【整体コラム】
身体の中の満潮と干潮
夜に痛みが増強する症例は、静脈系の整体治療で改善する ?!
昔は大阪湾内を歩いて渡れた ?!
・「満潮-干潮」という言葉は皆さんもよくご存じだと思います。両者は海や湖の水位が上下に変動する現象ですね。この上下の変動の事を「潮汐(ちょうせき)」と呼び、それは大体半日に一度のペースで水位が上下しているそうです。水位が一番上がった状態が満潮で、その逆が干潮ですね。
モン・サン・ミッシェルの満潮と干潮
・余談ですが、ずっと昔の大阪湾は遠浅だった事もあり、干潮の時は神戸~尼崎のあたりから堺方面まで、大阪湾内を直線的に歩いて渡る事が出来たそうです、、、。
遠心力でロケットを飛ばす !?
・ところでこの潮汐現象(満潮-干潮)の原動力は
1. 月の地球におよぼす引力
2. 地球の自転による遠心力
によって生じる現象である、、、という事は、小学校か中学校くらいの時に習った気がします(詳しい事は忘れましたが…)。
・余談ですが、ロケットの打ち上げも地球の遠心力に頼っている部分が多いそうですね。
つまりロケット発射台は地球の遠心力が強い緯度の低い地域(☚日本の場合種子島)に設置するのが常道だそうです。その方が、遠心力がロケットの推力に味方してくれるのだそうです。
満潮-干潮があっても、地球全体の海水量はほぼ一定
・とにかく海などの満潮と干潮はその水位が上下する事ですが、言い換えれば、『満潮時は当該海域(例えば大阪湾)の海水量が増え、干潮時は逆に海水の量が減っている』といえると思います。
・ただここで注意しなければならない事は、その海水の増加(満潮)・減少(干潮)は相対的なもので、絶対的なものではない、という事です。つまり地球全体の海水量は基本的にはほぼ一定なのですね。ある地域の水位(海水量)が月の引力や地球の遠心力の影響によって増減しているだけなのですね。
「潮の満ち引き」、、、ならぬ「血の満ち引き」 !!
・ここからが本題なのですが、実は身体の中にも「満潮と干潮」といった「潮の満ち引き」的な現象があるのです。そしてそれは、整体治療などの臨床的な事にも影響している事が少なくないのです。
・では、身体の中の満潮と干潮はどの部分で起こっているのか、、、についてですが、それは血管の中で生じている出来事なのですね。先ほど「潮の満ち引き」と記しましたが、身体の中においては「潮」ではなく「血」の、つまり「血の満ち引き」が生じているのです。
動脈、静脈、毛細血管の定義とは、、、
・身体の中の「血の満ち引き=満潮と干潮」についてお話を進める前に、まず血管系の大雑把な説明をしておきます。
血管系は次の様に「動脈系-毛細血管系-静脈系」に大別されます。
1. 動脈…心臓から出ていく血管で主に栄養分やO2が含まれている (例外あり)
2. 静脈…心臓に戻ってくる血管で主に老廃物やCO2が含まれている (例外あり)
3. 毛細血管…動脈と静脈の間にあって組織(細胞)の栄養・O2と老廃物・CO2の交換をする部分
・上記を実生活で例えていうと、
1. 動脈…上水道
2. 静脈…下水道
3. 毛細血管…台所or洗面台の水道
みたいな感じでしょうか、、、。
平均的な人(体重65kg)の血液量は5ℓ…
但し、その血液量の配分は動脈と静脈で異なる !!
