1日に100回も生じる鼓膜(?)のポコポコ感と耳の閉塞感
耳管狭窄症(?)の整体治療
患者Mさん=60才-男性・会社員の症例

① Mさんの病歴・・・
患者Mさんは、1週間前の仕事からの帰宅中に、急に左耳の奥がこもったような強い閉塞感に見舞われたそうです。その後、左耳の奥(鼓膜?)がポコポコと振動し、それが就寝まで続いていたそうです。翌朝には「もぅ、治ってるやろ」と思っていたそうですが、そのこもり感(閉塞感)は相変わらず残っていて、そしてすぐにポコポコ感も始まったそうです。それが一週間以上続き、治る気配もなく、逆にに最近になっては悪化傾向なので、今回の来院となりました。
(Mさん本件について耳鼻科などの病院は受診されていません)

中耳(鼓室)と上咽頭を連絡するトンネル=耳管
② Mさんの診察
・Mさんの身長は173cmで体重は68kgだそうです。
・左耳のこもり感(閉塞感)は一日中ずっとあるそうですが、鼓膜(?)のポコポコ感は一日に100回前後生じるそうです。一回始まると、それは数分~10数分続くそうです。またポコポコ感はゲップやあくびによって増強するそうです。自声強聴はなく、耳痛や耳鳴り、めまいも無いそうです。ただ左耳がこもっているせいで、少し音が聞きとりにくいそうです。右耳はいたって正常だそうです。
・左耳の奥の方でトクトクと鼓動のような物音を感じることがあるそうです。
・アレルギー性鼻炎は無いそうです。
・眼に特段の異常は感じたことは無いそうです。
・10年以上前から左の鼻がつまり気味だそうです。しかし鼻水や鼻出血、後鼻漏は無いそうです。
・虫歯は30代の頃から上下左右の各所によく生じていて、特に上顎の歯の方が悪かったそうです。近く、上顎の全歯のインプラントをする予定だそうです。歯周病もあるそうです。また歯科医より「歯ぎしりをしている」との指摘もあるそうです。
・表情筋に左右差はありませんでした。
・胃痛や胸やけ、ゲップ、呑酸などは無いそうです。
・血圧はやや高めだそうですが、「治療するほどではない」と担当医より言われているそうです(☚いつかは不明)。
・この半年の間に風邪などに罹患したことは無いそうです。
・心音に特段の所見は無く、胸腹部の大動脈、あるいは頸動脈の雑音はありませんでした。しかし橈骨動脈の拍動は強めでした。
・触診上、左右の頬骨弓下部や下顎頚前部に緊張と圧痛がありました。上顎胴や前頭洞の骨叩打痛はありませんでした。

左図-筋肉の弛緩により閉じている耳管 右図-筋肉の収縮により開いている耳管
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 鼓室から上咽頭までの耳管の走行経路周囲(頸部咽頭間隙)の内圧を下げて耳管の圧迫/狭窄を解放する
⑵ 上記⑴の内圧上昇の原因となっている下記筋肉群の緊張/硬化および肥大を解放する
(口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、内側および外側翼突筋、頭頂筋など)
⑶ さらに頭顔面部から頸部にかけての静脈還流を回復-促進し、⑴の内圧軽減に寄与する
⑷ 念のために耳鼻科の専門医で精査するように勧める
・外側/内側翼突筋解放テクニック
・頭長筋解放テクニック
・口蓋帆張筋解放テクニック
・口蓋帆挙筋解放テクニック
・静脈還流促進テクニック
・顎静脈解放テクニック
「上の歯が軽くなった気がします。眼もスッキリとした感じです、左耳のこもった感じ(閉塞感)も大分と軽くなっています」と仰っていました。
・ところで今回の症例については、Mさんと相談の上、初診で一応の終了とし、次回の治療については様子を見ていただいてから後日予約を取っていただく事にしました。
・その理由についてですが、Mさんは当院より3時間以上も遠方に住まわれている事、そして念のため、耳鼻科等の受診を受けていただきたかった事(☚頸部咽頭間隙の腫瘍性病変、滲出性中耳炎などの精査のため)などがあげられます。その上で腫瘍などの問題がなく、そして再燃しそうであれば、改めて来院していただく事になりました。

