【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

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●ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院は「2年制整体学校」と「JHSC整体治療室」を運営しています。


骨盤の歪みは内臓が原因する?!
10年以上前から続く、ピラティスインストラクターに指摘された骨盤の歪みと側弯症の整体治療
内臓整体による矯正治療で17診目で改善した症例の解説です。

患者Mさん=59才-女性・会社員の症例

 

● 側弯症(骨盤矯正)、ウエスト矯正(体重減少)、イボ痔、直腸瘤(肛門下垂)、尾骨痛の【総合案内】はこちら

● JHSC整体院の総合治験例はこちら

 





①    Mさんの病歴…10年以上前からインストラクターより指摘!!

  普通の整体やカイロプラクティックでは改善しない、、、
患者Mさんは、10年以上前からピラティスをされていますが、そのインストラクターから骨盤の歪みと側弯症があることを指摘されていたそうです。そこで、骨盤の歪みと側弯症を改善する指導は受けていたそうですが、ほとんど効果が無かったそうです。またピラティスだけでなく整体やカイロプラクティック、オステオパシー治療も受けたそうですが、同様の結果だったそうです。




【参考資料】

● (内臓性の)側彎症の整体治療

 患者Kさん=16才-女性の症例

● 内臓が関係する(?!)側弯症と整体治療
  患者Sさん=40才-女性-会社員/主婦の症例



②    Mさんの診察…

  腹部臓器の診察で問題所見が多数診られました、、、
・Mさん自身は骨盤の左側が前方に傾いていると感じていて、そのせいか右肩から体幹にかけて、左斜め前方に捻じれながら偏位していると感じているそうです。この事はピラティスのインストラクターにも指摘されているそうです。この姿勢を真っすぐに正しても、数分から数十分後には、再度体幹が左斜め前方に捻じれていて、勤務中などにはこの現象が何度も繰り返されているそうです。
・整形外科での検査では、担当医から「脊柱・骨盤に変形などは無い」と言われているそうですが、具体的な原因と治療はされなかったそうです。
・視診/触診上、ウエストラインは不対象で、右のウエストラインは充分なくびれ(弯曲)がありましたが、左のウエストラインにくびれ(弯曲)は無く、はほぼ垂直に降りていました。左腸骨の前上方偏位(AS腸骨)があり、脊柱は左凸のごく軽度のC型側彎を呈していました。
・椅子に座って靴下を履く時、右足はスーッとスムーズに挙上(屈曲)できるのに、左足では股関節付近でコキコキコキとする感じがして、スムーズに上がらないそうです。また歩行時にも左足が上がりにくく感じるそうです。Mさんの感覚では、左の股関節がスッポリと嵌っていなくて、この様になっているのでは、と思っているそうです。
・食欲は普通で、排便については毎朝あるそうです。ただガス(放屁)はかなり多いそうです、    
・閉経は30代後半に来たそうです。月経が30代後半で止まったのは重度のストレスがキッカケだったそうです。ホルモン療法などを試されたそうですが結局月経は再来せず、そのまま閉経に至ったそうです。
・閉経以前の月経周期は28日で、月経期間は5日のタイプだったそうです。経血量は普通くらいだったそうです。初日に強い生理痛(下腹部痛)があったそうですが、二日目からは生理痛はほとんど生じなかったそうです。婦人科医によると「内膜症などの異常は無いですが、子宮がやや小さいので、そのせいで生理痛が強いのでは」と説明されているそうです。
・4か月ほど前から、左大腿の内側付け根付近(陰部大腿神経大腿枝領域)と、坐骨結節の前方付近(陰部大腿神経陰部枝領域)に軽度の鈍痛(違和感)があるそうです。同部の触診検査では、右足の同部と比べて鈍い感じがするそうです。この件について医療機関を受診されていません。
・以前に膀胱炎になったことがあり、その際は排尿時に尿道付近が痛んだそうですが、1年ほど前から数か月の間、排尿が終わった頃に尿道の左前部付近だけに軽度の痛みがあったそうです(陰部大腿神経陰部枝領域)。この痛み膀胱炎時の痛みとは異なるそうです。
・血圧は110/80mmHgで、血液検査で特段の異常を指摘されたことは無いそうです。
・腹部聴診上、血管雑音は聴取されませんでした。グル音は全般的に強めで聴取されました。
・腹部触診上、腫瘤感はありませんでしたが、左下腹部から恥骨上部の深部に著明な緊張と圧痛があり、腸管同士or腸骨翼との癒着感もありました。臍の左方から左恥骨結節付近にかけての直線上の深部に、陰部大腿神経と思われるひも状の硬くて細長い組織を触診できました(☚癒着感あり)。同部の押圧により、上記部位(左大腿の内側付け根付近・坐骨結節の前方付近)に放散痛が誘発できました。また盲腸部から臍にかけても著明な緊張と圧痛があり、同部の押圧で左耳に「ピー」といった数秒続く耳鳴りが何度か生じたそうです。肝腫大はありませんでしたが、肝叩打痛はありました。そして右季肋部から臍にかけて(肝胃間膜・肝十二指腸間膜=小網から肝円索~臍と推定)に著明な緊張と圧痛がありました。
・頚頬部触診上、左右の椎前筋群に著明な緊張と圧痛があり(特に顎舌骨筋、茎突舌筋、茎突咽頭筋)、両後頭下筋群と後環椎後頭膜(特に右側)にも極めて著明な緊張と圧痛がありました。また左右の頬骨弓の下部(側頭下窩)にも著明な緊張と圧痛がありました。
・初診時の問診では、「肺炎、気管支炎等、胸郭の病気になったことはありません」と仰っていましたが、よくよく問診すると「40代になって初めて人間ドッグにかかりましたが、毎年担当医から”肺に白い影があります。昔の炎症の痕だと思います”と、毎回指摘されています」と仰っていました。ただその部位と広さは覚えていないそうです。さらにお聞きすると、「そう言えば、20代の時に、原因不明の咳が1~2か月ほど続きました」とも仰っていました。





