映画タイトルしりとり~『ち』~地下鉄のザジ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

映画タイトルしりとりです。

明日に向かって撃て」(1969)~「天井桟敷の人々」(1945)~「となりのトトロ」(1988)~「ロンゲスト・ヤード」(1974)~「ドラゴンへの道」(1972)と続きました。

今回は『ち』です。

 

そこで今回取り上げるのは、

鬼才ルイ・マル監督のスプラスティック・コメディ、

『地下鉄のザジ』(1960)です。

 

原作はレーモン・クノーの不条理小説。

これを題材に、ルイ・マル監督はちょっぴり風刺をこめた徹底的なドタバタコメディに仕立て上げました。

 

母親とともにパリにやって来た10歳の少女ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)。

ザジのこの旅の一番の楽しみは地下鉄に乗ること。

母親はパリに着くと早々に娘を弟のガブリエルに預けて、

自らは愛人の元へ。

(原作では父親は母親に斧で頭をかち割られたという設定)

 

が、肝心の地下鉄はストライキ決行中で運行されていない。

地下鉄乗り場まで行って閉まっている入り口で泣くザジ。

 

その後いろんな人がザジに近寄ってきて、

ザジとガブリエルはパリの町中を逃げ回ることになるのだが・・・

ザジは日本のアニメで言うと、

「ちびまる子ちゃん」と同じ年くらいの設定だろうか。

同年代の少女を主人公にして出来上がる世界観が、

国によって作家によって、

これだけ違うんだと感じ入る。

まるちゃんは時々大人に毒を吐くが、

ザジのそれに比べると実に可愛いもの。

ザジの毒舌は今の日本のコンプライアンス的には放送禁止レベルの危険なもの。

 

アメリカ映画で言うと「ペーパー・ムーン」(1973)のテイタム・オニールくらいかな。

彼女も大人びていたが、

毒の強さではザジにかなわない。

 

ニュー・シネマ・パラダイス」(1988)のアルフレードを演じたフィリップ・ノワレがガブリエルを演じる。

手に負えないザジを相手に悪戦奮闘。

エッフェル塔では命がけだ!

早送りやコマ落としなど、

漫画的な映像処理が今観ると古いというレビューが散見されるが、

否定的な意味ならばそれは当たらない。

爆破シーンやカーチェイスなどとても効果的に特殊効果は使われているし、

実験的な映像としても成功していると思います。

 

古いというなら、

今全盛の最新CGを用いた特撮作品でも60年たてば古くなりますよ。

もしその作品があなたの愛した作品で、

60年たった後に特撮が古いからと言って否定されたらどんな気持ちになりますか?

 

本筋から少々外れてしまい失礼しました。

ルイ・マル監督の意欲作。

ドタバタコメディながらなんとなくホッとしてしまうラスト(というよりオチ)まで、

60年代のパリ都市観光気分で観ていただければ十分楽しんでいただけると思います。

私はおススメします!