再び走り出しました。そのとたんピリッとふくらはぎに違和感が生じ、また歩き出してしまいました。もう悲しいくらいに足が言うことを聞かなくなっています。ともかく致命的な状態にだけはならないようにしなければなりません。だんだん走るよりも早歩きの時間の方が長くなってきました。
しかしそうなると心配なのは時間です。40km関門をゴールと見立てることができた北海道マラソンと違って、サロマには13時間というゴール関門もあります。ゴールまで行きながらタイムオーバーで完走できないなどということは絶対に避けなければなりません。
1kmごとに、時間がとても気になります。ほとんど歩いているため、1kmのラップが9分を超えることが多くなってしまいました。残りの距離と時間を考えると、1kmのラップが10分を超えると関門をクリアできません。それだけに1秒でも2秒でも、ラップを短縮したいと思いました。
13時間も走るのに、まさかこうして秒単位の心配をしなければならないとは思いませんでした。スタートのとき、スタートロスの2~3分はまったく問題ないと思っていました。でも今は、そのスタートロスを返してもらいたいという気持ちでいっぱいでした。
でも1kmごとの距離表示を見るたびに、ゴールへの期待も大きくなってきます。1km進むごとに、だんだん完走が現実味を帯びてきます。
ところがそれとともに、不安もますます大きくなってきます。もしも足が攣ったら・・・。もしも突然おなかの具合が悪くなったら・・・。なにかちょっとしたアクシデントがあっただけでゴールは遠くに消えてしまう。そんなギリギリの状況に追い込まれています。
それでも94km、95km、96kmと、ゴールは確実に近づいてきます。けっして気を抜けない状況であることに変わりませんが、もうろうとしかかっている頭で計算すると、どうにか時間内にゴールできそうなペースのようです。1km進むごとにそのことが徐々にはっきりしてきました。
ここまでよくやりました。ここまで諦めずによくやりました。ゴールできないかもしれないという不安はこれまで何度か頭をよぎりました。弱気な自分も何度も顔を出しました。でも1度たりとも諦めようという気は起きませんでした。この気持ちが、ここまで私を運んでくれたのです。もう一息。あとほんのちょっとで、1日の長い旅が終わります。
97kmを過ぎ、いよいよワッカ出口の急坂です。でもとっくに限界を越えているこの足に、この坂は危険です。おかしなところに力が加わり、足が攣ったりすることのないように祈りながら、しかしあまりペースを落とすことなく下りきりました。
バックナンバー
1.無言の抗議
2.思い上がり
3.初フルでの挫折
4.ホームページ開設
5.北海道マラソン、奇跡の完走
6.そしてサロマへ・・・