➂ 治療目標と整体治療…

  3方向の内臓の歪み(ベクトル)を内臓整体で矯正 !!
⑴    S字結腸と腸骨翼の癒着を剥がし、体幹の左斜め前方へのベクトル負荷を解消する
⑵    腸管と左大腰筋の癒着を剥がし、体幹の左方へのベクトル負荷を解消する
⑶    腸間膜根の緊張を解放し、体幹の右斜め前方へのベクトル負荷を解消する
⑷    上記⑴~⑶でもって骨盤の撓みと脊柱の側弯を解消する

     ・(左)腸骨はがしテクニック
     ・消化管平滑筋テクニック
(特にS字結腸部)
     ・(左)腸腰筋解放テクニック
     ・(左)陰部大腿神経解放テクニック
…(3診目より追加)
     ・腸間膜根解放テクニック
     ・胸膜解放テクニック
…(10診目より追加)
     ・後大腿皮神経解放テクニック…(10診目より追加)





④    経過と結果…

  超複雑な整体治療でしたが17診目で99%改善!!
・初診治療後、

「骨盤の歪みが真っ直ぐになった感じです。靴下を履く動作もスムーズに左足が上がる様になりました。ただ左の鼠径部に緊張感がある程度です。」と仰っていました。また視診/触診上、左腸骨の前上方偏位(AS腸骨)はほぼ正常に復していました。


・2診目来院時、

「二日くらいは、骨盤は真っ直ぐな感じでしたが、三日目からすこしずつもとにもどってきた感じがします」と仰っていました。施術後は、「骨盤が真っ直ぐになっている感じがします。左足も上がりやすくなっています」と仰っていました。
 

・3診目来院時、

「4~5日くらいは骨盤が真っ直ぐな感じでしたが、今日は少し戻っています。」と仰っていました。施術後は「ほぼ骨盤は真っ直ぐだと思います。体幹の捻じれもほぼ改善しています」と仰っていました。また「左大腿の付け根付近と坐骨前方の鈍痛もかなり軽くなっています」とも仰っていました。同部の触診検査でも、左右差は無くなっていました。


