映画タイトルしりとり~『す』~洲崎パラダイス赤信号(1956) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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映画タイトルしりとり30作目。

名作揃いの『す』で始まるタイトルの作品。

今回は『洲崎パラダイス赤信号』(1956)のご案内。

詳しいレビューはこちら

↓ ↓ ↓ ↓

 
日本映画史において、
黒澤明、小津安二郎らと並んで、
この川島雄三監督はもっと評価されてもいい。
 
世界的評価はともかく、
その日本人の奥底にある情の部分を深く切り込んで表現できる作家はそうはいないと思う。
そして巷によくいる名監督と違って独善的ではなく実に土着的で、
独りよがりではない大衆的な演出方法で愉しませてくれる。
 
ほぼ一文無しの状態で、
赤線地帯の洲崎パラダイスの近くの弁天町でバスを降りた男女。
情けない男と気の強い女。
そんな二人が流れ着くのは赤線の手前の橋のたもとにある居酒屋千草。
迎え入れてくれるのは旦那が消えて一人で子を育て店を切り盛りしているお徳。
 
女はそんな千草で働くようになり、
男はお徳の紹介で蕎麦屋の出前持ちに。
 
が、世捨て人の生活を送っていた二人に、
そんな堅気の仕事が長続きするわけもなく・・・
 
主人公の男女には過去がある。
その過去はすべて自らの激しい業が招いたもの。
その流れはどんな善意という名の防波堤でも止めることはできない。
 
過去のレビューでも書きましたが、
♪明日は泣かない女になるの~が深い。
 
場面転換のワイプが心地よい編集と、
見事に起承転結の決まった脚本。
日本軽佻派を名乗った天才川島雄三監督。
「サヨナラだけが人生だ」
 
時代風俗を切り取ったロケーションも興味深い。
若い人で赤線の意味が分からない人もいるかもしれないね。
 
オープニングでバスを降りた二人はラストでまたバスに乗ります。
今度はどこへ行くのでしょうか・・・