【整体コラム】 機能性胃腸症(FD)の治療についての一考察  FDは外科医に知られていなかった | 【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

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【整体コラム】                                                           
機能性胃腸症(FD)の治療についての一考察
機能性胃腸症(FD)は外科医に知られていなかった ??
FDは一種だけの治療法では改善しにくい…その理由とは…
消化管以外の原因も併せて整体治療する !!                       

 

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◆ 始めに=機能性胃腸症(機能性ディプペプシア=FD)の定義
機能性胃腸症(以下FD)とは、内視鏡などの検査でも炎症や潰瘍などの観察できる異常がないにもかかわらず、胃の痛みや胃もたれ、食後の膨満感、早い満腹感などを感じる症候群である。日本の保険診療名となったのは2013年であり、従来は便宜的に「慢性胃炎」などの診断名がつけられた(引用-ウィキペディアより)。

本邦でのFD患者数は11~17%と言われている。





◆ FDを知らないお医者さん・・・
先日、あるFD患者-Aさん(60代・女性)とメールでやり取りをしていました。Aさんは遠方の方なので、当院での整体治療の受け方について、色々と相談をしていました。その中でAさんは「えっ、それホンマですか?!」という驚きのメールをされました。その顛末は以下の通りです。

実はAさんのご主人はある手術をされました。そしてその担当外科医にご主人の術後について説明を受けていたそうです。その話の中でAさんは、ついでにご自身のFDについて有効な治療法があるのか尋ねたそうです。するとその担当の先生は驚きの回答をされました。それは「FD?  機能性胃腸症って、何?」・・・

つまりFD=機能性胃腸症という疾患名そのものを、その担当医はご存じなかったのです。

Aさんが落胆されたのは言うまでもありません。
 





◆ 外科医がFDを知らないのは当たり前 ?!
私もこのメールを拝見して最初はビックリしました。しかしすぐに「さもあらん」と思いました。それはこのFD(機能性胃腸症/機能性ディプペプシア)なる病名は1989年に初めて定義された比較的新しい病名だからです。先述の様に、日本での保険診療名になったのは2013年ですから、我々の様な一般国民に知られるようになったのも、つい最近の事なのですね(それまでは慢性胃炎で処理されていた)。

つまりAさんのご主人を手術した外科医の先生は(☚失礼ながら推定年齢50才代くらい)、おそらく医学部在学中には、このFDについて講義を受けていなかった可能性があるのです。また医学部を卒業して外科医の臨床を始めてからこの数十年の方、FDは外科医に必要のない病名(知識)だったのでしょう。ですからAさんの問いに対して外科の先生がFDの名称も知らなかった、というのも ”うなずける話” なのですね。

 



◆ 外科治療から一番遠い疾患、、、それがFD ?!
言い方を変えると「FD患者さんの胃腸は、手術的に切り取る異常な部位の無い一見健康的な胃腸」ということなのでしょうか。だから外科医の出番は無い、、、つまりFDを改めて勉強する必要は無かった、、、それがAさんのご主人担当の外科医の先生だったのでしょう。





◆ 「骨に異常は無いですよ…」と「胃カメラで異常は無いですよ」の相似性…
  『だったら何が原因なん !!』

ところで我々の様な整体治療院によく来院する患者さんの言として「腰が痛くて病院で検査をしてもらったら”骨には異常は無いですよ”と言われるだけで、期待通りの治療をしてもらえませんでした」なるものをよく耳にします。つまり患者側からすると「骨でなかったら何が腰痛の原因やねん!!」と問いたいのでしょうね。FDもこれに似ているかもしれませんね。
胃カメラで見ても異常はなく、綺麗ですよ、、、。」(だったら何が原因やねん…)てな感じで、、、。

   




◆ FD患者さんの来院パターン、、、心療内科経由が圧倒的に多い
ちなみにFD患者さんの1/3はアコファイドなどの投薬治療で改善するらしいのですが、残りの改善しない2/3が我々の様な整体院や他の医療機関を探して受診するようですね。そんな中で、FD患者さんの当院への来院パターンがある事に気づきました。

 

それは消化器内科や漢方あるいは他の医療機関を渡り歩いても改善しない患者さんたちが、最終的には心療内科or精神科に行きつき、心理/精神的的なアプローチ後でも改善しなかった方々がその後に来院される、というパターンです。

 