・4診目来院時、

「今週はずっと骨盤~体幹が安定していて、いい感じでした。ただ昨日から少しだけ歪みを感じる程度です。」と仰っていました。また「左股関節の痛みもほとんど感じませんでした。靴下をはく時も、少しだけ鼠径部に違和感が出るくらいで、すんなりと履けるようになっています」とも仰っていました。


・5診目来院時、

「最初の四日間くらいは骨盤も真っすぐで調子が良かったですが、やはり五日目くらいから少しずつ元に戻り、体幹の左斜めへの捻じれが少し出てきて、左足の屈曲も少ししづらくなりました。左股関節の痛みも、以前ほどではないですが少し戻りました。」と仰っていました。また「そう言えば、最近便の量が多くなっている気がします」とも仰っていました。施術後は骨盤も正中に向き、左右のウエストラインもほぼ左右対称的に均衡しました。そして左股関節の痛みもかなり解消し、左足の屈曲もしやすくなっていたそうです。


・6診目来院時、

「この数日間は調子が良く、前回の様に元に戻らなかったです。」と仰っていました。施術中、以前は押圧によって左大腿の内側付け根付近・坐骨結節付近に放散痛が生じた部位(☚陰部大腿神経と思われる)の押圧で、ほんの少しだけ放散痛がありました。左足の屈曲も右足と同等レベルにまで改善していました。


・正月休みを挟んだ7診目来院時、

「大晦日くらいから少し元に戻って、やはり体幹が少しだけ左斜めに回旋する感じがします。骨盤も左の方に引っ張られる感じがします。左股関節の痛も靴下をはく時や歩行時にも痛みが出るように、足を上げづらくなりました」と仰っていました。視診上、施術前は左右のウエストラインは両方ともくびれがありましたが、やや左ウエストラインのくびれが小さかく、直線的でした。しかし施術後は左のウエストラインもくびれが増強し、左右ともウエストラインのくびれがくっきりとして、引き締まっていました。また左足付け根の痛みも減少し、足を上げやすくなっていました。


・8診目来院時、

「もう、体幹が回旋する感じは無くなりました。靴下をはく時の痛みも無くなりましたが、歩行時に左股関節付近の痛みは出るようです。」と仰っていました。ウエストラインのくびれは左右対称のまま引き締まって維持されていました。


・9診目来院時、

「体幹の回旋や首が回旋する感じも無くなりました。かなり真っすぐになっていると思います。左足付け根の痛みはかなりマシで、以前の6/10程度だと思います。靴下をはく時の足の挙上は問題ありません。ただ少しだけ歩行時に違和感があります」と仰っていました。また「一日だけ大量の便が出た時がありました」とも仰っていました。視診上、左右のウエストのくびれは対照的で、骨盤・脊椎もほぼ真っすぐになっていました。
 

・10診目来院時、

「もうほとんど体幹の左回旋感はありません。ただほんのちょっと、首が右下方に捻られる様な感じがするのと、座位の時に体幹が少しだけ左凸の側弯姿勢になる感じがするくらいです」と仰っていました。また「左足付け根の痛みもほとんど気にならないくらいになっています」と仰っていました。視診上、左右のウエストのくびれは対照的で、骨盤・脊椎も真っすぐになっていました。
 

・11診目来院時、

施術前は「側彎の状態はほとんどいいのですが、座位の時に体幹が少しだけ左凸の側弯姿勢になるのが気になるくらいです」と仰っていました。施術後は「あっ、(体幹の)左側屈がマシになっています」と仰っていました。
 

・12診目来院時、

「前回施術から1週間くらいは体幹の左側屈は無かったですが、三日ほど前から少し左側屈に戻りました。でも以前よりはマシですが。」と仰っていました。施術後は、それが改善されていました。
 

・13診目来院時、

「体幹の右回旋も、左側屈もほぼありませんでした。ただ右のわき腹から背中にかけて少しだけ狭くなるような、引っ張られる様な感覚が残ります」と仰っていました。施術後は、その狭窄感/牽引感はほぼ解消されていました。
 

