「丹後七姫」というものがあります。

これは「峰山青年会議所」が街興し策の一環として謳ったもの。


一方で京丹後市は七姫のうち宮津市・舞鶴市に伝承のある一姫を外し、
代わりに違う姫を加えて「京丹後七姫」と称した言葉を使われています。


ところが…

丹後においてもっとも重要な二姫が
これらには入っていない!!!

敢えて「丹後九姫」、「京丹後九姫」として
記事を進めていきたいと思います。


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(嶋児神社の浦島太郎像)



まずは「丹後七姫」のラインナップ。


乙姫
羽衣天女
静御前
細川ガラシャ
小野小町
間人皇后(ハシヒトコウゴウ)
安寿姫

「京丹後七姫」は安寿姫を外し、
代わりに河上麻須郎女(カワカミマスノイラツメ)を加えたラインナップ。



大宮売神は?

竹野媛(タカノヒメ)は?



どちらも京丹後市に大いに縁があり
「丹後…」「京丹後…」のどちらにも含まれる姫。


大宮売神はあのウズメ様!
宮中八神の神!
しかも姫名を冠する神社は全国唯一!

竹野媛は臺与の可能性もあり!
開化天皇皇后!
「丹後王国」の中心となる一柱!
初代丹後国王 由碁理の娘!


丹後の歴史を彩った
こんな重要な二姫が含まれていないとは…。

街興しにも格好の二姫だと思うのですが…。



河上麻須郎女が含まれているのに
二姫が含まれていないのは不可解としか言いようがないかと。

せっかくツウ好みの
河上麻須郎女が含まれているのに…。


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それぞれの簡単なプロフィールを。


【乙姫】
周知の通り浦島太郎神話に登場する乙姫のこと。文献にはっきりとした記述が見られ、且つもっとも古く、またあまりに生々しい伝承が多く残るのが丹後。

これまで幾度にも渡り触れてきたので、詳細は以下リンクにて。ほとんどが水江浦嶋子のもの。詰まるところ、乙姫とはいったい…?

宇良神社宮司さんによる浦嶋物語「絵解き」
その1その2 (いずれもアメンバー限定記事)
◎紀の記述
書紀抄録 浦嶋子神話

◎「丹後国風土記」逸文の記述
◎関連史跡


(宇良神社のご本殿)



【羽衣天女】
八人の天女が舞い降り、水浴をしている間に羽衣を隠され天に戻られなくなった女神。こちらも全国に見られますが、「丹後国風土記」逸文にはっきりと記され且つ最古のもの。

豊宇賀能賣命とされ、詰まるところ豊受大神であろうと思われます。

◎関連史跡





【静御前】
周知の通り源義経の妾。母(磯禅師)とともに京に向かい義経に見染められましたが、生誕地は京丹後市網野町磯、生誕伝承地も有り。終焉の地でもあるという伝承がありますが、こちらは不明。

◎関連史跡

【細川ガラシャ】
明智光秀の三女、宮津藩の細川忠興の妻。キリスト教洗礼前は明智玉子。

光秀が信長を死に追いやったために逆賊となり、身の危険を按じて京丹後市大字弥栄町須川「小字味土野」に遁世していたと伝わります。「細川忠興妻隠棲地」の石碑が建てられているようです(現地未確認)。



【小野小町】
絶世の美女として知られ、女流歌人として知られる小野小町。実際は違ったようです(衣通姫伝説の記事参照)。
晩年は京丹後市大宮町「五十河」で過ごし、最期を迎えたという伝承有り。ところが晩年の住まい、墓所とされる伝承地は全国各地に多数あり、史実は不明。



【間人皇后(間人皇女)】
用明天皇の皇后。聖徳太子の母といった方が分かりよいでしょうか。

皇后は太子とともに蘇我・物部の争いから当地に身を隠したと伝わりますが…。皇后はこちらに滞在し「間人」の地名を当地に送ったとされます。これがカニ漁で有名な「たいざ」。

太子についてはおそらく、何らか混同されたのでしょうね…。第2皇子(太子の同母弟)麻呂子皇子の丹後で大活躍しています。こちらと混同されたのではないかと思います。



【安寿姫】
浄瑠璃などで演じられた「さんせう太夫」の童話、「安寿と厨子王丸」に登場する安寿姫。宮津市丹後由良の海岸沿いに石像が建てられているようです(現地未確認)。

物語のあらすじや伝承地は → 京都府 丹後広域振興局のサイトの紹介にて割愛を。

「山椒太夫敷地跡」というのが、「由良川」沿いの和江神社のすぐ側にあります。もう20回以上は参拝してるのに…あまり関心がないので…。今度訪れてみようかな。



【河上麻須郎女】
「その時歴史は動いた!!!」

…というのが「丹後王国」には2度あります。最初は竹野媛が開化天皇の皇后として嫁いだ時。もう一つは河上麻須神の娘(河上麻須郎女)が丹波道主命に嫁いだ時。

丹波道主命と河上麻須郎女との間に生まれた日葉酢媛が、垂仁天皇の皇后に。そして垂仁天皇と日葉酢媛との間に生まれたのが景行天皇。つまり外祖母になりました。

◎関連史跡
*河上麻須郎女の古墳とされる芦高神社(芦高神社古墳)
河上麻須神を祀る衆良神社

*その他丹後国熊野郡の各神社 → 丹後国 記事掲載済み神社一覧から【熊野郡】を。




【大宮売神】
大宮売神はこの「丹後の原像」シリーズでかなり触れてきたので割愛します。



【竹野媛】
上述のように初代丹後国王 由碁理(武諸隅命)の娘。開化天皇皇后。「魏志倭人伝」に記される、臺与であるとする説も。

丹波道主命の五人娘にも同名神がいます。垂仁天皇の后として五人とも送り込まれましたが、容姿に問題があると一人だけ送り返され、それを恥じて自害しています。時代や系譜から別神と思われます。

竹野媛については以前より記事を起こさねば…と思いつつ今に至っています。そろそろちゃんと考えねば…。

◎関連史跡
神明山古墳(被葬者は竹野媛説有り)




(「お菓子の館 はしだて」さん店舗内、許可を頂き撮影)



■過去の「丹後の原像」記事