・ちなみに人の身体の中の平均的な血液量は約5ℓと言われています。
【人の全血液量は凡そ体重の1/13で、体重が65kgとすると65÷13=5(ℓ)となります】
ただその全血液量の配分についてですが、それは動脈系-毛細血管系-静脈系によって下記の様に若干異なります。
★各血管系の血液配分量の割合 (全血液量=100とした場合)
動脈系=20%
毛細血管系=5%
静脈系=75%
それぞれ均等に、つまり33%ずつではないのですね。
【ちなみに、上記の様な各血管系への血液配分の調整は、主に交感神経によって調節されています】
これこそ「身体の中の満潮と干潮」
・この様に血管系の血液配分は「動脈系=20%、毛細血管系=5%、静脈系=75%」となっていますが、それは一日を通しての平均値であって、実は下記の様に昼夜によって変動しているのです(人の活動状況を無視した場合)。
◆昼=「動脈系=20%より上昇、毛細血管系=5%強、静脈系=75%より減少」
◆夜=「動脈系=20%より減少、毛細血管系=5%弱、静脈系=75%より上昇」
・つまり昼間は動脈系が満潮状態で静脈系が干潮状態にあり、夜はそれが逆転する、これこそが「身体の中の満潮と干潮=血の満ち引き」なのです。
なぜ、動脈と静脈の血液配分が昼夜で逆転するのか、、、
・この「身体の中の満潮と干潮=血の満ち引き」現象の意味は、皆さまにはご理解できるのでは、と思います。
・それは、昼間の活動期には、毛細血管(ひいては組織/細胞)にその活動のために必要な多くの血液を送る必要があるので、動脈>静脈(動脈系の満潮/静脈系の干潮)となり、夜の休息期にはそれが逆転する、つまり半日周期で、動静脈の間で満潮⇔干潮といった血の満ち引き現象が生じているのですね。
・この「身体の中の満潮と干潮=血の満ち引き」はその意味では極めて合理的な生理現象なのですね。
夜になると痛みが増強する患者さん・・・
血液の満潮-干潮が関係する ?!
・さて、ここからが臨床的な問題です。
それは「夜になると痛みが強くなります」と訴える患者さんをよく見かけます。皆様の中にも同様の経験をされた方は少なくないのでは、と思います。
この様なタイプの患者さんが来院された際、当院では「静脈系の問題では?!」と疑い、その方面で診ていく事が常道なのです(☚必ずしも絶対的ではありませんが)。
静脈のうっ血(膨張)が患部を刺激する !!
・なぜ、夜間に痛みが増強するケースで「静脈系の問題では?!」と疑うかについてですが、それが本コラムのテーマである「身体の中の満潮と干潮」に関係するのです。
・その理由は先述のごとく、夜間になると静脈系の血液量が増えるので(☚静脈系の満潮、逆に動脈系は干潮状態)、増えた血液の分量だけ各臓器-組織内を走行する静脈がうっ血(膨張)し、各臓器-組織を刺激する事になります。
・その際、当該臓器/組織の状態が健全であれば具体的な愁訴は発症しませんが、もし不健全な(病的な)状態であれば、その静脈うっ血(膨張)による病的部分への刺激によって痛みが増強する可能性があるのです。
この事が「夜間に痛みが増強するケースでは、静脈系の問題では?!」と疑う根拠なのです。
・上記は絶対的ではありませんが、結構な確率で当てはまると思います。中でも最もポピュラーなケースは「歯痛」ではないでしょうか。
「夜になると歯が疼く様に痛くなる・・・」といったケースは非常に多いように思います。
この事は皆さまにも心当たりがあるのでは、、、。
その様なケースでは、夜になると歯の内部の静脈がうっ血(膨張)する事で虫歯などの炎症部分がさらに刺激を受け、痛みが増強するものと考えられます(下記症例参照)。
【夜間に痛みが増強するタイプの整体治療例:歯痛編】
その一
5年間も続く「原因不明の歯痛」の整体治療例
鎮痛薬が全く効かない、重度の原因不明歯痛の症例解説
患者=Yさん-37才-女性/家事手伝い
◆ 歯槽部の静脈うっ血(浮腫み)の整体治療で治癒した症例より…
その二
歯痛(虫歯)・歯肉痛と整体治療
1年前から続く、3か所の原因不明の歯痛治療例
患者Dさん=37才-男性-会社員の症例
◆ 歯槽部の神経絞扼の解放と、血流の改善で治癒した症例より…
◆口腔内疾患 【総合案内】
歯の様に硬い臓器は静脈のうっ血が影響しやすい !!