・14診目来院時、

「身体の捻じれは今までの治療でほぼ完全なのですが、残るは左の肩から胸にかけて右斜め下方に向かう感じがして、それだけが気になります」と仰っていました。


・15診目来院時、

「前回の治療より少し間が開いたせいか、少しだけ左肩の捻じれと体幹の左側屈が戻った気がします。でも最初に比べると1~2/10以下だと思います。」と仰っていました。
 

・16診目来院時、

「ほとんど良いのですが、体幹の左側屈がほんの少しだけある気がします」と仰っていました。施術後は「体幹が真っ直ぐな感じがします」と仰っていました。
 

・17診目来院時、

「右の腋だけがほんの少しだけ突っ張っている感じがしますが、それ以外は99%完全だと思います。」と仰っていましたので、本件の集中治療は終了する事にし、以降はMさんの本来の主訴である耳鳴りの整体治療に専念する事にしました。





⑤     今回の症例の概説、、、
内臓が原因する骨盤の歪みと側弯症は本当にあるのか ?!
このタイプは、いわゆる「ボキボキ矯正」での骨盤矯正はNG !?
・一般的に側弯症や骨盤の歪みの治療(骨盤矯正)に対しては、脊柱の椎間関節や骨盤の仙腸関節に対して直接アジャストする、いわゆる「ボキボキ矯正」が主流と思われます。しかし当院では、その様なケースでも、まずポキポキ矯正で対応していません(…ずっと以前はしていましたが、、、)。


当院での側弯症や骨盤の歪みに対しての整体治療は、そのほとんどが内臓整体を施術し、その矯正効果をあげています。当然脊椎に、先天的または加齢などによる後天的な変形や圧迫骨折などの構造的問題がある場合は、この限りではありません。

 

当院では、骨盤矯正はほとんど内臓整体で治療します…

 


当院における骨盤矯正・側弯症の治療は女子が圧倒的に多い !!
・また当院における側弯症や骨盤の歪みの治療を依頼される患者さんは、圧倒的に女性が多いのも特徴です(☚この事については後述します)。、、、と言うより、男子で側彎症や骨盤の歪みがある症例そのものが極めて少ないのでは、と考えています。ただ高齢者では、男子でも脊椎の変形や圧迫骨折などが増えると思いますので、その様な症例では内臓整体でも難しいと思われますが。

 

骨盤のズレは圧倒的に女性に多い?!

 


そもそも、内臓が原因で骨盤の歪みや側弯症が生じるのか ?!
・ではなぜ、内臓への整体で側弯症や骨盤の歪みが治療できるのか、、、と言うより、そもそも内臓が原因で側弯症や骨盤の歪みが生じるのか???といった疑問に答える必要があるかと思います。そのヒントの一つは、先述のごとく、側弯症や骨盤の歪みの患者さんは、圧倒的に女子に多い、という事です(☚正式な統計は存じ上げないので、あくまで当院だけでの統計-印象です)。

 


骨盤は”歪んでいる”のではなく、”撓んでいる” ?!
・側弯症や骨盤の歪みは女子に多い、、、という疑問に答える前に、骨盤の歪みについてお話しておきたいと思います。当院では、そもそも骨盤が歪んでいる症例(仙腸関節のズレ=サブラクセーション)はかなり少数なのでは、と考えています。ではなぜ、骨盤が歪んで見えるのか、、、についてですが、それは「骨盤の歪み」というより「骨盤が撓んでいる」のでは、それが見かけ上「骨盤の歪み」として見えてしまうのでは、と考えています。

 

  

骨盤はしなやかで柔軟に撓むことが可能な構造になっている

 


骨盤の仙腸関節は”不動関節”と呼ばれていた !!
・そもそも骨盤にある一対の仙腸関節は、その前後面に張る太くて長い強靭な「前仙腸靱帯」と「後仙腸靱帯」によって硬く固定されていますので、以前は、解剖学の教科書では「不動関節」と言われていたくらいに、ほとんど可動しない関節ですから、この関節が容易にズレる(サブラクセーションする)とは考えにくいのです。