FD発症の主因の一つとして心理的原因が有力視されていますが、心療内科等から多くのFD患者さんが廻り廻ってくると言う事は、心理的原因も思うほど主流派ではないのかもしれませんね(心理的原因は小さくないとは思いますが)。





◆ FD治療薬=アコファイドについて、、、
ところでFD治療薬のアコファイドについてですが、この薬は「副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)」といわれます。つまり消化管の運動機能を亢進させる自律神経である副交感神経の働きを活発にして消化管運動を亢進させることで、胃もたれなどの消化器症状を改善する薬、とされています。ちなみに同じ自律神経である交感神経は消化管の機能を抑制させます。

このアコファイドの効能書きにある「副交感神経の働きを活発にして消化管運動を亢進させる」は、FD患者さん的には天使の声のように聞こえます。ただ私からすると「う~ん?! それでいいんかいな、、、」といった感じです。それはこのアコファイドの薬理を見れば皆さんもその事を共有できるのでは、と思います。



  



◆ 消化管の運動と副交感神経の生理学(しくみ)

その前に消化管における副交感神経の生理(仕組み)について少しだけ触れておきます。


【 主な登場人物 (?) 】

アセチルコリン(AⅭh)・・・副交感神経が分泌する伝達物質

・アセチルコリン受容体(AChR)・・・消化管などにあるAChが結合する受容体

・アセチルコリンエステラーゼ(AChE)・・・余分なAChを破壊処理する装置

 

副交感神経の末端部(☚消化管との接合部)からは、 アセチルコリン(AⅭh)という伝達物質が大量に分泌されます。そのAⅭhを受け付ける(キャッチする)受容体が消化管にあります。それがアセチルコリン受容体(AChR)です。つまりAChがAChRに受容(結合)されて消化管が運動するのです。ところで先述の様に副交感神経の末端からは大量のAChRが分泌されますが、その量が多すぎると消化管が過剰に運動しすぎるので、必要以上のAchは破壊処理される仕組みになっています。その廃棄物処理工場がアセチルコリンエステラーゼ(AChE)と呼ばれるものです。

 

実はFD治療薬のアコファイドは、このAChEに自ら結合してAChがAChEに結合する事を阻害する薬なのです。その結果AChEでのAchの破壊処理は大幅に減少し、結果的にAchが増量する事で大量のAchがAChRに受容され、消化管の活動が促進される、、、つまりFDは改善される、という薬理なのですね。

 

以上がアコファイドが副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)と呼ばれる所以なのですね。

  
アコファイドはAChE(アセチルコリンエステラーゼ)に結合してACh(アセチルコリン)の破壊処理を阻害する事でAChを増量する➡消化管の運動増強効果




◆ アコファイドは消化管を奴隷化(疲弊)する ?!
確かにアコファイドが消化管に働いてその運動機能を活性化する仕組みは聞こえがいいのですが、どうもその事が私にとって「う~ん?! それでいいんかいな、、、」と思うのです。なぜならそれだと、何か理由があって消化管の機能が減退しているのにそれを無視して、Achを大量に効かせて ”無理やり消化管を運動させている” 様に見えるからです
 


消化管は平滑筋(縦層筋・輪層筋)と粘膜(内層)、漿膜(外層)で形成されている


消化管の運動機能低下=FDの原因については様々あるのでしょう。ですからその原因が多様であればあるほど、それぞれの原因を考慮して、それに対して最良の治療薬を処方する必要があると思うのですが、それを考慮せず(それぞれの原因に最良の治療法を選択せず)、ただ闇雲に消化管を運動させるアコファイド。、。

その闇雲の中に何か人体の生理機能を狂わせる落とし穴があるように感じて仕方がありません。また同時に、何か奴隷に無理やり過重労働をさせているようにも見えて仕方がないのですが(☚消化管の疲弊)、皆さまはどの様にお感じになるでしょうか、、、。

事実、当院に来院されるFD患者さんの中には「最初はアコファイドが効いていましたが、そのうち効かなくなり、逆にさらにFDが悪化しました」という声が多いのも、上記理由(消化管の疲弊など)が関係しているのではないのか、その様に思います。






◆ 現段階におけるFDの有力原因(仮説1)…受け入れ弛緩機能の減退
先述の様に、現段階でFDの原因はよく分かっていません。ただいくら胃カメラ的に異常は無い、といってもそれなりの原因仮説はあるようです。その第一の仮説は、食物が胃に入ると胃袋はその都度膨張するのですが(☚受け入れ弛緩といいます)、この受け入れ弛緩が機能せず胃袋が小さなままなので、すぐに膨満感(胃痛)が生じる、という仮説です。