⑤ 今回の症例の概説、、、
初めに 耳管狭窄症とは、、、
何らかの理由により鼓室(中耳)と上咽頭を連絡する耳管の入り口が塞がったり、あるいは耳管周囲の粘膜が腫れることで耳管内腔が狭窄し、鼓室と咽頭の気圧調整が不全になり、その結果耳の閉塞感や耳の奥でポコポコと音がしたり、あるいは伝音性難聴、自声強聴、耳鳴りなどの症状を呈する疾患です。

ここより今回のMさんの症例概説になります・・・
今回の症例はおそらく耳管狭窄症、、、でも、念のために専門医での診察が必要
・今回のMさんの耳のこもる様な閉塞感やポコポコとする感じは、典型的な耳管狭窄症の症状に合致する、と思います。ただ耳管狭窄症の原因の一つとして鼻や喉あるいは頸部咽頭間隙(側頭下窩)などの腫瘍性病変による耳管圧迫/狭窄もあるので、これについては専門医での精査が必要です。
神経、動静脈、筋肉等が密集する側頭下窩
・ですから「④ 経過と結果・・・」の様に、今回の一度の施術で運よく耳の症状が大幅に改善したものの、Mさんは当院から3時間以上も離れた地にお住まいの方であり、また当院では上記腫瘍性病変の疑いを除外できないので、その精査を勧める意味においても、当院での治療を一旦終えることにしました。
・その後、Mさんからは何の連絡もないので、そのまま快方に向かったのか元に戻ったのか、あるいは腫瘍性病変などの有無については不明です。とは言え、一度の施術でMさんの症状が大幅に改善したことも事実なので、ここからは腫瘍性病変などが無かったものとして、今回の耳管狭窄症と思われる整体治療症例について概説していきたいと思います。
一般的な耳管開放症の主な原因とは、、、
・そもそも耳管狭窄症の主な原因(上記-何らかの理由)は次のように言われています。
1. 風邪などの上気道炎の影響
2. 鼻炎、副鼻腔炎の影響
3. 咽頭炎、上咽頭炎などの影響
4. 鼻や喉付近の腫瘍性病変の影響
5. 鼻や喉付近の外傷or手術の後遺障害
6. ホルモンの影響
7. 逆流性食道炎の影響
・今回のMさんの症例については、上記1~7について当てはまる所見は、「② Mさんの診察」からは見当たりませんでした。しかし完全に除外するためにはもちろん精査が必要ですので、それについてはMさんにお勧めしているように、帰宅後早急に耳鼻科等を受診して頂き、そこで除外診断をすべきだと思いました。
Mさんの症例のヒント・・・インプラント治療!!
・そこで当院的としては、その他の原因について診ていくことにしました。すると、「② Mさんの診察」からヒントとなるべき所見がありました。それはMさんが近く上顎の全歯のインプラント治療をする、という事でした。
耳管開放症も耳管狭窄症の治療のヒントになる?!
脂肪でなく、筋肉が原因?!
・話しは少し変わりますが、耳管狭窄症と似た疾患名に耳管開放症があります。その名の通り、狭窄症の逆で耳管が”開きっぱなし”という病態です。そしてこの耳管開放症の有力な原因の一つとされているのが「急激な体重減少などにより、それまで耳管の圧迫要因であった耳管周囲の脂肪が減少する事でその圧が減じ、耳管が開放しやすくなる」というものです(☚この説については当院的には異論があります。下記症例参照)。
ただ、“逆もまた真なり”・・・
だと思います。
【耳管開放症の整体治療例】
● 耳管開放症(自声強聴)と顎関節症の整体治療
患者Yさん=33才-男性・会社員の症例
● 新型コロナ感染による急性耳管炎?!…難聴、嗅覚障害、味覚障害、自声強聴の整体治療
患者Tさん=43才-女性-会社員/主婦の症例
● 10年前から続く耳管開放症の整体治療
患者Mさん=58才-女性-主婦/パートの症例

