【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

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「胃と胸の灼熱痛(胸やけ)が酷いです・・・」
胆汁逆流症 (胆汁逆流性胃炎) の整体治療
Ps : 胆汁や腸液の逆流は上部消化管の発癌因子となり得るのか!?

患者Tさん=63才-女性・主婦の症例

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①    Tさんの病歴・・・
患者Tさんは、2カ月ほど前から、胃から胸にかけての灼熱痛(胸やけ)が頻繁に生じるようになったそうです。Tさんは4年前に逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアの手術をされた方でしたが、しかしその後も逆流性食道炎の症状がほとんど治まらず、薬の副作用もあったので、2年前に当院を受診されていた方でした(下記参照)。
◆「心窩部痛、胸やけ、呑酸、胸やけ」と「胃もたれ、軟便」が併発する逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアおよび多発性胃ポリープの整体治療
運よく、その時の整体治療で逆流性食道炎の症状は大幅に緩解し、その集中治療は終了していたのですが、それから約2年後の今になって上記の灼熱痛が生じたので、Tさんは「逆流性食道炎の再発か…」と思っていたそうです。ところが1カ月ほど前に胃カメラ検査をした際、担当医より「噴門はきれいにふさがっていて、食道もきれいですよ。でも胃に胆汁が逆流しています。胆汁逆流症ですね」と言われたそうです。胆汁酸吸着剤や制酸剤を処方されたそうですがそれほど効果が無く、また4年前の手術後に薬の副作用で悩まれていたこともあり、「薬に頼りたくない」との事で、今回の来院となりました。



胆嚢から分泌される胆汁は、膵臓から分泌される膵液と総胆管で合流し、十二指腸に注がれて脂肪の吸収に寄与する
(本来胆汁は胃に逆流しにくい)

 



②    Tさんの診察
【今回の所見】
・胃から胸にかけての灼熱痛(胸やけ)は頻繁に起こるそうですが、呑酸や胸やけ、ゲップ、喉の痛み、声がれなどは無いそうです。
・病院より処方されている制酸剤などがあるので、上記症状が強い時だけそれを服用するそうです。しかしそれほどの効果は無いそうです。
・排便はほぼ毎日あり、便の性状も普通の事が多いそうです。
・Tさんは元々食欲旺盛で飲酒も多めだったそうです。4年前の逆流性食道炎の罹患-手術以降、それらはある程度控えていたそうです。しかし2年前の当院での治療で逆流性食道炎の症状が緩解して以来、機会飲酒などが増えていたそうです。
・腹部聴診上、血管雑音は聴取されませんでした。グル音はやや強めで聴取できました。飲水による噴門部での排泄音聴取検査では(二度検査)、二度ともゴホゴホとしっかりとした排泄音が聴取されました。
・腹部触診上、心窩部で軽度の圧痛がありました。右季肋部(幽門部~十二指腸下行部)で著明な緊張と圧痛がありました。胆嚢の腫大はありませんでした。右下腹部(回盲部)に中等度の緊張と圧痛がありました。

【2年前来院時の所見は下記を参照】
◆「心窩部痛、胸やけ、呑酸、胸やけ」と「胃もたれ、軟便」が併発する逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアおよび多発性胃ポリープの整体治療 




➂ 治療目標と整体治療
⑴    幽門括約筋の括約機能を回復し、胆汁を含む腸液の胃内逆流を抑止する
⑵    胃から十二指腸の緊張/疲労を回復し、幽門括約筋の開閉機能失調を改善して、胆汁逆流を阻止する
⑶    下部食道括約筋のメンテナンスをしておき、胃液の食道逆流阻止機能を維持する
⑷    腹腔動脈神経節(叢)の失調を回復し、幽門括約機能を改善する
     ・幽門括約筋解放テクニック
     ・胃/十二指腸平滑筋テクニック
     ・下部食道括約筋解放テクニック
     ・腹腔動脈神経節(叢)解放テクニック