 

骨盤の「撓み」を助けて、ズレを抑止する強靭で柔軟な靭帯群

 


不動関節である骨盤(仙腸関節)はズレにくい構造になっている !!
・また骨盤は、幼少時にはそれぞれ左右一対の「腸骨、坐骨、恥骨」が軟骨によって連結した状態で、やがてそれが成長に応じて骨化(一体化)して、その中央に逆三角形の仙骨が挟まる形で出来た構造物です。

さらにそこには、左右一対の「仙結節靱帯(仙骨側面と坐骨結節を結ぶ靱帯)」と「仙棘靱帯(仙骨側面下部と坐骨棘を結ぶ靱帯)」があり、両靱帯はその弾性力によって骨盤の撓みを元の正常なシンメトリー状態に戻す役割がありますので、その意味でも仙腸関節はズレにくい(サブラクセーションしにくい)と考えられます。

 

骨盤は多数の靭帯によって定位置(正中位)に引き戻されているので、本来ズレにくい!!

 


骨盤は"撓みやすい"構造になっている !!
・ちなみに、この仙結節靱帯と仙棘靱帯の弾性力による骨盤の撓みをシンメトリーに戻す機能は、歩行による下肢の運動エネルギーにより左右の骨盤が前後の反対方向に撓んだ非シンメトリーな状態を正中に戻すベクトルによって、歩行時の下肢の筋肉群の運動を補助する役割が与えられているものと考えます。

 

 

骨盤の撓み力を脊椎(体幹)から上肢に伝えることで、身体全体で効率よく歩行することが出来るので、エネルギーの使用を最小限に省力化する事にもつながっています…
 

 

・また骨盤という骨自体も薄っぺらな部分が広がっている部分も多く、小学生が使うプラスティック製の”下敷き”の様に、撓みやすい構造になっています。

 

骨盤に「撓み力」が無いと、歩行は下半身だけでしなければならない!?

 


骨盤は臓器や靱帯によって「引っ張られる」or「押される」事で撓む事がある?!
・それではいよいよ、話しを「内臓が原因で側弯症や骨盤の歪みが生じるのか???」に戻しますと、それは主に骨盤内臓器の何らかの異常によって「骨盤が押され続けられる」か、逆に「骨盤が引っ張られ続ける」事よって骨盤が長期にわたり「撓んだ状態」に維持-固定される事で、それが「骨盤の歪み(サブラクセーション)」に見えてしまうのでは、と考えます。

 

 


骨盤に「引っ張られる」or「押される」ベクトル(弾性力)がある限り、ボキボキ矯正をしても元に戻る !!
・従って、この仮説に基づく場合では、一般的なアジャスト(いわゆるボキボキ矯正)は無効である、という事になります

なぜって、いくらアジャストしてシンメトリー状態に復しても、骨盤内臓器に異常がある限り、その骨盤には「押され続ける」か「引っ張られ続ける」ベクトル(弾性力)が働くので、元の非シンメトリーな状態(骨盤の歪み状態)に戻されてしまい、骨盤の撓んだ状態(見かけ上のズレ-サブラクセーション)が持続する事になるからです。

 

骨盤をを引っ張るor押す内臓の問題がある限り、骨盤のアジャストは無意味!!

 


ボキボキ矯正をしても数分後には元のズレた状態に戻る、若き頃の経験…
・先述しましたが、当院でもずっと以前は(40年ほど前)、骨盤矯正にあたってはアジャスト(いわゆるボキボキ矯正)を多用していました。さすがにアジャスト直後は骨盤は一時的に正中に復し、シンメトリー状態になりますが、早ければ1~2分もすれば「元の木阿弥」、歪んだ状態に戻る事は何度も何度も経験していました。

 

・その時「何でやろう??? 俺の腕がわるいんやろか~。それとも他に原因があるんやろか~」と何時も考えさせられました。上記仮説が正しいとすれば、左記の当院の経験は”さもあらん”事だと思いますし、”如何ともしがたい事”だったと思います。

