映画タイトルしりとり~『く』~狂った果実(1956) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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映画タイトルしりとり・・・

明日に向かって撃て」(1969)~「天井桟敷の人々」(1945)~「となりのトトロ」(1988)~「ロンゲスト・ヤード」(1974)~「ドラゴンへの道」(1972)~「地下鉄のザジ」(1960)~『ジョーイ』(1977)~『生きる』(1952)~『ルードウィヒ神々の黄昏』(1972)~『レイダース失われたアーク<聖櫃>』(1981)~『暗くなるまで待って』(1967)~『テキサスの五人の仲間』(1966)~『摩天楼はバラ色に』(1986)~『ニッポン無責任時代』(1962)~『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)~『妻は告白する』(1961)~『ルーカスの初恋メモリー』(1986)~『陸軍残虐物語』(1963)~『リンダ・リンダ・リンダ』(2005)~『抱きしめたい』(1978)~『いちご白書』(1970)~『欲望という名の電車』(1951)~『シャイニング』(1980)~『グローイング・アップ』(1978)~『プライベート・ライアン』(1998)~『暗殺の森』(1970)~『リバティ・バランスを射った男』(1961)~『殺しのドレス』(1980)~『スカーフェイス』(1983)~『洲崎パラダイス赤信号』(1956)~『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう』(1972)~『運動靴と赤い金魚』(1997)~『夜の大捜査線』(1967)~『戦場のメリークリスマス』(1983)~『スティング』(1973)~『グリーンブック』(2018)

作品名をリンクするとレビューにリンクします!

 

映画タイトルしりとり、

今回は『く』から始める映画ということで、

狂った果実』(1956)のご案内。

詳しいレビューはこちら

↓ ↓ ↓ ↓

 
石原慎太郎原作。
弟の石原裕次郎を主演にすることを条件に日活で制作された作品。
いわゆる“太陽族”映画の一つとなります。
 
太陽族とは、
金銭的にも余裕があり何不自由ない生活を送りながら集団でたむろして、
酒やナンパに明け暮れる自堕落的な青年たちのことです。
 
まさにお坊ちゃまの夏久(石原裕次郎)と春次(津川雅彦)の兄弟は夏の間葉山の別荘暮らしで贅沢三昧。
この二人性格は正反対で、
兄の夏久はこれぞ太陽族って感じの自由奔放な人間。
弟の春次はうぶで純情な好青年。
 
ある日駅で偶然見かけた女性恵梨(北原三枝)に一目ぼれした春次は積極的にアタック。
その甲斐あって、二人は純情な恋愛を育んでいくのだが、
兄の夏久は恵梨が外国人の男と踊っているのを目撃してしまう。
夏久が問い詰めると、恵梨が踊っていた相手は亭主だという。
夏久は恵梨に、
「弟にはこのことを黙っていてやるから俺と付き合え」と強引に関係を迫る。
恵梨も次第に夏久の野性的な魅力に惹かれていく。
 
そして、
兄と恵梨の関係を知った春次は、
狂気の行動に出ることになる・・・
 
タイトルの『狂った果実』とは弟の春次を比喩的に表現したものでしょう。
うまいタイトルです。
 
子供のころからどちらかというと貧困層で育った私からすると、
この太陽族と言われる青年らに全く感情移入ができないのです。
ブルジョア層の若者たちの恋愛遊戯という感じで、
まったく共感できませんでした。
 
だからむしろこの物語を寓話的にとらえることができて、
共感はできなかったが面白かったです。
清純そうな顔をした北原三枝が演じる恵梨がとんでもない悪女でしたし、
津川雅彦はとても凛々しい美少年。
石原裕次郎は、ちょっと生堅いが人を狂わすメフィスト的な役回りをうまく演じている。
 

青い海を鮮血に染め、兄と、裏切った恋人を引き裂いて疾走する狂恋の快速艇!!

これが封切り時のキャッチコピー。

これもうまいですね。

 

あのフランソワ・トリュフォーもこの作品を称賛していたらしいです。

 

1950年代の鎌倉や湘南海岸、

逗子や江ノ電が見られるのは、

風俗描写として価値がある。

 

監督は中平康。

後年、

私の好きな『月曜日のリカ』(1964)を演出します。

映像感覚がとても合うんです。

 

全然関係ないのですが、

サザンオールスターズの4枚目のアルバム、

ステレオ太陽族』(1981)は名盤です。

必聴!

 

狂った果実 1956 日活

中平康 監督作品 87分