 

 



◆ 現段階におけるFDの有力原因(仮説2)…幽門ポンプ機能の減退

第二の仮説は、胃は食事時に一分間に三回の割合で蠕動収縮をしますが(☚幽門ポンプといいます)、FD患者はその規則性が乱れ、早くなったり、遅くなったりします。前者では十二指腸への胃酸過剰流入=十二指腸痛/炎症の原因となったり、後者では胃内に食物が長く残留する事で胃もたれの原因になったりする、というものです。


胃内の食物を胃液と混和する為の蠕動波=幽門ポンプ


この両仮説はかなり信憑性が高いと思われます。実際当院でも、この様な状況(受け入れ弛緩or幽門ポンプ機能の減退)が推定される患者さんが多く、従ってその様な状況を解消する整体治療を施術するケースが多いからです。、。、が、ただそれだけ施術していても不十分なケースが大半なのですが、、、

 



◆ 「受け入れ弛緩の減退 & 幽門ポンプの減退」の治療以外の治療法もFDには必要 ?!
つまりFD患者さんに対しては『受け入れ弛緩or幽門ポンプ機能の減退以外の原因も推測しながら(消化管以外の別の原因を推測しながら)、その別の原因に対する治療法を追加する』という形式を取らねばならない・・・という事です。

 

 



◆ 当院における消化管以外のFD原因仮説1・・・子宮内膜症(月経血の逆流)とその治療
その『FDの別の原因とは、、、』ですが、例えば女子であれば「月経血の逆流(子宮内膜症)」による消化管への刺激が腹痛や下痢or便秘などの腹部症状となって現れる事で、それがFDと誤診されるケースも少なくないと思います。

 

当然この様なケースは厳密にはFDではないのですが、現実的には子宮内膜症性よる腹部症状がFDと誤認されているケースは多いのでは、と思いますし、ゆえにアコファイドは期待しにくいと思います。逆に言えば子宮内膜症の治療がFD(厳密にはFDに似た腹部症状)の改善につながるのでは、と思います。実際当院ではその様な整体治療を施術して著効を収める事があります(下記参照)。

 


【子宮内膜症or性感染症が疑われるFD症例】
◆ 『胃もたれ?  機能性胃腸症? 20年以上前から続く二か所の慢性腹痛』

     複数の原因が合併する腹痛の整体治療 (患者Sさん=46才-女性-事務職/主婦の症例より)


腹部に拡散する異所性内膜組織が消化管を刺激or刺激する !!



◆ 当院における消化管以外のFD原因仮説2・・・血流障害&胃腸の筋肉(平滑筋)の疲弊

   

胃の平滑筋と、胃に血液供給する血管網

 

 

また別のFD症例では、血流障害胃腸の筋肉の疲弊が腹部症状の原因では無いか、と推定される症例もあります(下記症例参照)。

 

『5年間治らない腹痛と、重度便秘…』
  (27才-男性の症例より)
『吐き気、腹部膨満感、心窩部痛の整体治療』
    (37才-男性の症例より)





◆ 結語=現段階でのFD治療の基本・・・消化管以外の原因も同時に診て治療する !!
ここまで長々とFDについて記してきましたが、要は、FDと診断されている患者さんの中には、消化管以外の別の原因によってFD様の腹部症状になっている患者さんが多いのでは(☚FDと誤診されている)、、、
従ってアコファイド一辺倒では無く、それぞれの原因に応じたFD治療をする必要があるのでは、その様に考えます。

 

いずれFDの研究が進んで、厳密な意味でのFDの定義および治療法が分かってくると思いますが、それまでの間はFDと診断された患者さんであっても、消化管以外の腹部症状の原因を探求しつつ、それに対して有効な整体治療法を施術する事で、FD患者さんに対応していきたいと思います。

 

最後に、この様な考え方を元にしてそれぞれのFD患者さんの原因を特定し、それらの原因別に異なる整体治療法で対応してきた症例集を下記に紹介します。お時間のある時によろしくご参照ください。

ここまで御読みいただき、ありがとうございました。


(了)

 


【参考資料=FDの整体治療例】
機能性胃腸症(機能性ディプペシア=FD)【総合案内】はこちら

 

 

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上記解説文で不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
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