 


骨盤内臓の異常が骨盤を「押す」or「引っ張る」事で生じる「撓み」が骨盤の「ズレ」に見える !!
骨盤のアジャスト(ポキポキ矯正)直後に元のズレた状態に戻る、、、

その理由に対する一つの回答が、先述のごとく「内臓が原因で側弯症や骨盤の歪みが生じる」なのです。

 

・つまり、主に骨盤内臓器の異常によって「骨盤が押され続けられる」か、逆に「骨盤が引っ張られ続ける」事よって骨盤が長期的に「撓んだ状態」に維持され、それが「骨盤の歪み(サブラクセーション)」に見えてしまう、、、これが、当院が考えた主要な原因の一つなのです。

 

子宮内膜症などによる臓器間の癒着は骨盤を引っ張る要因となる?!

 


代表的な骨盤内臓の問題…「月経血の逆流 (子宮内膜症)& 子宮筋腫、、、」と、

子宮を正中に支持する靭帯=仙骨子宮靭帯、子宮頚横靭帯、子宮円策、子宮広間膜
・ところで骨盤の撓み(見かけ上の骨盤のズレ)の主要な要因である「主に骨盤内臓器の異常…」についてですが、それは様々な可能性が考えられますが、中でも女子については「月経血の腹腔内への逆流(☚子宮内膜症の有力原因)」が大きく関与していると考えます(他にも経腟性の細菌感染など)。


・ちなみに月経血の逆流は性的に成熟した全女子に生じる普遍的な生理現象(下記参照)ですが、その腹腔内に逆流した月経血が子宮を正中に維持するための靱帯など(子宮円索・基靱帯・仙骨子宮靱帯・子宮広間膜)に伝わり、他の骨盤内臓器や、あるいは骨盤そのものに癒着する事で、「子宮~当該靱帯~他の内臓or骨盤間の緊張関係」が生じ、その方向へ「骨盤が引っ張られ続ける」ベクトルが生じて「骨盤が撓む」現象が生じるのでは、と考えます。

【参考資料】
◆ 月経血は逆流する その一
◆ 月経血は逆流する その二

 

   

子宮を正中に支持する各靭帯は骨盤に付着しています。従って、ある靭帯に緊張があると子宮と骨盤は引っ張り合いをして、子宮が歪んだり、骨盤が撓んだりすることがあります。

 


女子に骨盤のズレ&側弯症が多い理由 !!
・この事が、先述しました「当院で側弯症や骨盤の歪みの治療で内臓整体を施術するのは、圧倒的に女性が多いのも特徴」の第一理由です。これだけでなく、例えば子宮筋腫などもこれに匹敵する原因だと思います。つまり膨隆した子宮筋腫部位は先述の靱帯群や他の臓器との接着(癒着)が強固になって「骨盤が引っ張られ続ける」ベクトルとなったり、あるいは逆に、膨隆した子宮筋腫によって他臓器が骨盤内壁側に向かって押しやられ、それが「骨盤が押され続けられる」ベクトルとなる事で骨盤が撓み続ける(見かけ上の骨盤のズレ)ことも考えられます。


・子宮筋腫も全女子の三割前後の罹患率ですから、骨盤の撓み(見かけ上の骨盤のズレ)が女子に多いのも、頷ける事だと思います。

 


 

 

Mさんの骨盤の撓み(ズレ)の原因とは、、、
・さてここからは、話しを上記の様な一般論から、今回の症例のMさんの骨盤の撓み(見かけ上の骨盤の歪み)原因について、見ていきたいと思います。Mさんは酷い生理痛があったとはいえ、「子宮内膜症はありません」と当時の担当医から言われていましたし、ある事情から30代後半で閉経するなど、前出の婦人科的な原因は少なそうです。

 