 

 

 

 

④    経過と結果・・・
        幽門括約筋の筋力を回復する整体治療で5診目でほぼ改善!!
・2診目来院時、

「今週は灼熱痛は一度も無く、胃のあたりがスッキリとしてメチャメチャ調子が良かったです。」と仰っていました。


・4診目来院時、

「一週間ほど前にラーメンを食べた時、コショウをたくさんかけすぎて、塊みたいなものもあったんです。それを食べたら急にむせて、喉の奥の方がしみるように痛かったんです。それ以来、胸の辺りがもやもやとして、気持ち悪くて、喉の奥の方もヒリヒリする感じで、、、でも灼熱痛は無かったです」と仰っていました。


・5診目来院時、

「この二週間は、呑酸や心窩部痛は無かったですが、やはり胃の辺りが重だるくて制酸剤を飲む日が多かったです。」と仰っていました。腹部触診上、心窩部から右季肋部(幽門から十二指腸下行部)にかけて、著明な緊張と鈍い厚痛がありましたが、施術後は、それらは大幅に改善していました。Tさんも「かなり胃が軽くなりました」と仰っていました。
(5診目までは集中治療的に1週間に一度のペースで来院されていましたが、今回で胃痛などの症状が大幅に改善していたので、次診より数週間間隔でのメンテナンス治療に切り替えました)


・6診目来院時、

「胃痛や胸やけ、呑酸など、ほぼ無かったです。胃もたれが少ししたかな、、、くらいでした。実は今までは、調子の悪い時はお守り代わりに持っていた制酸剤を時折り飲んでいたのですが、この3週間は一度も飲まなかったです」と仰っていました。触診上、幽門部付近から十二指腸球部にかけて若干の緊張が見られましたが、施術後はかなり改善し、Tさんも「(施術中)あまり痛くは無かったです」と仰っていました。


・7診目来院時、

「(前回より)6週間ぶりですけど、胃痛や胃もたれなどなく、快調に過ごせました」と仰っていました。制酸剤も服用することは無かったそうです。触診上、やはり幽門部付近から十二指腸球部にかけての緊張と圧痛はみられましたが、それはごく軽度で、施術によりほぼ解消しました。


・8診目来院時、

「(前回治療より)5週間ぶりですが、今回も胃痛や胃もたれ、胸やけなどは無かったです。薬も飲むことは無かったです」と仰っていました。触診上、幽門部付近から十二指腸球部にかけての緊張と圧痛は完全に消失していず、若干は残っていました。しかし前回同様、施術によりほぼ解消しましたので、今後は、この幽門部や噴門部(下部食道括約筋)の良好な状態をできるだけ長期的に維持するために、1~2カ月間隔でメンテナンス治療を続けていくことになりました。


・その後、

9診目、10診目、11診目と1~1.5カ月程度の間隔でメンテナンス治療のために来院されていましたが、いずれも順調で、症状の再発はありませんでした。12診目はTさんのご都合で2カ月と少し治療間隔が開きましたが、症状の再発はありませんでした。

 


 

⑤     今回の症例の概説、、、
初めに・・・

胆汁逆流症(胆汁逆流性胃炎)とは、、、逆流性食道炎に似た症状?!
◆胆汁逆流症(胆汁逆流性胃炎)とは、胆汁や膵液を含む腸液が胃内(場合によっては食道にまで)に逆流する病態で、胃痛/胃もたれ、吐き気、胸焼けなど、胃炎や逆流性食道炎に似た症状を呈する疾患です。


下部食道括約筋=食道と胃の関門で胃酸の食道への逆流を阻止する
幽門括約筋=胃と十二指腸の関門で胆汁や腸液の胃への逆流を阻止する

 



胆汁逆流のリスクファクターとは、、、
◆直接的原因は、胃と十二指腸の間に胆汁等の逆流を阻止するために位置している幽門括約筋の括約力が減じ、または開閉機能の失調が生じ、胆汁等が胃へ逆流する事にあります。


