映画タイトルしりとり~『る』~ルーカスの初恋メモリー(1986) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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映画タイトルしりとり、

『る』で始まる作品がなかなかなかったので困っていたのですが、

あ、待てよ、これがあったじゃないかということでご紹介するのが、

『ルーカスの初恋メモリー』(1986)です。

 

14歳で飛び級で高校進学してしまうほどの秀才ルーカス。

が、体形は小柄でどちらかというとひ弱。

 

皮肉屋で重力に逆らって歩いたりすることから、

クラスメイトたちからは少々疎ましがられている存在。

 

そんな彼がテニスコートで壁打ちの練習をしていたマギーに一目惚れ。

彼なりのアプローチで彼女に接近していく。

マギーも、ちょっと変わったルーカスを好きになっていく。

しかし、それは友達として。

 

マギーは次第にルーカスの友人であるフットボール花形選手のキャピーに惹かれていく。

こちらは恋として。

 

自分とキャピーとの差を感じたルーカスは、

フットボール部に入部するのだが・・・

 

まず、

ジェンダーの観点から最近では禁句になりつつある「男らしさ」。

この意味をこの作品は教えてくれる。

決してマッチョの強い肉体だけが男らしさの象徴ではないし、

かたや、知識をひけらかしているだけでもいけない。

 

ルーカスは何事にも挑戦する。

その先にあるかもしれない失敗を考えてはいるが恐れはしない。

その姿こそ「男らしさ」と言えるのではないかと思わされた。

 

虚弱体質気味の男の子が、

屈強な男たちの中に飛び込んでフットボールのプレイをするなんて、

現実的な眼で見ればおとぎ話なのだが、

この作品ではそれを不自然に感じさせないんだ。

 

ルーカスはいじめにあう。

正面から立ち向かっていくことはしない。

実に彼らしいやり方で対抗する。

それが失敗となっていじめっ子らから返り討ちに会っても、

彼は挑戦し続ける。

 

いじめといっても、

米国映画で描かれるいじめは陽性だ。

日本のイジメのように陰性でないから、

単純に日本の子供と比べる訳にはいきませんが。

 

セミの孵化の瞬間をスローモーションで見せて、

雨の線路をルーカスが歩いていくオープニングシーンから、

この監督の映像感覚のすばらしさに拍手する。

 

ルーカスを演じのはコリー・ハイム。

繊細なのに大人びている不思議な存在の主人公をうまく演じている。

 

憧れの人マギーを演じるケリー・グリーンも可愛くて、

とても魅力的です。

チャーリー・シーンも出ています。

ウィノナ・ライダーはこの作品がデビュー作。

秘かにルーカスを想う少女の役です。

 

クライマックスからラストにかけては、

アメリカ映画の常套手段なんですけど、

このクサイ演出がやっぱり大好きだ。

涙腺崩壊します。

 

とても爽やかな後味が残る佳品です。

おススメします!

 

ルーカスの初恋メモリー Lucas (1986)

デヴィッド・セルツァー監督作品

100分