Mさんの腹部所見…臓器~骨盤間の癒着を推察させる所見が満載 !!
・しかし「② Mさんの診察」の腹部の触診所見から、左腹部を中心に、恥骨近辺や盲腸部付近など、色々な部位で緊張部分や癒着を推測される部分が数多くありました。上記でお話した当院の「骨盤の撓み仮説」からすれば、いわゆる”突っ込みどころ満載”の、当院仮説の典型的/教科書的な症例だと思われました。

 

 


デモンストレーション的な内臓整体で骨盤の歪みが瞬時に改善 ?!
・実は初診時にMさんから「耳鳴りが主訴ですが、骨盤の歪みや側弯症も早く治してほしいです。どこに行っても全然改善しないので、よろしくお願いします」との要望もあったくらい、Mさん的には骨盤の歪み・側弯症を気にしていたようです。


・そこで本格的な耳鳴り治療に入る前に、デモンストレーション的に骨盤の内臓整体を施術したところ、骨盤の歪みだけでなく側弯症も瞬時に大幅に改善した事から、Mさんは「私の骨盤の歪みは内臓が原因なんか?? これやと普通の整体やピラティスでは無理やな…」と自問自答していたくらいでした。

 


 

 

Mさんの具体的な骨盤臓器所見とは、、、
・さて、改めてⅯさんの骨盤の撓み原因についてですが、先述のごとく、Mさんの腹部内のあらゆる部位で臓器同士の癒着が生じて、それが骨盤の撓みの原因である可能性が推測されました。

当然、正確な所は一整体院である当院で分かるはずはありません。解剖して、どことどこが癒着しているのか確認しないと、本当のところは不明のままです。しかしそれ(解剖)は不可能ですから、ある程度の推測を元にして施術に当たるしかありません。そこで当院が特に注目した部位は次の4点です。
A.    

左下腹部から恥骨上部の深部に著明な緊張と圧痛があり、腸管同士or腸骨翼との癒着感もありました
B.    

臍の左方から左恥骨結節付近にかけての直線上の深部に、陰部大腿神経と思われるひも状の硬くて細長い組織を触診できました(☚癒着感あり)
C.   

 肝叩打痛はありました。また右季肋部から臍にかけて(肝胃間膜・肝十二指腸間膜=小網から肝円索~臍)に著明な緊張と圧痛がありました。
D.    

盲腸部から臍にかけても著明な緊張と圧痛がありました
(上記A~Dは当院の診察による仮説です)

 

各臓器間の癒着などが骨盤を撓ませる可能性がある?!

 


Mさんの腹腔内では「\」方向の牽引力が働いている ?!
上記Aの「\」方向の牽引力について・・・
・当院の推察では、まず
上記A については、左下腹部に位置するS字結腸全域および腸骨翼との間に癒着感を伴う緊張がある事から、左下腹部には「\」方向の牽引力が働いているのでは、と想定されました

 

・この牽引力はMさん自身が感じている所見「骨盤の左側が前方に傾いていると感じていて、そのせいか右肩から体幹にかけて、左斜め前方に捻じれながら偏位していると感じているそうです」を生じさせる牽引力の可能性があると思われます。

 

左下腹部のS字結腸

 


上記Bの「\」方向の牽引力について・・・
・次に
上記B については、この「陰部大腿神経と思われるひも状の硬くて細長い組織」はの前面に接する組織ですから、この事は左大腰筋との癒着・緊張を推察させる所見です。この推察通りだとすると、Ⅿさんの体幹は大腰筋の癒着・緊張によって左側屈へのベクトルを受ける事になり、これもMさんの感じている感覚(体幹の左前方向への回旋)に整合すると思われます。

 


・またこの事は、Mさんの愁訴の一つである「椅子に座って靴下を履く時、右足はスーッとスムーズに挙上(屈曲)できるのに、左足では股関節付近でコキコキコキとする感じがして、スムーズに上がらない」を裏付ける所見になるかと思われます。

 

 


上記Cの「\」方向の牽引力について・・・
上記C については、おそらくMさんは肝周囲炎(ヒッツヒューカーチス症候群)であったのでは、と推測します。本症は肝臓を包む腹膜のクラミジアなどの感染症ですが、その多くは本人が自覚する間もなく自然治癒する事が大半です。