上記のリスクファクターとしては、一般的に以下のようなものが言われています。
  ・胃または胆嚢の手術歴
  ・胃食道逆流症(逆流性食道炎)あるいは胃の炎症や潰瘍による幽門への影響
  ・胆汁分泌を刺激する食材(高脂肪食、アルコール、カフェイン、サプリメント)の過食
  ・加齢(or過食)による幽門括約機能の経年劣化

 

 

 
本来胆汁は胃に逆流しにくいメカニズムになっているが、上記リスクファクターで逆流する事がある



一般的な治療法とは、、、
◆一般的な治療法には、以下のようなものがあります。
  •腸内の胆汁酸を結合させる胆汁酸吸着剤
  •胃酸を減らし、組織を保護するプロトンポンプ阻害剤
  •消化器の筋肉の協調性を改善する運動促進薬
  •刺激を受けた組織をコーティングして保護するスクラルファート
  •胆汁を組織にとって害の少ないものにするウルソデオキシコール酸
  •手術

(ほとんどのケースでは、投薬により数週間で改善が見られるが、症状が完全に治まるには数か月かかる場合がある、とされる。胆汁酸吸着剤などの薬は、最大限の効果を発揮するまでに4~6週間かかる場合がある。また再発予防のためにはさらに数年にわたる服薬が必要となる)

 


 

 

 

胆汁逆流症の合併症とは、、、
◆主な合併症としては以下のようなものがあります。
  •胃粘膜の炎症
  •胃炎または潰瘍の悪化
  •バレット食道
  •食道狭窄
  •食道がん






ここからTさんの症例解説です・・・
幽門括約筋の筋力を回復する整体治療などで、5診目でほぼ緩解!!


・Tさんは元々食欲旺盛で飲酒歴、過食歴もあり、また逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニアの既往および手術歴があり、さらには年齢が63才との事ですから、前出の胆汁逆流症の要件を充分に満たしていると思います。この事から、胃カメラ検査で胃内の胆汁逆流が確認されたのは、至極当然の結果かもしれません。


・ところで胆汁逆流症には様々のリスクファクターがある事は前出しましたが、しかしどの様な理由であれ、最終的には当の幽門括約筋の筋力低下or開閉機能失調が胆汁逆流の直接的な原因なのですから、当院としてはその”幽門括約筋の筋力の回復”および”その開閉機能失調を回復する”を目的とした治療が最適解だと考えました。
 

消化管平滑筋にも凝り(疲労or疲弊)はある?!

 

 


Tさんの治療目標 & 整体テクニックと治療結果・・・
・ところで現代医学では「平滑筋に凝り(疲労or疲弊)は無い」とされています。でも当院では、「平滑筋にも凝り(疲労or疲弊)はある」と考え、本件の様に「右季肋部(幽門部~十二指腸下行部=幽門括約筋付近)の著明な緊張と圧痛」といった所見がある場合、その「凝り(疲労or疲弊)」を回復するべく整体治療を施術する事にしています。

 

・但し、他の原因(腫瘍・過形成・潰瘍、炎症・うっ血など)も考えられるので、この除外診断を出来る限りしたうえで判断しています。

 
胃(幽門部)と十二指腸の間の開閉を司る幽門括約筋
その疲弊した筋力を回復し、胆汁の逆流を阻止する!!