・ではなぜ、歯痛に静脈系のうっ血(膨張)による痛みの増強が起こりやすいのか、、、ですが、それは「歯が硬い組織」だからだと思います。
・歯の内部にも動静脈が走行する部位がありますが(☚歯髄)、その歯髄内部の静脈がうっ血して膨張する際、歯はエナメル質・他の硬い殻で囲まれているので、その硬く閉ざされた空間で静脈がうっ血-膨張するには限界があり、それを押して膨張する事で痛みが増強するのでは、と考えられます。
・逆に言うと軟らかい組織であれば、例え静脈がうっ血-膨張しても静脈が肥大していく”ゆとり”があるので、痛みはそれほど強くならないのかもしれません。
変形性関節症が痛むのも静脈のうっ血が第一要因
・歯と同様に、硬い組織内での静脈うっ血(膨張)による痛みの増強パターンがあるのが骨内の病変だと思います。その典型例が「変形性関節症」だと思います。
・変形性関節症は関節を構成する「骨、軟骨、関節包(滑膜)、靱帯、筋肉/腱」などが変性していく疾患ですが、その主な痛みの原因の一つが「骨内の静脈うっ血(骨髄浮腫)」なのです(下記画像参照)。
・骨の内部も「モグラの巣orアリの巣」の様に、動静脈が走行する極細のトンネルが縦横無尽に走っていますが、その内部の静脈がうっ血-膨張する事で痛みが増強するのですね。
変形性関節症の整体治療方針=動静脈の循環を回復する !!
・従って変形性関節症患者を整体治療する場合、その治療目標の一つに「当該関節-骨内の静脈うっ血(膨張)の解消及び血液循環の回復」があります。
・この作業によって静脈うっ血(膨張)による痛みの軽減/解消を図り、さらに血流の回復によって骨や軟骨の代謝の改善を図り、以って変形性関節症を治癒に導く、というものです。
【変形性関節症の整体治療例:股関節編】
3年前から続く股関節痛(変形性股関節症)と整体治療
患者Yさん=63才-女性-自営業/主婦の症例
◆股関節の血流を回復する内臓整体で改善した症例より
この変形性股関節症患者のYさんについては、主に下腹部から股関節頭に通じる動静脈の循環を改善する整体治療で緩解した症例です。
結語…
血流回復の整体治療で痛みを緩和し、自然治癒力を回復する !!
・ここまで「身体の中の満潮と干潮」というお題で本整体コラムを記してきましたが、その内容を要約すると次の様になります。
1. 血液は昼夜で血管内の血液配分が変化する 昼-動脈系の血液量増⇔静脈系に血液量減 夜はその逆
2. 従って夜になると静脈系の血液量が増えてうっ血する
3. 当該組織に障害がある場合、夜になって静脈系がうっ血すると、その膨張刺激によって当該部位の疼痛が増強する可能性がある
4. 「夜になると痛みが強くなります」と訴える患者さんに対しては、静脈系のうっ血部位を探し、その部位の静脈還流を回復する整体治療を施術し、疼痛原因を除去する
5. 同時に新鮮な動脈血の循環を促進する事で、障害部位の自然治癒力の改善を図る
・動静脈の循環を回復する整体治療は、「夜になると痛みが強くなります」と訴える患者さんだけでなく、その他の原因による様々な愁訴の患者さんに対しても、かなり共通した治療方針になると考えています。
今後も、この考え方を整体治療方針の軸の一つとして、さらに研究していきたいと思います。
ここまで長々と御読みいただき、ありがとうございました。
何かの参考になれば幸いです。
それでは、、、。
(了)
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