それでも最後、せめて競技場の中だけは歩きたくないと思い、マラソンゲートの手前から走り出しました。とはいえ、歩いているのとスピードはほとんど変わりません。自分でももどかしいくらいスピードが出ません。
ゆっくりトラックを4分の3周し、最後までどうにか走りながらゴールテープを切らせてもらいました。4時間48分02秒。サブフォーどころのタイムではありませんでしたが、どうにか5時間は切りました。
中間点までは2時間を切っていました。ところがそこからゴールまでは3時間近くかかってしまいました。往路と復路の1時間の差。それはそのまま、苦しみの差でもありました。
後半は大部分を歩いたせいか、ダメージは足以外にはほとんどありません。でもその分、足が受けたダメージは想像の域を超えています。ゴールをして緊張の糸が切れてしまうと、もはや歩くことすら困難になりました。
終盤では「2度とフルマラソンは走らない」という思いも頭をよぎりました。自分はどうしてこんなことをしているのだろうと大きな疑問も感じていました。
でも不思議なものです。ゴールラインを越えてしまうと、「来年こそは絶対に最後まで走りきるぞ!」というリベンジの思いに変わっていました。
初めてのフルマラソンは、記録の上では完走しました。でも、マラソンを走ったら感じられると思っていた達成感はほとんど感じられずに終わりました。達成感よりも、反省と後悔ばかりを感じてしまうゴールでした。
フルマラソンを走った達成感を知らないままで引き下がるわけにはいきません。このままで挑戦を終えてしまったら、今日の痛みに耐えたことがすべて無駄になってしまうような気がします。本当にしっかりとフルマラソンを走りきる日がきてこそ、今日の苦しみが無駄なものではなかったと言えるに違いありません。ボロボロの体の中で、そんな強い気持ちが首をもたげてきました。
バックナンバー
1.無言の抗議
2.思い上がり
3.初フルでの挫折