・そこで上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療目標である、
⑴    幽門括約筋の括約機能を回復し、胆汁を含む腸液の胃内逆流を抑止する
⑵    胃 から十二指腸の緊張/疲労を回復し、幽門括約筋の開閉機能失調を改善して、胆汁逆流を阻止する
⑶    下部食道括約筋のメンテナンスをしておく
⑸    腹腔動脈神経節(叢)の失調を回復し、幽門括約機能を改善する

を設定し、それに対応する整体治療テクニック、
・幽門括約筋解放テクニック
・胃/十二指腸平滑筋テクニック
・下部食道括約筋解放テクニック
・腹腔動脈神経節(叢)解放テクニック

を、施術する事にしました。
 




・結果は良好で、5診目でほぼ緩解状態になり、その後の来院時の報告でも制酸剤を飲むことなく快調に過ごせていたとの事なので、上記仮説で概ね妥当であったのでは、と思います。

 

・ただ、正確な診断は胃カメラなどの検査が必要ですから、Tさんが来年に定期検査する必要がある事は、言うまでもありません。

 

・また、仮に現段階で胆汁逆流が相当程度抑制されているとしても、今後様々な原因によって胆汁逆流が再発する可能性を全否定できませんので、適切な間隔でのメンテナンス治療をすることを説明しました。





Ps. 胃液だけの逆流で下部食道癌は発症しにくい?!
胆汁を含む十二指腸液の逆流は、食道癌の強いリスクファクターになる・・・
その意味で、幽門部の治療は重要!!

・食道癌の第一の好発部位は食道中部に生じるもので、その最大リスクファクターは重喫煙とアルコール多飲と言われていますので、ここでは割愛します。

 

・次いで多い好発部位は下部食道で、これは胃液の逆流(逆流性食道炎)が最大のリスクファクターとして一般に認知されていると思います。


・ところが、実はこの「胃液逆流説」は意外と正しくないようです。

 

・正しくは「下部食道の発癌リスクファクターは胃液(単独)ではなく、十二指腸液(☚胆汁、膵液、十二指腸分泌液の混合液)が主因」と言われています。

 

・ちなみに、ラットによる実験では(下記参照)、下部食道癌を発症させやすい順は以下の通りだそうです(カッコ内は発症率)。


  1.胃液と十二腸液の混合液 (83%)
  2.十二指腸液単独 (77%)
  3.胃液単独 (0%)

 

【参考資料】
『逆流による食道発癌の実験的研究 =胃液と十二指腸液の分離逆流=』

 

 
胆汁と膵液などを含む十二指腸液の逆流が下部食道癌の最大のリスクファクター



最も発癌リスクが高いのは「胃液と十二腸液の混合液」の逆流!!
胆汁(十二指腸液)を阻止するため、幽門部への治療も最重要!!

・上記の結果から分かるように、胃液単独の逆流では下部食道の発癌は0%となっています。そして最も多い発癌は胃液と十二指腸液の混合液によるもので、その発症率はなんと83%にも上っています。

 

・言い方を変えれば、逆流性食道炎だけの既往では下部食道癌は発症しにくいが(☚0%)、そこに胆汁逆流症を合併すると、(ラットによる実験とはいえ)その発癌率は一気に83%にまで駆け上ってしまう、、、というわけです。

この結果をみる限り、本症例で取り上げたTさんのようなタイプは最もリスクがある状態と言えます。


・また、前癌状態と言われているバレット食道(粘膜)も、胃液単独の逆流より、胃液と十二指腸液の混合液による方が、その発症率ははるかに高い、と言われています。


・この意味からも逆流性食道炎の単独治療だけでは不十分で、それにプラスして幽門部への治療も極めて重要なのだ、という事が分かります。


バレット食道(粘膜)は、胃液単独の逆流よりも、胃液と十二指腸液の混合液の逆流の方が発症しやすい

・Tさんはおそらくこの実験結果はご存じないと思うのですが、今のところTさんご本人が下部食道や幽門部のメンテナンス治療の重要性を認識され、定期的に来院予約を取っておられるので、Tさんが来院されれば出来る限り幽門部の整体治療を施術し、少しでも胆汁(十二指腸液)の逆流を阻止して、下部食道発癌の抑制に寄与できれば、と思っています。そしてできれば、少しずつでもこの胆汁逆流症と胃食道逆流症のセットの危険性を認識していただけるようにしたいと思います。

 

 

 

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