逆もまた真なり・・・
・上記を逆に考えれば、『耳管周囲の脂肪などが増加すれば耳管への圧が増し、耳管狭窄症になりやすい』、という事です。しかしMさんは身長173cm、体重68kgの中肉中背の方ですから、”顔面内の脂肪が増量した”とは想像しがたいと思います。
では何が増量し、耳管への圧が増したのでしょうか、、、。
・当院の考えでは、それはおそらく”耳管を取り囲む周囲の筋肉群”では、と思います。
その筋肉群が緊張/硬化および肥大し、耳管を圧迫して耳管狭窄症になっているのでは、
と考えます。
(Ps : 意外と耳管の周囲には筋肉が密集しているのですね、、、)
耳管周囲の筋肉
耳管の走行と周囲の構造について、、、
耳管の周囲は筋肉と骨で囲まれている!!
・耳管は3.5~4cmほどの長さで、頭顔面の最深部(☚主に側頭下窩の咽頭粘膜間隙)を側頭骨の鼓室(中耳)から斜め下・内側方向に向かって下行し、その周囲を以下のような構造物に取り囲まれつつ、その下方が上咽頭に開孔します。
1.下方…上咽頭に開孔
2.上方…側頭骨
3.前方~外方…口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、内側および外側翼突筋、傍咽頭間隙、翼突筋静脈叢
4.後方~外方…外側頭直筋、前頭直筋、頭頂筋
5.前方~内方…咽頭粘膜間隙、下鼻甲介
6.後方~内方…内頚動脈、頭頂筋
頸部咽頭間隙
・この様に耳管は、その上方と前方~内方が側頭骨や下鼻甲介によって硬く閉ざされ、圧力が逃げにくい構造になっています。
・そして上記3、4、6の前方~外方から後方~外方にかけてと後方~内方も様々な筋肉(☚上記赤色参照)によって、あらゆる方向から取り囲まれています。
・つまり耳管は、その下方以外の全周囲は筋肉や骨で取り囲まれているのですね。
耳管を取り囲む筋肉群の緊張/硬化および肥大が耳管狭窄症に原因する?!
・従ってこれらの筋肉群が、例えばオーバーユーズにより緊張/硬化し、あるいは肥大すると、前述の「脂肪増加」に変わる圧力増強要因として耳管を圧迫/狭窄する原因になるのでは、と考えられます。
つまり”逆もまた真なり”なのですね。
・さらに最悪な事には、上記の3の前方~外方の筋肉群である「口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、内側および外側翼突筋」の外側には側頭骨と頬骨よりなる”頬骨弓”や下顎骨の”下顎枝”がこれらの筋肉に覆いかぶさるように位置していますので、「口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、内側および外側翼突筋」の緊張/硬化および肥大による圧力は外側の頬骨弓/下顎枝方向ではなく、内側の耳管の方向に向かっていく事になります。
・つまり耳管は一種のコンパートメント症候群(注1 下記参照)の様な機序で持続圧迫を受けやすくなるのでは、と考えられます。
口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、口蓋咽頭筋の一部は耳管から起始する
側頭下窩に位置する外側翼突筋、内側翼突筋
注1) コンパートメント症候群
筋肉が骨や筋膜に囲まれた区画の内部で圧力が上昇して血流や神経が阻害される状態で、下腿(主に脛の部分)や前腕(主に甲側)に生じやすい。主な原因には激しい運動や外傷、ギプスによる圧迫がある。症状は疼痛、腫脹、圧痛、感覚・運動障害などがある。早期発見と筋区画内の圧を減ずる治療が重要で、遅れると重篤な合併症が生じ、手術適応になることもある。