 

・ただその炎症による膿が肝臓周囲から小網(肝胃間膜・肝十二指腸間膜)へ、さらには小網から肝円索を通じて臍にまで浸潤-癒着する可能性があります。その癒着によって右季肋部(肝臓)から臍にかけてを牽引する力が生じ、それは上記A、Bと合体して、右季肋部から左下腹部にかけての「\」方向の牽引力に助勢する可能性があります。

 

  

 


Mさんの腹腔内では「/」方向の牽引力も働いている ?!
上記Dの「/」方向の牽引力について・・・

・最後にDについてですが、この所見はおそらく回盲部から臍付近を経由して左季肋部の十二指腸空腸曲を結ぶ「腸間膜根」の一部では、と推測されます。同根の緊張は上記のA、B、Cとは逆方向である「/」方向への牽引力が働く事になり、それは体幹の右前回旋を誘発する様なベクトルを取ると思われますが、(ここからは憶測ですが) A、B、Cに比べると相対的に弱いのでは、と思われます。

 

 


結局Mさんの腹腔内では「✕」方向の牽引力が同時に働き、複雑化されている ?!
・以上の考えを単純に表すと、「A+B+C>D」となります。Dは右前方向でA、B、Cは左前方向に向かうベクトルですが、「A+B+C」の方が「D」より強力なため、結局Mさんの体幹はMさんの感じている様に左斜め前のベクトルを受ける事になるのでは、と考えられます。


・そしてこの事はMさんの脊柱を全体的に左側方に引くベクトルとなり、脊柱も左凸の側弯症(左ウエストラインはくびれ(弯曲)が無くストレート)を呈し、右ウエストラインはくびれ(弯曲)がる)を呈するようになっているのでは、と考えられます。


・上記で記した「A+B+C>D」仮説は、Mさんの骨盤の撓みや脊柱の側弯症状に関して、「✕」の様に相反する複雑に交差したベクトルを生む事になるので、通常のアジャストやピラティス等では何ともならないのは当然の事と思われます。

 

 


Mさんの腹腔内に働く「✕」方向の牽引力を内臓整体で解放する !!

・以上の事からMさんの骨盤や脊柱の矯正に対しては、
  ・(左)腸骨はがしテクニック
  ・消化管平滑筋テクニック
(特にS字結腸部)
  ・(左)腸腰筋解放テクニック
  ・(左)陰部大腿神経解放テクニック
…(3診目より追加)
  ・腸間膜根解放テクニック
を施術したわけです。

 

 


内臓が原因する骨盤に歪みと側弯症は本当にある !! そしてそれは女子に多い !!
但しその機序は個人個人で複雑多彩・・・

・結果的に内臓の整体治療で、何年も前からの骨盤の歪みや側弯症が17診目でほぼ完治した事から、上記仮説で概ね妥当であったのでは、と思います。


・以上の様に、内臓が原因する骨盤の歪みや側弯症は少なくないと思っています。しかしMさんの上記解説でも分かる様に、どの内臓と内臓がどことどこに癒着するか、それらがどの様に引っ張り合うのか、それが何カ所あるのか等々、全く人それぞれです。ですからその治療はセオリーなど全く無く、個別で診察した上でのオーダーメイド的な治療になるので、非常に複雑な過程を経る事になると思います。



Ps・・・
ところでMさんの腹部はS字結腸部を始め、様々な部位に緊張や癒着を想定させる部位があったと想定される訳ですが、結局は「なぜ、色々な部位に緊張・癒着を発症したのかについては不明」のままでした。最初に「女子は婦人科的な影響によって骨盤が撓む事が多い」旨を記しました。また当時子宮内膜症などの診断を受けていない、また閉経が早かったMさんについては、その影響を示す所見は少ない旨も記しました。でも直感的には、他に有力なエピソードがMさんには無いので、結局はやはり「月経血の逆流」による癒着などが、その主な原因であったのでは、、、と思っています。

 

 

 

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それではお大事にしてください。

 

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