筋肉緊張/肥大によって下腿の筋膜により仕切られている筋区画の内圧が上昇し、血管や神経障害が生じる
頸部咽頭間隙の静脈層のうっ血も耳管圧迫要因?!
・また頸部咽頭間隙(側頭下窩)の翼突筋静脈叢のうっ血もこのコンパートメント効果による内圧上昇の原因になっている可能性もあります。

側頭下窩の深部にある翼突筋静脈叢
この静脈叢は上図の翼突筋筋層内に位置する
Mさんの耳管狭窄症の治療方針・・・
・以上のデータを鑑みれば、上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療方目標、
⑴ 鼓室から上咽頭までの耳管の走行経路周囲(頸部咽頭間隙)の内圧を下げて耳管の圧迫/狭窄を解放する
⑵ 上記⑴の内圧上昇の原因となっている下記筋肉群の緊張/硬化および肥大を解放する
(口蓋帆張筋、口蓋帆挙筋、内側および外側翼突筋、頭頂筋など)
⑶ さらに頭顔面部から頸部にかけての静脈還流を回復-促進し、⑴の内圧軽減に寄与する
が最適解なのでは、と考えました。そこで、それぞれに対応する整体テクニックである、
・外側/内側翼突筋解放テクニック
・頭長筋解放テクニック
・口蓋帆張筋解放テクニック
・口蓋帆挙筋解放テクニック
・静脈還流促進テクニック
・顎静脈解放テクニック
を、施術する事にしました。
ただ、万が一にも腫瘍性病変などがある可能性も否定できないので、
⑷ 念のために耳鼻科の専門医で精査するように勧める
をMさんに伝えておきました。
治療結果 = 興味深かったMさんのコメント
「上の歯が軽くなった気がします。・・・」
・ところでその治療結果についてですが、興味深かったのはMさんの施術後の第一声でした。それは、
「上の歯が軽くなった気がします。眼もスッキリとした感じです、左耳のこもった感じ(閉塞感)も大分と軽くなっています」と仰ったことです。
・耳の閉塞感も改善したのですが、何よりも先に、歯についてのコメントが第一声だったのです。
つまり、今回の治療は耳=耳管狭窄症に関してのものでしたが、それは”上顎に対しても効果がみられた”、という事です。
・おそらくですが、Mさんは上顎の全ての歯を近くインプラント治療される予定であることはすでに述べましたが、この事は言い方を変えれば「上顎の歯全部が相当傷んでいた!!」という事だと思います。
耳管狭窄症と上顎の歯の障害には共通の原因がある?!
それは血流障害?!
・その上顎の歯が今回の整体治療でかなり軽くなったという事は、上記仮説「頸部咽頭間隙の圧力増強」は上顎の歯に対しても血流不全などの悪影響を及ぼしていたのでは、と考えられます。
・ですから今回の頸部咽頭間隙の圧力を減ずる整体治療によって上顎の歯の血流も改善し、それで”歯が軽くなった”との感想を述べられたのでは、と思います。
・何となれば、頸部咽頭間隙(側頭下窩)には上顎の歯/歯槽へ向かう前・中・後の上歯槽動脈(顎動脈の枝)が走行していますから、上記仮説のとおり、コンパートメント症候群的にこれらの動脈も絞扼されているとすれば、上顎の歯への血液供給もおぼつかなくなり歯の代謝が悪化して、挙句の果てが「上顎の歯全部のインプラント」といった結末になったのでは、と思います。
上顎の歯に向かう上歯槽動脈
・逆に言えば、今回と同様の治療法が歯や歯槽/歯肉などの治療にも有効であるのでは(下記参照)、と思います。
【歯の参考整体治療例】
◆ 原因不明の歯の激痛と10年前から続く知覚過敏および眼痛、縮瞳の整体治療
患者Yさん=46才-女性・主婦/看護師の症例
◆2か月前からの歯茎の痛みと歯肉退縮の整体治療
患者Sさん=64才-男性の症例
◆ 歯痛(虫歯)・歯肉痛と整体治療 1年前から続く、3か所の原因不明の歯痛治療例
患者Dさん=37才-男性-会社員の症例
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